shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題24

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回紹介する作品はこちら。

 

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こ の 青 空 に 約 束 を ―

 

戯画から2006年3月31日に発売された「この青空に約束を—」です。この作品は、俗に「まるねこ三部作」と呼ばれる、ねこにゃん&丸戸史明 with 企画屋の贈る最終作となっています。

この作品は、私がパルフェのために購入した「戯画ロイヤルスウィートコレクション」に収録されており、シナリオ面の評価が高かったことから一度プレイしてみたいと思っていた作品でした。

略称は「こんにゃく」で、2007年4月にはアニメも放送されましたが、そちらは黒歴史のようです。

 

Welcome to "our adolescence"——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは6人+1人。

パルフェのシステムを踏襲し、シナリオ中に挟まるシーン選択画面で各ヒロインのイベントを選んで進めていく。フローチャートで各イベントごとの小タイトルと概要、また通常イベントか重要イベントか、発生条件などが書かれているので、すごくギャルゲーっぽい感じが出て個人的に好きだった。あとヒロイン選択時のSD絵がかわいい。

共通ルート終了時に一番好感度の高いヒロインのルートに進んでいくタイプの構成だが、共通ルートがほぼ凛奈の話なので、最初は凛奈を攻略する方が物語の雰囲気を掴みやすいと思う。私は物語全体の流れをきれいにとらえられるよう、攻略推奨順だけは事前に調べることにしており、今回の例で言うと凛奈を最初、奈緒子を5番目で海巳を6番目に持ってくることが推奨されていた。

そういうわけで私の攻略順は

凛奈→宮穂→静→沙衣里→奈緒子→海巳(→茜)

実際にプレイした後でもこの順番は間違っていなかったと思う。宮穂、静、沙衣里の3人は順不同でよい。

なお、この6人を全員プレイすると、タイトル画面から「約束の日」という追加シナリオを見ることができ、それを見終わった後、茜のシーンを選ぶと、茜ルートに入ることができる。

プレイ時間は共通ルート約6時間、個別ルート各2~3時間、約束の日と茜ルートを合わせて約1時間といったところか。

回想シーンはヒロインが各3回ずつで茜は1回。

 

・あらすじ

 

本州から南へ少し離れたところにある島、南栄生島(みなみさこうじま)。島唯一の高校である高見塚(たかみづか)学園に通う高校2年生であり、学園の旧校舎を改良した寮である「つぐみ寮」に住む主人公、星野航(ほしのわたる)は残された日々を漫然と過ごしていた。島の産業を支えてきた出水川重工の島からの撤退が決定し、また寮に残ったメンバーも、ヒロイン4人(幼なじみである羽山海巳(はやまうみ)、後輩である六条宮穂(ろくじょうみやほ)、藤村静(ふじむらしず)、先輩である浅倉奈緒子(あさくらなおこ))+主人公+寮長兼担任の桐島沙衣里(きりしまさえり)の6名だけとなり、ヒロイン4人は今年度末で島を出ていくことが決まっており、さらに最小定員数の5名を割り込むことになるつぐみ寮についても今年度末での取り壊しが決定していた。

そんなつぐみ寮最後の1年の始まりとなる4月、転校生として沢城凛奈(さわきりんな)が新しく寮に入ってくる。馴れ合いを拒み、周りを拒絶する態度をとる凛奈に主人公たち寮のメンバーは困惑し、空気に耐えられなくなった主人公が凛奈を寮の仲間に引き込むことを宣言、かくしてつぐみ寮最後の1年は波乱の幕開けを告げるのだった、という話。

前に私が話していた、約束された終わりに向かって進んでいくシナリオ、という私の好きな展開で、なおかつ人が死ぬという安易なカタルシス無しにこのテーマを描くにはこうすればいいのか、ということに気付いた作品だった。

共通ルートはここから凛奈を寮の仲間として迎え入れるために凛奈の心をこじ開けるまでであり、ほぼ凛奈ルートと言って過言ではないので、詳細は個別キャラ欄にて書くことにする。

なお、凛奈ルート以外だと、主人公が凛奈の心を開いて、凛奈の好感度が最大に上がったところで別ヒロインといちゃつき始めるので、少し凛奈がかわいそうに思えてくる。

そういう点では、共通ルートで特定のヒロインにイベントが偏るのはやはりよくないと思える。

また、この作品では少し時代が古いからか、主人公を含めた寮メンバーの全員に飲酒描写が見られる。それを言いだすとそもそも登場人物の(裏の)年齢が、とかお約束で済ます部分も大きいのだが、それでもそういった描写は近年では見られないと個人的には思っているのである意味新鮮だった。私としてはそういう描写がある方が田舎の寮の生活感が出ていていいと思う。

なお、本作の舞台である南栄生島は、ロケット開発などのワードがあることから最初は種子島が舞台なのかと思ったが、実際は東京都の伊豆諸島にある神津島が舞台らしい。

 

・キャラ

 

攻略順に記載していく。

 

f:id:shanxdl:20210418171910p:plain 沢城 凛奈 さわき りんな 161-87-53-84

 

つぐみ寮に一番遅く入ってきた新入り。主人公と同じ高校2年生で、同じクラスになる。両親が離婚し東京で母親と暮らしていたが、母親との関係が悪化し、南栄生島で出水川重工の研究者として働いていた父親を頼って島に引っ越してくる。しかし、再開した父親が同僚の女性と同棲生活を送っていたことを知ってしまい、自分の居場所がどこにもないことと感じて家出、寮に住むことを決める。今年度末で島を出る父親に付いて島を出ることが決まっている。物語のプロローグでは、自棄になり島唯一のペンション「サザンフィッシュ」で酒を飲んでいたところを、同じく寮生の送別会で酒を飲んでつぶれていた主人公と意気投合し、寮の主人公の部屋で朝を迎えるところから始まる。しかし、主人公が酒に酔っていて一連の出来事を覚えていなかったことから激怒し、それが凛奈を寮の仲間として迎えるときの枷の一つとなってしまう。

深く関わると別れがつらいから、と寮の仲間を拒み続ける凛奈に主人公は島で行われるマラソン大会での勝負を申し込む。それは主人公が凛奈より先にゴールに着いていれば凛奈は寮の仲間となり、凛奈の方が先にゴールに着いていれば主人公が寮を出ていく、という無謀なものだった。凛奈は東京では陸上の全国レベルであり、特待生としての誘いが来るほどの実力を持っていた。さらにこの噂を聞きつけ、早く寮を取り壊したい学園側の思惑によって、主人公はマラソン大会当日まで徹夜で先日の試験の追試を命じられてしまう。徹夜+学校から会場までの10 kmダッシュによってへとへとになった主人公は、それでも凛奈との勝負のため10 kmのマラソンをスタートさせる。主人公は途中で倒れてしまうが、何としても凛奈を仲間にするため、ショートカットし、崖を駆け下りて右腕の骨折と引き換えに凛奈より先にゴールにたどり着く。大会は失格となるが、「先にゴールに着いていた方が勝ち」というルールにより、勝負は主人公の勝ちとなり、凛奈は今までの言動を謝罪してつぐみ寮の仲間になる。

ここまでが共通ルートとなる。徹夜で追試とか学校としてもあり得ない、とか全国レベルの選手を相手に一度意識を失っているのにショートカットありきとはいえ先に着けるか、とか細かいアラはあるものの、試合に負けて勝負に勝つ、展開は好きなのでわりとよかった。

凛奈はまさに体育会系を体現した、熱血系のまっすぐなおバカキャラで、和解したのちは仲間想いの優しさを見せる場面が多くあり、かわいかった。

個別ルートでは、凛奈の持つ左耳だけのイヤリングの謎を解明していくことになる。凛奈は昔島に来たことがあり、そのときに島の男の子からもらった「合わせ石」のイヤリングを今も大事に持っていた。「合わせ石」とは島の特産品で、切断面がきれいに割れ、それを合わせることができるのは世界でただ1つとなることから、石を2つに割り、欠片をお互いに持つことで、どんな姿になってもお互いを思い出す、という伝承があった。この石の相手が凛奈の心残りとなっており、主人公はその凛奈の初恋の相手を探して奔走する。凛奈は主人公がその相手であることを願っており、初対面時に主人公の部屋までついてきたのは、主人公が凛奈のイヤリングを見て合わせ石の話をしたせいだった。しかし、主人公が必死に実家の蔵から見つけ出した合わせ石は凛奈とは合わず、切り出し方を間違えたのもあって凛奈は怒り、本土で行われる陸上の大会に行くため、しばらく主人公の前から姿を消す。離れているうちに例え合わせ石の相手ではなくても、自分が凛奈の事が好きだという事に気付いた主人公は、東京に電話をかけ、凛奈に告白する。そのときの「二か月間かけてお前の事を好きになった、だから三か月間お前の事がずっと好きだった。」というセリフは結構いいと思った。凛奈は東京からの飛行機が島に着くなり、返事をしなかったせいで1人海岸で黄昏ていた主人公の元に走り、告白の返事としてキスをする。このあたりのデレに入った凛奈がとてもかわいかった。やはりテンプレであろうがツンデレは最高...。その後は学園祭でピーターパンの劇をやって、ネバーランドとつぐみ寮を重ね合わせたり、正月に凛奈に合わせ石の指輪を渡したりし、父親の交際相手のことも認められて家庭内の問題も解決する。3月に主人公と凛奈は島の思い出を巡るツーリングを行う。その中で凛奈はネバーランドからの卒業を決意し、前に進むことを誓う。こういう思い出の場所を1日かけて巡って、その思い出に浸る話はすごく好き。

エピローグではオリンピック代表候補として海外で行われる大会に参加する凛奈の元に、主人公が駆けつけるシーンが描かれる。

 

つぐみ寮が取り壊される日のことは「約束の日」シナリオで語られ、ヒロイン個別シナリオでは語られない。それはいいと思うが、個別ルートに入ると、どのヒロインも自分の持つ問題の解決がメインとなり、寮が舞台装置として機能していない感があるのが残念だった。

また、今作の主人公は前作、「パルフェ」の主人公のような他人に対する甘えを残しつつ、女癖の悪さ、空気の読めなさ、思い付きの行動といった悪い要素が足されているので評価が分かれると思う。ちなみに私は評価が低いため、不快に思うシーンもあった。

また登場ヒロインのうち、海巳は最初から主人公への好感度がマックスだが、凛奈のために自分が身を引く描写が何度かあり、それがかわいそうだった。

凛奈のCVは河合春華さん。G線上の魔王に続き、声を聴くのは2回目だが、自分はこの人の声が好きなのでとてもよかった。主人公に甘えるときの声が可愛い。

また、主人公の呼び方は「航」。

 

 

f:id:shanxdl:20210418181240p:plain 六条 宮穂 ろくじょう みやほ 154-82-51-81

 

主人公の後輩で高校1年生。高見塚学園理事長の孫で現在の理事長代理兼つぐみ寮大家代理。理事長である祖父は帰化したイギリス人だったが、去年亡くなっており、祖父が大事にしていた学園と寮を見るために学園に転校し、寮に入寮してくる。箱入りのお嬢様でどんくさく、トロいが主人公と奈緒子に影響され、世俗に染まってきている。寮の仲間には「宮」と呼ばれており、また主人公の事はただ「先輩」と呼ぶ。これは、宮が祖父の代わりに寮の取り壊しを伝えるため始めて寮を訪れた日、つまり昨年の正月に主人公が無理やり宮を寮にあげ、海巳のおせちを振舞った。このとき酒に酔っていた主人公が自己紹介を忘れていたため。今年度末で島を出て実家に戻ることが確定している。

宮ルートでは、あったこともないまま亡くなってしまった宮の祖父のことを調べ、夏休みの自由研究とするため、主人公はその手伝いをすることになる。その過程で宮の祖父と祖母の出会いを描いた祖父の日記が見つかり、宮と主人公はその行動をなぞって、訪れた離れ小島で主人公に告白する。宮は初対面の時から主人公に好意を抱いており、それ以降も自分の事をどんくさいといいつつずっと構ってくれるのが嬉しかった、と述べる。また主人公も宮との気さくな先輩後輩の関係を崩すのが嫌で、宮の気持ちに気付かないふりをしていたと語る。

宮のどんくささは天然によるものだが、それでも主人公からのげんこつを含んだスキンシップが嬉しいと語る宮がいじらしくてかわいかった。

主人公と宮は付き合い始め、祖父に関する自由研究を学園祭で展示することを決める。学園祭当日、いくつか足りない資料はあったものの、ついに自由研究をやり遂げ、満足できたと語る宮。お嬢様である宮が主人公と付き合っていても、周りが何も言わないのは、今が宮の「夏休み」であり、本土に帰ってからは主人公やつぐみ寮は宮の「思い出」となり、二度と会う事がないのがわかっていたからであった。それを受け入れている宮に憤る主人公は「資料を全部揃えたら宮を奴隷にする」という約束を取り付け、残りの資料を探す孤独な戦いを始める。宮は主人公に拒絶され、寮に姿を見せず、島の別荘に引きこもっていたが、クリスマスの日、主人公が宮を迎えに来る。資料は最後の1つだけが見つからなかったため、命令はできないが是非寮の皆とクリスマスを過ごしてほしい、と。このとき、最後の資料が寮の中で見つかるのだが、こういうお約束は結構好き。資料をそろえ、主人公を思い出にせず、これからも共に歩むことを決めた宮は主人公と「次の夏休み」の計画を立てる。一方主人公はやっと六条家に不逞の輩認定され、宮と共に歩んでいくために努力することを決意する。エピローグでは5年後に宮が島を訪れ、大学を卒業した主人公と再会するところで終わる。

宮穂はかわいかったのだが、エピソードとしては弱く、特に語るところがないキャラ。お嬢様でありながら主人公が喜んでくれることが嬉しいという献身さがとてもよかった。

CVは草柳順子さん。「SWAN SONG」のときはあまりしゃべらないキャラだったので、しっかり声が聞けて良かった。ちゅぱ音も上手いし、高い声もかわいくてよかった。

主人公の呼び方は「先輩」。

 

 

f:id:shanxdl:20210418184129p:plain 藤村 静 ふじむら しず 147-76-50-74

 

主人公の後輩で高校1年生。両親にネグレクトを受けて育ち、たまたまそれを見つけた主人公が高校入学半年前に静を保護し、それ以来つぐみ寮で暮らしている。その影響か精神がかなり幼く、また1人で風呂に入れないため、主人公を含めた寮のメンバーが交代で一緒に風呂に入っている。なお主人公は静に対しては父性が勝つため、襲うようなことはない。つぐみ寮で生活するうち、徐々に感情を取り戻しつつある。今年度末で両親に付いて島を出ることが確定している。

静ルートでは、お盆の帰省時に帰りたくないと言った静のワガママに主人公が負け、寮で2人過ごすことになる。静は性に関しての興味を持ちつつあり、一緒に風呂に入った時に主人公と性器のさわりあいをし、また主人公が寝ている間にフェラをする。主人公は静の好意を受け入れ、SEXをして、責任を取るために付き合う事にする。

そんな中、静の両親から、もう一度静とやり直したいという申し出が来て、主人公や沙衣里が様子を見に行くと、2人はきちんとした親になっていた。主人公は、寮がなくなった後両親と暮らすことになる静を心配し、リハビリを兼ねて静を両親の元で生活させることを決める。しかし言い方を間違えたせいで静が大激怒し、自分の部屋に閉じこもってしまう。また、一緒に寝ている最中にそれを言ったせいで、静と付き合っていることが寮生にバレ、主人公の保護者としての信用が地におちてしまう。最終的には主人公は静を説得し、毎週土日は静を両親と過ごさせることにする。閉じこもっている静を諭す奈緒子のセリフが個人的にすごくよかった。

エピローグでは3年後、静が再び島を訪れ、主人公と再会する。また静は唯一エピローグで成長した姿のCGが描かれている。

「麦わら帽子の似合う美少女」というのは私の好きなキャラ設定のため、それはよかったが、静の精神年齢が幼すぎて攻略対象とするにはあまりにも不釣り合いだと感じた。

また、物語最終局面の静の説得が主人公のミスを発端としているので、あまり共感できず微妙なシナリオだと感じた。

CVは北都南さん。レジェンドといっても過言ではない人。今回はあまり感情を出さないという役だったので、真髄を味わうことはできなかったが、是非別の作品で聞きたいと思った。

主人公の呼び方は「わたる」。

 

 

f:id:shanxdl:20210418193541p:plain 桐島 沙衣里 きりしま さえり 153-84-51-82

 

主人公たちの通う高見塚学園の国語教師であり、主人公たちの住むつぐみ寮の寮長。社会人2年目の24歳。東京にある女子大を卒業しており、生徒たちからは「さえちゃん」と呼ばれてナメられている。その原因が、就職難のあおりで離れ小島にしか就職先がなかったことをいつも愚痴っていたり、寮でいつもビールか発泡酒を片手に酔っぱらっていたり、一応寮の責任者のくせにすぐに他人に頼ったりするところであることは自覚がない。前述の通り、寮では表向きの寮長という事になっているが、奈緒子に実権を握られており、権力がない。また生徒会顧問も務めているが、こちらも生徒会長である奈緒子が実質的に仕切っている。来年以降も島に残る唯一のヒロイン。

沙衣里ルートでは、9月で寮を取り壊すという学園長側の計画を耳に挟んだ沙衣里が、奈緒子を出し抜くために主人公と2人でそれを阻止しようとする。本土から来た不動産会社の社員と学園長の密会を張りこむ2人だったが、身元がばれるのを防ぐため、キスをする流れになってしまう。これをきっかけに沙衣里が主人公の事を意識するようになり、主人公の方も好意を自覚して、付き合うようになる。寮を取り壊すための言いがかりをつけられないよう、2学期最初の試験に向けて猛勉強し、見事結果を出した主人公と寮生たちはひとまず9月での寮の取り壊しを阻止し、主人公と沙衣里は皆に隠れて付き合いを継続する。ところが主人公がラブホに生徒手帳を落としたことで、退学の危機になり、主人公が沙衣里を庇って相手の女性について話さなかったことで、事態はさらに深刻化する。その主人公の態度と、沙衣里の自爆により、主人公と沙衣里が付き合っていることが寮生にバレ、沙衣里がなりふり構わず主人公にすがったことで奈緒子の怒りを買う。

このときの、この状況になってまでまだ主人公に頼ろうとする沙衣里のダメ女っぷりがかなり可愛かったし、そもそも受け身ですぐ泣き、すぐすねる、優柔不断の押しに弱い年上の甘えてくるお姉さんというキャラづけがかなりよかった。

寮生たちが一度沙衣里を突き放したことで沙衣里は覚悟を決め、主人公の処分を決める職員会議で戦い、主人公の処分を退学から停学1週間にすることに成功する。そして沙衣里は主人公が卒業するまで恋人を封印することを誓う。

エピローグでは5年後、理科の教員免許を取った主人公が高見塚学園の新任教師として再び島(と沙衣里)の元に帰ってくる姿が描かれる。

問題解決後のSEX後のピロートークで主人公の恋人を封印することを誓った沙衣里は可愛かったし、そもそもポンコツお姉さんという沙衣里のキャラは作品中で一番といっていいほどよかったが、シナリオの山となるべき問題が主人公の不注意で起こっている以上、いまいち納得できず、話に入り込めなかった。そもそも問題を起こせば寮が取り壊されてしまうとわかっていて、教師と生徒で付き合ってSEXはしないやろ...。

CVは紫苑みやびさん。こちらもレジェンドの人。年上のお姉さんを演じることが多いらしいが、今回のような精神年齢の低いお姉さんキャラもうまく演じられていてすごいと思った。

主人公の呼び方は「星野」。付き合った後くらい呼び方を変えてもいいんだよ?

 

 

f:id:shanxdl:20210418200221p:plain 浅倉 奈緒子 あさくら なおこ 165-93-53-86

 

主人公の先輩で高校3年生。高見塚学園の生徒会長で、裏の寮長。学園では猫を被っており、八方美人を演じているが、寮では本性を見せて傍若無人に振舞っている。寮ではいつも沙衣里と言い争いをしており、さらにいつも沙衣里を負かしている。寮を学園の悪意から守るために暗躍し、あらゆる手を使っている。試験ではいつも学年一位である。東京にある大学への推薦を狙っており、学園の卒業と同時に大学進学のため島を出ることが確定している。赤点を取って退寮の口実を与えないように、4徹して主人公の試験勉強をみてやるが、そのせいで自身の成績が7位にまで落ちてしまう。主人公はそれに責任を感じ、夏休みのバイト代を使って奈緒子に買い物兼デートを申し込む。デート終盤、主人公は奈緒子にキスをするが、奈緒子は嫌がらない。しかし、それ以上の関係になろうとすると頑なに拒んでくる。

物語開始の2年前、主人公が中3で奈緒子が高1のとき、2人は出会っていた。その時主人公は奈緒子を口説き落とし、デートの約束をこじつける。しかし、奈緒子にはその当時寮の2つ上の先輩という好きな人がおり、主人公を当て馬のように使ってその先輩の気を引くために主人公とのデートを承諾したのだった。それに気づいて失望する主人公、一方奈緒子も結局先輩とは付き合えず、自分が主人公にした仕打ちの残酷さに気が付き、主人公の中学の卒業式に罪滅ぼしとして自分の処女を主人公に捧げる。一方遊び慣れているという噂だった主人公もそれが初体験であり、奈緒子はさらに自分が主人公の初体験を奪ってしまったことにさらに罪を感じてしまう。完全に2人の関係は壊れてしまったが、翌月から2人が寮で共同生活を営む間柄になったことで、奈緒子は5つの誓約を主人公に課す。

一、性交渉は二度としないこと。

二、一連の出来事は他言無用とし、当事者間でも口に出さないこと。

三、自分が過失と認めた場合でも相手がそれを認めない限り謝罪をしてはいけないこと。

四、主人公が呼び捨てで名前を呼ぶことを禁じること。

五、全ての責任は奈緒子にあり、主人公は責任を感じることを禁じること。

また、奈緒子はあえて主人公に幻滅してもらおうと、寮の中では素を見せ、傍若無人に振舞うことにしたのだった。それにも関わらず、再び奈緒子の事が好きになり、恋人を目指すことにした主人公だったが、夏休みになってその元凶となった「先輩」が大学の友達と一緒に島にやってくる。奈緒子は「先輩」が島に滞在している5日間の間、主人公の前に姿を見せず、主人公は不安になるが、最終日に夜の展望台で奈緒子と「先輩」との会話を盗み聞く。主人公は過去の一連の騒動により奈緒子の優しい言葉が信じられなくなっており、それゆえ奈緒子は言葉では厳しいことを言いながら、行動をもって主人公に「好き」を示していた。これは自分の勉強をおろそかにしてまで主人公の勉強を見てくれたり、主人公の不祥事をいつも庇ってくれていたことが当てはまる。奈緒子は今回主人公に信じてもらうために、「先輩」に皆の前で自分の悪口を言ってもらう事で自分が「先輩」への未練がないことを示そうとしていた。それを聞いた主人公は奈緒子を信じ、奈緒子は主人公への愛を行動をもって、つまりキスをすることで示した。

奈緒子は主人公についてきてもらうために大学のランクを落とし、また主人公に付きっ切りで勉強を教えることにする。

エピローグでは1年後、大学に合格した主人公が奈緒子の住むボロアパート「つぐみ荘」に来て同棲を始めるところが描かれる。

CVはなんと折笠愛さん。レジェンド中のレジェンド。演技もすごくうまいが、声がどう頑張っても高3には聞こえないところが少し残念。登場ヒロインの中で一番精神年齢が高いと思われるので、いいのかもしれないが。

厳しいことを言いながら実はめちゃくちゃ寮生を大事に思っており、主人公を甘やかしてくれる姉御肌なところが最高にかっこよくて、いいヒロインだと思った。

シナリオに関しては過去の出来事を下地にした壮大なシナリオだと思ったが、細部の描写が曖昧で、あまり感動はできなかった。中3の主人公が奈緒子に惚れる理由が描かれていないのは少し違和感があった。

主人公の呼び方は「航」。

 

 

f:id:shanxdl:20210418203805p:plain 羽山 海巳 はやま うみ 158-88-52-83

 

主人公の幼なじみで高校2年生。気が弱く、よく泣く。また極度のあがり症で人前でしゃべれなかったり、冗談が通じず空気の読めない発言をすることもしばしば。口癖のように謝罪するが、たいていは「口だけ」である。主人公に依存しており、いつも主人公に頼り切りである。寮では食事担当であり、料理を作れるのが海巳しかいないため、海巳の調子で食事が不味くなると詰む。10年前に主人公の実家の隣に引っ越してきた幼なじみで、出水川重工の研究者である父親が仕事が忙しくて家に帰らないため、寮で暮らしている。父親の転勤に伴って今年度末で島を出ることが確定している。

実は海巳の母親と主人公の父親は駆け落ちをして島から出ており、そのせいで海巳は「いなくなること」に対するトラウマがあった。主人公のことは昔からずっと好きで、それは誰から見ても明らかだが、主人公と「ふたり」になることで寮や島の「みんな」との関係が壊れてしまうことを恐れて主人公と恋人になることは頑なに拒んでいる。そのため他ルートでは、主人公がほかのヒロインと付き合い、それが「みんな」のためになって主人公が「みんな」を笑顔にしてくれている限り、それを祝福すると述べている。

海巳ルートでは、どうしても海巳と付き合いたい主人公が、寮の「みんな」に海巳との交際を認めてもらうための説得を行う。宮には遠回しな告白を受けるが、それでも応援してくれる約束を取り付け、凛奈とはフリースロー勝負を行って勝利する。沙衣里、静は普通に説得し、奈緒子は海巳の態度に思うところがあった、と最初から賛成してくれる。さらに海巳には島の「みんな」にも認めてもらえるように努力することを誓い、ついに海巳が折れて主人公と付き合う事を許す。

島の「みんな」に認めてもらう方法を探して、主人公たちは学園祭で寮の取り壊し反対の署名活動の演説を海巳にしてもらう事にする。あがり症の海巳は1か月練習し、海巳はその場で主人公との交際をカミングアウトし、自分の居場所を守るため、寮の取り壊し反対への署名を募る。

エピローグでは学園祭と同じ日に島で海巳との結婚式を行うことにし、島に戻ってきた海巳と主人公が取り壊しを免れたつぐみ寮で再会するというシーンが描かれる。

まさに真ヒロインにふさわしい重い設定だと思った。自分のトラウマのせいで他ルートでは主人公をとられてしまう海巳がかわいそうだと思った。が、主人公の方に魅力を感じなかったせいで、主人公に依存している海巳が滑稽に見えてきてしまったのはマイナスポイント。また学園祭での演説シーンはよかったが、結婚式を省いたのはよくなかったように思う。このルートでも設定の説明に注力して細部の描写が足りない場面が多く、いまいちのれなかったように思うのが残念。

また、このルートは唯一つぐみ寮が取り壊されずに残ったルートであるが、そのことはエピローグでさらっと流されてしまったのも残念だった。

CVは森沢芙美さん。聞いたことのない人だったが、海巳のイメージとはあっていた。

遊び歩いている主人公を心配して、毎食帰ってくるかわからない主人公のために食事を用意して、夜遅くまで待っている描写や、構ってくれない主人公に泣きながらも絶対にそばを離れない描写などはかわいかったが、それはそれとしてあまりにもすぐ泣くため若干イライラしてしまった。

主人公の呼び方は「航」。

 

〇約束の日

 

6人のヒロイン全員のルートを見ると、タイトル画面から見ることができる。主人公たちが寮を出る当日の話。ヒロインたちは思い思いに最後を噛み締め、最後の卒寮式として沙衣里が祝辞を読み、奈緒子が答辞を読む。また主人公が作曲し、ヒロインたちが歌詞をつけた「さよならのかわりに」という曲を歌う。これは今までのヒロインのエンドで歌詞無しで流れていたもので、歌詞有で流れるのはこれが初めて。また途中で歌っているヒロインたちが泣き出していくと言う芸の細かい設定になっている。

どうみてもここが最大の山場なのだが、今までの個別ルートでヒロインの問題にフォーカスし、特に年が明けてからの描写がほぼなかったせいで今までの寮で過ごしてきた思い出の積み重ねの描写が足りず、置いてきぼりを喰らった気分だった。これは本当に致命的なミスだと思う。非常にもったいなく感じた。

 

 

f:id:shanxdl:20210418211554p:plain 三田村 茜 みたむら あかね 152-83-52-83

 

主人公と同じクラスの高校2年生。凛奈より一日早く高見塚学園に転校してきた。最初は凛奈の前に関係ない転校生をはさむ、というネタのためだけのサブキャラだと思っていたが、実は今作の裏ヒロインであり、約束の日を見た後にルートに入ることができる。主人公の名前を3回繰り返したり、セリフにほぼ息継ぎ箇所がなかったりとハイテンションでノンストップな話し方をするキャラで一言で言ってしまえばウザい。設定は結構練られているだけに、そこだけが残念なキャラ。

茜ルートに入ると、寮が取り壊され、ヒロインたちがいなくなってしまった、翌年の5月に飛ぶ。島に残っているのは沙衣里と主人公と茜くらいになり、主人公は再開の約束を誓ったつぐみ寮が跡形もなく取り壊されてしまい、約束を守れなかったことを悔やんで抜け殻のようになってしまう。また沙衣里も主人公の元気がないことで自分も元気が出せず、主人公を慰めることができないでいた。茜は1人主人公を励まそうと主人公に付きっきりで、毎朝家に押しかけるが、主人公は茜からも逃げ続けていた。そんな折、主人公は茜に誘われて強引に夏祭りに行くことになる。夏祭りはつぐみ寮に行く途中にある神社で行われ、主人公はふとしたことからつぐみ寮の跡地にたどり着いてしまい、そこで現実を再び突き付けられて心が折れてしまう。主人公はその場から逃げ出すが、港にいるところを追いかけてきた茜に見つかり、初めて茜の胸で泣く。茜の「誰かがそばにいるときでなきゃ、泣いちゃ駄目。」という言葉は結構よかった。

茜はずっと主人公の親友になりたかったのだと語り、元気を取り戻した主人公は茜の好意を受け止めて、付き合う事にする。実は主人公が凛奈ルートで探していた合わせ石の相手は茜であり、茜は昔島に住んでいた時に主人公と会っていたことがわかる。茜はその時から主人公が好きだったと言い、主人公は完全に元気を取り戻して、島をリゾート化し、自然と景観を損ね、島を食いつぶす現町長(元学園長)の野望を打ち砕くために活動を行う事を決める、というもの。

確かに茜の主人公に対する評価は最初から高かったが、それはあくまでもサブキャラとしての評価であり、こんなどんでん返しがあるとは全く予想していなかったのでびっくりした。設定だけでいうと茜は主人公が好きだった期間が一番長く、真ヒロインにふさわしいが、寮に住んでいないため、本作のテーマとは合わないという何とも言えないジレンマを抱えるヒロイン。わざとそういう設定にしているのだろうが、それがいいと思った。考えようによっては、どのヒロインも選ばなかった場合、この裏ヒロインにたどり着く、ともとらえられるので、そうだったらエモいと思った。

しかし、他ルートだと自分が主人公の合わせ石の相手だとは言いださず、また他ヒロインとの関係を邪魔する描写もないので、もしかしたら茜は主人公との恋については半ばあきらめているのかもしれないと考えた。

CVは 涼宮琉那(夏野こおり)さん。好きな声優さんなのに、しゃべり方がうざすぎるせいでほとんど飛ばしてしまった。

またコンシューマ版では声優が変更になっているところが闇深ポイント。

約束の日を見終わると、タイトルに半分だけの合わせ石が現れ、茜ルートを見終わると合わせ石がくっつくのも細かい演出だと思った。

主人公の呼び方は「航くん」。

 

・その他

 

本作はKOTOKOさんの歌うOP、「allegretto ~そらときみ~」が名曲扱いされており、実際とてつもなくよかった。っぱKOTOKOなンだわ。

またBGMにも2曲ほどかなり好きな曲があり、曲のよさが際立った。

 

・最後に

 

シナリオに期待しすぎたせいか、思ったより感動しなかったという印象(いつもの)。

特に前述したが、「約束の日」を最後に持ってきておきながらそこに至る描写が少ないのが致命的。シナリオ全体に漂う描写不足感と相まって、全体の評価を、もったいない、というものにしていると思った。