shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題47-2

 

 

2作目です。

 

 

乙女理論とその周辺-Ecole de Paris-

 

2013年7月26日に発売された「乙女理論とその周辺 -Ecole de Paris-」です。略称は「乙りろ」。前作より9か月後に発売されたFDで、前作BAD END後のストーリーを描いた作品となっています。

前作で人気の高かったりそながメインヒロインに昇格し、さらにヒロインが2人追加されています。しかし、りそなルートは他ルートより明らかに長く、主人公たちが巻き込まれる大蔵家の後継者問題が完全に解決するのもこのルートのみなので、実質りそなが真ヒロインのような扱いになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは3人だが、上述の通り、りそなルート以外はサブのような扱いになっている。また、回想シーン数がそれぞれ2回ずつしかなく、エロゲであるにも関わらず、シナリオに全振りしているのもFDとしては賛否があると思った。ただし、このFDのFDがあるのでそれに期待(それはそれとしてリアタイで買った人は残念だったと思う)。

エンドは5つあり、推奨攻略順は

(ディートリンデ→駿我&衣遠→ブリュエット)→メリル→りそな

ホモエンドはともかくとして、Hシーンが1度もないヒロインのエンドを作る必要はなかったと思う。

プレイ時間は、共通が15時間くらい、()内のルートは3~5時間くらい、メリルは6~8時間くらいで、りそなは10時間くらい。

 

・あらすじ

 

前作のBAD END後からスタート。主人公、大蔵遊星は桜屋敷をクビになった後衣遠に拾われ、衣遠の元で料理係として世界中を回りながら、ルナたちとの楽しかった日々を思い出し、ルナを騙していたことを懺悔する日々を過ごしているうちに笑えなくなっていった。衣遠は主人公を父親に付けて懐柔させようと考えていたが、主人公が笑えないのでは父親が余計な心配をする可能性があり、主人公のメンタルケアをしなければならなかった。そんな時、≪晩餐会≫(大蔵家一族が集う本家での食事会)が開催されることになり、その幹事を任されていた衣遠は主人公を連れて日本に戻らなければならなくなった。衣遠は、なぜか前作でりそなが主人公を女装させ、衣遠から逃がしたことには言及せず、再び主人公をりそなの監視下に置いた。主人公はりそなに自分が辞めた後のことを尋ね、衣遠が八千代(ルナのメイド長)と服飾学校時代の同級生だったため、八千代からの報告で主人公が女装して桜屋敷にいたことを知っていたが、衣遠が八千代に謝罪し、この件を内密にすることで同意を得ていたこと、主人公は過酷な業務に心を病んでしまい、桜屋敷から逃げ出したことになっていること、を知る。

主人公は再び拾ってもらった衣遠の期待を裏切らないため、衣遠の役に立つために残りの人生を生きようと思うが、主人公が桜屋敷の話と服飾の話をするときは心から笑えていることをりそなに指摘されてしまう。そこでりそなは、9月に日本とは半年遅れで開校する、フィリア女学院のパリ校に一緒に留学することを主人公に提案する。それは、服飾関係の仕事に携わりたいという主人公の夢をかなえてあげるためと、主人公の母を間接的に殺したのが自分の母であるという長年の贖罪のため、そして不登校で引きこもりな自分を変え、新しい一歩を踏み出したいというりそなの希望のためだった。

このときの主人公の「意思が希望を生んで、希望が夢を育てて、夢が世界を変えるんだ」というセリフは熱くて好き。

主人公とりそなは、残り約1か月で金の力を使って留学ビザを取り、フィリア女学院への入学を決定させる(日本校と同様にお嬢様クラスなので入学試験はなし)。なお、主人公とりそなはフランス語を教養としてすでに身につけているという設定で、フランスへ行ってからの会話は、日本語に聞こえるがフランス語で話している、という設定で進められる。しかし、日本人と話したり、りそなと2人でこっそり話すときなどは日本語で話しているときもあり、表現的に今どちらの言語で話しているかがわかりにくいのは、こんがらがってよくなかった(ロシア語や中国語を話している設定の場面もある)。

りそなは留学に当たって色々と世話を焼いてくる母親を撒かなければならず、主人公はりそなの母親から嫌われているため、単身で先にパリへ渡る。主人公はりそなに紹介してもらった下宿先のアパートに向かい、そこでメリルと出会う。メリルは主人公と同じフィリア女学院に通うことになる生徒で、フランスの田舎の修道院から出てきた孤児だが、村で服の修理をずっとやってきたため、その技術は高かった。また、メリルを付き人としたのは欧州の名門貴族、プランケット家の長女ブリュエット(エッテ)で、プランケット家には幼少期に息女を修道院に預けて教育させるという家の方針があった。メリルはそこでエッテと出会い、以降2人は身分差を感じさせない友人という関係で過ごしてきた。今回エッテは、優れた才能を育てるというノブリス・オブリージュを名目に、メリルと一緒に服飾学校へ通うためにメリルを田舎から呼び寄せたのだった。メリルは天才で、持っている服は全て自作で既製品と遜色なく、また習ったことがないのに卓越した立体裁断の技術を持っていた。つまり、デザイナーとしても縫製職人としてもすでに非常に高いレベルにあった。一方エッテはメリルのデザインした服を着てランウェイに立ち、メリルの才能を世界に広めたいという夢を持っており、そのために女優を目指していた。服飾に対してあまり興味はなく、メリルの勉強になって、メリルと同じ学校に通えるという理由でフィリア女学院を選択していた。しかし、メリルは出自が低いこと、付き人としての教育をされたことがなく、レベルが低いこと、エッテが服飾の学校などという低俗な学校へ行くきっかけになったこと等を理由にプランケット家から嫌われており、今年度優秀な成績を修めなければ援助を打ち切って退学させられることになっていた。

そうして入学までの日々を過ごしているうちに、≪晩餐会≫に参加してきたりそなが遅れてパリにやってくる。ここで、大蔵家の家系図を示しておく。

 赤字は故人

 

現大蔵家当主大蔵日懃(にちぎん)は、空襲で3人の息子を亡くしたことにより、家族に固執するようになり、家族は家族を愛するべきだという考えを持っていた。日懃は家族を愛していたが、日懃以外の家族は、家督争いに明け暮れ、互いを陥れることしか考えておらず、≪晩餐会≫は醜悪に満ちていた。さらに、当時主人公の存在の認知に中心となって反対したのも日懃と金子(かなこ)だった。日懃の息子世代である真星(しんせい)と富士夫(ふじお)は、山弌(やまいち)の件で失態を犯し、日懃の怒りを買って後継者を外されていたため、今の後継者争いは衣遠と駿我の一騎打ちとなっていた。山弌はギャンブル好きな性格で、経営を任された大蔵家傘下の会社を2回潰し、その度に祖父が尻ぬぐいをして大蔵家の財産を食いつぶすので、真星と富士夫が経営に関わらせないよう遠ざけていた。しかし、一発逆転を狙って3度目の借金を重ね、今回も日懃に泣きついたところを真星と富士夫が日懃に知られない形で握りつぶした。その結果、山弌はギャングに殺されてしまった。事実を知った日懃は怒り狂い、2人の後継者の権利を剥奪した。金子は真星とは望まない結婚で大蔵家に輿入れしてきたため、真星に対する愛情はなく、後継者になれなくなった夫に愛想をつかし、夫をマンチェスターに見捨てて寄り付かなくなった。孤独になった真星は、メイドの面接に来た主人公の母を見初め、愛人として囲った結果主人公が産まれた。また金子は、りそなを自分の分身として見ており、りそなに自分の歩めなかった自分の理想の人生を歩ませるために、りそなの人生に干渉してきていた。また、大蔵家の権力を、衣遠に口を出す形で掌握しようと企んでいた。

主人公は幼少期、金子から酷い扱いを受けていたが「あの人が辛くあたるのは主人公を立派にしようとしてくれているため」という母の言い訳を嘘にしないため、その教えを盲目的に信じ続けた結果、金子に憎しみを持たなくなった。

今回の≪晩餐会≫で、日懃は急に主人公のことを話題に出した。90歳を超えた日懃は、自分が死ぬ前にまだ会ったことのない孫に会いたいということだった。衣遠は、主人公が自分の元から逃げ出し、今は行方不明であることを話して、主人公の株を下げようとしたが、日懃は納得しなかった。そして、次回の≪晩餐会≫で主人公を連れてきたものに後継者としての優先権を与えるという命を出した。これにより主人公は、駿我派閥からも身柄を狙われることになった。

りそなは、主人公の下宿先でこのことを話して主人公に詫びるが、主人公はりそなの気持ちを前向きにさせるため、りそなにしてほしいことがないか尋ねる。りそなは自分の事を昔のように「姫」と呼んでほしいと頼む。それは幼少期の2人の最初の出会いで、マンチェスターの邸宅で2人で遊んだ時の楽しい記憶だった。主人公はそのことを覚えており、当時はかなえてあげられなかった約束として、あの時は買えなかった「なっちゃん」を差し出し、主人公の部屋には希望が溢れるのだった。ここのシーン最高にエモくて好き。

りそなと主人公は学院に通い始めるが、りそなには主人公と一緒に学校に通うという目標が叶ったため、やる気がなかった。りそなは昔、主人公を追いかけるために服飾の勉強をしたことがあったが、衣遠に才能がないと言われ続け、心が折れた過去があった。りそなは教室で、メリル、エッテ、ドイツからの留学生で日本好きなディートリンデ(リンデ)、その付き人でロシア人のヴァリー、欧州の名門貴族の1つ、ラグランジェ家のリリアーヌ(リリア)、その付き人で中国人の華花(かか)などと知り合いになるが、東洋人だということで教室内では陰口をたたかれており、また歩いているときに転ばされたり、事故に見せかけてコーヒーをかけられるなどのイジメに遭う。それでもりそなは登校を続け、メリルが自分のデザインした服を作ってくれたことなどをきっかけに少しずつ服飾に対する興味をもっていく。

やがて、日本校と同じように5月のショーに向けて4人班で服を作ることになり、りそなは、エッテ、リンデ、リリア(とそれぞれの付き人)と班を組むことになる。また今年はジャンの思いつきで、ショーは凱旋門のメインストリートをパレードすることになり、またテーマは「愛」で2着の衣装で表現することに決まる。リリアの提案で、2着の衣装に対し、デザイナーは1人とする条件で、リリア、メリル、りそなの3人がデザインのコンペを行うことになった。主人公は、りそなの応援をしてあげたいという気持ちが強く、今回はパタンナーとして参加したいと考えて立候補しなかった。

デザインを考えながら迎えたクリスマスイブ、りそなはエッテの誕生日を祝うために、サプライズとして教室でエッテに花束を渡したいので、教室まで来てほしいという誘いをクラスメイトから受けていた。しかし当日、急に時間が夕方に変更になり、また主人公がりそなへのクリスマスプレゼントとして編んだ毛糸のマフラーが街で盗まれるという事態が起こる。時間になり、電気の点いていない教室に向かった2人が見たものは、無残に切り裂かれたマフラーと、「日本へ帰れ」とフランス語で書かれた黒板の文字だった。主人公は、それまで桜屋敷で過ごした過去の美しい思い出に囚われており、現実を見ていなかった部分があったが、改めて外国で過ごす厳しい現実に向き合い、この世の悪意からりそなを守ることを誓う。りそなもまた、世界を斜に見て逃げるのをやめ、主人公と2人で現実と正面から向き合うことを決意した。

ここでOPが流れる。本作はこういった欧米人から見た東洋人の姿や、人種差別といったことをテーマにしており、エロゲでやるには重いテーマである。

結局クリスマスイブの事件の犯人は、時間変更を伝えてきたメイドが失踪したこともあって犯人はわからないままとなった。そして年が明け、衣遠が主人公たちの元を訪れる。衣遠は、才能のない主人公が、自分が作った、自分が認めた才能を伸ばすための教育機関に潜り込み、その才能を汚していることが許せなかったが、ルナの元を追い出されたことでその罰は受けたと判断し、許していた。そして、りそなのパリ留学の提案は、主人公を笑顔にさせるための衣遠の策であったことが明らかになる。主人公を騙していたことを詫びるりそなだったが、主人公は部屋を出たいというりそなの決意は本物だったとして、りそなを許した。衣遠は、次の≪晩餐会≫に何としても主人公を出席させなければならないため、学院を辞めてまた軟禁生活に戻るよう命令するが、りそなと一緒にいてりそなを守る決意を固めていた主人公はそれを拒否する。衣遠は思い通りにならない主人公に怒り、殴り合いに発展しそうになるが、りそなが衣遠と交渉し、とりあえず衣遠を引かせることに成功する。2人が衣遠に逆らったのはこれが始めてのことだった。しかし、これからは衣遠と駿我の干渉をはねのけながら、学院生活を続けていかなければならなくなった。

デザインコンペの日、満場一致でメリルのデザインに決まるが、華花がリリアのためを思ってゴネ、それをリリアが止めず、メリルが了承したため、結局メリルとリリアの衣装を1着ずつ作ることに決まる。パタンナーは、メリルは自分の衣装は自分ですると述べ、リリアの衣装を主人公と華花で競うが、主人公は身が入らず負けてしまう。主人公はリリアのデザインについて、優れているとは思うが、型紙を作りたいというワクワク感が湧いてこない、と述べる。

 

本作はルート分岐のタイミングがキャラによって異なるが、概ねこのあたりまでが共通ルートである。以降はキャラ紹介欄にて紹介する。

 

・キャラ

 

攻略可能ヒロインに先んじて、ここで唐突にリリアと華花のキャラ紹介をしておく。果たして立ち絵があってルートがないキャラの扱いとは?

 

 リリアーヌ・セリア・ラグランジェ Liliane Celia Lagrange

 

フランスの伯爵家、ラグランジェ家の令嬢。元ネタはフランスのLe Crédit Lyonnais(ル・クレディ・リヨネ)銀行。愛称は「リリア」。クラス内では委員長を務め、取り巻きも多い。過去にはユーシェと同じ学校で、ユーシェが落選したコンテストで何度も賞を取っていた経験もある。クラスで孤立していたりそなに最初に声をかけた1人である。休日はボランティアを積極的に行っている。口癖は「真心をこめて」。常に慈愛に満ちた笑みを浮かべているとされており、その目は閉じられていることが多い。

 

 

 華 花 か か

 

リリアに使える中国人のメイド。主人公の2つ年上。元ネタは中国の華夏銀行。いつも性的なネタを口にしているが、その知識には誤りが多く、また処女だと指摘されるとキレる。パタンナーとして努力型の天才であり、これまで入賞したリリアのデザインでは全て型紙をひいており、その手法は気の遠くなるような努力と時間をかけて衣装のクオリティを少しだけあげるということを繰り返すというものである。リリアが入賞できたのは、ほぼ華花の縫製とパターンの腕のおかげ。母国に病気の母と、その看病をする姉を残して出稼ぎに来ており、仕送りのために高額な給料がもらえるリリアのメイドをしている。実は本国では戸籍がなく(一人っ子政策で、2人目の子だからだと思われる)、そのためフランスにも密入国していて、パスポートが無いためフランスを出ることができない。

 

 

 ブリュエット・ニコレット・プランケット Bluette Nicolette Planquette  160-88-55-82

 

フランスの侯爵家、プランケット家の令嬢。元ネタはEU圏のBNPパリバ銀行。愛称は「エッテ」。クラス内では副委員長を務め、リリアと同じく人望に厚い。貴族らしさを鼻にかけないフランクな性格で、正義感に強い。幼少期にメリルと修道院で過ごしたことにより、メリルのことが大好きになっており、その時にした結婚式の真似事を今でも本気にして、メリルにアプローチを続けているが、メリルからは同性愛はいけないことだとして、相手にされていない。メリルに固執しすぎるがあまり、メリルが親に嫌われる原因にもなっている。実際、メリルがショーで最優秀賞を取れなければ、メリルは学院を退学することになっている。

メリルのデザインした衣装を着るために女優となることを夢見ており、親に内緒で養成事務所にも入っているが、その演技は棒読みよりひどいものである。始めて名前付きの役をもらえたと主人公たちを劇場に招待するが、その演技がひどいものだという現実をメリルに突き付けられ(今までは家柄に配慮してダメ出しをされてこなかった)、女優を諦めてメリルを支えるための何かを探すことになる。メリルのためにフィリア女学院に入学したので、服飾経験はないが、元々器用な性格なので教えられたことはできる。

ショーの衣装作りは、メリル、華花、主人公、りそなが主戦力となり、後の4人は技術的に役に立たなかった。エッテはメリルとの恋が進展しないことに焦っており、それが縫い方に出て、華花に全ての箇所のやり直しを命じられてしまう。そんなエッテをフォローすることでブリュエットルートに入る。

学校が冬休みに入り、メリルは実家の修道院に帰省することになるが、エッテもメリルの実家近くの別荘に泊まりつつ、メリルのところへ遊びにいく計画を立てていた。ところが、メリルと会うことをよく思わなかった父親が、エッテがメリルの所へ行く邪魔をした。エッテはそれで怒って別荘から1人で帰ってきて、家出のために今は誰もいないメリルの部屋に泊まることにした。その時には、エッテは自分の話を聞いてくれたり、励ましてくれたり、他人を応援するという境遇が自分と似ているというところからも、主人公に好意を持っていた。しかし主人公は、エッテが隣の部屋にいることを知らず、声を絞らずにりそなと兄妹モードで会話をしてしまう。主人公のアパートは壁が薄く、その会話の内容から、エッテは主人公が男ではないかという疑惑を抱く。そして主人公を強引にアパートの共同シャワーに誘い、隙を見てブースを開けたことで主人公が男であることがバレてしまう。

エッテは日本語がわからないという設定なのに、2人だけの会話を日本語でしなかったのだろうか。もし日本語だったのならば、普段の朝日モードの主人公とのトーンの違いから、男であるという違和感を持ったのだろうか。どちらにせよ少しガバいシーンである。

しかしエッテは、すでに主人公に好意を持っており、生物学的に男であれば世間的にも問題が無く、心がきれいで男らしくないところが好みにあっているとして、主人公に告白する。エッテは秘密をバラさないための担保として主人公と肉体的な接触を行い(手コキのみ)、また、ブリュエット家に大蔵家から縁談の話があった(一度エッテが断った)ことからも、主人公はエッテと付き合うことにした。エッテは主人公と同じで、好きな人には尽くしてあげたい性格だと述べ、主人公と衣遠の仲直りについても手を貸してくれることになった。

やがて衣遠が再びパリへやってきて、りそなが自分の思い通りにならなかったため、母方の親戚筋へ嫁がせて後継者から外すことにしたと告げる。金子がりそなを他家へ嫁がせることを許すとは思えなかったが、それも衣遠が主人公のことをちらつかせ、りそなが主人公に懐いていることは周知の事実なので、りそなが後継者になることがあれば、主人公にその座を奪われると唆すと、納得したようだった。さらに衣遠は、もし主人公が学院を辞めて衣遠の元に戻り、再教育を受けると約束するならば、この婚約を破棄し、衣遠が当主になった後で主人公を再び付き人としてりそなにつけるという条件を出してくるが、主人公はこれを一旦保留し、パリで出会った日本人に、詳細を隠して相談に乗ってもらおうと考えた。この日本人というのは駿我のことで、実際はりそなの監視のためにパリに来ていたのだが、主人公は駿我の顔を知らず、またりそなにも報告していなかったため、今まで気づかなかった。駿我も最初は主人公の正体に気付かなかったが、主人公がりそなの付き人として学院へ一緒に通っていたことから、主人公の正体を調べさせ、主人公が探していた大蔵遊星であることを突き止めていた。しかし、駿我は主人公の人柄を気に入っており、主人公とりそなだけなら保護してもよいと言ってきた。しかし、主人公が衣遠には恩があり、裏切れないと言ったことで、正体を現して敵に回る。今後は主人公を拉致して≪晩餐会≫へ引きずり出すため、襲撃をかけることにするが、この1日だけは自分の正体を知らずに優しくしてくれた主人公に免じて、逃がしてやることを宣言する。またりそなも金子と会っており、その眼差しに失望を見たことで後ろ盾を無くしたことに絶望していた。主人公たちはパリから逃げることも考えたが、2人とも夢と希望を手に入れたこの街からは逃げたくなかった。そこで主人公は、

わざとケガをして入院し、孫を心配する祖父がパリまで見舞いに来ることに賭けようと言い、りそなの制止を振り切ってアパート2階から飛び降りてケガをする。そして衣遠と駿我が病室に入ってこないよう、りそなが追い返してくれているうちに、祖父がパリへとやってくる。主人公はりそなを守るためには、当主争いを一時的に止めなければいけないと考え、自分を後継者に加えてほしいと祖父にお願いする。それは認められ、衣遠と駿我は主人公にケガをさせる間接的な原因を作ったとして、後継者争いから後退させられる。また、主人公が庶子であるため、格をつけるために家柄の高い娘と結婚するように祖父に言いつけられる。主人公はエッテと付き合っていることを祖父に報告し、プランケット家なら問題ないと祖父も認めてくれ、主人公はすぐにエッテを日本に呼んで、祖父に紹介する。これからはエッテに支えてもらいながら、大蔵家の問題に取り組んでいくことを決めたところで終わり。

エピローグでは、大蔵家当主候補としての勉強に時間がかかったものの、主人公はショーの1週間前にパリに帰ってくることができた。主人公は改めて、服飾の夢は一旦脇に置き、自分と皆の幸せのためにできることをしたいと考えるのであった。

サブヒロインらしい後半の怒涛の展開と、解決しない終わり方だった。サブヒロインであると割り切って、シナリオについての話はしない。

CVは車の人で、相変わらず素晴らしい演技だった。しかし、脱いだ時に結構おっぱいが大きかったのに、パイズリシーンがなかったのが残念。そもそもHシーンが2回しかないのも残念。サイドテールがあまり可愛く見えなかったのも残念だった。

 

 ディートリンデ・ツヴァイゲルト Dietlinde Zweigelt  150-78-52-78

 

ドイツからの留学生。愛称は「リンデ」。元ネタはドイツのDZ銀行。忙しい両親に代わってドイツ海軍上がりの祖父に育てられたことから、将来の夢が軍人になってしまった。それを危惧した両親から、女らしさを身につけるために、母親がファンであるスタンレーが設立したフィリア女学院に留学させられた。祖父の影響で、価値観が第二次世界大戦のものであるため、戦勝国の国民が嫌いで、逆に日本人は大好きである。挨拶が片手を上げた「Heil!」なのと、私服が軍服なのもヤバイ。彼女の祖父は日懃と大戦当時の盟友である。主人公のことを「ナデシコ」と呼び、りそなと友達になろうと積極的に話しかけてくる。ロシア人のメイド、ヴァレリア・デレンチュウチ・ブッテルスカヤ、愛称ヴァリーを連れており、首輪をさせてことあるごとに鎖を引っ張るなどして奴隷のように扱っているが、本当はヴァリーのことを大切に思っており、その想いはヴァリーに伝わっている。

ショーの衣装作りでリンデにフォローをすると、ディートリンデルートに入る。エッテルートと、男だとばれるところまでは共通だが、エッテがまだメリルのことを諦めきれないので、卒業までは主人公との関係を保留することになる。その後主人公がわざと入院して後継者候補になり、祖父が持ってきた婚約者はリンデだった。祖父は、りそなを監視するためにパリのフィリア女学院に息のかかった者を送り込んでおり、それがヴァリーだった。祖父は、リンデの祖父と大戦時は盟友だったこと、ヴァリーが十分な働きをしたことを理由に、ツヴァイゲルト家と大蔵家の婚姻を認めた。主人公はリンデとの結婚までに卒業までの3年の猶予をもらい、それまでに今後どうするかをリンデと考えることにしたのだったというところで終わり。

エピローグはなし。日本の大蔵家にリンデを呼びつけて2人きりになったのにHシーンはないし、ヴァリーが実は大蔵家の息のかかった間者で、しかも日本語が話せたという設定は、このルートでしか活かされないのでもったいないし、イラストレーターも違うし、存在意義を疑うキャラとルートだった。服飾技術もないので、あまり話にも関わってこず、キャラとしてはかわいそうだった。

CVは木立さやかさん。特にいうことは無し。

 

 

駿我&衣遠ルート

 

ヒロインとのフラグが誰とも立っていない場合のルート。主人公がわざと入院して後継者候補になるまでは同じ。主人公を傷つけた失態として、駿我と衣遠が主人公の執事扱いで、主人公の教育役を3年間命じられる。主人公は2人を伴ってパリに戻り、家族の絆をつなげるのが自分の役割だと思って頑張っていくことにした。終わり。

このエンド時のCGが気に入った。

 

 

 メリル・リンチ  Meryl Lynch  148-80-55-81

 

サヴォワの田舎の修道院出身の孤児。ブリュエットの付き人兼友人。元ネタはアメリカのメリルリンチ銀行。主人公とアパートでは隣室になり、また主人公の始めてのフランスでの友人になる。エッテにフィリア女学院に誘われるまで村の外に出たことが無く、村人の衣服の修理や作成を一手に担ってきた。そのため、独学で高い縫製技術と立体裁断技術を身につけている。また、平面作図は入学当初全くできなかったが、主人公に教えてもらったことで基礎はできるようになった。自分の服も全て自分で制作しており、デザインの面でも天才的である。ただし、他人へ伝える能力には欠けている。修道院で育ったため純真無垢な性格で、他人を疑う事を知らず、修道院のマザーの教えを盲目的に信じている所があるが、それゆえ付き人としての作法は一切知らず、エッテは気にしていないがエッテの両親からの評価が下がる一因にもなっている。両親の顔は知らないが、父親が日本人で、母親はフランス系アメリカ人である。生まれはニューヨーク。

メリルルートでは、冬休みに入りメリルが帰省する際に、主人公のことを誘う。りそなも、パリにいると金子が来て鉢合わせする可能性があるため、むしろ行ってきてほしいと推奨してくれる。そのため、パリを訪れる衣遠と遭遇しない。

主人公たちがメリルのいた修道院にたどり着くと、マザーから主人公が「大蔵家の使い」かどうかを尋ねられる。メリルのいた修道院には、昔から大蔵家の誰かがメリルの様子を見に訪れていたというのだ。しかし、マザーはメリルのことを監視していることが本人にバレると、メリルが不幸になるため、メリルには言わないでほしいと主人公に頼む。またメリル本人には、その話は「あしながおじさん」として伝わっており、メリルの生活の援助のために毎年お金が振り込まれていたが、メリルは理由がないとしてそれに手を付けていなかった。その代わりメリルは、この村から出ないで生きるよう忠告を受けていたが、エッテから誘われたときにメリルは「あしながおじさん」に手紙を書いた。その返事は、村から出ればメリルは幸せにはなれないが、幸せを掴むことはできるだろう、というものだった。メリルと主人公は修道院で共に暮らし、またメリルは主人公に親友以上の感情を抱いているが、マザーの教えに従って女である主人公とは恋はしないと言う。

パリに戻り、メリルは急にブリュエット家の両親、エッテ、アンソニー(駿我の異母弟)、金子との食事会に、エッテの付き人として呼び出される。テーブルマナーを何も知らないメリルは不安になるが、主人公が付け焼刃で基礎を教え、メリルは当日屋敷へと向かう。しかし、夜になって帰ってきたメリルは泣いており、何らかの作為があってメリルが金子にワインを給仕することになり、何者かに足をかけられて金子にワインをかけてしまい、それが理由でプランケット家の使用人としての解雇と、金子の衣服の弁償を要求されているのだと言う。また当然学院も退学となり、メリルは失意のまますぐに荷物をまとめて故郷へと帰ってしまう。

エッテは激怒し、メリルを呼び戻すためにクラスで協力を呼びかけるが、主人公とりそな以外は乗り気ではなかった。メリルは所詮一使用人であり、またメリル自身が自分が授業についていくのが精一杯で、個人的な友人を作っていなかったせいであった。りそなは、主人公を一旦エッテの付き人にし、メリルを自分の付き人として再登録すればよいのではないか、という案を考える。また、ショーでメリルの衣装が最優秀賞を取れば、メリルの進学を認める、という約束はまだ無効になっていないため、それに望みをかける形で、主人公はメリルを連れ戻すため、単身メリルの故郷へと向かう。しかし、村へ着いた主人公が見たものは、メリルがもう一度この村を離れた場合、修道院がなくなってしまうと悲しむメリルの姿だった。駿我がこの村の取引先及び修道院を買い取っており、主人公とメリルをこの地へ軟禁しようとしていたのだ。2人は駿我から、メリルの出自についての話を聞く。

メリルは山弌とアメリカ人の妻の間にできた子どもで、大蔵家の血族だった。山弌がアメリカで殺され、妻はメリルを連れて親戚が住んでいると聞いていたこの村まで逃げてきたが、親戚はすでに移住しており、絶望した妻はメリルを修道院に預けて自殺したとのことだった。また、駿我によって、主人公が男であることもバラされてしまう。しかし、メリルはそれを聞いて、主人公と駿我が自分の家族であることを喜び、また主人公が男なら結婚できるということを喜ぶ。駿我は、主人公とメリルをここへ軟禁し、≪晩餐会≫に出席させないことで、衣遠の失脚を狙っていた。主人公は一旦それを受け入れることにした。駿我の話から、メリルをプランケット家から引き離すよう圧力をかけたのは駿我と金子で、プランケット家はまだショーの最優秀賞の約束を守る希望が見えたからだ。しかし、退学してしまったメリルの衣装は返却されず、主人公とメリルは2人だけでもう一着衣装を作る必要があった。また、衣装作成には班員の手を借りなければならず、また二回の教員による点検を受ける必要があった。主人公は心配して様子を見に来たりそなとエッテに全てを説明し、デザインと型紙、そして指示を、監視役のアンソニーに秘密のままパリまで送らなければならなかった。1度目はメリルの修道院の同僚が、2度目はマザーが小包をパリに送ってくれたが、両方駿我に見つかったことにより、関わった人は左遷されて村からいなくなってしまった。しかし、それは本人の意思で、現状を変えたくて行ったことで、気にする必要はなかったことを主人公たちは後から知る。

何か郵便物を発送していた時点で、駿我とアンソニーは何としてでも荷物を取り返さなくてはいけなかったのに、それをせずに脅しだけかけたところが詰めが甘く、ご都合主義的で気になってしまった。

それから2か月たち、≪晩餐会≫の日がショーの前日に決まった。アンソニーが村を離れたタイミングでりそな経由で主人公が連絡しておいた衣遠が迎えに来た。「あしながおじさん」は衣遠で、メリルの才能に気付き、またメリルの血筋にも気づいたことから大蔵家の政争に巻き込まれないようにする目的で村から出ないように言ったとのことだった。衣遠はメリルを娘のように感じていると主人公に語ったが、メリルは主人公のことが好きだと衣遠の前で告白し、NTRのようになったのが面白かった。

パリに着き、主人公たちは衣装の最後のパーツをエッテに渡す。主人公たちは≪晩餐会≫に出発しようとするが、衣遠が祖父により罠がしかけられているため≪晩餐会≫には出席せず、衣遠、りそな、主人公、メリルで独立すると宣言する。しかし、家族全員に仲良くしてほしかった主人公は、メリルが他の家族にも会いたいと言ったこともあり、衣遠抜きで≪晩餐会≫へと向かう。≪晩餐会≫では、衣遠と祖父の間の問題は語られなかったが、主人公、メリル、りそなが、家族は仲良くしてほしいと祖父を説得し、アンソニーもそれに乗ってくれる。また駿我も、衣遠が当主争いから外れるのなら、自分も興味はないと言って、孫の代で争いは平和になる。

主人公たちは、パリに蜻蛉返りしてショーに出席し、メリルの衣装を着たエッテが一番輝いている姿を目にする。メリルは最優秀賞を取り、表彰の場で班の皆に感謝を述べて終わり。

エピローグでは、メリルは大蔵家の人間であるということを公表したが、エッテの付き人に戻っていた。また、祖父が退陣した後は、大蔵家のトップは合議制で方針を決めることとし、その名目上のトップには「小倉朝日」が座ることになった。主人公は家族で恋人で隣人であるメリルと、これからも共に歩んでいくのだった。

Hシーンが2回あるが、メリルと主人公が共に性的に無知+性欲がないため、雰囲気ができないのがリアル感があるものの、エロゲとしてはどうなんだと思った。また、2回ともメリルが性的な気持ちよさを感じていないという描写があるのも、消化不良感がすごかった。また、2回目のシーンでは、メリルが修道服を着てやってくれるのにも関わらず、全身が映っていなかったり、ウィンプルが全て見えないなど、シスター服が好きな自分にとって非道な仕打ちだったので、それが残念だった。

大蔵家の問題の解決というのがラストに来るものの、衣遠の問題を解決していないので、これも消化不良感があった。りそなルートでこれを解決するので、どうせならメリルルートは違ったラストにしてもよかったのではないかと思った。また、メリルが大蔵家の血族だと明かされるのもこのルートのみで、どうせならりそなルートの時に助けに来てくれたりすると熱い展開だったのにとも思った。

CVはアグミオンで、安定していた。

 

 

 大蔵 里想奈 おおくら りそな 149-85-56-81

 

主人公の一つ下の異母妹。ブラコンで引きこもり、ネトゲ廃人でHNは「ブラコニスト」。母親のゴリ押しにより、パリではプランケット家の所有する別宅に住む。引きこもりになった理由は、常に衣遠と比較され、その能力の差に失望される視線に耐えられなかったことと、家柄を妬んだ同級生たちからイジメを受けていたためである。そのせいか、目を見ただけでその人が本心ではどう感じているかがわかるようになった。他人を信用できず、壁を作ってしまう自分を変えたいと思っており、最近では主人公の気持ちをまねる事である程度は友人を作れている。主人公にはいつも結婚やキスを迫るが、主人公が真面目に迫ると動揺してしまう口だけ女である。主人公のことが好きな理由は、大蔵家の疑心に満ちた人間関係に疲れ切っていた所、純粋で澄み切った心を持っていた主人公で出会い、大きくなってから再会してもその心が変わっていなかったから。主人公が大蔵家の争いに巻き込まれず、自分の夢を追って幸せに暮らせるようにする事を自分の願いとしており、そのためなら主人公が自分以外の女と付き合っても許すほどである。ゴスロリを好み、パリではまだ受け入れられていないが、デザインとしてはルナが悪くないと口にする程度の才能はある。

りそなルートでは、メリルの帰省の誘いを断り、りそなのそばにいることにする。主人公は、自分は憧れるデザイナーの元でパターンの仕事をするのが一番自分に合っていると決め、そのために昔はルナだったが、今はりそなのデザインに惹かれていることをりそなに告げる。主人公とりそなは、例え一流のデザイナーになれなくても、欧州にゴスロリブランドを立ち上げ、2人で服を作って暮らしていきたいと夢を語る。そのためには、今は少しでも服を作り、経験を積むことが大事なのだと2人は考える。また主人公は、自分たちが衣遠に味方だと信用してもらえれば、問題の大部分は解決するのだから、衣遠を信用させるために2人で服を作ることを提案する。そこで2人は衣遠への真心を込めて、りそながデザイン、主人公が型紙をひいたドレスシャツを作る。

りそなと主人公は、訪れた公園で2人で桜そっくりな花を見る。それはアーモンドの花で、りそなは偽物でもこんなにも美しく、人を感動させることができるのだと、自らの才能に重ね合わせて勇気をもらう。2人は今だけ童心に帰り、アーモンドの並木道の中を2人で走りながら、このパリでやっていくのだという決意を固める。

やがて衣遠が来て、りそなを他家に嫁がせることにしたと言ってくる。2人は衣遠のために作ったシャツを渡し、そのシャツに込めた愛情を衣遠がくみ取ってくれ、1週間の猶予をもらうことに成功する。しかし、駿我との交渉の決裂、りそなの金子からの幻滅と話は進み、今回はりそなのそばにいたいため窓から飛び降りることもできず、主人公は窮地に立たされる。せめてもう一度アーモンドの花を2人で見れば、何か案が浮かぶかもしれないと、藁にも縋る思いで行った深夜の公園には、もう花は散ってしまっており、アーモンドの花は1つも残っていなかった。主人公は心が折れてしまい、ただりそなを抱きしめながら自分たちの無力を嘆き合い、りそなは離れてもお互いのつながりを感じていられる最後の手段として主人公にキスを求め、主人公はそこで初めてりそなを1人の女の子として認識し、りそなに告白する。しかし状況は変わらず、絶望がゆっくりと浸透していく2人の間に、ふいに懐かしい声が聞こえ、ルナ様が現れる。

 

 

ここの演出が本当によくて、いつも明るくてりそなの前では元気を絶やさなかった主人公の心が折れていく様子が淡々と描かれてきたので、こちらもどうやって解決したらいいのか考えてしまっていた所に、FDだから登場しないだろうと考えていた前作キャラが登場してくれたときのルナ様の安心感...!思わず画面の前で、ありがとうございます、お優しいルナ様と口に出してしまうほどだった。

 

ルナ様は八千代を問い詰め、主人公のことを知ったうえで許してくれていた。ルナ様達の班は、主人公が欠けたことでパターン、縫製技術が大幅に低下し、ルナ様の圧倒的デザインを活かしきれずにフィリコレでは2位になっていた。しかし衣遠が、ルナ様達の班員全員に、1週間のパリ校留学の許可を出したという事だった。主人公は、アーモンドの花ばかり探していて桜の木に気付かなかった自分の視野の狭さを反省し、また偶然ルナ様が散歩に出てくれたために合流できた運命に感謝した。また、衣遠はルナ様たちが来ていることを知っていて1週間の猶予をくれたので、まだできることはあるはずだと考え、主人公とりそなは折れかけた心をつないで再び立ち上がることができた。りそなはルナ様に自分たちがまきこまれている大蔵家の騒動について簡単に説明し、ルナ様が欧州で顔の利くユーシェにも頼むことで、この1週間はボディーガードを雇ってもらい、駿我達の襲撃におびえないで済むようになった。またこの1週間、フランス語のできるルナ様とユーシェはパリ校で授業を受けることになっており、主人公とりそなはその間に解決策を考えることにした。りそなは友人だからという理由で助けてくれたルナ様に深く感謝するのだった。主人公はルナ様への尊敬の念はあれど、今はりそなを選んでおり、ルナもそれを祝福して2人の夢を応援してくれた。

主人公は、衣遠がなぜ当主の座にこだわるのか、衣遠自身のことを理解しなければならないと思い、やはり衣遠に信用してもらうのが唯一の解決法だと考える。そのために、主人公は一度衣遠に従う振りをしてマンチェスターの屋敷に向かい、父に会う必要があると考える。りそなもすでに一時的に主人公と離れても平気なだけの強さを身につけており、主人公は改めてりそなに告白した後、衣遠に降伏してマンチェスターへと向かう。

主人公はマンチェスターについてすぐに父に会う事ができ、最初は信用してもらえなかったが、りそなからの手紙を渡すことで家族として信用してもらうことができた。主人公は父から衣遠の秘密を聞く。衣遠は、金子が真星と結婚する前から金子のお腹にいた子で、大蔵家の血をひいていなかった(父親は不明)。衣遠は若いときにこっそり真星の体液を採取してDNA鑑定に出しそのことを知ったが、詰めが甘く机の引き出しに入れてあったその証明書を真星も見てしまうことになった。衣遠は、産まれてからずっと大蔵家の跡継ぎとなるよう厳しい教育を受けてきており、他の生き方を選ぶことはできなかった。それが、自分には正統な後継者としての権利が無いことを知り、アイデンティティが崩壊し、今では復讐のために当主を目指しているだろうということだった。主人公は、衣遠が自分に厳しく接していたのは、愛情や期待の裏返しだとして耐えてきたが、そこに兄弟の情が無かったのではないかと考え、涙を流した。しかし、例え衣遠が主人公を弟だと思っていなくても、主人公はその話を聞いた後でも、衣遠のことを兄だと思い、助けになりたいと言う気持ちは変わらなかった。主人公の涙の訳を聞いた父は、今すぐパリに戻り、主人公が当主となることで家督争いを終わらせ、衣遠とりそなを助けてやってほしいと頼む。父が今までマンチェスターへの軟禁を受け入れてきた理由は、事が発覚してからは衣遠の復讐を止めることも、衣遠に愛情を与えることもできなかった自分への罪滅ぼしのつもりだった。

主人公は衣遠に出自のことを仄めかし、パリで再びりそなと3人で交渉の席に着かせることに成功する。主人公は、一度自分が当主の座についたのち、祖父の没後に衣遠に家督を譲るのはどうかと提案するが、それは主人公が衣遠に信用されていることが条件で、最初は受け入れられなかった。しかしりそなが、パリに来てから主人公が授業や趣味として衣遠のデザイン画を参考にデザイン画を書いたり、衣遠が発表したデザイン画の型紙を何百と作ってきた証拠を見せ、ある程度の信用を勝ち取ることができた。

ここから衣遠兄様の昔語りが始まり、新ヒロインとなる。

衣遠は、父親と思っていた男に対する復讐として、その愛人(つまり主人公の母)を奪うことで絶望を味わわせようと考えていた。しかし、主人公の母は衣遠の、東京でぜいたくな暮らしをさせてやるという誘いに絶対に乗らなかった。それは全て主人公のためで、東京という大蔵家本家のお膝元に移住してしまうと、主人公が本妻にひどい目に合わされる確率が上がり、また家督争いに巻き込まれることになるかもしれないとわかっていたためだ。主人公の母の死に目に、父は金子の嫌がらせにより東京に呼び出されており、会う事ができなかった。代わりに衣遠が、命が尽きる前に主人公の母を奪ってやろうと、金子との予定をキャンセルしてマンチェスターへ向かった。衣遠は、臨終の間際に主人公の母にもう一度自分のものになるよう命令するが、主人公の母からの最期の願いは「主人公を兄弟として愛してほしい」ということだった。衣遠はそれから、主人公をボーヌのワイン蔵から日本へ連れ出し、勉強をさせ、夢も追わせてくれた。

このあたりの話をしているときの衣遠の声の振るわせ方や感情の抑え方が、本当に泣くのを我慢しているようで、ものすごく臨場感があり、また最初に比べて主人公とりそなへのあたりが弱くなっているのが伝わってきて、その演技のうまさに感動するほどだった。

ただこの場面の衣遠兄様は「偏に(ひとえに)」を「かたくなに」と読んでおり、そんなことでは大蔵家当主の座は与えられなかっただろう...。

 

主人公の話を受けての衣遠からの解決策は、りそなを当主にするというものだった。主人公ではまだ祖父の信頼を勝ち取っておらず、金子との確執もあり、また関係者に面が割れていないためだった。さらに、りそなが唯一の本妻の子であることも大きかった。そこでりそなの才能を示すため、次の≪晩餐会≫で衣遠が監督し、りそながデザインし、主人公が型紙をひくドレスを兄妹で制作することになった。また、主人公はりそなと恋人関係にあることを衣遠に明かし、衣遠から大蔵の才能は「愛」によって開花するものだと教えられる。衣遠から見て、りそなには才能があったが、後継者争いの頭数を減らすため、幼少期よりその芽を衣遠が抜いて潰していたのだった。りそなはその点についても許したが、後継者として認められるためには素行も大事になるため、衣装を作るのと同時に学院にも休まずに出席しなければならなかった。また、駿我による監禁のための追手からも逃げなければならなかった。そこでりそなが駿我と交渉し、お互いの前で主人公を見つけた、と祖父に連絡することで、主人公を害すると駿我の管理責任も問われるため、とりあえずの安全が確保できるようになった。また、衣遠と和解したことを隠すため、衣遠が大蔵家の血を引いていないことをわざとバラし、それでも衣遠を後継者争いからは外しても一族としては残すために、駿我に降伏したことにした。最後に衣遠は、事実が明らかになってもまだ自分を兄と呼んでくれることを誇りに思うと主人公とりそなに感謝してツンデレ化し、信用してもらえることになった。

しかし、後は衣装を作るだけとなっていたとき、メリルの作ったショーの衣装が、型紙も含めて全て何者かによって盗まれて燃やされ、主人公たちのアパートの前に放置されていた。すぐにりそな、エッテ、リンデ、リリアとその従者が集まり、対策を話しあうが、メリルが意気消沈しているのとエッテが怒り狂っているので話にならなかった。そんな時、りそなが罠を張り、主人公が勉強のために写した型紙が学院のロッカーにあると嘘をついた。主人公たちは衣遠に連絡して、学院長代理の権限を使って学院に忍び込み、ロッカーの前で犯人を待ち伏せしていたところ、現れたのは華花だった。華花は一時は主人公を搔い潜って逃げようとするが、さらに潜んでいた衣遠によって顔面に蹴りを喰らわされ、失神して捕まる。華花は不法侵入と器物破損で警察に引き渡されるが、りそなが華花は実行犯であり、指示を出していたのがリリアであることを指摘する。

 

 

壊れちゃった...。

とはいえ、最初のデザインコンペでごねた華花を止めなかったことから怪しいなとは感じており、メリルルートで退学になったメリルを救おうとエッテが教室で演説しているシーンで「つまんない」と発言していたこと、意味深に目が開くカットがいくつか挟まれていた事から、裏があるんだろうなとは思っていた。

 

リリアは一家そろって国粋主義者であり、フランス人以外を人間だと思っておらず、さらに貴族よりも平民を下に見ていた。12月に主人公のマフラーを盗んで切り刻んだのも、実行犯は華花だが指示したのはリリアだった。また、リリアがよく行くボランティアは、1世代前からフランスに在住していた人のみを対象にしており、移民や難民は対象にしていなかった。

ここで、まだ同席していた衣遠により、リリアの過去が明かされる。元々リリアは、衣遠の婚約者候補だった。リリアの実家は没落しかかっていたことから、欧州で勢力を伸ばしたい大蔵家と、その財力が欲しいラグランジェ家で思惑が一致したのだった。幼いころのリリアは、両親とは違って平民、移民の分け隔てなく、平等に施しは与えられるべきだと考えていた。しかし、たまたま慰問に訪れた移民街の住民が、ラグランジェ家傘下の工場からクビを宣告されたところだったため、リリアはその移民たちに暴行を受けてしまう。一緒にいた執事は最初の一発で昏倒した振りをしてリリアを見捨て、リリアは裸で土下座をするハメになった。その時に「真心をこめて土下座しろ」と何度も殴られたことで、口癖が「真心をこめて」になった。また、その移民が東洋人だったため、東洋人にはことさらに恨みを持ち、人間扱いしなくなった。トラウマを負ったリリアを見て、金子は衣遠の相手にふさわしくないと婚約を一方的に破棄し、リリアは大蔵家に対しても恨みを持つようになった。また、それ以来東洋人の付き人をそばにおき、虐待して楽しむようになった。華花が下ネタを口にしていたのも、リリアから自らの品位を貶める発言をし続けるようにという命令があったからだった。

りそなは、出会った当初からリリアの目を見て本性に気付いていたが、主人公がリリアを疑わずに仲良くしていたため、主人公を悲しませないために、その悪意が自分だけに向けばよいと考え、放置していた。りそなを転ばせたり、コーヒーをかけるよう指示を出していたのもリリアで、教室内にはリリアの手駒となる生徒がたくさんいた。しかし、今回リリアがりそなではなくメリル(混血でリリア基準では人間ではない)に手を出したことで、これまで放置していた自分の責任だと考え、リリアと闘う覚悟を示したのだった。りそなは衣遠に頼み、「学園長推薦枠」として個人でショーに出場し、リリアより高い順位をとると宣言する。しかし、ショーまでは残り1か月強で、メリルとエッテは、ショーで最優秀賞を取らなければメリルが退学になるため、自分たちの衣装を作り直さなければならず、りそなの手伝いはできなかった。さらに、リリアは自分が勝った場合、主人公をメイドとしてりそなから奪うことを付属条件に入れる。りそなは、自分が勝った場合華花に謝ることを条件にそれを受け入れる。衣装は2着用意する必要があったが、1着はりそながこっそり主人公のために用意していたスーツがほぼ完成していたため、それを流用することになった。またもう1着は、≪晩餐会≫に着る予定だったドレスをそれに合わせて、デザインしなおすことにした。

リリアは物的証拠がないため捕まえることができず、それからリリアの派閥がりそなを学院から追い出すための嫌がらせが始まった。具体的なものは以下の通り。

・ロッカーに接着剤を流された。

→日本時代に似たようなことを経験済みだったりそなによって、あらかじめ荷物が移動されており、無事だった。

・教室内で陰口をたたかれ続けた。

→留学してきた当初と同じ状況で、主人公やエッテ、メリル、リンデといった味方がいることがわかっていたため、耐えられた。またエッテが放課後や休み時間に、りそなが頑張っていることを少しずつ皆に話して誤解を解いていった。

・エッテ、リンデのりそなの作業手伝いを妨害された

→リンデとヴァリーが、1か月泊まり込みで主人公たちのアパートに来て、深夜まで縫製作業を手伝ってくれた。りそなを転ばせた生徒と、りそなにコーヒーをかけようとした生徒の2人が、エッテの話を聞いてりそなの味方をしてくれ、反省して謝罪したのちにこっそり手伝いに来てくれた。

・学院に据え置きのミシンを壊された。

→中立の生徒が自分のミシンを貸してくれた。

・衣装に必要な特定の色の糸を買い占められた。

→パリで唯一屈しなかった偏屈な生地屋のオヤジを、りそなが説得することで糸を売ってくれた。

りそなのイジメ察知力すごい...。

りそなと生地屋が交渉するシーンで、5つほどりそなのセリフがない部分があり、収録忘れなのかわからないが、非常に気になった。また、後半に進むにつれて1文字レベルの読み間違いが頻発し、声か文章どちらかに合わせてくれないと、その分気持ちが冷めてしまうと思った。

こうしてトラブルは多くありながらも作業は進んでいったが、今度はりそなが下宿していたプランケット家の別荘が火事になってしまう。主人公は目撃者の情報から、駿我が関係していることに気付き、単身で駿我のパリの拠点に向かう。そこでは涙を流すアンソニーの姿があった。アンソニーは、衣遠がパリに入ったという情報を聞き、また駿我の邪魔をするはずだと思い、探偵を雇ってその行方を調べていた。すると、衣遠がある建物に入ったという情報を得た。りそなは、駿我サイドにその場所が自分の下宿先だという情報を伝えていなかったのだ。そこでアンソニーはその場所を調べるよう探偵に命令を出したが、雇った探偵がさらに浮浪者に不法侵入させ、強引に中を調べようとした。すると、浮浪者が吸っていたタバコの灰が絨毯に引火し、火事になったということだった。駿我は詫びとして、≪晩餐会≫当日まで主人公たちの邪魔をしないことを約束する。しかし、ちょうど決定された≪晩餐会≫の日は、ショーの当日だった。

それでも主人公とりそなは衣装を完成させ、≪晩餐会≫当日は、東京にいる衣遠に頼んでショーの映像を中継してもらう。これで≪晩餐会≫に出席したことになり、日懃はりそなが素晴らしい衣装を作ったことに感動してりそなを後継者として認め、りそなは最優秀賞を取り、金子はりそなの才能を輝かせてくれた主人公に対する見方を改めた。なお、主人公はりそなの隣でスーツを着てショーに出演したが、仮面をつけていたために同級生にはそれが朝日と同一人物だとはバレなかった。リリアの衣装は、華花がいなくなったために平凡な衣装のままになっており、エッテとメリルはそのことに気付いておきながらもりそなの衣装の素晴らしさに気付き、フィリア女学院以外の場所で服飾の勉強をする覚悟を決めて、わざとリリアにそのことを指摘しなかった。リリアはりそなに嫌がらせをすることに夢中で、自分の衣装の確認をしなかった。駿我も負けを認め、これで主人公達は家族と和解することができたところで終わり。

遠隔参加が許されて、りそながショーに出たことがそんなに嬉しいなら、≪晩餐会≫の日をずらせばよかっただろ...。

エピローグでは、ショーではメリルが準優勝に輝き、優勝したりそなが特典の学費免除を辞退したため、スライドしてメリルが受けることになり、フィリア女学院を辞めずに済んだこと、大蔵家ではりそなが当主、主人公が当主補佐となり、真星は軟禁を解かれて日本へ帰れたこと、主人公は金子と和解し、主人公の母に対する仕打ちを謝罪する手紙が届いたこと、華花は衣遠が保護してパタンナーとして衣遠の会社で雇うことになり、リリアのメイドよりも給料が上がったこと、リリアはショー後に失踪して1か月が経っているが、華花には謝罪があったこと、また華花は自分を拾ってくれたリリアに感謝しているので行方を捜していること、が語られる。

りそなは、ルナ様と主人公の3人でブランドを立ち上げるという構想を練っているが、大きな山が終わったのでまただらけモードに入っていた。

最後には初対面時のセリフのやり直しでりそなの「大きくなったらお嫁さんになってあげる」というセリフに、初対面時は呆然としていた主人公が、「お嫁さんになってください」と肯定したところで終わり。

色々とガバやそうはならんやろ案件もあるものの、ここまで走り切ってお疲れ様でした

という感想しかない。個人的には、あれだけ主人公のことを嫌っていた金子が手のひらを返すのが早すぎてあっさりしすぎていたので、そこの対決も見たかった。あと、主人公とりそなが付き合っているのは衣遠しか知らない上、祖父が死ぬまでは隠してあとはなあなあで、的な発言があるため、近親と付き合う事による周囲の反応のようなものが全くないのも、実妹ルートとしてみると残念。あと相変わらずHシーンがいまいちなのも残念。

CVは咲野かなでさんで、終始無理した低い声が可愛かったのでよかった。

 

・終わりに

 

まだ続きがあるので、平和になった後のあれが見たいこれが見たいは、次回作まで撮っておこうと思う。

りそなルートでの二転三転は結構楽しめたが、それだけに残り2ルートの存在意義が薄くなってしまったのが残念だった。

上述の通り、エロゲとしてはHシーンとしての質、量ともに悪いのが致命的で、全ては主人公に性欲が無いのが悪いとも取れるが、次の作品では挽回してほしいところ。後、前作もそうだったが、誰も男性器の呼称を使わないのが徹底していると感じた。

 

 

こういう小ネタすき。