shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題45

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回プレイした作品はこちら。

 

GINKA | Frontwing

 

Frontwingから2023年10月26日に発売された「GINKA」です。本作は、以前紹介した「ATRI-My Dear Moments-」と同じ製作スタッフをそろえて作られた作品で、前作をプレイした感触から期待していたのと、夏休み、海、離島、巫女、儀式、銀髪ヒロイン、と自分の好きな要素が詰まっていたので、発売日に速攻で購入してしまいました。

 

「ATRI」の感想についてはこちら。

無題42 - shanの落書き帳

 

ちなみに副題は「帰ろう、君がいる夏へ ―」となっています。「いた」ではなく「いる」なのがポイント?かもしれない。

離島+夏休みでどうしても「Summer Pockets」を意識してしまいますが、こちらはヒロインが1人しかいない分、その描写の丁寧さが現れていて、影がちらつくことはなかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

前述した通り、攻略ヒロインは1人。シナリオも1本道だが、この手のゲームには珍しくBADエンドが4つもある。

ノーマルエンドをクリアすると、タイトルからTrueルートに入れる。

プレイ時間はノーマルエンドが6~8時間、Trueルートが4~5時間ほど。

全年齢作品なのでHシーンはなし。もったいない。ただ、事後を仄めかす描写が1度だけある。

 

・あらすじ

 

高校1年生の主人公、青羽流星(あおばりゅうせい)は、夏休みを利用した自分探しの旅の途中、幼少期に住んでいた離島、ひめ島へと帰ってきた。主人公は5年前の小5の夏、夏祭りの日に幼馴染の少女、四ノ宮銀花(しのみやぎんか)を神隠しによって失っており、それがきっかけとなって島を離れていた。銀花は夏祭りの日、島民の願いを蝶を象った紙である「カタシロ」に書き、それを海の上に建てた鳥居を通って、神様の島へと導く役目を担った巫女である「お役目様」の家系に生まれた少女だった。

主人公は銀花が帰ってきているのではないか、という根拠のない淡い期待の元、島へ上陸し、昔通っていた学校で自分が5年前の祭りの日に書いたカタシロを見つける。それはいなくなる前の銀花との話の中で、自分のものだと一目でわかるよう模様を描いたものだった。また、主人公は教室で5年前の銀花そっくりの少女を見つけるが、逃げられてしまう。

主人公は、かつての先生であった荒羅伎なずな(あららぎなずな)や、姉のような存在であった涼代リン(すずしろりん)、妹のような存在であった海野ひまわり(うみのひまわり)、腐れ縁的な旧友であった七守草二(ななもりそうじ)などと再会し、今年は5年ぶりに島の夏祭りを復活させることを聞くが、銀花のいない中で昔のままに接してくれる旧友たちに耐えられず、3日後のフェリーで島を出ることを決めるのだった。さらに主人公は、学校で拾った自分のカタシロを、半ば自棄になって海の中の鳥居へと投げ捨てるのであった。

翌日主人公は、再び銀花そっくりの少女と出会い、行動を共にすることになる。しかし、ひょんなことからその少女がひまわりには見えていないことを知り、さらに自分も少女に触れられないことがわかる。それでも主人公は、今まで抑えてきた想いがあふれだして少女を銀花と呼び、少女は主人公の名前と、「主人公のお嫁さんになる」という目的だけは覚えているものの、その他の事は覚えておらず、主人公がそう呼んだために、自らを銀花であると定義した。以降この少女のことを「ギンカ」と呼ぶ。

 

 ギンカ

 

1本道シナリオのため、シナリオ紹介の途中にキャラ紹介をはさんでいくことにする。

擬音(ふるふる、こくこく、等)を口で表現するのがかわいい。

 

 

主人公はギンカが現れたこの状況の真意を確かめるため、ひまわりにゴムボートを借りて深夜に単身で鳥居をくぐり、神様の島に行こうと考える。

鳥居の前まできたものの、決心がつけられず引き返そうと考えるとBADエンドになる。主人公は意図しないまま、突然の突風で鳥居をくぐってしまい、突然出てきた霧を抜けて神様の島までたどり着く。しかし、銀花は島にはおらず、主人公は結局銀花には会えないのだと思い込み、そのまま絶望して意識を失って終わり。

自らの意志で鳥居をくぐると、島で銀花に会えないことを悟り絶望した時、1匹の蝶が目の前に現れる。この島では蝶は神様の遣いもしくは亡くなった人の魂だと考えられていた。主人公は蝶のおかげで気力を取り戻し、なぜか荒れ果てていた神様の島から、現世へと戻ってくる。夜明けに海岸で目を覚ました主人公は、1晩の出来事だったはずが、3日が経過していたことを知り、またギンカが主人公と共にいて、島民にも見えるようになったことに気付く。

四ノ宮家は島外に引っ越していて連絡先がわからず、またギンカが主人公と一緒にいたがったため、主人公はギンカを置いて島を離れられず、主人公の下宿先の1室で共に暮らすようになる。また、帰ってきたギンカをリンと草二は夏祭りの「お役目様」にしようとするが、島の老人たちからは祟りを恐れて反対され、主人公もギンカが神隠しに遭った過去からそれに反対する。ギンカは主人公との過去の思い出を何も覚えていなかったため、2人はこれから夏休みの思い出を一緒にたくさん作っていくことを当面の目標に決める。

そんなとき、主人公は謎の少女と邂逅する。その少女は成長した銀花にそっくりで、神様を探して弑すためにこの島へ来たと語る。以降この少女を「銀花」と呼ぶ。

 

 銀花

 

主人公がギンカと銀花に辛口カレーをふるまうシーンがあるのだが、ギンカが辛くて逃げ出すのに対し、銀花は辛いながらもクセになると言って泣きながら食べていて、その対比が可愛かった。

CV長谷川育美さんの、無邪気な子供ギンカと、クールな高校生銀花の演じ分けが素晴らしく、どちらのキャラでも銀花の可愛さが出ていてとてもよかった。

 

 

主人公はリンから、カタシロ流しの本当の意味を聞く。本来カタシロに書くのは、「叶わない、自分には過ぎた願い」であり、さらに叶わない願いは、神様の島で腐って「呪い」となることを知る。夏祭りに向けて準備を続ける主人公たちだったが、ある日隔り世にあるはずの神様の島が現世と重なり、神様の島からあふれだした呪いが人の形をとってひめ島を襲ってくる。ギンカと銀花には呪いを祓う力があり、主人公たちは島を守るが、リンが呪いに取り憑かれてしまう。リンには夢が無く、島を出たいと思っていたが、出てやりたいこともなかった。さらに祖母の方針で、家業の農家を継ぐことが決まっており、島に縛られている自分をやるせなく思っていた。そこでリンは、祖母がいなくなることを願ってしまった。その過ぎた願いが呪いとなり、呪いを呼び寄せることになってしまったのだった。主人公はリンと闘うことになるが、ここで主人公が先天性の心臓病を患っており、余命宣告が15歳までだったので、もういつまで生きられるかわからない、ということがわかる。主人公が幼少期に島に移住してきた理由は、空気の良い場所で療養するためだった。また、主人公は島にいた当時、銀花を守るためになずなから護身術を学んでいた。

ここで、リンを自分が死ぬ覚悟で止めようとすると、BADエンドになる。

主人公はリンの呪いに捕まってしまい、自分の命を使って誰かを助けられたことで人生を肯定され、生への執着を無くして満足してしまい、リンと一緒に死んでしまって終わり。

何とか死に抗おうとすると、リンに捕まった時に銀花への想いを胸に誘惑を断ち切り、ギンカにリンを浄化してもらい、全員が助かる。

ここでギンカから、神様の島が荒れ果ててしまったのは、神様が死んでしまったからだ、という真実を聞き、また銀花がこの島に来た本当の目的は、主人公を連れ戻すことで、神様を弑すのは手段であることを教えてもらう。主人公は、ギンカが今回主人公が島に帰ってきたときに初めて会ったという話をしたことで、ギンカが5年前の銀花と同一の存在ではないという疑念を深める。

5年前、銀花のことが好きだった主人公は、銀花のためにもっと生きたいと考え、島から転校して都会の病院で手術を受けることを決めた。しかし、手術の成功率は高くなかったため、銀花にはそのことを秘密にしていた。銀花は主人公がずっと一緒にいてくれるという約束を破ったように思い、ケンカになってしまった。それが2人が交わした最後の会話となった。

主人公は、夏祭りの儀式について詳細を知るために銀花を探し、昔の四ノ宮家の屋敷に住み着いている銀花を見つける。幼少期の思い出を確かめる事で、この銀花が本物の銀花であることがわかるが、銀花は主人公に、ギンカの正体はわからないこと、神隠しに遭っていたのは自分ではなく主人公であること、を伝える。

今主人公がいるのは夢の世界であり、5年前の夏祭りの夜、主人公は隔り世にある神様の島に入っていなくなってしまった銀花を追って海に入り、そのまま溺れて死んでしまったことを思いだす。そして銀花が現世と隔り世の境で死んでしまった主人公を発見し、その死体を神様の島まで運び、主人公を生き返らせるように神様に願ったのだった。つまり主人公は銀花の願いの力によって、完全に死ぬまでの途中の状態で固定され、夢の世界にいるということだった。

銀花は主人公を現世に帰すために特訓を行うと告げ、2人は修行を行う。主人公は現世で死んでしまっているため帰る理由がないというが、どうせこのまま夢の世界にいても、力が弱まっていてこちらの世界でもすぐに死んでしまうと銀花に言われる。最近心臓発作の頻度が多くなっていることに気付いていた主人公は、それを受け入れる。

主人公達は祭りの日に儀式で世界の境界を開き、現世に帰る計画を立てる。主人公はギンカやリン達に、夏祭りが終わったら島を出る、と伝えるが、ギンカにはずっと一緒にいると約束していたため、泣かせてしまう。しばらくして祭りの前日となり、主人公達は会場となる学校に泊まり込みで準備を行う。そこでギンカは、主人公が島を出るだけでなく、この世界からも出ていくという話を聞いてしまい、それを聞いていたことに気づいた主人公から、自身の正体について聞かれて逃げ出してしまう。主人公は銀花と、明日の儀式についての打ち合わせをするが、主人公は世界を出る前にきちんとギンカと話せていないことが気がかりであった。

ここで、ギンカに未練を残したまま、それを銀花に打ち明けないとBADエンドになる。

主人公は逃げたギンカを追いかけ、海岸で見つけるが、台風の接近と共に呪いが島に上陸しだす。また誰かが祭壇の聖火を消してしまい、呪いを祓う力がなくなって島全体が呪いに覆われだす。リンとひまわりが主人公を追いかけてくるが、呪いに対処しようとしたとき、主人公が心臓発作で死んでしまう。そこに銀花が現れて呪いを祓ってくれるが、主人公を助けるため、今すぐ現世に主人公を連れて行かないと間に合わない、と告げる。ギンカはそれを承諾し、カタシロとなって消えてしまう。主人公は現世の海岸で目を覚ますが、夢の世界のことは忘れてしまっており、銀花も「お役目」を果たせたといっていなくなってしまう。主人公には何も残っておらず、ただ約束を果たせなかったという漠然とした喪失感だけが残るのであった。

この世界に残りたい、と銀花に伝えると、主人公はどうなってもいいが、神様の島がどうなっているかを巫女として確かめる必要があるということで、儀式はそのまま行うことになる。さらに5年前の祭りの日、自分を呼び出していたが何を言うつもりだったのか、と尋ねられ主人公は、告白するつもりだった、と答える。しかし今の銀花には何も響かないようだった。

主人公は逃げたギンカを海岸で見つけて、ギンカに告白し、この世界に留まることにした、と告げる。ギンカは夏休みが終わったら学校に行きたい、と将来のことを話し、2人は仲直りできた。その時、呪いが島に上陸しだす。祭壇の火を消したのはなずなで、こちらの選択肢では主人公と銀花の会話が長引いたことで、銀花がそれに気づき、なずなと戦闘になる。主人公は同じく心臓発作で死ぬが、魂だけが蝶となって現世へと向かう。そこで現実のなずなが、5年前に主人公が神隠しに遭った責任を感じて教師を辞めており、罪悪感から酒に溺れていることを知る。実は5年前の夏祭りの前、銀花に主人公の心臓病の事を教えたのはなずなだった。なずなは侵略によって自分たちの神様を失った一族の末裔であり、ひめ島の神様を盗んで自分たちの神様にするという一族の悲願達成のために送り込まれた人物だった。そのため「お役目様」に接触する目的で学校の教師となり、銀花をそそのかして神域を開かせようとした。しかし、主人公が死んでしまう、という結末になったことで、自らが犯した罪の重さに後悔の日々を送っていた。なずなの願いは、主人公に楽しい夏休みを過ごさせること、であり、その叶わない願いを抱えすぎたなずなの身体は呪いと同化してしまい、自身が呪いそのものとなってしまっていた。銀花は何とかなずなを撃退するが、呪いに浸食され過ぎて、夢の世界で肉体を保てなくなり、消えて現世へと戻ってしまう。銀花が主人公を助けたかった理由は、5年前に主人公の死体を引きずって神様の島まで歩いたときの絶望感を覚えており、夢の世界で主人公を救う事でその思い出を上書きしたかったからだと語る。

主人公はなぜか生き返ってまた夢の世界へ戻ってくる。そして呪いの元凶を取り除くため、単身で神様の島へと向かう。しかし、島へと向かう途中の境界で再びなずなとエンカウントする。主人公はわざと死にギリギリまで近づくことで、感覚を向上させる技「彼岸の境界」を使って何とかなずなに勝利するが、なずなを消したくない、という甘さを見せた事で土壇場で逆転されてしまう。その時、ギンカが現れてなずなを肉体ごと浄化する。どうにか障害を取り除いた主人公だったが、また心臓発作で死んでしまう。しかし、境界で死に、蝶となった主人公の魂をギンカが神様の島まで運んでくれる。島には、5年前に銀花が運んだ主人公の肉体が、神様の力によって腐らずに保管されており、また肉体的成長も見られた。ギンカが蝶となった主人公の魂を肉体に入れると、主人公は肉体を取り戻した。また主人公が5年前にカタシロに書いた願いである「壊れていない心臓が欲しい」という願いは叶っており、主人公は新たな心臓を手に入れていた。ギンカは主人公に別れを告げ、主人公は現世のひめ島で目が覚めるのだった。ギンカは主人公が冒頭で海に捨てたカタシロに宿った存在であり、夢の世界の住人は皆、現世で流した本人が流したカタシロに宿った願いが肉体を持った存在であったことがわかる。また、銀花が5年前に神様とした契約の内容が明らかになる。銀花は、主人公を生き返らせることを神様に願い、神様は銀花の主人公を想う恋心を代償に、自らの命を主人公に与えることを約束した。こうして神様は死に、島は荒れ果ててしまい、また捧げられた恋心はギンカとなって主人公の復活を島で待っていた。そして銀花は主人公に対する気持ちを失ってしまい、また、神様の心臓が主人公になじみ、動き出すまでに5年がかかったということだった。主人公は、戻ってきた現世の海岸で、ギンカのカタシロを開き、「ずっと主人公と一緒にいたい」という願いを見て泣くのであった。

ここまでがノーマルエンドとなる。

 

主人公に武術を教えてくれる先生は、大体敵であることが多く、それを倒す展開は主人公の成長を感じられるので個人的には好きな展開である。

ギンカと銀花は、登場当初どちらかが偽物だと考えていたが、両方本物であるのは驚いた。主人公に好意を示してくれているギンカはかわいいが、小学生の容姿と精神ということもあって、主人公が父親的なポジションになり、あまりいちゃついた展開にならなかったのは残念。

神様まわりの出来事に関しては、主人公の謎の復活も含めて、深く考えないほうがいい気がするのでノーコメント。

 

ノーマルエンドをクリアすると、タイトル画面から新しく「NEXT」の章が選べる。タイトル画面で鳥居に座っていたギンカがいなくなっており、もの悲しさを感じさせるものとなっている。

 

物語は主人公が現世に帰ってきてから1年後から始まる。

現世では、主人公は中学校に丸々いっていないことになっており、また高校受験もしていなかったため、ニート状態だった。さらに5年間行方不明になっていた息子が帰ってきた両親との仲はぎこちなく居心地の悪さを感じており、主人公はすぐに現世のひめ島へと帰ってきて、夢の世界で住んでいた部屋と同じ場所を借り、数か月で中学校の復習を行い、4月から1年間浪人した体で、本土の高校の分校となるひめ島の高校に入学していた。主人公は島の学校の教室で、リモート授業を1人で受けていたが、同じく分校の高2となっていた草二はなぜか主人公を避けていた。また高校を卒業し、実家の手伝いをしているリンから、夏祭りの復活を手伝ってくれるように相談を受ける。夢の世界とは違って草二は夏祭りの復活に消極的だったが、ギンカの手がかりを探すためにもう一度祭りを行って神様の島に行きたかった主人公は、これを手伝うことにした。さらに、銀花が唐突に主人公と同じ分校に転校してくる。銀花は、神様になってしまった主人公を、刺客から護るために来たと語り、24時間見張る必要があると言って主人公の部屋に住み着いてしまうのだった。

ここからしばらくは、刺客を警戒しながらも、高校生の銀花と日常生活を送れるので、やっと見たいものが見れたような気がした。銀花は主人公に対する恋心を失っているため、同棲していてもイチャイチャイベントは起こらないが、それでも一般的な男女差に起因する照れイベント(お風呂、パジャマなど)は起こったので、銀花の可愛さが見られてよかった。

また、なずなは過去の罪滅ぼしから、主人公の警護を手伝うと申し出るが、過去に裏切られた銀花はまだなずなを許せないでいた。また、主人公は銀花に夏祭りの「お役目様」をやってくれるように頼むが、主人公の警護で忙しいと断られてしまう。さらに一緒に過ごすうちに主人公はまた銀花に告白するが、銀花は主人公に答えず、刺客の脅威が去れば、主人公の前から消えると伝える。銀花は、自分に執着する主人公を、過去に囚われていると考えているようだった。

失意の主人公は、海岸でなずなに相談して慰められるが、その時刺客が主人公を襲う。刺客の正体は銀花の実母である花憐(かれん)だった。花憐は先代の「お役目様」だったが、隔り世を見すぎたせいで現世と隔り世の区別がつかなくなり、ある時剣の修行をしていた時に銀花を殺しそうになったため、自らを封ずるために四ノ宮家の座敷牢に望んで入っていた人物だった。そして、「お役目様」とは島民たちの叶わない願い=呪いを代わりにその身に受け、浄化する代わりに生贄となる役割を担った家系の女たちのことだった。花憐は銀花を「お役目様」から永遠に解放して銀花を生かすため、主人公に宿った神様を弑して、その元凶を断とうとしていた。なずな、銀花では花憐を止められず、主人公も殺されそうになった時、主人公が持っていたギンカのカタシロが反応してギンカが現れ、花憐を止めてくれた。ギンカは霊体で、主人公、銀花、花憐にしか視認できなかったが、それでも花憐から一時的な猶予を引き出すことができた。銀花は、夢の世界で呪いを浄化しすぎたせいで、身体がすでに呪いに侵されていてこのままだと長くはもたなかった。呪いの影響で気を失ってしまっていた銀花に対し、主人公とギンカが神様の力で呪いを浄化することで一時的な気休めにはなった。

主人公は翌日、花憐の住む家を訪れて、昔の話を聞いた。神様とは、元はひる子様と呼ばれていた異界から島に流れ着いたバケモノで、祟りを恐れた島民がそれを祀り、その世話をする役目を担ったのが「お役目様」の始まりだった。ひる子様は昔は本当に願いを叶える力を持っていたが、やがて失われてしまい、叶えられなくなった願いが呪いとなって「お役目様」に降りかかるようになった。やがて呪いは、神様の島からもあふれだすようになり、元は現世にあった神様の島を、四ノ宮家が神域へと送り、結界で封じた。しかし島民は、神様の力がなくなったという事を信じず、四ノ宮家を糾弾した。さらにひる子様が願いを欲し続けたため、祭りは続けられ、呪いが蓄積され続けることになった。主人公がただ死ぬだけでは、神様の島に封じられていた呪いが全てひめ島に降りかかり、ひめ島が滅んでしまうことがわかった主人公は、夏休みが終わるまで、を条件に解決方法を模索することを花憐と取引する。

主人公は、唯一の解決策は神様を元の世界に返すことだと考える。そのためには神様からもらった命を返さなければならないと考え、もう一度神様の島に行くために夏祭りの準備を進める。主人公は、夢の世界で起こったことを全て正直に皆に伝え、協力を仰ぐことにする。リン、ひまわり、なずなは、夢の世界で起こった出来事を現世でも夢として覚えており、主人公の話を信じてくれる。

ある夜、銀花はギンカと海岸で2人で話をする。自分は肉体を持たないため、銀花と1つになって、主人公とずっと一緒にいたい、というギンカに対して、銀花はそれを否定し、ギンカを剣で切って消してしまう。その現場を見てしまい、憤る主人公だったが、銀花は、自分をあなたの人生の意味にするな、と言って肉体が呪い化し、神様の島に行ってしまう。呆然とする主人公だったが、今度は娘を呪い化させたことに激怒した花憐に襲われる。今度こそ殺されかけた主人公だったが、通りすがりの草二がとりなしてくれたことでまたもや助かるが、代わりに花憐に、夏祭りが終わったら死ぬ呪いをかけられ、後に引けなくなる。銀花の言葉の真意を考える主人公に草二は、自分が主人公の人生を縛っていることに耐えられなかったのだろう、と代弁する。

草二が主人公によそよそしかった理由は、夢の世界で主人公にキツく当たっていた自分をぼんやりと覚えており、主人公の事情を知って申し訳なさを感じていたからだが、ここで草二に急にホモ要素を足してきたのはよくわからなかった。

そのまま祭り当日となり、主人公、花憐、お役目様の代理のひまわりで儀式を行い、神様の島に向かう。途中で襲ってきた呪いは花憐が祓ってくれ、ひまわりに境界を開けさせて先にひめ島へ帰した。主人公は神様の島の中心で、神様の死体と、それにまとわりついた呪いを見つける。主人公はその呪いを浄化しようと、神様の身体に触れ、神様の記憶に飲み込まれてしまう。

神様であるひる子様は、元々別の世界から捨てられ、流れ着いた存在で、人々の願いを叶え、代わりに代償をもらうことで、自分が捨てられた原因である欠損を埋める事ができると考えていた。そんなある日、神様は生贄として捧げられてきた少女、ハナと出会う。ハナは神様の希望となり、祭りを通して得られた人々の願いを通して神様にまとわりついた呪いを少しずつ浄化していたが、やがて呪いに蝕まれて死んでしまう。神様はハナの死に絶望し、最初よりも濃い呪いを身にまとうようになってしまった。人々は新たな「お役目様」を立て、祭りを続けていたが、絶望によって歪んでしまった神様の力は、願いを呪いに変える力になってしまっていた。神様はいつしか自分が消えることだけを願うようになり、人々の願いが具現化した蝶が死んで呪いに変わらないように、神様の島を花で満たし、蝶に蜜を与え続けてきた。そこに銀花が来て、主人公の蘇生を願った。消えたいと願っていた神様は、自分の命を主人公に渡して死んでしまった。

そこまで見た時、呪いと同化していた銀花が記憶の中にやってきて、主人公を再び夢の世界へと引きずり込んだ。さらに主人公が帰ってこないことから、花憐も自らの身を呪いに浸す事で、同じ世界へと飛び込んでいった。夢の世界の中で主人公は、銀花と過ごし、仲良くなって、告白し、銀花に殺される、という日々をループすることになった。銀花が主人公と結ばれることは、神様に捧げた代償に違反することであり、その結果因果が逆転して主人公が死んでしまうことになるために許されなかった。そこで銀花は主人公の精神をすり減らし、主人公を呪いと同化させることで、この世界で一緒に居られるようにしようと考えていた。主人公が力を使い果たし、消えてしまう前の最後のループの中で、主人公はギンカと花憐の助けもあって、銀花のカタシロを見つけだす。それは、「お役目様」は願ってはいけないという禁忌を銀花が5年前に犯してしまった証であり「主人公とずっと一緒にいたい」という願いが込められていた。

銀花は主人公を失ってからの5年間、ずっとカタシロを持ち続けていたせいで、願いが力となり、主人公のことを意識するようになっていった。そして「お役目様」の最後の役割として、主人公を救う責任があると考え、夢の世界にやってきたのだった。銀花は夢の世界でギンカと出会い、昔の自分がどれだけ主人公のことが好きだったのかを知った。また、自分も主人公と一緒に過ごすうちに、改めて主人公のことが好きになっていった。しかし、自分に執着しているようだった主人公が、自分のために命を使わないでいいように、わざと突き放した態度をとっていたのだった。お互いの想いはすれ違い、銀花のためにすでに神様に命を返して死ぬことを決めていた主人公だったが、最後に幸せな思い出を作りたいと願った銀花のために、6年前にできなかった夏祭りの日の告白を夢の世界で再現しようとする。しかしタイミング悪く、主人公が夢の世界から目覚めてしまう。主人公は死の間際となり、魂だけの存在となったことで神様の力を使えるようになり、最後にその力で誰かの願いを叶えてやりたいと思ったが、主人公の周りには生きることに絶望した神様しかおらず、このまま命を返しても解決しそうになかった。

ここで、神様の願いを叶えてやるとBADエンドになる。

主人公は神様の「消えたい」という願いを叶えた代わりに、主人公の意識も神様に飲み込まれて一緒に消えてしまう。

ここはすぐにエンドとしても終わるので、選択肢を作るのが微妙だと思った。

生まれてきたことを否定することは、生まれつきの心臓病で、生きる意味を探してあがいていた主人公自身の生き方を否定することになり、できないと主人公が否定すると、蝶となって異界をさまよっていたハナの願いを見つけ、偶然にも主人公はそれを叶える。そして主人公は神様に命を返し、カタシロを残して消えた。銀花は神様の島に安置されていた主人公の遺体が、神様との取引がなかったことになって消えたのを見届けると、自分のカタシロを置いて島を去った。主人公の力によって復活したハナは、神様の呪いを祓い、神様と一緒に外宇宙へと飛び去った。復活した神様は去り際に、銀花と主人公のカタシロの願いを叶えてくれた。神様の本当の力は、願いに応じてそれが叶っている可能性の世界を選び取る能力であり、銀花が神様の島から戻ると、その力によって世界が変わっていた。銀花はその世界にいた自分と同化し、記憶は混ざり合い、したことがないことを思いだしていくことになった。この世界では6年前の夏祭りで銀花は神様の島にいかず、主人公がきちんと銀花に告白できて、主人公の手術が成功した世界線だった。最後には、回想の中で、夏祭りの時に約束したりんご飴を、一緒に食べることができたCGで終わり。

 

シナリオをすべて見終えた後にタイトルに戻ると、笑顔のギンカがいるのは良い演出だと思った。

 

・終わりに

 

神様の名前が「ひる子様」だったことで、夏+離島要素も相まってサマータイムレンダを思いだしたが、蛭子様が実在する神様(捨てられて流れ着くところも日本神話と同一)だったことで、元ネタが同じだけであり、現実に近い設定にしたかったのだと考えられた。

ライターの紺野アスタ先生がインタビューで語っている通り、本作は銀花1人に焦点を当てて深掘りしたような話になっているが、実際に銀花と付き合えてからのシーンは存在せず、キャラゲーとしてみた時にもっと恋人同士のイチャイチャシーンが欲しかった。特に主人公は物語冒頭から一貫して銀花のことが好きなので、プレイした側としては消化不良感があった。また、リンもひまわりもなずなも魅力的なキャラに仕上がっていたので、仕方ない事だとは思うが別ルートも見てみたかった。

物語冒頭から、主人公は夏祭りの日に銀花と交わした、一緒にりんご飴を食べる約束を果たせなかったことをずっと後悔しており、それが主人公の心情のキーポイントとなっていた。実際そのシーンは物語中に何度も登場し、銀花の悪夢の中では、それを再現しつつ最後まで間に合わないという失敗演出まで見せる。最終的にはこの約束を果たしたところで物語が終わるので、シメといっていい出来事のはずだが、それを成功させたのが、2人が実際にはやっていない、記憶にしか存在しない回想の中、というのがすごく消化不良感があった。せめて、高校生になった2人が復活した夏祭りを一緒に回って、その最後にりんご飴を渡す、とかにしてほしかった。

OP、EDは共にかっこよかったので、是非サントラとかを出してほしい。長谷川育美さんの歌唱力はやっぱすげえ。