shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題44

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

また間があいてしまいましたが、今回プレイした作品はこちらです。

 

 

pieces/渡り鳥のソムニウム|Whirlpool

 

2019年3月29日にWhirlpoolから発売された「pieces/渡り鳥のソムニウム」です。今作は萌えゲーアワード2019で純愛系作品賞を受賞した作品であり、以前からプレイしたいと思っていました。最近振り返ってみると、何かとWhirlpool作品をプレイしがちだった私ですが、特に意図はありません。

なお、ソムニウム、とはラテン語で夢、幻想といった意味があるようです。プレイし終わってからこの題を見ると、もはや直球過ぎる気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略時間は、共通4~6時間、個別各4~6時間、Trueルート1~2時間というところ。

攻略可能ヒロインは4人で、私がプレイした作品の中では久しぶりに推奨攻略順がある。

(ありすor深織)→紬→結愛→Trueという順番を推奨。

回想シーン数は

結愛 3(1回はオナニーのみ)+1+1(True)

紬 4(1回はオナニーのみ)+1

深織 4(1回はパイズリのみ)+1

ありす 4+1

 

各ヒロインのルートをクリアするごとに回想にHシーンのみが追加される(+1の分)。

結愛はセンターヒロインなのに、回想のうちの1回のオナニーは、主人公が見る夢の中でのオナニーで、本物の結愛ではないのが実質-1回で残念だった。

 

・あらすじ

 

主人公、高坂燕(こうさかつばめ)が住む山間の街ミッテベルにはある伝承があった。遠い昔、「尊いもの」を探すため神によって地上に遣わされた天使がいた。天使は人々の生活を見守りながらそれを探していたが、眠ることが大好きであったため、やがて使命を放棄して何年も眠り続けるようになってしまう。やがて天使のうつ寝返り等が世界に影響を及ぼし始め、雷や地震が起こるようになる。人々は、天使が眠った状態でこれなら、万が一目覚めてしまうとさらなる災いを起こすに違いないと考えるようになり、天使を起こさないように毎朝子守唄を捧げるようになった。したがってミッテベルではこの伝承を受け継ぎ、毎朝7時になると、街中のスピーカーから子守唄が流れることになっていた。

主人公には「眠っている他人と夢を共有する」能力があった。これは相手の名前と顔を知っていること、相手が自分と同じタイミングに眠っていること、が条件だったが、それをクリアすれば狙った相手の夢に入ることが可能だった。主人公は幼いころ母親を亡くしており、父親はおらず、1人暮らしで、また幼少期と母親の記憶をなくしていた。しかし、夢を見ないといけない、という使命感だけが漠然と残っており、これまでほぼ毎日、他人の夢をのぞき続けてきた。しかし、他人の夢を見る行為は脳が休まらないため、代償として主人公は寝不足になり、昼間はいつも居眠りをして授業をほとんど聞いていなかった。

主人公は、いつも自分の世話を焼いてくる幼馴染の小鳥遊紬(たかなしつむぎ)、悪友の吉川晃司(よしかわこうじ)らと、学園にいる間ならいつでも部室で昼寝をしてよい特権を与えられている「昼寝部」への入部を狙ったり、晃司とバカなことをしたりして学園生活を行っていた。

 

ちなみに主人公の親友ポジである晃司は立ち絵ありで見せ場もあるキャラであり、ロックを愛し、モニカと発声したりもするのだが、怒られないだろうか。シナリオ担当が好きだったのか?ちなみにモブで一瞬だけだが、布袋虎泰(ぬのぶくろとらやす)というキャラも出てくる。

 

「昼寝部」は部長で先輩の藍野深織(あいのみおり)1人しか所属していない部活であり、彼女は「眠り姫」の異名を持っており、寝ながら会話を含む日常生活を行うことができた。そんな深織が出した入部条件は、寝ながら社会貢献することで、主人公は同じく「昼寝部」への入部希望者であった後輩の美城ありす(みしろありす)と共に、どうにかして深織に認めてもらえないかと作戦を練る。

そんな生活を続けていたある日、主人公は夢見が悪くて深夜に目が覚めてしまい、街外れまで散歩に出たところ、謎の廃墟を見つける。主人公はその屋敷のカーテンの隙間から外を眺めていた君原結愛(きみはらゆあ)を見つけ、その姿に一目ぼれしてしまう。翌日、紬からぼーっとしている理由を聞かれた主人公は、この感情が恋かどうかには自信が持てないが、それでも結愛のことをもっと知りたいという気持ちは確かだ、と答える。主人公はその夜もう一度屋敷へと向かい、そこを廃墟だと思って肝試しに来ていたパリピを追い払うことで、結愛と知り合う。しかし、結愛は主人公を警戒してか、ドア越しにしか主人公と会話をしてくれなかった。自宅に帰り、結愛のことを考えたまま寝てしまった主人公だったが、結愛と夢を共有しなかったことで、結愛が寝ていないのではないかという疑問を抱く。主人公には親しい人の夢を勝手に見て、プライバシーを侵害しないようにする、という暗黙のルールがあり、例え結果的にみなかったにせよ、自分だけが相手の夢を見られるという状況にあることに罪悪感を覚える。

後日、主人公は結愛と仲良くなるため、再び屋敷を訪れるが、自分が他人の夢を見られる能力があることを仄めかしてしまい、結愛に怪しまれて逃げられてしまう。それでも翌日、主人公はまた屋敷を訪れ、自分の能力のことを結愛に打ち明ける。すると結愛も、自分には「悪夢を引き寄せる」能力があることを主人公にうち明ける。その能力は、同じ時間に寝ている他人の悪夢を強制的に見させられる、というもので、1度誰かの悪夢を見てしまうと、本人が悪夢を克服しない限り、ずっとその人の悪夢を見させられ、また結愛が相手の寝た時間に合わせて強制的に眠らされてしまうようになる、というものだった。また、結愛が悪夢の中で負ったダメージは、ある程度現実に反映され、この能力のせいで結愛は1人で屋敷に引きこもり、学園にもいかずに他人との接触を断つ生活を続けていた。しかし、そのことを話している途中に結愛が悪夢に引き込まれてしまい、主人公は隠された能力「介入」を使って結愛の悪夢に入る。これは主人公が夢の中の登場人物となって夢を改変する能力で、かつこの夢で未来の出来事を見た場合、夢の中でした行動が現実になるというものだった。この能力を使って一旦は悪夢を退けた結愛と主人公だったが、悪夢を見ている本人がそれを克服しない限り、結愛はまた同じ目に遭ってしまう。そこで主人公は、結愛を悪夢から救って見せる、と約束する。

主人公は、紬、深織、ありす、晃司にも協力してもらい、悪夢を見ている相手が同じ学園のクラスメイトだとつきとめ、その女生徒の夢に入って夢を改変する。また、主人公は自分の能力のことを紬、深織、ありす、晃司に打ち明け、主人公が寝ながら誰かを助けているということで深織は主人公を「昼寝部」に入部させてくれる。

この一連の事件で、主人公は結愛と友達になることができた。しかし今度は、結愛の屋敷が心霊スポットだというウワサが広がり、肝試し目当ての陽キャが毎晩訪れるようになってしまう。主人公はそれの解決を結愛から頼まれ、結愛の屋敷をキレイにすることで、人が住んでいる感を出そうと思いつく。最初は主人公1人で行っていたが、その様子を怪しんだ紬、深織、ありすが尾行し、皆で協力して屋敷を掃除し、皆が結愛と仲良くなることができた。

 

共通ルートはここまで。以降個別ルートはキャラ紹介と共に攻略順に紹介する。

 

・キャラ

 

 藍野 深織 あいの みおり 162-90-57-87

 

主人公の1つ上の先輩。昼寝部部長。寝ることが大好きでいつも寝ているが、「眠り姫」モードになると寝ながら会話したり、運動やボランティアを行うことができる。また、「眠り姫」モードの方がスペックが高く、学園側も「眠り姫」モードをあてにして学園に奉仕してもらう代わりに昼寝部という特権を与えている。1日平均20時間は寝ているらしく、会話の途中でも寝てしまうことも多いが、本人は眠ることが大好きなため、特に気にしていない。

深織ルートでは、屋敷の掃除が終わってからも、ちょくちょく結愛の家に主人公と深織の2人で遊びに行くことになる。深織は幼少期、長い間目を覚まさなかったことがあり、それがきっかけで「眠り姫」モードが目覚めたということだった。しかし、「眠り姫」モードの間にしたことについては、起きているときは覚えていない。主人公と深織は、2人で街に買い物にいったり、校内の不審者疑惑を泊まり込みで調査したり(犯人はタヌキ)しているうちに、深織は主人公と一緒にいるために、起きていたいと思うようになる。深織は主人公にキスをし、主人公からも深織に告白するためにデートに誘うが、当日、深織は待ち合わせ場所に現れなかった。主人公が深織を夢の中に探しに行くと、深織は夢に囚われていて目を覚ませない状態だった。その時は主人公が助け出すことで目を覚ます事ができたが、初めて深織は自分が自由に起きていられないことに恐怖を覚えるようになった。今までは寝る事が大好きで、かつ寝ている間に「眠り姫」モードで面倒くさいことや嫌なことは終わらせることができたため、気にしていなかったのだった。主人公は深織に告白し、2人は付き合うことになったが、デートのやり直し日でも深織は寝てしまい、夜まで起きることができなかった。

主人公は、深織が毎日ずっと「目覚めたくないほど」良い夢をみていたことを異様に思う。これまでたくさんの他人の夢を見てきた主人公の経験から、普通の人間ならいい夢だけをずっと見続けることはありえないからだ。そんなある日、街に大きな地震が起こり、深織を含めた街の人々は恐怖を感じるようになり、また深織はその日以来、初めて悪夢を見るようになる。以降深織は眠りたくないと思っているのに寝てしまうようになり、また寝ると必ず悪夢を見るようになった。主人公はそんな深織を悪夢から救い続けるが、ある日、獏が夢の中にやってきて主人公ごと悪夢を食べてしまう。間一髪で夢から抜け出した主人公だったが、目覚めた深織は獏と入れ替わってしまっていた。主人公はそれに気づかず、違和感があるまま偽深織を過ごすことになる。しかし結愛から、ずっと深織の悪夢を見続けている、と連絡を受けた事で、主人公は深織の中身が偽者であることを知る。主人公は本物の深織に会いに夢の中に行くが、「世界意志」というべき存在に深織を夢から起こすのを邪魔される。しかし獏が現れて深織を助けてくれる。深織には「眠り続けることでこの世界を保つ」役割があったが、最近主人公と付き合って眠りたくないと思うようになったことで、役割を果たせなくなったと世界意志に判断された。本来、役割を果たせなくなったものは別のものに役割を引き継ぐことになっていたが、今回はそれがうまくいかず、深織が強制的に眠らされる事態になっていた。世界意志は、役割を果たせなくなった深織の存在を消滅させようとしていたが、獏が身代わりとなることで、代わりに獏が消滅することとなった。また、獏が交渉したことにより、深織の役割は結愛が引き継ぐことになった。獏はずっと深織の味方で、「眠り姫」として深織に入ることで、嫌なことを引き受け、また良い夢を深織に見せることで、深織の役割が少しでも楽になるようにと気遣っていた。深織は獏を失い、幸せな夢の中にはいられなくなったが、これからはきちんと起きて、自分で歩いていくことを決意する。深織は学園を卒業し、医者となって今度は自分が人々を支えていくのだという「夢」に向かって一歩を踏み出すのだった、というところでおわり。

なお、このルートでは結愛は主人公たちからも忘れ去られ、1人で眠り続けることになるが、このことについての詳しい説明は結愛ルートで行う。

本作のルートクリア後に開放されるHシーンは、どれも夢の中での現実に起こりえないシチュがコンセプトになっており、深織の場合はロリ深織とHできる。しかし、それっぽさはあまりなかったので、通常と変わらない感じがした。

急に「世界意志」が現れてびっくりしたが、この作品はいわゆるセカイ系で、それを仄めかすような描写もあちこちにあるため、まあ既定路線というところ。

CVはそよかぜみらいさん。同人音声界隈(特にloseの作品)でよく聞く名前だという個人的な印象があったが、エロゲではあまり印象がなかったため驚いた。演技については特に語ることは無い。

 

 

 美城 ありす みしろ ありす 146-71-52-71

 

主人公の1つ下の後輩。みんなの妹を自称している。年上の人のことは皆「おにーさん」「おねーさん」と呼ぶ。学校で会うと主人公の背中に走って飛び乗ってくる、元気系妹。自称は「ありす」。

以前から夢の中で別の世界(描写からこの現実世界のことと思われる)の「ありす」とつながっていた。「ありす」は重い病気で入院しており、「ありす」の夢がアイドルであったことから、こちらの世界のありすもアイドルを目指し、その夢を自分がかなえてあげる事で元気をあげようと考えていた。そのための手段として、毎朝スピーカーから流れる録音の子守唄の代わりに、自分が生で子守唄を歌うことを考えており、度々子守唄を流している時計塔に侵入しようとして撃退されていた。

ありすルートでは、主人公がありすの夢を応援することになり、時計塔で歌う方法を考え、そして自覚なき音痴だったありすのために歌の特訓を行っていくことになる。ありすは自分の事を真剣に考えてくれる主人公に惹かれていく。ありすの歌を見ているうちに、自分に自信がないから無意識に変な歌い方をしていることに気付いた主人公は、ありす自身の事を知りたいと思うようになる。ありすはあまり話してくれないが、ありすの父が昔時計塔の技師をしていたことと、双子の姉がいたことがわかる。また、主人公は街の投書箱に毎日生の子守唄を聞きたいという投書を出しており、それが市長の耳に入って、学園で1人だけ、子守唄を歌える権利をかけたコンクールが開かれることに決まる。晃司による歌の特訓、結愛によるアイドル衣装の制作、主人公による励ましがあって、ありすは見事コンクールで優勝し、子守唄を歌う事ができた。ありすは夢が叶ったのでアイドルはこれで卒業し、次は主人公だけの女の子になりたい、と主人公に告白する。主人公もそれに応えた事で、2人は恋人同士となる。

しかし、コンクール優勝の反響は思ったより大きく、ありすは街の人気者となり、イベントの予定がみっちり詰まって主人公と会えなくなってしまう。主人公はそれでも一般参加者に混じってありすを見守っていたが、ある時ありすが歌いながらつらそうな顔をしており、また歌えなくなってきていることがわかる。さらに結愛から、ありすが病室の誰かに謝っている悪夢を見続けている、という報告を受ける。ありすは悪夢のことを主人公に隠していたことから、主人公はショックを受けるが、そんなときありすが急に倒れて病院へ運ばれてしまう。その場におらず、ありすの居場所がわからなかった主人公は、ありすの担任を騙してありすの家の住所と、家の事情を聞きだす。

ありすはもう何年も、父と姉を亡くし、心を病んでしまって入院した母親の面倒を見るため、病院に住んでいた。母親に扶養能力が無いとみなされたため、ありすは最初施設に預けられたが、院長の養子となって病院に住むことを認められているということだった。また、父と姉は地震による時計塔の崩落事故で亡くなっていた。さらに母親は、ありすのことを死んでしまった姉のまりあだと思い込んでおり、ありすもそれを演じていた。診断の結果、ありすは夢で見た別世界の「ありす」と同じ病気にかかっており、段々身体が動かなくなっていくことがわかる。主人公はありすを助けるため、ありすを通してもう1人の「ありす」の夢に入り、彼女と対話をする。そして、ありすと「ありす」は、夢を通してつながってしまったからこそ、ありすにも病気の影響が出ているということがわかる。

また、ありすが子守唄を歌いたかった本当の理由も明らかになる。ありすは、自分の事を母親に認識してもらうために子守唄を歌いたかったのだが、実際に歌った後も、自分の歌声を聞いていたにもかかわらず、態度が変わらなかった母親を見て、全てをあきらめてしまい、歌うのも嫌いになったということだった。そこで主人公は、母親の気持ちを知るため、母親の夢の中へ侵入する。事故があった日、母親はありすと父の2人を、後からまりあに時計塔に迎えにいかせていた。その時母親は、ありすを1人で先にいかせたことを後悔しており、まりあが2人を連れて帰ってきてくれるに違いないと信じていた。つまり、母親はありすを愛していなかったのではなく、まりあが2人を連れて帰ってくるはずだと信じて、まりあを頼っていたからこそのまりあを探す発言であり、それにありすが乗ってしまい、姉を演じてしまったが故のすれ違いがあったことが分かった。主人公は、母親を悪夢から救い出し、母親の意識を正気に戻す。さらに再びもう1人の「ありす」に会いに夢へ行き、ありすとの縁を断ち切ることで、ありすの病気をなくす。また、ありすもこれまで「ありす」のことを亡くなった姉のように感じていたが、それに依存するのを辞め、1人立ちすることを決意して終わり。

ルートクリア後のHシーンは、犬耳犬しっぽをつけた犬獣人モードのありすとHするシチュだった。

細かいところを突っ込んでしまうとダメな気がするので、シナリオには言及しないことにする。共通ルートからずっと、ウザくならないくらいの絶妙な元気加減で場を盛り上げてくれるので、このキャラは結構気に入っていた。他ルートでは、他のヒロインに遠慮して背中に乗ってこないぐらいは空気が読める。貧乳キャラのはずだが、CGによってはかなり胸があるように見えるのが残念。

CVは鹿野まなかさん。知らなかったが、同人界隈では野上菜月名義で活動をしているらしく、そちらの声では聞き覚えがあった。ただ、同人音声では落ち着いたお姉さん役を担当することが多いイメージで、ロリ系の演技を違和感なくできるのは驚いた。

 

 

 小鳥遊 紬 たかなし つむぎ 160-80-55-82

 

主人公の遠い親戚で幼馴染。いつも主人公の世話を焼いている。昔、母親を亡くした主人公は紬の家で暮らしていたが、最近1人暮らしを始めて引っ越した。クラス公認の仲だが、距離が近すぎてお互いに恋愛対象だとは認識していない。また距離が近すぎて主人公からはいつも雑に扱われている。「女の勘」で主人公のバカな行動(女子更衣室覗き等)を先回りして止めに来ることがある。内弁慶で、主人公には強く出られるが、他人には距離をとりがち。また本番に弱い。

紬ルートでは、主人公が紬をいつも雑に扱っていることを反省し、一方的に紬の優しさに甘えるのは止めようと決めるが、それでも紬からの過干渉ともいえる世話焼きに困ってしまう。紬は主人公が昔発言した、結愛に一目ぼれした、というセリフをずっと真に受けていて、主人公と結愛をくっつけるために3人で結愛の家で遊んだりと色々と世話を焼く。そんな時、紬に予知夢の能力があることがわかるが、紬がそれを隠したがったことで、主人公とギクシャクしてしまう。紬は過去にその能力を使って主人公にしてしまったことが原因で、罪悪感があり、主人公に能力について打ち明けられなかったのだった。

時は過ぎ、主人公たちの学園で、文化祭が行われることになり、主人公たちのクラスは人形劇をやることになる。紬は能力のことが主人公にバレてから、段々と主人公のことを意識するようになり、結愛と主人公が付き合うことを祝福できないと考えるようになる。そんなとき、結愛と主人公が裸でくっついている場面を予知夢で見てしまい、主人公から逃げて引きこもってしまう。主人公は、わざと橋の欄干に立って川に飛び込むフリをして待つことで、紬に予知夢を見させ、紬をおびきよせようと考える。紬は目論見通り主人公を止めに家を飛び出してくるが、結局2人とも川に落ちてしまう。川に落ちて色々と吹っ切れた紬は、主人公に自分の能力について打ち明ける。

紬の持つ予知夢は、紬にとって特別な出来事が起こるときには強制的な睡眠を伴って見るものであり、昔から自分にとって嫌な未来を回避するため、この力を使って未来を改変してきた。しかし、それは他人の未来を勝手に改変することであり、例えば幼少期、主人公に告白しようとしていた別の女の子の行動を予知夢を使って妨害したことがあり、そのことが紬に、未来を改変することへの深い罪悪感を抱かせていた。主人公は、重要な未来はそんなことでは変わらない、自分の能力に対して自意識過剰だと紬を慰めるが、紬はそれでは納得しなかった。さらに今も、主人公を結愛の元に行かせないために引き留めていることから、自分の醜さに自己嫌悪を覚えていた。一方結愛は、シャワーが壊れたために裸であり、修理のために主人公を呼びつけようとしていただけだった。紬は主人公のことが好きだと自覚するが、主人公は結愛のことが好きだと思い込んでいるため、ケジメをつける意味で結愛に主人公のことを相談しに行く。そこで結愛にはっきりと否定され、主人公に告白するように発破をかけられる。紬は主人公に会いに街に戻るが、一方紬が誰にも相談せず深夜に姿を消したことから主人公も紬を探していた。2人は街中で出会い、紬から、今まで主人公の成長から目をそらして世話を焼き続けてきたのは、今の関係を壊したくなかったからだったが、そろそろ大人になるための1歩を踏み出さなくてはならない、と主人公に告白する。主人公も、紬が大切な存在だと気づいたことで、その告白を受け入れる。

2人はそのまま文化祭の準備を続け、本番ではアクシデントがあったものの、主人公のことを頼り、初めて自分の弱みを主人公に見せる事ができるようになった。そんなとき、紬と結愛が同じ悪夢を見る。それは病室でベッドにいる結愛を紬が心配している夢であり、結愛はそのことを紬に問い詰めるが、紬は何かを思い出したようだった。そして紬は、結愛を無理やり街から連れ出そうと、手を引いて汽車に乗ろうとするが、世界からの妨害を受けて汽車から車外に放り出されてしまう。主人公は後から追いついて、線路沿いに倒れている2人を見つけ、病院に運ぶが、目が覚めると結愛は紬のことを忘れており、また紬もなぜか主人公の事を拒絶した。それから紬は世界から拒絶され、クラスメイトや両親も紬のことを忘れていく中、まだ紬の事を覚えていた主人公は、紬を探して街中を走りまわる。紬は結愛の親友で、結愛を元の世界に帰すためにこの街にやってきた存在だったが、世界の妨害により記憶を失っていた。しかしすべてを思い出した紬は、世界の干渉を防ぐため、文化祭の人形劇で結愛に作ってもらった天使の人形を使って、劇の形で結愛に真実を伝えようとする。結愛もそのことを思い出すが、その代償として紬に世界の理によって雷が落ちてくる。しかし、間一髪で主人公が紬の身代わりとなり、代わりに雷を受ける。主人公は、紬が寝ている間に見ていた予知夢の中でのこの結末を一緒に見ていて、夢の中で何度もこの展開を繰り返し、紬が死なない結末を考えだしていた。そして主人公は天使の力を思い出した結愛によって助けられ、この世界に生き返った。そして結愛は紬と主人公のために、この世界に残って、世界を維持することを選び、紬はこの世界で主人公と暮らし続けることに決めたところで終わり。

書いていると、最初は結愛を助けるためにこの世界に来たのに、自分が主人公と別れたくないために結愛にこの世界に残ることを決断させた紬さん...となるルートだった。

ルートクリア後のHシーンは、ギャルと化した紬とするシチュで、ギャルがそんなに好きではないので刺さらなかった。

一方、主人公と付き合いだしてから、主人公が出かけた後の部屋でオナニーするシーンがあるのだが、そのとき妄想で主人公の真似をして1人2役をする紬が可愛かった。

主人公との関係性の変化については幼馴染ルートの鉄板ともいえる流れで、幼馴染である分、他のヒロインとは主人公と積み重ねた時間にアドバンテージがあり、付き合ってからの主人公との雰囲気に1段熟成が進んだ関係性が見られるのがとてもよかった。何も言わなくても察してくれたり、一見すると悪口にも聞こえることを、照れ隠しだとわかっていたり、主人公に対する信頼度が特に高かったりするのは、幼馴染ヒロインならではで、とてもいいと思った。

一方、終盤の結愛を説得するシーンでは、文化祭で行った人形劇という伏線があり、天使の人形を一緒に作ったという伏線もあり、1枚絵のCGもあってとても盛り上がるはずだが、CGが紬が壁の下にしゃがんで腕を突き出している構図であり、結愛も人形も描かれていないほか、紬の語りが淡々と流れるのみなため、いまいち盛り上がれないのが残念だった。ここで紬の話に合わせた紙芝居的な絵を何枚か出しておけばかなりよかっただろうにと思われた。

CVは鈴谷まやさん。キャラとばっちりあっていて素晴らしい演技だと思った。今回の作品で、個人的には鈴谷まやさんはギャル系、小悪魔系より清楚系ヒロインの演技が合うと思ったのだが、おまけシーンもギャル系だったし、鈴谷まやさん=ギャルというイメージがあるのだろうか。

 

 

 君原 結愛 きみはら ゆあ 154-84-57-83

 

街外れの洋館に住む少女。主人公とは同級生。悪夢を引き寄せる体質なのもあり、学校には行かずに屋敷に引きこもっている。人見知りかつ毒舌家だが、それは他人と深くかかわるのを恐れているため。趣味は料理と裁縫とゲームで、屋敷から出ず、また夜寝ないようにするために時間が有り余っていたため、どれもプロ級の腕前。白髪で白ワンピ、薄幸系で巨乳とオタクの好きな要素が詰まったセンターヒロイン。

結愛ルートでは、結愛の屋敷の掃除をした後も、毎日結愛の屋敷に入り浸るようになる。主人公も、結愛のためにお土産を持って行ったり、屋敷のメンテナンスをしたりと、結愛の世話をするが、自分のためにどうしてそんなに尽くしてくれるのか、という質問にうまく答えられなかったせいで、結愛との間がギクシャクしてしまう。そんなある日、結愛の誕生日パーティをやることに決まり、主人公は当日までウジウジした挙句、遅れてパーティに行くが、結局結愛のことを大切な友達だとはっきり言いきる。しかし同時に、結愛のことを本気で好きになってしまった自分にも気づく。結愛も、主人公を友人として受け入れてくれたようだったが、まだどこか壁があるところがあった。そして、ふとしたことがきっかけで、結愛を学園に戻ってこないか、と主人公が誘うが、結愛は明確に拒絶する。主人公はお詫びも兼ねて、結愛とデートすることにし、結愛もまんざらでもない風だったが、街中で結愛が学園に通っていた時の知り合いを見かける。相手には気づかれなかったが、結愛は過呼吸になり倒れてしまう。結愛は去年、学園に通っていた時にその女子と友達だと思っていたが、ある時その女子が結愛のことを殺している、という悪夢を見続けてしまい、それ以来人間不信になって不登校になった過去があった。主人公は、後日その女子と学園で話し、事情を聞く。真相は、その女子が好きだった男子生徒が結愛のことが好きだったことから起こった一時的な嫉妬で、その女子も当時の事を後悔していた。主人公は文化祭を口実に結愛とその女生徒を無理やり引き合わせ、結愛に過去と向き合わせる。主人公のとりなしもあって、結愛は真実を知り、その過去を受け入れ、他人を拒絶しがちな態度を改めることを決意する。また、結愛から主人公に告白し、2人は付き合う事になる。初めてのセックス後、2人は一緒に寝たことから主人公は結愛の夢に入る。そこで結愛は、世界を守ることに決めたと主人公に伝え、「夢渡り」の能力と天使の全能を結愛に戻し、「悪夢を引き寄せる力」を主人公に戻す。2人の能力は元々逆だったが、幼少期に主人公が悪夢の中で結愛と出会い、結愛を助けるために能力を交換していたことが明らかになる。

結愛は翌日から学園に復帰することになり、1日が描写されるが、それは結愛の見ている夢で、実際には結愛は目覚めないままのシーンで1周目は終わる。

ルートクリア後の追加Hシーンは、スク水を着た結愛と川岸でするシチュだった。

 

1周目をクリアするとタイトル画面からTrueルートに行ける。

結愛が目覚めなくなってから日々が過ぎていき、待つしかできない主人公は焦燥感を感じていた。また主人公はあれ以来、他人の夢に入れなくなったこともわかる。そんなある日、主人公は昔の出来事を夢に見る。主人公は幼少期、病気でうなされている母親を見て、「悪夢をやっつける能力」を神に祈った。その出来事を思い出した主人公は、当時「悪夢祓い」と呼んでいた、自分の本当の能力の使い方を思い出す。それは知らない他人であっても、夢の道を通って、特定の誰かの悪夢の中に入れる能力だった。そして主人公は、昔その道をたどって結愛の悪夢の中にたどり着き、結愛をそこから連れ出そうとしたことも思いだす。その時は世界の怒りに触れて失敗してしまったが、主人公がこれまでずっと他人の夢を見続けていた理由は、もう一度結愛に会って今度こそ助けるためであったことも思いだす。そして主人公は能力を使用し、結愛の夢の中にたどり着くが、今度は結愛から拒絶されてしまう。さらに、結愛を夢から解放しようとしたため、「世界意志」が形をとって現れ、主人公の邪魔をしてくる。主人公は「世界意志」から、この世界は伝承の天使が作り出した夢の世界であること、元々は天使がこの世界を維持していたが、今は天使は目覚めてしまい、誰かが包括的にこの世界を夢に見ていなければ、世界が維持できないこと、この街にいる人々は、夢を介してこの世界に現れ、そしてまた元の世界へと戻っていくが、この世界での一生は元の世界での一夜の夢に過ぎない事、を明かされる。本来であれば、世界を夢に見る役割は、夢渡りの能力を使って新しい誰かを説得し、引き継ぐことで世界は保たれていたのだが、ただ人ではなく能力を持っていた主人公と結愛が出会ってしまったことで、その流れがおかしくなってしまっていた。ここで主人公は、結愛を起こすか起こさないかを「世界意志」に尋ねられる。

結愛を起こさない、とBADルートに入る。主人公は、この世界を守りたい、という結愛の意志を尊重することにした。結愛は、他人を同じ役割につかせ、世界のために犠牲にすることができず、この役割はずっと自分が背負っていくことを決めていた。主人公はそんな結愛と一緒に、永遠に2人だけの夢の世界にいることを選んだことで終わり。

終末、2人きり、永遠というテーマが好きなので、この時のCGはよかった。

結愛を起こす、とTrueルートに入る。主人公は、結愛1人が世界のために犠牲にならなければいけないのはおかしいと主張し、この夢の世界に住む10,235人の夢の中に、能力を使って同時に出現し、事情を全て説明したうえで、夢の世界の存続についての住民投票を行わせる。その結果、この世界は終わらせるべき、と答えた人が9,863人、棄権者が372人で、今のシステムのまま世界を存続させるべき、と答えた人は0人だった。この結果を踏まえて、主人公は「世界意志」に対して、この世界は終わらせることにする、と伝え、その人々の選択を「世界意志」も受け入れる。

しかし、世界はすぐに崩壊するわけではなく、ロスタイムがあった。主人公たちは1週間後に最後の学園祭を行うことを決め、その準備に向けて奔走するが、皆の中には元の世界で目覚めた時に、場所や時間が人によって異なり、また夢の世界の記憶もなくしているかもしれない、という不安があった。さらに主人公は、自分が幼かったころ、母親がまだ生きていたころの悪夢を見始めるようになる。そんなこんなで時は過ぎていき、学園祭前夜に、ありすが迎えに来た姉と父と共に母親と家族で一足先に元の世界に帰ってしまう。さらに深織が、主人公の夢の中に現れ、獏と一緒に夢の中から元の世界に帰っていく。そして紬が、主人公と結愛の最期を予知夢で見たことから、邪魔しないように一足先に元の世界に帰る。こうして知り合いもほとんどいなくなってしまった夢の世界で、最後の時が始まろうとしていた。学園祭が終わり、街の人々が次々と消えていく中、結愛は主人公を探すが見つからない。街外れで主人公を見つけた結愛は、主人公から自らの出自に関する話を聞く。主人公は本物の天使が、夢の世界を管理するために生み出した「導き手」であり、元の世界にはいない存在だった。主人公はこの世界における全能を与えられ、眠ってばかりの天使に代わって「尊いもの」を探していたが、いつまでたってもそれを見つけられず、破壊と創造を繰り返される世界と、天使に絶望し、天使を強制的に目覚めさせてすべてを終わらせようとした。しかし、世界の中の人々が嘆き悲しんだことで、世界を維持するための「天使システム」を人々へと託した。その後主人公は「導き手」としての記憶と全能を失う代わりに、人としてこの世界に転生したのだった。しかし、主人公はこれ以上大切な人と別れることに耐えられないため、結愛を元の世界に帰し、この世界に1人で留まる選択をしたのだった。最後に世界に1人残った主人公の前に神が現れ、「尊いもの」とは何かを尋ねる。主人公はそれは人間としての営みだと答える。また、天使も主人公のおかげで、「尊いもの」とは人間の愛だという答えにたどり着いていた。そして天使は、天界に帰る前の最後の力を使って、主人公を現実へと顕現させることにした。最後は、記憶をなくした主人公が、同じく記憶をなくしているが、デジャブを感じているありす、深織、紬、結愛と出会うところで終わり。

世界が終わっていく、というこの上なく自分好みのシチュなのに、圧倒的な心理描写不足が目立った。特に、ヒロインが1人ずつ去っていく、というシチュはそれぞれにCGが用意されていたこともあり、かなり熱いシーンのはずだったが、淡々と進んでいくほか、ヒロインが先に帰る理由にあまり正当性がわかなかったため、微妙にうつってしまった。なお、この一連の帰宅ラッシュで一番かっこよかったのは晃司であり、主人公が迷子になった女の子を見つける→女の子に声をかけてしまうと、先に帰ることになると本能的に悟る→それでも困っている女の子を放っておけないため、声をかけようとしたところ、晃司が横から出てきて代わってくれる→お前は結愛との時間を大切にしろと捨て台詞、と最高にキマっていた。この時点で主人公は自分が元の世界には帰れないと分かっており、それでもなんとか笑顔で晃司と再会の約束をするところもよかった。

結愛は、この作品のヒロインの中では唯一、好感度に応じて態度のあからさまな変化のあるキャラで、特に付き合ってからは主人公に甘々になり、依存気味になるところが可愛くてよかった。やはりツンデレは正義。

CVは夏和小さん。2023年現在では数多くの作品で見かけるようになり、演技にも慣れてきた。

 

・おわりに

 

上述した最期の演出がいまいちだったことがとにかく惜しい作品だった。世界観周りの事はこんなものだろうな、という感想。シナリオゲーのような顔をしておきながら、意外とヒロインたちが可愛かったのが予想外でよかった。