shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題38

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

早速ですが、今回紹介する作品はこちら。

 

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涼風のメルト -Where wishes are drawn to each other- official�Web�Site(涼風のメルトオフィシャルウェブサイト)|トップページ

 

2010年8月27日にWhirlpoolより発売された「涼風のメルト-Where wishes are drawn to each other-」です。英語部分の直訳は「願いが互いに引き寄せられる場所」らしいです。

Whirlpoolといえば「Justy×Nasty 〜魔王はじめました〜」や「猫忍えくすはーと」などの作品が有名なのではないかと思います。今作は私の好きなこもわた遙華先生がSD原画を担当しており、そのことをこもわた先生の同人誌「えろげのSDのほん」で触れていたため、前からプレイしてみたいと思っていました。

それに加え、題材が土地神とその伝承のお話という、自分の好きな民俗学的な内容だったこと、fanzaで続編のFDと合わせて500円でセールをしていたことも購入するきっかけとなりました。

2010年の作品という事で、私がエロゲを始めたぐらいの時期の作品であり、出演声優のラインナップにそこはかとない安心感を覚えたのもよかったポイントだったと思います。

シナリオがかなり長く、また整合性がとれているとは言い難い部分もあったため、よくわからない部分もありましたが、よければお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは5人。それぞれのルート本編をクリアすると、「絆語り」という過去の出来事及び本編のアフターシナリオが解放される。さらに最後の1人は他4人のルートをクリアしないと選択できない「神語り」というシナリオのみで攻略できる、実質的なグランドルートとなっている。

プレイ時間は共通4~5時間に合わせて各キャラの個別ルートが「絆語り」を合わせて3~4時間ほど、「神語り」も4~5時間ほどかかり、全体では25時間ほどかかるという大作となっている。

回想数は各キャラ本編2回+「絆語り」で1回の計3回。「神語り」中でも3回。

オススメ攻略順は

佳華→月音→捺菜→羽衣→涼(固定)

個人的には捺菜を4番目に持ってこないのは抵抗があるが、羽衣の「絆語り」プレイ前には捺菜の「絆語り」をやっておいた方がシナリオ的に都合がいいため、この順番とした。なお、「絆語り」は各キャラ本編終了後に続けてやった方がよい。

 

・あらすじ

 

高校2年生の主人公、瀬川彰人(せがわあきひと)の住む御代街(みしろまち)には、古くから土地神伝承があった。土地神と精霊によってその土地は守られているとされ、今ではそのことを信じているものはあまりいないが、それでも10年に1度土地神祭が開かれ、住民は土地神への感謝を捧げていた。主人公は土地神祭において巫女に人々の願いを奉納する神官の家系であり、郷土史研究部の部員として部長の榎本佳華(えのもとよしか)に追い立てられながら、祭りについて調査を行う日々を送っていた。また、今年の祭りでは主人公の幼馴染である椿捺菜(つばきなずな)が、代替わりにより新たな巫女に選ばれることが決まっていた。巫女は人々の願いを土地神に伝える役割を果たし、また土地神に仕えるため、祭りの日以外は土地神の住まうと言われている森から出ることなく生涯を過ごすと言われていた。主人公だけが、神官という立場から捺菜が巫女であることを知っており、今年の8月1日に行われる土地神祭をもって高校を中退することになる捺菜に最後の思い出を作ってあげたいという想いを持っていた。

郷土史研究部のメンバーは佳華、捺菜、主人公のほかに1つ上の先輩である柊月音(ひいらぎつきの)、主人公の悪友の谷口康介(たにぐちこうすけ)がおり、さらに時期外れの転校生として、1つ下の後輩である楸木原羽衣(ひさぎはらうい)が新しくメンバーに加わった。彼らは1学期の期末テストも終わり、夏休みに向けて活動を再開しようとしていた。そんなとき主人公は、テレビの地元ニュースに映った謎の生き物を見つける。その姿は他の人には見えておらず、それを確かめに行った主人公は、ついてきた捺菜からそれが精霊と呼ばれるものであることを知る。捺菜にも精霊が見えており、そのことについて質問した主人公は、証拠を見せると言う捺菜に連れられて土地神の森に入る。森の中には結界があり、精霊と心を通わせていないと通れなくなっていたが、なぜか主人公はそれを突破することができた。結界内(禁足地と呼称)にはたくさんの精霊が暮らしており、さらに主人公はそこで土地神と出会った。土地神は禁足地で精霊と共に暮らしていたが、最近になって結界から精霊が逃げ出してしまうことが多くなっており、巫女である捺菜はそれを連れ戻す仕事を密かに行っていた。なぜか精霊を視認できた主人公は、自分もそれに協力することを申し出る。精霊とは生物の強い想いが具現化して産まれた存在であり、その原因となる想いがかなえられたとき、昇華して消えることがわかっていた。土地神はこの地で精霊を昇華させる役目を持っていた。

しばらくは捺菜と2人で逃げ出した精霊探しに奔走する主人公だったが、度重なる部活の欠席や急用により佳華が不信感を抱き、それを皮切りにして部員たちに精霊のことがばれてしまう。それからは部活動の一貫として、皆で精霊を探すことになるのだった。

 

共通ルートとしてはここまで。これ以降は個別キャラルートの方で紹介する。

巫女として森に入らなければならないから高校を中退する、という設定があまりにも現代の世界観と合わないにも関わらず、それを納得させるだけの理由が最後まで弱かったのが気になった。タイムリミットまで主人公や仲間たちとの最期の時を過ごす、という自分的には好きなシチュエーションが書かれていたにも関わらず、まだ物語の世界観を理解していない段階からそれが進んでいくので、話に入れきれなかったというのが正直なところで、それがもったいないと思った。

また、途中からは主人公か捺菜が精霊を見つける→部員の1人に精霊を探している現場を見られる→事情を話し、皆で苦労してそれを捕まえる、という流れが何度か繰り返されるので冗長であったことも残念だった。

また、主人公の親友ポジの康介に対しては、部活動に必要な道具を自費で人数分買わせる、アポを取ってこさせ、康介抜きでそこに行く、代わりに先生に怒られるための生贄にする、精霊の事を教えず活動からハブる、など扱いがひどく、男キャラの扱いなど普段気にしたことはなかったが、この作品ではなぜか悪い意味で気になった。

 

・キャラ

 

攻略順に紹介していく

 

f:id:shanxdl:20220321173035p:plain 榎本 佳華 えのもと よしか  165-80-56-81

 

主人公と同学年の高2で、郷土史研究部の部長。御代街の郷土史に強い興味があり、高校入学時に主人公が土地神祭の神官の家系だと知って、研究対象にするため無理矢理郷土史研究部に勧誘した。幼馴染である捺菜と、親友だった康介もついてきた。捺菜の親友でもある。性格は男勝りで強引なところがあり、いつも主人公たちを巻き込んで研究を行っている。わかりやすく言えばハルヒ

貧乳であることにコンプレックスがあるが、CGではうまく反映されておらず普通に胸があるように見える(のが残念)。というかこの3サイズでは貧乳ではないのでは??

また個別ルートではしおらしい一面も見せるが、それ以外のルートでは強引な性格からのウザさが際立つところから人気が低いらしい。

 

主人公と捺菜が部活を休んでコソコソ何かをしていることに不信感を持ち、主人公たちを尾行して精霊の事を聞き出す。自身は精霊が見えないが、それでも精霊の存在を信じ、精霊探しに協力してくれる。

また、土地神祭について強い興味を持っており、祭りの準備会場にカメラを持って現れては、関係者以外立ち入り禁止の場所に入ってつまみ出されることを繰り返していた。そこで佳華は祭りの手伝いを率先して行う事で、関係者の信頼を得ることに成功した。また、佳華が郷土史を研究するきっかけとなった有名な民俗学者、藤林玲於奈(ふじばやしれおな)が町長に招かれて祭りの研究に来た現場に立ち会い、その熱心さから祭りでの願い奉納の儀式のリハの見学を許される。しかし、主人公は佳華が玲於奈に精霊の事を話してしまう可能性、そして佳華にリハを見られている緊張からか、うまくリハーサルを行うことができなかった。リハーサルは後日に持ち越しとなり、また、佳華は精霊の事は心配しなくても玲於奈にはいっていないことを主人公に伝える。

リハやり直し当日はひどい台風の日で、リハ自体はうまくいったが、なぜか佳華と連絡がつかなくなる。佳華は街で弱った精霊を見つけ、リハーサルで連絡がつかなかった主人公と捺菜に代わって、精霊を結界内に戻そうと1人で禁足地に向かったのだった。精霊には自身が緊急である場合には誰にでも姿が見えるようになるという設定があり、それで佳華は精霊を視認することができた。佳華が保護した精霊は力の強い個体で、佳華はその精霊と共に結界を突破することができた。結界内は常に晴天であり、主人公はその中で精霊と戯れていた佳華を発見した。精霊、土地神という存在を目の当たりにし、学術的興味から帰りたくないという佳華を主人公は説得し、また佳華の助けた精霊が佳華になついたため、土地神はその精霊を佳華に託し、佳華は結界内に自由に出入りできるようになった。

そんなこんなで土地神祭当日になり、儀式を終えた捺菜は森に入ることになった。このあたりの描写は捺菜ルートではないので巻きで進行する。主人公は儀式の日に佳華に告白し、森に入る捺菜を2人で見送ることとなる。捺菜が主人公に好意を持っていることはすぐにわかるので、主人公を取られた捺菜がかわいそうだが、この辺りは捺菜ルートで詳しく語られる。さらに翌日、部員たちにも恋人になったことを報告し、放課後の部室で初Hをする。教室の床に寝させられる佳華がかわいそうだったが、途中から主人公がそれに気づいたのはヨシ。

以降主人公と佳華は部活動を行いながら、禁足地へ行って捺菜に会う生活を送っていたが、ある日玲於奈が部室を訪ねてくる。玲於奈は祭りについて調べており、土地神、そして巫女がどこにいるのかを主人公たちに探ってくるが、主人公はなんとか誤魔化す。玲於奈は以降主人公たちを尾行することになり、主人公は捺菜と土地神を守るために一時的に禁足地を訪ねるのを辞める。その攻防の中で、佳華は玲於奈の研究を「冷たさを感じる」と評し、自分も同じく郷土史を研究する者だが、自分はもっと人の想いを感じられるような研究がしたい、と考えるようになる。そこで佳華は精霊などの「語ることのできない歴史」について絵本の形で、次世代を担う子供たちに伝えていきたいという想いを持つ。主人公もそれに協力し、2人の夢が形作られようとしていた。そんな時、土地神の住む森に調査隊が入ることがわかる。佳華についてきた精霊は完全記録能力を持っており、1度きりしか再生できない代わりに、録画した出来事を五感ありで完全に再生することができた。主人公と佳華は精霊を使って玲於奈を尾行させ、玲於奈の企みを暴こうとする。

事件の黒幕は町長だった。町長は神官の家系ということで祭りの日や普段においても主人公に対して便宜を図ってくれていたが、私利私欲のために玲於奈を利用して土地神の力を解明し、あわよくばそれを手に入れようとしていた。また玲於奈も利用されていると分かっていながら、自身の研究のためにそれをよしとしていた。主人公はこれを阻止しようと、玲於奈に接触し情報を引き出そうとするが、逆に土地神の持つ力が「言霊」であることを玲於奈に見抜かれてしまう。玲於奈と町長は、神官の家系は奇跡の代行者として街を救ってきた伝承があることから、主人公を捕まえて無理矢理力を使わせようとする。主人公は部員たちの協力を得て禁足地へ逃げ込み、町長らの追手を撒くが、代わりに佳華が人質として捕まってしまう。主人公は佳華を助けるため、土地神の力を少しだけ分けてもらい、町長の元に向かう。町長の願いは不老不死であり、主人公は言霊の力を使ってそれを叶える。さらに、その願いによって代行者としての力は使い果たされたことを証明し、佳華を解放してもらおうとするが、用済みだと判断した町長に銃で撃たれそうになる。そこで主人公は作戦通りに、精霊の力を使う。佳華の精霊の再生能力は言霊の力まで再現できるものであり、それを用いて主人公はあらかじめ使っておいた「これまでの願いの取り消しと記憶の消去」という言霊を再度発動させる。これにより町長にかかった不老不死と、土地神の力に関する記憶は消去され、開発は中断となり、土地神の森は守られることとなった。最後に主人公と佳華が、土地神と精霊の住むこの街、この景色を守っていこうと決意するところでおわり。

他ルートをやればわかるが、このルートだけかなり異質であり、また言霊の力の使い方、町長との対決シーンなどかなりご都合展開が多い。また玲於奈は、町長に撃たれそうになった主人公を庇って怪我をするシーンがあるが、それまでの言動から考えて急に改心した理由が謎であり、またそれだけで許されたような空気になっているところも納得がいかない。さらに、町長が本性を発揮するのはこのルートだけだが、他ルートでも大元の流れは同じとなっているのに、町長がおとなしくしているところに違和感を感じた。

 

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佳華についてきてくれた精霊。名前はごまちゃん(佳華命名)。かなり力の強い精霊であり、禁足地の結界を抜けることができる。完全記録能力を持つ。

本作の精霊は、キービジュアルにもいくつか描かれているが、総じてパクリもしくは思っていたのと違う造形、であったが、実は重要な役割を持つ。

 

〇絆語り

 

物語が急に過去に飛ぶ。登場人物は本編登場ヒロインの転生前の存在であり、顔と声は同じとなっている。これを見ることで、物語の世界観の補完ができる。

 

佳華の前世である恵(めぐみ)は御代村で神官をしている明人(あきひと)の双子の妹であり、神官が2人いる珍しい代であった。明人も恵も土地神と触れ合うことができたので、禁足地に行って土地神の世話をしながら、明人が狩りをして生計を立てていた。恵は兄妹でありながら明人のことが好きであり、それを隠して過ごしていたが、ひょんなことから村中にウワサを流されてしまう。それが本当であることから強く否定できず、明人に迷惑がかかると考えた恵は、村を出て禁足地で土地神の世話をして過ごすことを決める。これが巫女の始まりであった。

それから50年後、村人の土地神に対する信仰が足りず、土地神の力が十分たまらずに、願いをかなえられずに土地神が倒れてしまった年があった。恵は倒れてしまった土地神に代わって、土地神の力を肩代わりし、願いを叶えることに成功するが、その代償として恵は死んでしまった。最期に土地神は、恵の想いを飛ばして、明人に想いを伝えたいと言う願いを叶えてくれた。恵は明人に想いを伝え、明人も恵を女性として好きだったことに気付いた、という告白をし、生まれ変わった時は結ばれることを誓い合った。

本編で、主人公が佳華を呼ぶ声は、佳華がどこにいても聞こえるという設定があったのはこの恵と明人の想いが言霊となって主人公に宿ったことが原因だと考えられる。また老いた恵の立ち絵があることにはびっくりした。

 

次に時間は本編アフターに飛ぶ。月音のツテで佳華の絵本が出版されることになり、主人公と佳華はその作業に追われていた。そんな中、ごまちゃんが急に光り出し、上記の恵の話を主人公と佳華に伝える。実はごまちゃんは恵の強い想いが精霊となったものであり、そのため生まれ変わりである佳華についていたのだ。主人公と佳華が恋人になり、自分の願いが果たされたことにより、ごまちゃん(恵)は昇華する。佳華はこれにより禁足地に入れなくなってしまい、精霊も見えなくなってしまうが、絵本の出版が正式に決定され、これからもこの街のことを伝えるために進んでいくところでおわり。

 

転生という要素を持ち出すと、時間軸や起こった出来事の把握、人物相関図がややこしくなるので、大変だと思った。恵に関しては、この設定だけで十分ヒロインを張れるレベルであり、正直佳華よりこっちを多く見たかった。自分が好きなだけともいう。

キャラに関しては特にいう事はない。

CVは五行なずなさん。久しぶりに声が聞けてよかったし、安定して上手だと感じた。

 

f:id:shanxdl:20220321185409p:plain 柊 月音  ひいらぎ つきの  162-87-57-85

 

郷土史研究部先代部長であり高校3年生。おっとりした性格で、お茶を淹れるのが趣味。実は柊建設という御代街を仕切っている最大手ゼネコンの社長令嬢。そのため金銭感覚が多少バグっており、部室で使用しているティーカップは1セットが6桁するものであったり、賽銭で万札を出したりする。記憶を失っており、高校に入学する前のことを何も覚えていない。何もわからず街をさまよっていた所を今の両親に拾われたので、実は養女である。

日課はショコラという犬?と散歩することであり、月音ルートではショコラの散歩を通して主人公との仲を深めていくことになる。

 

f:id:shanxdl:20220321190142p:plain ショコラ

 

月音と一緒にいる謎生物。月音は犬だと言い張っているが、実は月音以外には姿が見えておらず、精霊。記憶をなくした月音のそばにいた。本物の犬のように、においで他の精霊を見つけることができ、精霊探しの際には役立ってくれる。

CV松田理沙+謎生物ということでどうしてもましろ色のみう先輩を思いだしてしまう。というかパクっていると思う。

 

月音は社長である父の、森を切り開く街の開発計画に反対しており、精霊と土地神の存在を知ったことで、土地神の住む森を守りながら、人と精霊の両方が幸せに暮らす方法を探して悩んでいた。主人公もそんな月音を見て、その解決策を探す手伝いを約束する。主人公は月音と散歩をしている間に、何度か月音が怪我をしそうな場面で、なぜか無事である場面に遭遇する。さらに祭りの前の台風の日、月音は主人公との散歩の約束を律儀に守って河川敷で待っていた。主人公は月音に連絡が取れないことからそれを思いだして河川敷に向かうが、川が氾濫して2人とも流されそうになってしまう。そのとき、ショコラの能力が発動する。ショコラは自分か月音に危機が迫った時、時間を跳躍してそれを回避する能力を持っていた。わかりやすく言えばスターダストドラゴン。さらにその代償として、月音の記憶が失われてしまう事もわかった。主人公たちはショコラについて詳しく知るため、土地神の元を訪れる。土地神は、ショコラの力は不完全であり、自分ならショコラを覚醒させられると告げるが、ショコラがそれを拒んだため、それは保留となる。禁足地からの帰り道、大雨からか地盤が緩んで崩落し、主人公と月音がそれに巻き込まれるが、ショコラの能力でこれを脱する。

そして土地神祭が行われ、捺菜が森に入る。主人公は捺菜のためにも森を守ることを約束し、月音と2人で、この街のすばらしさを月音の父に伝え、開発を止めようと考える。さらに祭り後、主人公と月音はプリクラを撮りに行き、月音が携帯に貼ったものが部員にばれたことをきっかけとして主人公が月音に告白し、付き合うことになる。

それまでに告白のようなことはしていたものの、その場の勢いで正式に告白することになったのは少し残念だった。しかもまた教室の床でHすることになるし...。

そしてまた工事が再開されてしまう。月音はなぜか工事の行われている一角が大切だという想いを抱き、その感情を確かめるために夜に工事現場に忍び込む。そこでは何かの花が咲いており、月音はそれを見てとても大切だと感じた。その帰りにまたもや土砂崩れが起こり、ショコラの能力を使って半日ほどタイムリープするが、月音の記憶が1日分消えてしまっていた。これまでの出来事と、自分には3年前以前の記憶がないことから、月音は自分が全ての記憶を失うほど遠い過去から来た人間であるという結論にたどり着く。それをきっかけに月音は少しずつ昔の事を思いだし、先日見た花が1年に一夜だけ咲くものであり、村の皆とそれを見に来て災厄に巻き込まれたことを思いだす。月音はさらに手がかりをつかむため、もう一度花のあった場所に向かうが、また地崩れが起こってしまう。ショコラが能力を発動させようとするが、月音はこれ以上主人公との記憶を失って、また自分がわからなくなるのが怖いとそれを拒否する。そこに捺菜と土地神が現れ、ショコラを覚醒させて、完全な能力を発動する。月音は記憶を保持したままタイムリープができるようになり、数日後に再び主人公の前に戻ってくることができたところで終わり。

展開がワンパターン過ぎて途中から作業になっていた所が残念だと思った。ただ月音というキャラは好き。

 

〇絆語り

 

過去を思い出した月音が、主人公に昔語りを始める。月音は薬師を目指して、自分の出身村とは別の村に弟子入りをしていたが、1年に一夜だけ咲く花を見るために年に1度里帰りをするのが習慣になっていた。ある年、月音は村へ帰る道中で子供たちにいじめられていたショコラを助ける。そのまま2人で村へ戻ると、村は魔物に襲われ、村人は全滅してしまっていた。月音も殺されそうになるが、ショコラの能力により、タイムリープして現代まで来たということだった。またショコラは一緒にはタイムリープせず、月音が現れるまで、同じ座標軸で数百年待っていたことが明かされる。主人公はこの話を聞いて、ショコラの能力が過去へ飛ぶのにも使えることを読みとり、月音の村を救いに行くことを計画する。しかし、月音は主人公との今の幸せを過去改変によって失うのが怖く、それを拒否する。主人公はそれを聞いてもなお、月音のために過去を救おうとする。

この辺りは主人公の独りよがり感が強く、過去を変えることによるメリットがよくわからなかった。

ショコラは主人公に協力し、2人で過去に飛ぼうとするが、それを察した月音もついてきてしまい、結局3人で過去へと飛ぶ。主人公たちは過去の御代村に行き、村長にショコラの姿を見せることで精霊の存在を信じさせ、村人を避難させて魔物から守ることに成功する。

なお、現代の月音が過去に飛んできたことでタイムパラドックスが起こり、過去にいた月音は消えてしまったらしい。この辺の設定もフワフワしており、やはりタイムリープものは難しいと感じることになった。

魔物は村の名物だった花畑を焼いて去り、もう花は見られなくなってしまうが、現代で月音が花を見つけた時に採取していた種を村人に渡すことで、再びの希望を与えることができた。主人公たちが現代へ戻ると、花畑だった場所は公園になっており、例の花は「特別保護植物」という認定を受け、「月音草」という名前が付けられて保護されていた。さらにその群生地ということで街の開発も中止されていた。月音は今までずっと、「何のためにここにいるのか」ということを不安に思っていたが、やっと「今を生きるため」であることに気付き、主人公と恋をすることが今したいことであることに気付く。そんな前向きな気持ちを持てるようになった月音の姿を見たショコラは、月音が幸せになったと判断し、遠い昔、自分を助けてくれた月音に対する恩返しが完了したと考えて昇華する。

全体を通して、ちょくちょくいい場面はあるのだが、設定のガバが気になってあまり入り込めなかったのが残念だった。

CVは松田理沙さん。エロゲとして声を聴いたのはあまりなかったが、フワフワ系の役をやらせたら天下一品だと思う。

 

f:id:shanxdl:20220321204417p:plain 椿 捺菜 つばき なずな  158-85-57-83

 

主人公の幼馴染で高2。隣に住んでいて、両親が海外出張中でいないため、毎朝屋根を伝って窓から主人公を起こしに来て、朝食を作ってくれる。なお、客観的に視て料理の腕は並以下だが、主人公の好みに完全に合わせてあるため、主人公に対してだけはとても美味しい料理となる。12歳の時、とある目的のために巫女となることを決意する。今年の土地神祭が終わると正式に巫女となり、土地神に仕えるために高校を中退して森に入ることが決定している。占い、治癒などの不思議な力を持っており、精霊を見ることもできる。幼いころのとある出来事がきっかけで水恐怖症となり、お風呂は何とか入れるものの、プールには入ることができず、大量の水をかけられたりすると震えが止まらなくなってしまう。

捺菜ルートでは、巫女になってしまう前の最期の時間を主人公と過ごすことに焦点が置かれ、最後に主人公とデートをすることになる。そのデートを通じて主人公は捺菜が好きであることに気付き、捺菜に告白する。捺菜もずっと主人公のことが好きだったので、2人は恋人となるが、それでも巫女になるのを断ることはなかった。2人は「これからもずっと好きでいる」ことをお互いに約束する。初Hの時、一度家で身支度を整えて帰ってきた捺菜に「もう準備はいいのか?」と尋ねた主人公に、「好きになった時からずっと準備してきた」と返す捺菜が健気でよかった。それだけに他ルートの捺菜が...。

このルートでは土地神祭前の捺菜の送別会がCGつきで描かれる。さらに儀式を終え、捺菜がいなくなった後の主人公の日常の違いが、主人公視点で少し語られるのはよかった。捺菜が主人公に対して気を遣ってくれていたのがわかるシーンとか。

ただ、歴代の神官と違って禁足地に入る能力を持っている主人公は、逢おうと思えばいつでも捺菜に会えるわけなので、いくら日常を共に過ごせないとは言ってもその隔絶の本気度合いが低く、対して感傷的にならなかったのが残念。

主人公はそれから、捺菜に会いに禁足地を往復する生活を送るが、また精霊が結界から漏れ出し始める現象が起こり出す。それと同じくして主人公の体調も悪化し、無理をおして結界内に精霊を戻しに来た主人公は捺菜から心配され、自分の体調と結界の調子がリンクしていることを知らされる。

ちなみに他ルートだと、捺菜が結界内に入ったことにより精霊が結界から逃げ出さなくなるので、ここの差異もよくわからなかった。

実は捺菜は予知夢の能力を持っており、もうすぐ主人公が死ぬことがわかっていた。そのため、主人公を助けるということを土地神に願い、巫女になることを了承したのだ。捺菜は主人公を救う儀式を行うため、禁足地内の社に籠もり、主人公は土地神からそのことを聞く。儀式が始まるとなぜか主人公は頭痛を感じた。それは土地神が封じた10年前の記憶で、土地神は捺菜を救うため、主人公のその記憶を解放した。

主人公は10年前にも捺菜を連れてこの禁足地を訪れており、その時探検中に祭壇を発見していた。祭壇は土地神の持つ言霊の力とは別の体系で動いており、この祭壇に願ったことは対象者の生命力を引き換えにして叶う、というシステムだった。幼い主人公は「精霊と土地神が街の人と共存できるようになること」を願ってしまい、それ以来主人公の生命力と引き換えに、禁足地の結界の力が弱まり、精霊が街に流れるようになった。本来、祭壇の力は誰にでも使えるものではないが、主人公は神官としての力が強かったために祭壇が作動してしまった。また、祭壇の発動時には禁足地内の湖が増水するため、捺菜はそれに巻き込まれて水恐怖症になってしまったことが明かされる。土地神は主人公の記憶を封印することで、その「呪い」を一時的に封印したが、捺菜の見た予知夢通り、もうすぐ祭壇に生命力を吸われて主人公は死んでしまう。そのため捺菜は自らの身を精霊に変え、主人公を救うための力を得る儀式を行っていた。それを知った主人公は、捺菜を犠牲にしてまで自分だけ助かりたくないと儀式を阻止する。

主人公と捺菜は、お互いが自らを犠牲にして相手を助けようとしていたということを土地神に指摘され、2人で解決する方法を探すことにする。このとき「本当に幸せを望む者は自らをその輪の中から外さない」という土地神の言葉は名言だと思った。

捺菜はそれからも主人公が死ぬ予知夢を見続けた。捺菜の見る予知夢の的中率は100%であるため、捺菜はそれを気に病んで眠るのが怖くなり、どんどん衰弱していくが、捺菜の連れていた精霊がその夢を食べてくれることが判明した。またその能力は主人公と手をつないでいるときだけ発現するため、2人は四六時中手をつないで過ごすことになる。予知夢の力は祭壇の力を上回るため、精霊が悪い予知夢を食べてくれている間は、祭壇の力で主人公が死ぬことは無くなり、主人公は捺菜と手をつないで禁足地で過ごしながら、解決方法を考えることになったところで本編は終了。

あまりにも本編内で一区切りつける気が無くて笑ってしまった。また祭壇の力に関する設定も練られているとはいえず、疑問が多く残った。ただ、手をつながないと生きていけないため、主人公も退学届けをもらいに行ったり、ヒロインのために生活基盤をどんどん狭めていく感じは終末感があって好きだった。

あと、幼馴染ヒロインに避けては通れないが、ずっと主人公が好きだったのにぽっと出のヒロインに主人公をかっさらわれる問題が本作では特に顕著だと思った。捺菜は主人公のためにすべてを捨てて森に入る決意を固めたのに、他ルートでは別の女と見送りに来るわけで、どういう気持ちだろうとふと思ってしまった。

 

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捺菜について、捺菜が禁足地の結界を越える助けをしてくれる精霊。名前はボンタ(捺菜命名)。いいのか...?

相手を眠らせたり、特定の夢を見せたり、夢を消したりできる、高位の精霊らしい。捺菜の予知夢を消すという重要な役割を担う。

 

〇絆語り

 

予知夢の力を持った捺菜の祖先、奈津(なつ)の話から始まる。奈津はその力で預言者として村で崇められていたが、その未来を変える力は持っていなかったため、次第に災いを呼び寄せているとして、村で迫害されるようになった。そのため、遠いうわさに聞いた土地神の住むという土地で、自分の力の使い方に関しての助言をもらおうと考え、村を出て旅に出る。奈津はその度の途中で明人(恵の兄)と出会い、御代村へたどり着く。しかし運悪く、村は土地神祭を終えた直後であり、次に土地神に願いを伝えられるのは10年後だった。そんなに長い間何もしないで待っていられないという奈津に、明人は禁を破り、禁足地へ奈津を案内する。土地神には奈津の力に対してしてあげられることはなかったが、そこにいた恵が、神官の術を会得すれば、制御の役に立つかもしれないという助言をくれる。それから奈津は禁足地へ明人に連れて行ってもらい、恵の元で術の修行をするという日々を送ることになる。それから年月が経ち、奈津は神官の術を全て会得し、予知夢の力を制御することができるようになった。奈津は多くの人々を自分の力で幸せにしたいと、御代村を離れることを決める。それから奈津は全国を回って人々を救いながら、予知夢で遠い遠い未来の、捺菜のことを夢に見るようになる。

それから50年が経ち、奈津は故郷の村に帰って、予知夢で自分の死期が近いことを悟っていた。奈津は最期に捺菜のために、祭壇の呪いを解除する術を編み出し、それを夢を介して捺菜の元へ送った。その想いが捺菜についた精霊、ボンタの正体だった。

場面は現代に戻り、捺菜は夢を介して奈津の想いを受け取ることができた。そこで教わった、主人公の呪いを、捺菜を媒介として祭壇に返す儀式を実行することになる。儀式は失敗しかかるが、ボンタが力を発揮して助けてくれたおかげで無事に成功する。さらに無事主人公を助けたいという捺菜の想いが叶ったことで、ボンタも昇華する。

主人公は禁足地から家へと戻り、捺菜は禁足地に残って、精霊と土地神のためにできることを探すと主人公に告げる。今まではお互いのことを想い過ぎて共依存になりかけていた2人だったが、やっと自立して生活していくことができるようになったのだ。夏休みが終わり、1人で通学路を歩く主人公の前になんと捺菜が現れる。土地神が卒業までは学校に通う事を許してくれたのだ。そして捺菜は毎日禁足地から学校に通うことになり、主人公の新しい生活が始まったところで終わり。

佳華ルートで土地神と巫女のことを秘匿しておいて、土地神祭が終わって巫女だという事が知れ渡っている捺菜を学校に通わせるのは秘匿性的にどうなんだ、というのを真っ先に考えた。というか、それが許されるなら、別ルートでそうしない理由がよくわからない。

CVは遠野そよぎさん。正直にいうと、これまでの遠野そよぎさんが演じてきた高校生役は全てある種の☨キツさ☨があったのだが、この役ではそれが微塵も感じられず、すごく自然にマッチしていた。なぜだろうか...。

鏡に捺菜を映して、言葉責めするHシーンがあるのだが、今までは何も思わなかったのに、今回はすごく刺さった。これも演技がうまかったからだと思う。

 

主人公へ抱えている想い的に間違いなくメインヒロインであり、最後にやってほしいのだが、奈津が羽衣の過去編に介入するため、シナリオをすっきりさせるなら羽衣の前にやった方がよい。

しかもグランドヒロインが強すぎて、メインヒロインになりきれていないのも残念。

 

f:id:shanxdl:20220321214809p:plain 楸木原 羽衣 ひさぎはら うい 152-79-54-81

 

夏休み前に急に転校してくることになる、主人公の1つ下の高1。年の離れた妹が入院しており、仕事で単身赴任中の両親に代わって毎日お見舞いに行っている。元気で礼儀正しい性格で、実は力が強い。両親の仕事の都合や妹の病院の関係で転校を繰り返しており、どこかで拾ったペンダントを大切にしている。そのペンダントは実は御代街の伝承に伝わる神具であり、それを発見した佳華によって郷土史研究部に勧誘された。

羽衣ルートは羽衣と一緒に羽衣の妹の優衣のお見舞いに行くことを通じて羽衣との仲を深めていく。また優衣は、自分がしんどい時にやってきて助けてくれる、インフェルという妖精について語り、お見舞いに来ていた主人公と捺菜は、インフェルを精霊とみてその調査も進める。そんなとき優衣の容態が急変し、羽衣がいなくなってしまう。主人公はインフェルに導かれて、台風の中羽衣を探し、禁足地の前で土地神に優衣の回復を祈る羽衣を見つける。そこで主人公は羽衣と苦しみを分かち合って生きていきたいと告白して恋人となり、優衣の峠が過ぎる。そして土地神祭の当日となり、主人公を心配してやってきた羽衣が神具のペンダントを身につけていたことを町長に見つかり、そこから神具についての話を聞ける。神具は神官の家系に代々伝わっていたものであり、奇跡の媒体となったという伝承があるということだった。町長は博物館でその神具を飾りたいと羽衣に申し出るが、羽衣はそれを断る。儀式の時、主人公は捺菜に優衣の回復も個人的なお願いとして土地神に進言するように頼み、捺菜もそれを了承する。そのかいあってか、優衣の病状が次第に良くなり、ついには退院できるようになる。主人公はそれを喜び、土地神にお礼を言うために禁足地を訪れるが、土地神には個人的なお願いはかなえられないと言われる。しかし、主人公はそれを土地神が照れ隠しで言っているのだと誤解してしまう。それから主人公と羽衣はデートをすることになる。物語序盤で、料理ができる羽衣に対して主人公が料理を作ってくれるように頼み、羽衣が毎日作るとそれが癖になるので責任がとれないと断るシーンがあるのだが、デートでは料理を作ってほしいと言う主人公がエプロンをプレゼントし、羽衣が喜んで引き受けてくれるシーンがあるのがエモポイントだと思った。

優衣の退院日、羽衣と主人公はそれを迎えるが、今度は代わりに羽衣が倒れてしまう。それはまるで優衣の病気が羽衣に乗り移ったかのようだった。主人公はその原因を探るために土地神の元へ向かい、羽衣の強い想いがかなえられたが故の代償であることがわかる。主人公は神具が奇跡を起こしたという伝承を手掛かりに、再び奇跡を起こして羽衣を救おうと考える。そのためには10年前に神具が光らなくなった、という羽衣の話を詳しく聞く必要があった。主人公は羽衣の病室にこっそり忍び込み、神具が光らなくなったのは、神具から出た光が御代街の方向へ飛んでいったからだという事を知る。また羽衣が、弱っていく前の自分の身体を覚えておいてほしいと主人公と病室でHするシーンがよかった。ただ、羽衣は貧乳キャラという設定なのに、立ち絵時点で巨乳に見え、高校入学時までブラが必要なかったと言っている割に明らかに胸がでかすぎるのはどうかと思った。もっと設定に忠実になってほしい。

さらに調査を依頼していた町長から、神具が精霊を封じてその力を使えるようにするためのものであることがわかる。町長はそれをおとぎ話の類として信じていなかったが、精霊の実在を知っている主人公にとっては別で、主人公は神具に入り、羽衣の病気を治してくれる精霊の協力を求めて禁足地へ赴く。神具への精霊のいれ方は土地神が知っていたが、出し方については誰も知らなかった。しかし、出し方を必ず探すという条件で多くの精霊が神具に入ることに協力してくれた。主人公が神具を取りに一旦羽衣の元へ戻ると、羽衣の容態が急変していた。焦る主人公だったが、そのときインフェルが現れ、神具に入ってくれるという意志を主人公に示した。主人公が強く願うと、インフェルが神具の中に入ることができ、その力で羽衣が回復することができた。その後、元気になった羽衣、優衣と主人公は新しい生活を始めるのだった、というところで終わり。

神具を取りに複数回意味のない往復をすることになった主人公の段どりの悪さと、インフェルが神具に入れたのはすごいぱわー(意訳)であるところがこのシナリオを凡庸たらしめていると思う。病室の窓を割ってまで羽衣の病室に不法侵入を繰り返したり、医者が必死に羽衣の延命を行っているそばで俺の方が羽衣を助けられるとばかりに医者の静止を振り切って羽衣に近づき、神具の不思議パワーを振りかざしてドヤ顔をする、主人公の悪いところが凝縮されているシナリオだと感じた。

 

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始めは優衣、そして羽衣について、病状を和らげてくれていた精霊。名前はインフェル(多分優衣命名)。君だけ世界観ちがくない?

 

〇絆語り

 

羽衣と優衣の祖先である初(うい)と結(ゆい)の話。初と結は姉妹であり、両親には先立たれてしまったが、医者として村で生計を立てていた。ある日、結は森の中で首飾りを拾う。それはのちに羽衣が持つ神具で、結はそれを身につけることにした。

やがて村に疫病が蔓延しだし、初と結もそれにかかってしまう。はじめは信じられなかったが、初は結のもつ首飾りが疫病の原因だと考えるようになり、結が寝ている間に首飾りをこっそり壊そうとする。しかし、それに気づいた結は初を止めようとするが、間に合わず、首飾りが壊れて中に封印されていた病魔と呼ばれる精霊が解き放たれ、結にとり憑いてしまう。首飾りによって無差別にまき散らされていた病魔の力は無くなり、村は平穏を取り戻すが、今度は結が寝たきりになってしまう。そんなある日、奈津が村を訪れ、結についた病魔を祓ってくれる。結は精霊を引き寄せる体質であり、今後同じようなことが起こらないように、奈津は精霊よけの結界を村に張ってくれる。しかし、同時にそれは結が村から出られなくなることを意味していた。結はこの村で医者として生きることを決め、代わりに初を奈津と共に旅に連れていってくれるように頼む。初は旅をして患者を救って回りたいという想いを持っており、結はそれに気づいていたのだ。結局初は結の申し出を受け入れ、結から神具を託されて奈津と共に旅を始める。旅の途中で、奈津は御代村で大きな戦があることを予知し、初を医者として向かわせた。初は戦に間に合い、明人(恵の兄)をはじめとした多くの村人の命を救う事ができた。また初は、自分が死んだあとも精霊となって神具に宿り、多くの人を救いたいという願いを明人に語り、精霊を神具に封じ込める力を持った明人に神具を預ける。数年後、初は疫病の治療中に、同じ疫病に罹って命を落とし、精霊インフェルとなって明人の元へ帰ってきて、明人はそれを神具に封じ込めた。長い年月の中で、インフェルは神具から出てしまったが、それでもまた羽衣と結衣の元へ戻り、2人を救った。

場面は現代に戻り、主人公と羽衣は精霊を神具から取り出す方法について調べていた。偶然、主人公の家の物置から明人の書いた本が見つかり、その中に神具からの精霊の解放の仕方が載っていた。しかし、インフェルが進んで神具に入ったことも本で分かった主人公たちは、インフェルを解放するか悩むことになる。結局羽衣は神具を主人公に預け、神官として主人公がインフェルの力を正しく使っていこうと考えるが、神具を主人公が身につけた時、インフェルが主人公にかかった祭壇の呪いを解除し、役目を終えて昇華してしまう。主人公と羽衣はインフェルの昇華を見届け、これからは精霊の代わりに思い出をいっぱい詰めていこうと約束したところで終わり。

この話が時系列的に一番最後になるために、最後にやらざるを得ない。

 

CVはみるさん。みるさんの演じる後輩キャラはやっぱりかわいいね、という話。

 

なお、結衣が入院している病院の看護師(立ち絵あり)というモブ役で佐本二厘さんが出演していたのが贅沢に感じた。

 

f:id:shanxdl:20220321230857p:plain 涼 すず

 

御代村を守る土地神。普段は禁足地に住んでおり、そこで精霊たちの面倒を見ながら、精霊の昇華を行っている。言霊の力を持っており、発した言葉が本当になってしまうために普段は自らの声を封印している。そのため会話は念話で行うが、捺菜以外にはそれを聞き取ることができない(途中からは主人公も聞き取れるようになる)。10年に1度、声を封印することでためた力を解放することにより、その力で村人の願いを叶えている。本当は寂しがり屋で、さらにずっと結界内ですごしてきたため純粋無垢な性格。

上4人のヒロインの絆語りをクリアすると、涼ルートに入ることができる。

物語は主人公と捺菜が2人で精霊を探していた所からスタートする。とあるきっかけから今度は1度に部員全員に精霊と土地神のことがバレ、部員たちが土地神と接触してしまう。部員たちは強引に精霊を探す手伝いを土地神に取りつけるが、誰も精霊を見ることができないため、部員たちを危険な目に合わせることを恐れた土地神が、逃げた精霊を追って1人で結界の外に出てしまうという事態が発生する。主人公は土地神の念話を聞きとれるようになり、街で土地神を保護する。そこで主人公だけが涼という名前を教えてもらい、そのまま現代の街を散策することになる。

別の日、涼のそばには涼が下界に顕現してからずっと付き従ってきた「とろゾー」という精霊がいたが、涼が主人公と捺菜の話ばかりするせいで、自分は必要ないと感じたとろゾーが禁足地から逃げ出してしまう。涼はそれを追ってまた禁足地を抜け出し、主人公と協力してとろゾーを見つける。

 

f:id:shanxdl:20220321232212p:plain とろゾー

 

常に涼のそばにおり、涼を守っている最古参の精霊。元は神獣で、神界から逃げ出し、涼が下界に降りてくるきっかけとなった。涼を幸せにしたいという強い想いから、自らを精霊とした。生き物の強い想いを精霊に変える能力を持っており、それゆえとろゾーのいるところに精霊が集まる。普段は精霊に変える想いについてはある程度選別しているが、たまに負の想いを精霊にしてしまうことがあり、それは涼が浄化し、自身にため込んで、10年毎の土地神祭りの際に昇華していた。

このキャラデザと名前は...合体しているからいいのか?

 

今回もとろゾーは現代の人間の負の感情に触れ、負の精霊を生み出してしまったが、間一髪で主人公と涼によってなんとか浄化された。

しかし、それ以来街で精霊の仕業らしい事件が起こるようになり、主人公はその近くで涼の姿を目撃することがあった。主人公は涼を心配して禁足地を訪れるが、そこには涼の中にため込んだ悪意ある想いたちが形になった別人格「風(ふう)」がいて、涼の身体を乗っ取ってしまっていた。主人公は何とか風の中の涼の人格に語り掛けることで風を一時的に封印することに成功するが、それも長くは持たないと涼に告げられる。涼は、再び風が出てきて災厄が起こらないうちに、大切な人に終わらせてほしいと、神殺しの短剣を主人公に渡すが、主人公はそれを拒否する。そのため涼はその短剣を使って自殺しようとするが、今度は主人公に止められ、解決策を考えることになる。

過去、戦があって土地神祭が10年以上できなかった時、同じように負の想いが浄化できず、風が生み出されたことがあった。月音と村人が襲われたのは風で、これが原因となっているのだが、その時は神官である明彦が、とろゾーの力を神具に取り込んで神剣とし、風を神具へと封印したという伝承が残っていた。涼は封印された風を完全に浄化できず、神具へと封印したまま遠くへ飛ばしたが、風の執念によって500年の時を経て再び御代村へと帰ってきたのだった。また、涼はとある目的のために10年前、自ら風の封印を解いて、封印に使っていた力を取り戻す必要があったことが語られた。主人公と捺菜は、再び風を封印するための計画を立て、主人公の家から封印の手順についての文献を探し出す。そして再び風が現れ、主人公と捺菜、そしてとろゾーは風を封印しようとするが、風は元々涼の一部であり、取り込んで完全に1つになりたいと涼が提案する。取り込みはうまくいき、これまで涼の負の感情を受け持っていた風が還ってきたことで、涼がより感情豊かになり、人間的になった。部員たちも神具の封印についての調べものに協力しており、事件解決の報告と共に、涼が夏休みの間臨時部員として郷土史研究部の活動に参加することになった。涼は部員たちとの交流を通じて文字の書き方や四則演算などを学び、日記をつけるようになった。

そんな時、主人公が高熱を出して倒れてしまう。さらに結界の力が弱まり、街に精霊があふれだすようになった。これは祭壇の力によるもので、主人公はそれを禁足地で涼から看病を受けながら聞く。涼は自分が風を呼び出し、風を取り込んだのは、完全に力を取り戻して、その力で主人公を助けるためであったと主人公に語る。次の土地神祭りまで待てば、完全に回復した自分の力で主人公を助けることができると涼は語るが、主人公はそれまで何もせず待てないため、看病の隙をついて禁足地から抜け出し、ふらつく体をおして、せめて精霊探しを続けようとする。こういう、自分が無茶をすることにより他人が傷つくことがわからない系の主人公は好きではないので、残念だった。

しかし、結界を越えて主人公を探しに来た涼に見つかり、そのまま涼から告白される。涼は主人公が自分を神様としてではなく、1人の女の子として見てくれたことが嬉しかったと語る。主人公はやっとあきらめ、そのまま家に帰って涼とHする。

神様である涼と交わることは、涼の力により、ある程度体力を回復する効果があった。さらに涼と一緒に寝ていた主人公は、捺菜が心配してよこしたボンタを通して涼の見ている過去の夢を見る。

涼は逃げたとろゾーを追って下界に降り、偶然出会った秋人(あきと)と協力してとろゾーを確保した。しかし、とろゾーを捕まえるまでにとろゾーは多くの精霊を生み出しており、涼はその責任を負ってすべての精霊を昇華するまでこの地にとどまることを決めた。秋人も精霊を見ることができ、涼の手伝いをすることにして2人は秋人の村で暮らし始めた。この時秋人から涼という名前をもらった。数年が経ち、涼は村になじんできたが、村に疫病が流行り、また異常気象で飢饉が同時に襲ってきたことがあった。涼は初めて秋人に自分が神であることを明かし、力の封印を解いて、村を救った。涼は正体をばらしてしまったため、村を出ようとするが、秋人が「笑ってさよならを言えるまで」そばにいるように頼んだため、再び村に戻ることにした。しかし、一度封印を解いてしまった力は暴走するようになり、ついに村に災害をもたらしてしまう。さらに力の発動時に体が光ることを見られたせいで村人から迫害を受けることになる。涼は次第に口を閉ざすようになり、また村を出て近くの森に結界を張り、その中で精霊と暮らすようになった。涼は村人から受けた恩を忘れておらず、森に狩りに来ていて再び出会った秋人に対して、10年に1度言霊の力を解放するので、その時に村人たちの願いを叶えることを誓う。これが神官と祭りの始まりである。さらに秋人は涼に仕え、涼を守る立場であったので、涼に手を出さなかったことが語られた。

主人公は夢で見た内容を涼に話し、涼からは主人公が秋人の生まれ変わりで魂を同じくする存在であることが語られる。涼は、主人公と秋人が同じ魂だから主人公を好きになったのだと主人公が考えたと思い込み、主人公の前から姿を消す。主人公はそんなことは考えておらず、涼を探して学校で涼の日記帳を見つける。それを読んで涼の自分に対する想いを知った主人公は、禁足地で佇む涼を見つけ、秋人に負けないくらい涼のそばにいて、涼を守っていくと、改めて告白する。

一方で主人公の体調は良くならず、また御代街にだけ局地的な嵐が巻き起こり始める。これは祭壇の力のせいであり、主人公は家で自分を看病してくれていた捺菜を振り切って禁足地へと向かう。昔にも御代街にだけ嵐が起こったことがあり、それは「原初の嵐」と呼ばれていた。それに対処したのは秋人で、秋人は祭壇に「自分の力では涼を守り切れない状況になったとき、涼の力を自分に譲渡すること」を願っていた。主人公は秋人と同じように、祭壇に涼の力の譲渡を願い、その力を用いて嵐を止める。なお、秋人はそれにより死んでしまったが、主人公は涼が主人公とこれからも一緒に過ごすことを願っていたからか、命までは取られなかった。

嵐の影響で土地神祭は1年延期となり、返し方がわからないために涼の力はまだ主人公の中にとどまっていた。そのため涼は肉声を発することができるようになっていたが、主人公は力を行使した反動で寝たきりになってしまい、禁足地で涼の看病を受けていた。そこで涼は、主人公の願いを引き継ぎ、自らの命と引き換えに主人公の願った「精霊と街の共存」を願い、祭壇に吸われている主人公の生命力を戻そうと考えた。主人公はそれに気づいて涼を阻止しようとするが間に合わず、涼は消えてしまった。主人公は元気になり、また街では常識改変が起こって、昔から街の人々が精霊と共に暮らしていたことになっていた。

しかし、主人公は涼を忘れられず、禁足地へと向かった。そこではとろゾーと少数の精霊のみが残っており、また禁足地に張られた結界も、消えかかっていることが感じられた。主人公は祭壇が発見され、その力が悪用されるのを防ごうと、最後に祭壇を壊そうとする。そこでは祭壇に残っていた涼の強い想いが精霊となっており、その精霊が神具に宿ることでなぜか祭壇の破壊と引き換えに涼がよみがえる。涼は神の力を失い、人間になっていた。主人公と同じ時間を生きられるようになって喜ぶ涼だったが、涼が幸せになったと判断してとろゾーが昇華される。またとろゾーは最期に恵、奈津、明人、秋人の意識を呼び出し、涼はみんなとやっと笑顔でお別れをいう事ができたのだった。

それから1年後、延期されていた土地神祭が開催されることになり、巫女は森に入るという規定はなくなり、ミスコンで選ばれるようになった。神官役として儀式に臨んだ主人公の前にいたのは、巫女役の捺菜ではなく、涼だった。涼は土地神としての最後の務めで、主人公が涼に願いを伝え、死が2人を分かつまで、幸せに暮らすことを誓っておわり。

今までの伏線を回収したり、過去と現在がつながってきたのはよかったと思う。しかしここでも主人公の独善っぷりが目に付いてしまった。涼がかわいかったのでセーフ。

 

CVは海原エレナさん。今までメインヒロインで聞いたことがなかったように思うが、とてもかわいい感じの声質でよかった。

 

・その他

 

主人公の呪いに関しては、捺菜ルートと涼ルート以外では明確に解除されたという描写がなく、捺菜が肩代わりして命と引き換えに解除しているのではと思っていたが、wikiによるとちゃんと解除されているらしい。

佳華ルートでは言霊による「自身の願ったことの解除」によって、羽衣ルートではインフェルの力によって、というのは理解できるのだが、月音ルートの花が実は神の力を無効化する力を持っていた、というのはそれに関連する描写が無く、理解できなかった。FDにはその描写があるのかもしれないが、tipsで「主人公の呪いは全てのルートで解除されている」とご丁寧に記されている以上、わかりやすい描写が欲しいと思った。

こもわた先生のSDは初期の方の作品であるということで少々絵柄が古く、なつかしさを感じたとともにやはり良さを感じた。

 

・終わりに

 

上で少し書いたが、本作はtipsという形で設定がまとめられており、ふとした時に設定を思い出すことができたり、裏設定を知れたりするのでそれはよかった。

かなり長いシナリオだったが、展開が同じ場面が多かったり、よさそうなシチュエーションはあるのだが、設定周りのガバがそれを帳消しにしているのが残念だと思った。

FDもあるので、次はそれをやっていきたいと思う。