shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題47-3

 

 

3作目です。

 

 

乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-

 

2016年5月27日に発売された「乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-」です。

今作は「乙りろ」のFDとして発売された作品で、つり乙シリーズでは「つり乙2」の次の通算4作目の作品となります。公式の推奨順でいくと先に「つり乙2」をプレイするべきですが、同じ主人公の作品は通しで見る方がわかりやすいため、こちらを先にプレイすることにしました。結論から言って、「つり乙2」を先にプレイしていなければわからない要素はなく、「乙りろ」の記憶が新しいままプレイできたので、この順番でよかったと思います。

一点注意しなければならない点として、ディスク版は主人公のボイスが入っていないため、公式サイトからフルボイス化パッチ(無料)をダウンロードする必要があります。これはコンプリートボックス版をプレイした場合でも同様でした。DL版は最初からフルボイスのようなので、ディスク版のみこのような処置なのは(しかもフルボイス化パッチは2016年の発売と同時に公開されているのに加え、コンプリートボックスの発売は2023年で、最初からパッチを当てておくことができるはず)不遇であり、またコンプリートボックスを買っただけでは何のアナウンスもなくてわからないのは不親切です。私は最初にプレイしたときに主人公のボイスが無いことに違和感を感じ、公式サイトを探しに行って偶然パッチを見つけました。

また、OPムービーが(公式youtubeにはアップされているものの)初回起動時にしか見ることができず、ギャラリーからも確認できないのも不親切だと感じました。

内容は「乙りろ」でルートのあった3ヒロインのアフターとなっていますが、キャラごとに露骨に長さが異なるうえ、実質エッテアナザールートが本命のようなもので、プレイ時間としては割高になっていると感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

上述の通り、前作でルートのあったメリル、りそなのアフターストーリーに加えてブリュエットアナザーとそれに続くアフターの計4本となっている。選択肢はなしで1本道。

回想シーンは各ルートに2回ずつの計8回。

プレイ時間は、メリル2~3時間、りそな5~6時間、エッテアナザーが11~13時間、エッテアフターが2~3時間くらい。

 

 

〇メリルアフター

 

 メリル・リンチ

 

メリルと主人公がショーで最優秀賞を取った後の夏休みに、メリルの実家の修道院へ里帰りしているところから始まる。駿我が修道院を買収したことにより、新しい「マザー」が来た他、修道院から孤児院として運営されることになり、メリルの知るかつての修道院とは色々な事や人が変わりつつあった。メリルは故郷の村で母が自殺した崖の上に立ち、今までの日々へのノスタルジーと、それでも前を向いて新しい「家族」と生きていくことを決意し、一旦過去に区切りをつける。お盆には大蔵家の孫世代が全員墓参りのために日本の本家に集まり、食事会を開くことになった。

主人公は衣遠兄様からメリルのことについて指摘を受ける。メリルは「服を作る」ということが好きで高級志向はなく、またメリルのデザインは他人が意図を読み取るのが難しく、また本人も他人へ伝えるのが苦手なため、結果として最近のメリルのデザインは誰が見てもわかりやすい「大衆向け」のデザインに寄ってきており、芸術性が失われつつあった。衣遠は、このままメリルの才能が埋もれてしまうのは看過できないが、自分は駿我や祖父に警戒されていて主人公たちと一緒にはいられないため、メリルの才能を導く役目を主人公に与える。

2年生が始まり、主人公はりそなの付き人として朝日としての生活を続ける。また、メリルがウソをつけない性格のため、ボロが出ないようにメリルの前でも朝日として振舞い続ける。メリルもエッテの付き人を継続しているが、大蔵家の関係者だということが知れ渡ってしまったため、教室内で扱いに困る人物となっていた。やがて、学院推薦のコンクールにメリルが出場することになったが、メリルはフリマで大衆向けの服を作って売ることにはまってしまっており、コンクールのためのデザインができなくなっていた。そこでりそな、エッテ、主人公がメリルを説得し、メリルに自分が着るための衣装をデザインさせて、メリル自身をモデルとしてコンクールに出場させることに決まる。メリルは平凡な自分が輝くための衣装を真剣に作ることで、着る側の気持ちを考えられるようになり、家族(主人公、りそな、衣遠、祖父等)が望むならと、高級路線のデザイナーを目指すことに決める。

そしてコンクール当日、メリルは無事自分のための衣装を完成させて出場し、最優秀賞を取る事ができたのだった。というところで終わり。

話が短すぎる上に衣装制作の過程をすべて飛ばすなど構成も雑で、これが正規に代金をとった製品版のルートなのかと唖然としてしまった。もはやつり乙シリーズにHシーンは期待していないものの、アフターの2回のうちの1回目も、本編の2回と同じくメリルが痛いだけで終わり、満足感とは程遠かったのもかなり残念だった。というか全ルートを通して主人公が早漏すぎる。

 

 

〇りそなアフター

 

 大蔵 里想奈(Resona)

 

りそなと主人公がショーで最優秀賞を取った後、夏休みから始まる。駿我によってメリルが大蔵家の関係者だと明かされ、駿我と衣遠がした仕打ちにりそなとエッテは怒るのだが、主人公とメリルが2人を許したため大事にはならなかった。また駿我はメリルに謝罪してくれるが、衣遠兄様は謝罪せずメリルを家族だと認めなかった。しかし、駿我からメリルに服飾の才能があるという話をされると、メリルを家族だと認めるのだった。

衣遠兄様はメリルの才能を見込んで支援をしていたはずなので、メリルのことを知らないのはおかしく、ここは衣遠兄様がツンデレだったことにしておく。

また、主人公たちは日本へ帰り、改めて父、義母、祖父とも和解することができた。その時に家族写真を撮ることになるのだが(撮影者は主人公の父親)、ここまで色々と積み重ねてきたうえで、家族が和解できて一堂に揃うことができた証としてこのCGが出されるのは感慨深いものがあった。単純に自分が敵対していたキャラと和解した後の集合写真が好きというのもあるが。

 

このブログでは出てきていないのでここで紹介するが、左端が駿我で真ん中がアンソニーである。

 

2年生が始まり、学院ではリリアーヌが休学となり、リリアの1番の子分だった2人がりそなたちに黙って転校していた。りそなも面倒くさいという理由から、これ以上クラスメイト達に糾弾することはしなかった。主人公はりそなのデザイナーとしての能力を伸ばすため、自分がデザインを諦めてパタンナーに専念するという決意を固める。2人はフリマに出店を続けるのだが、りそなのデザインしたゴスロリは1月に1着売れるか売れないか、という程度のものだった(パリではあまりゴスロリが浸透していないという問題と、値段が高いため)。しかし、とあるゴスロリ系ファッションデザイナーのプロの目に留まり、その人の店にりそなの服を1月だけ置かせてほしいという話があった。りそなはこれをチャンスととらえて承諾し、フリマのために作っていた4着に加え、新作の制作に取り掛かることにした。しかし、りそなのデザインはなかなか完成しなかった。さらに、主人公への見栄と軽口で、自分はまだ本気を出していない、と言っているところを衣遠兄様に聞かれてしまい、年始に行われる≪晩餐会≫の仕切りと、年末に日本で行われるフィリコレへ、パリ本校からの招待生としてメリルと共に参加するよう言われてしまう。衣遠兄様は、困難を1つ乗り越えて腑抜けそうになっているりそなに新たな試練を与える事でその成長を促す目的がある、ということを主人公だけに語り、主人公はりそなの手助けをすると誓う。

しかし、りそなは2つの大きな試練を振られたことにより焦りが先行し、どちらも上手く進められていなかった。主人公は駿我と話をする機会の中で、自分だけがりそなを支えなければならないという驕りの気持ちがあったことに気付き、周りにアドバイスを求めることにする。≪晩餐会≫の助言をアンソニーに、デザインの割り切りについての助言を華花(今は衣遠兄様の会社でパタンナーとして働いている)にもらい、また主人公からは、毎年りそなのデザインを主人公が形にしてりそなのコートを作る、と2人で本編で約束した通りコートをもらい、りそなはやる気を取り戻し、店に置く新作のデザインと、フィリコレのデザインを難なく完成させることができた。

店に置いた5着は、展示当日に全て完売した他、フィリコレではりそなのデザインが最優秀賞に選ばれた。

フィリコレではルナ様の衣装を湊が、ユーシェ、瑞穂がそれぞれ自分のデザインした衣装を着て登場するが、りそながデザインして着た衣装は、光の当て方で色が変わる糸という、ものすごくお金のかかる生地で勝負したようなものであり、実際講評でも生地のおかげだという評価が多かった。りそなは使えるものは全て使って勝ちに行ったと語り、そのようなスタンスは嫌いではないが、ルナ様への勝ち方としては微妙だと感じた。

また、日本勢との会話はエッテがいる関係でフランス語と日本語が入り混じっている設定だったが、ユーシェが日本語で話している(と思われる)場面でも「私(わたし)」と発音していたのは詰めが甘くて残念だった(元々フランス語を話している場面ではユーシェは普通に話す)。

主人公とりそなは再びパリに戻り、店に置く追加の衣装の制作に入った。服が完成し、ショーウインドウに飾られた自分の服を見て、自分の店を持ちたいというりそなの夢に向けて、また一歩踏み出すことができた、と思うところで終わり。

≪晩餐会≫ではりそなはおそろいのコサージュをデザインして配るという案を出し、衣遠兄様にも褒められたが、肝心の≪晩餐会≫本番の場面が無かったのが残念。また、フィリコレで最優秀賞を受賞した後もすぐにパリへ戻ったので、日本組との絡みがなかったのも残念だった。

後は≪晩餐会≫前夜、大蔵家本家の部屋でHしているところを衣遠兄様と駿我にノックされる、という展開があるのだが、完全に言い逃れできないタイミングだったのにうやむやにされてすぐ場面転換になるのが残念だった。そこまで際どいタイミングのイベントを出すのなら最後までやり切って欲しかった。

 

〇エッテアナザー

 

 ブリュエット・ニコレット・プランケット

 

本作の本命ルート。

始めにCGと立ち絵と背景だけで、「乙りろ」開始からエッテルート冬休み開始時点まで進む。この演出は結構面白かった。

ロンドンコレクションのために欧州に来ている衣遠兄様から逃げるため、りそなと主人公はパリを離れ、ランスまで気晴らしがてらに旅行に行くことにする。りそなは主人公に男の格好をしてほしがり、主人公も誰もいない土地に行くのだからとそれを承諾する。しかし、運悪く駅を降りてすぐ、メリルの修道院に行けなくて家出してきたエッテと出会ってしまう。主人公は急いで立ち去るが、歩き方と後ろ姿、そしてりそなが無意識に「彼」と呼んだことにより、主人公が男であることに感づかれてしまう。りそなと主人公は旅行を中止してパリへ戻るが、主人公のアパートにエッテが待ち構えていて、主人公が男だとばれてしまう。エッテを味方につけるため、アパートにりそなを呼び、りそなが学院でイジめられていることや、マフラーを切り裂かれた証拠写真、りそなが不登校だった過去などの事情を全て説明し、エッテは主人公が女の格好をしてこれまで学院へ通っていたことについては黙認してくれた。しかし、これからも主人公が学院へ通うことについては、エッテを「黙認」ではなく「共犯者」にさせてしまい、もしさらに他の人に正体がバレたときにエッテにも不利益を被る可能性があったため、許されなかった。エッテは、好奇心で主人公の正体を暴いたことを謝罪し、これからは自分が教室でりそなを助けることを約束してくれた。りそなは結果ありきだが、エッテのことを信頼せざるを得なくなり、大蔵家の事情についても少し話すことになった。

主人公は学院を休学扱いになり、メリルと学院の話をするのが辛いため、メリルのいるアパートを離れて別のアパートで暮らすことになった。しかし、メリルが主人公がいなくなったことにより病んでしまったため、しばらくアパートに通う事にした。エッテは、主人公が遊星になっても、朝日の時の性格が全く変わらなかったことに好感を覚え、りそなからメリルと主人公は純粋な気持ちを持っている点が似ているという話をされたことで、主人公に対して好意を持つようになる。エッテは、メリルにすっぱりと振られて気持ちを切り替え、これからは良き友人として、ショーに出られなくなって悲しんでいる主人公のために、主人公の分まで衣装を作ると主人公に伝える。

エッテ、りそな、主人公は仲が深まり、2人がりそなの部屋で衣装を縫い、主人公が2人に技術を教えることが増えていった。主人公はエッテから、朝日として学院に戻ってきてもいいと言われるが、卒業後もパリで過ごすのなら、メリルやエッテ、リリアーヌ等ともずっと付き合っていかなくてはならず、この状況は朝日をフェードアウトして遊星としての自分を出していくのにいい機会なのではないかと言われる。しかし、主人公はりそなの学院生活をそばで支えるのが当初の目標であり、どうすればいいのかすぐに答えは出なかった。そんな時、衣遠兄様が突然襲来してくる。衣遠兄様には、主人公が「第三者」に身バレしたため住居を変えることは事前に伝えていたが、その時は関心を持たれなかった。しかし今、衣遠兄様はそのことを理由に≪晩餐会≫まで主人公を自分の会社に保護しようとしていた。主人公は、最初はりそなを守るためその提案に乗りかけるが、衣遠兄様が1人で来たとウソをついて本当は部下を潜ませ、主人公を拉致しようとしていることをアンソニーの留守電で土壇場で知り、衣遠兄様とバトルになる。衣遠兄様によるトーキックが主人公の顎に入り、主人公の携帯(と駿我が主人公に贈った携帯ストラップとその中に仕組まれていた盗聴器)が壊れる中、その前に咄嗟に主人公がメールを送っていたエッテが助けに来てくれ、エッテの前で主人公を拉致するとプランケット家との対立になってデメリットが大きくなるため、間一髪で衣遠兄様を退けることに成功する。主人公とりそなは、巻き込んでしまったことを謝りつつ、エッテしか頼れる人がいないためにエッテに助けを求める。しかし、主人公は無条件に他人を頼ることができず、エッテは見返りとして主人公にりそなの前で告白し、その返事について考えてほしいという条件を出す。りそなも主人公が幸せになるなら、それとエッテは主人公の本質を理解しているという点で共感できるため、これを認める。

目の前で主人公をかっさらわれるりそながかわいそう。

主人公は、衣遠兄様に1度負けた以上、3年間をパリで過ごすのは不可能だと考え、りそなと2人で卒業すること、を目標に切り替える。そのため、駿我に降伏することを提案する。これは衣遠兄様を裏切ることになるため使えない手だったが、駿我に降伏したのち、アンソニーに対して、主人公、りそなと合わせて3票の投票権を預けることで、アンソニーを当主にすると持ち掛けて内部分裂を起こし、≪晩餐会≫でアンソニーを裏切って衣遠兄様の味方をする、という作戦を考える。りそなは、主人公に他人、しかも家族を騙してほしくない、魂の高潔さが穢れるとして反対するが、それでも最終的には自分のためにやってくれていることだとしてそれを受け入れる。

エッテの協力で、その日のうちに主人公は衣遠兄様の監視を振り切り、アンソニーに身柄を預けることになった。2人はパリを出て、かつてジャンや衣遠兄様が留学していた街、ベルギーのアンテロープへと向かった。この場所への潜伏は主人公が指定したことで、衣遠兄様が留学していた学校を見たいという理由からだった。

 

 大蔵 アンソニー

 

次男家の次男。つまり駿我の腹違いの弟。愛称は「トニー」で、りそなからは「ト兄様」と呼ばれている。刹那主義で享楽的、運命というものを一番大切にしている。会社では、トップがいると部下が委縮して能力を発揮できない、という理由でいつも遊びほうけている。見た目通り女好きで、女装した主人公は一番のタイプであり、このルート以外では朝日と遊星が同一人物だと何度説明されても理解できなかった。優秀な兄の陰に隠れて育ち、かつては兄に負けないよう努力していた頃もあったが、何をしても兄に勝てなかったために今では諦めている。また、父親じきじきに、兄の補佐をして生きろ、それ以外余計なことはするな、と言われ続け、努力しても褒められることはなかった。こう見えて頭は悪くないが、上述の経験から思考を全て兄に預けており、「俺は馬鹿だからな」が口癖で、今では兄に言われた通り動くことだけを考えている。家族のことは大切に思っており、上に立つ者はきちんと決めなければいけないために駿我を当主にしようと思っているが、衣遠のことも嫌いではあるが憎んでいるわけではなく、仲良くしてもいいと思っている。このルートにおける実質的な主人公。

 

主人公とアンソニーは、道中の会話でお互いが弟であり、また期待されていないという部分が共通していたためにすぐに打ち解けることができた。また同じ弟として、主人公に優しくしてくれた。主人公はベルギーのアパートで駿我と対面し、衣遠を裏切ったことの事実確認をされるがどうしてもウソを言うことができず、衣遠を末席として大蔵家へ残してほしいと、自分たちが負けた時の仮定の話をすることで何とか誠意を保つ。しかし駿我はそれを許してくれなかったため、主人公はこれから≪晩餐会≫までの期間で駿我を説得したいと言う。主人公は1週間に一度駿我かアンソニーと話すという条件をつけることで、何とか説得への糸口をつかもうとする。主人公がアンソニーと話をするうちに、アンソニーは主人公を虐げていた(と考えている)衣遠に興味を持ち、衣遠と2人で会って主人公のことについて尋ねる。そこで衣遠兄様語を翻訳すると、衣遠兄様が主人公のことを対等だと認める発言をしていたことに気付き、自分と駿我とは違って、衣遠と主人公の間には信頼があったことを認める。

アンソニーは主人公に説得され、衣遠を大蔵家へ残すことについて、駿我に頼らずに自立して闘うことを約束してくれる。そしてアンソニーの独断で、エッテをベルギーへ呼び、主人公からのとあるメッセージを渡すことができた(アパートは駿我の部下に監視されているため、メモを投げ渡すことしかできなかった)。さらに次回のアンソニー訪問時に、主人公はアンソニーの真意を問い、アンソニーが家族に対してどう思っているか尋ねる。そこで、衣遠も家族として迎えたい、駿我と衣遠の対立を無くし、家族で仲良くしたい、という想いが主人公と同じことを確かめ合った2人は、アンソニーを当主に立て、主人公とりそながそれを支えるという話を切り出す。これはアンソニーを騙すわけではなく、アンソニーと本心で分かり合えた今、衣遠兄様を追放しないという主人公本来の目的がウソをつかずとも叶えるための道筋ができたということだった。しかし2人で内緒話をし過ぎたため、これを予期していた駿我の命令を受けていた駿我の部下に感づかれてしまう。駿我はアンソニーのことを信用しておらず、アパートに連れてきていたアンソニーの部下は駿我によって買収されていた。アンソニーは、今まで駿我の言う事に従っていたのは駿我が怖かったからで、そんな態度が透けて見えていた上に自分の意見を言わないやつが信用されないのは当たり前だと独白する。しかし、心の底では自分が信用されていないことを理解しており、また駿我のことも信用していなかったため、付近に最も信頼できる部下を潜伏させていた。そして初めて兄弟げんかをして自分の意見をぶつけてやろうという決意を固める。

このあたりは本当にアンソニーが主人公ムーブをしていて、単独のCGもあり、「乙りろ」でモブキャラに過ぎなかったところをここまでかっこよくできたと感心した。

アンソニーは今まで兄とは、2人で食事をしたり雑談をしたことがなかったが、主人公とは2人で食事をしたり雑談を重ねたりしてきて、また同じ弟という立場からか、主人公のことは信用することができた。主人公は、窓から脱出することもあるかと思い、今まで服飾の練習用と偽って作り続けていたカーテンを繋げてロープにしたものを4階のアパートの窓から垂らし、アンソニーと脱出しようとするが、アンソニーは主人公を逃がすため、部屋の入口で駿我の部下を食い止めてくれる。アンソニーとは≪晩餐会≫で再会する約束をし、主人公はアンソニーの部下に拾われてランスへと向かった。

主人公がエッテに渡したメッセージには「以前私を見つけた場所で」と書かれており、自分にトラブルが起きた場合に備えてエッテをランスへ呼んでいた。同時刻、りそなは≪晩餐会≫の話をするために駿我とパリで会っていたが、駿我が主人公の脱走の報告を受け、急いで帰ったことで決行に気付き、エッテにそれを伝えたのだった。主人公はエッテと再会し、今までのエッテの献身に感謝し、主人公からエッテに告白して2人は恋人となる。

≪晩餐会≫は5月のフィリコレと同日に決まっており、これは駿我がりそなと主人公に≪晩餐会≫を欠席させ、自分を当主にしようと一気に物事を進める狙いがあった。エッテは、その日モデルとしてショーに出場する自分を主人公に見てほしいと思っていたが、主人公の事情のためそれを譲ってくれる。主人公は身を隠すため、これから≪晩餐会≫までの1か月間、フランスからロシア経由で上海まで旅をしながら帰り、≪晩餐会≫に出席する計画を立てる。

そして≪晩餐会≫当日までカットされる。主人公の旅パートは、話に出てくる限り面白そうだったので、少し見てみたい気持ちもあった。

≪晩餐会≫当日、主人公とりそなが祖父の元まで歩いて向かうのと、エッテがショーの舞台をウォーキングするのが交差する演出がある。これは主人公とエッテが、当日はお互いのことを想って歩くと約束したことに対するものである。衣遠に大蔵家の血が入っていないことを祖父、駿我が知っており、そのため衣遠は欠席処分となっていた。そして、衣遠に対する一族からの追放処分が祖父から出されたため、主人公はまだ衣遠兄様の事情を知らないながらも「家族会議」によって票決を取ることを申し出る。祖父はこの結果は覆せないとしたうえでこれを了承するが、その後で主人公が家族として認められるのはこの議決の後である、と宣言する。つまり主人公はこの投票に対して権利を持てなくなった。投票の結果、賛成はりそな、アンソニー、真星(父、自分はりそなの意見に追随する存在だから)で、反対は祖父、駿我、富士夫(駿我の父)であった。同数の場合は祖父に決定権があるので、万事休すと思われたその時、フランス国王から祖父に祝電が入る。エッテがショーで最優秀賞を取り、そのインタビューで主人公のことを自分の恋人だと、素性付きで宣言していた。元々このショーは国王のパレードの前座として行われたものであり、またエッテが皇太子と面識があったことで、国王と面識のあった祖父に一報が行ったということだった。これで主人公を家族だと認めざるを得なくなり、主人公が賛成に票をいれたことで衣遠兄様の追放は免れた。2人はアンソニー

発案で、ショーの最優秀賞のお祝いに参加するためパリに蜻蛉返りし、エッテと再会した。りそなは、ロンドンにいる衣遠兄様に、≪晩餐会≫の結末について報告をしにいってくれた。

衣遠兄様は、主人公の目的である「家族の和解」について信じてくれなかったが、「主人公の真意を確かめるため」という名目で大蔵家へ残ってくれた。また、祖父が衣遠兄様を追放しようとした理由については主人公やりそなには明かされないままだったが、とりあえず一件落着したところで終わり。

エピローグでは、エッテが日本でもモデル活動を始めた事と、主人公が朝日として登校を続けていること、衣遠兄様とはまだ和解できていないが、それでも努力し続けていくと言う主人公の決意が語られる。

家柄や将来性、メリルが大蔵家関係者であること、等を考えると、エッテと結ばれるのが乙りろ主人公にとって一番収まりがいいルートだと思われるゆえに、大蔵家の和解まで行かないのが残念だった。

Hシーンに関しては主人公がされる側ばかりなのが残念だったが、流石に車の人だけあって、シーンが残念なつり乙シリーズでも、そのうますぎる演技力で何とか形にはなっていたように思った。また、絵師違いということでこれまで書かれてこなかった主人公の顔が、1/4シーンであったが書かれていたのもよかった。

このルートを乙りろ本編のエッテルートにした方がよかったと思うが、入れ替えてしまうと本格的に本作の存在意義がなくなってしまう...。

 

〇エッテアフター

 

アナザーの続きからスタート。夏休みが明け、2年生が始まった。エッテは婚約者に格上げになっており、大蔵家の和解に向けて色々と主人公とりそなに協力してくれている現状だった。エッテは主人公を自分の両親に紹介したいと思うが、女装して学院に通っていることは言えないので、主人公の肩書きが無職になってしまうため、体裁的に言えなかった。そこで衣遠兄様にアリバイを作ってもらうため、まずは衣遠兄様と和解するための努力をすることにした。そのためには服飾の才能で衣遠兄様に認めてもらうしかないため、勉強を続けるしか方法はなかった。主人公はデザイナーを諦め、パタンナーとしてやっていく決意を固めるが、パタンナーとして技術をあげるには、好きなデザイナーの型紙を作るのが一番だと考えていた。そこで、りそなに何かデザインを出してもらってその衣装をコンクールに出し、入賞することで衣遠兄様に対しての実績を作ろうと考えた。

しかし、りそなのデザインはなかなか完成しなかった。3人の役割分担として、りそながデザイン、主人公がパターンと縫製、エッテがモデルという役割を考えていたが、りそなが本心では主人公を奪っていったエッテのことを許しておらず、助けてもらって感謝しているのも本当だが、割り切る事ができていないせいで、エッテのための納得いくデザインができなかった。主人公とエッテは相談し、りそなが昔デザインした衣装を実際に2人で作ってみてそれをエッテが着る事で、りそなに自分の作った服を見せるという原点を思い出させ、またエッテがどんな服でも着こなして見せるから自分が好きな服を描け、という気持ちを伝えた。

りそなはそれで気持ちを吹っ切る事ができ、小さなコンクールであったが、最優秀賞をとることができた。これからも、衣遠と駿我と和解できる日を願って、3人は研鑽を続けていくのだった、というところで終わり。

アフターに関してはあまり語ることがないが、エッテ相手だとHシーンで顔芸が挟まったり、ギャグに走ったりして、いまいち乗り切れないのが声優さんの演技が上手いだけにもったいないと感じた。

 

 

・終わりに

 

前回の感想で書いた平和になった後のあれこれが見たい、に関しては思っているものと違った印象。とにかくエッテアナザーに全てがかかっている作品だと思った。

 

 

 

 

これぐらいの時期ってエロゲで淫夢ネタ流行ってたっけ?