4作目です。
2014年12月19日に発売された「月に寄りそう乙女の作法2」です。
発売時系列的には「乙りろ」→「つり乙2」→「その後の」となりますが、話のくっつきを考えてこちらを後にプレイすることにしました。実際、特に不都合は感じませんでした。
本作は「つり乙」世界の主人公「大蔵遊星」の息子を主人公とした物語であり、姓が桜小路であることやそのビジュアルから、ルナルートの未来であることが容易に予想できるようになっています。ルナ様がグランドルートであることには異存のない所ですが、公式で正史は存在しないと言っておきながら、特定のルートの未来を描いた「2」を公式が出すのは矛盾しているのではないかと思いました。
また作中で、遊星とルナがフィリア学院を卒業した翌年に2の主人公を産んだという記述がある事、物語は主人公がフィリア学院に入学する年から始まる事、から「つり乙」の世界から16~17年ほど後の時間軸であることがわかります。
本作のヒロイン名はすべて商業施設からとられており、前作ほど無理矢理感はないものの、主人公の妹のアトレだけはやりすぎだと思っています(ルミネも酷いか?)。
本作のLimited Editionには、「桜小路ルナアフターアフター」と2014年のエイプリルフール企画である「従兄妹理論とその中心」も収録されているため、それについても述べていきます。なお、ルナAFAFで従兄妹理論について触れる箇所が少しだけあるため、従兄妹理論を先にやった方がいいと思います。
以下、常体。
・攻略
攻略可能ヒロインは4人。
推奨攻略順は(朔莉→春心→ルミネ)→エスト
エストを最後にやった方がいいほかは、特に順番はこだわらなくてよいと思う。
回想数は各ヒロイン3回ずつ。前作主人公と異なり、主人公から何かをする展開もそれなりにあるのがよい。
プレイ時間は共通が10時間くらいで、個別ルートが各6時間くらいだが、エストルートは少し長く、8時間ほどかかる。
・あらすじ
今作には過去作の登場人物たちがたくさん登場するのも、よい演出となっている。ほとんどが声なし、立ち絵なしだが、以下に発見できた限りを紹介する。
つり乙からは
ルナ→アパレル会社を立ち上げている。
遊星→ルナのパタンナーとして同じ会社で働いている。
湊→ルナの会社で営業部長をしている。
瑞穂→着物ブランド"ミズホ"を立ち上げている。
ケメ子(ルナのフィリア学院時代のクラスメイト)→フィリア学院で講師をしている。
また、紅葉(ルナルートで遊星の代わりにルナが雇ったメイド①)はフィリア学院で主人公たちの担任となり、壱与(ルナルートで遊星の代わりにルナが雇ったメイド②)は桜屋敷の管理→主人公の暮らすマンションのコンシェルジュとなり、衣遠兄様は衣遠叔父様となって主人公の日本での暮らしを手助けしてくれる。この3人は立ち絵と声つきで登場する。
乙りろからは
エッテ→プランケット家の現当主となっている。
メリル→世界的に有名なデザイナーとなっている。
リリアーヌ→フィリア学院パリ校で講師をしている。
華花→衣遠の会社でまだ働いている。
セシル(主人公のアパートの大家)→まだ大家をしている。声付き。
カトリーヌ(メリルの修道院にいた少女)→付き人として日本にくる。後述。
特にカトリーヌは立ち絵と声付きのサブキャラクターの他、リリアーヌの姪の付き人として物語に絡んでくるため、出世していると言える。
特に言及されていないユーシェさん...。
主人公、桜小路才華(さくらこうじさいか)はデザイナー志望の有望な学生だったが、コンテストでは優秀賞はとれるものの、いつも手放しの賞賛をもらえず、評価では何かが足りないと言われ続けていた。主人公は自分が最も尊敬する人物である両親、特に母が学生時代に為した出来事、すなわち日本にあるフィリア学院のショーで3年連続最優秀賞を受賞する、という偉業を越えることができれば、行き詰った自分を変える事ができるという夢を持って、ニューヨークから妹のアトレ(亜十礼)を伴って日本に帰国した。フィリア学院は芸術に特化して規模を拡大させており、芸能科や映像科などの様々な学科が新設されていた。しかし、数年ぶりに生家である桜屋敷へ帰り、出迎えてくれた衣遠叔父様から主人公が聞いたのは、現学院理事長である≪総裁殿≫が、近年応募人数が減少し続けていたことを理由に服飾科の男子部の廃部を決定したという知らせだった(≪総裁殿≫=りそなだが、全編を通して名前しか出てこない)。主人公は衣遠叔父様と大蔵家で一番親しい仲である、大叔母にあたるルミネ(瑠美音)に泣きつくが、廃止は覆らなかった。どうしても諦められない主人公は自分から、女装して特別編成クラスの付き人制度を利用してメイドとして学院に通うという案を、衣遠、ルミネ、アトレ、壱与に伝える。主人公は、父親が同じことをしていたことを知らなかったが、衣遠、壱与はその発想を懐かしく思い、賛成して協力してくれる。アトレも兄の役に立ちたいという思いから、協力してくれる。アトレには、自分が父親に似た黒髪の日本人的容姿をもって産まれ、兄の才華だけに母親のアルビノが遺伝して、それで兄が苦労してきたことを自分のせいだと感じており、兄のために尽くすことが自分の生きがいになっていた。ルミネは反対するが、最終的には折れて認めてくれる。こうして方針が決まった主人公は自分の偽名を、母がよく話して聞かせてくれていた、学生時代に大好きだったというメイドの名前を取って「小倉朝陽」と名付ける。主人公の女装は全く違和感のない完璧なものであり、またアトレが主人公のことを「お姉様」と呼んで心酔状態になってしまう。
主人公はルナよりもさらに虚弱であり、昼間の外出は一切できなかったため、衣遠叔父様が入学祝いとして、フィリア学院の向かいに竣工した建設費550億円の66階建てタワマン(家賃月250万円、フィリア学院の服飾科棟や駅等と地下通路で繋がっている)を丸々くれて、そこから通うことにする。また、主人公一家がニューヨークに引っ越して以降、桜屋敷の管理を1人で行ってくれていた壱与を、新しくコンシェルジュとしてマンションで雇い、アトレが66階、ルミネが64階、主人公が2階に住むことになる。また主人公が学院で仕えることになる主人は、アイルランド子爵家であるエスト・ギャラッハ・アーノッツが候補に挙がるが、彼女は主人公とニューヨーク時代に何度もデザインコンテストで競い合ったライバルだった。主人公とエストは今までメールでのやり取りのみで、お互いの素顔は知らなかったが、デザイン画を見れば一発でわかってしまうため、別人と言い張るのは不可能に思えた。しかし他に候補もいなかったため、主人公は自分が"才華"の元付き人で、ゴーストライターとしてデザインを描いていたこと、理由は自分の容姿が特異なため世間に自分の素顔を晒すのが怖く、そこを"才華"と相談して名義を貸してもらっていたことにする。エストは"才華"に対して怒るものの、"朝陽"をメイドとして雇い、共にデザインを高め合うパートナーに選んでくれる。
主人公たちのマンション"桜の園"には他にも、世界的女優でフィリア学院の女優科に入学する、主人公に一目惚れした白髪フェチの変態、八日堂朔莉(ようかどうさくり)や、主人公の従姉妹にあたり、桜小路家にいい印象を持っていない、デザイナー科に入学する梅宮伊勢也(うめみやいせや、あだ名はいせたん)、リリアーヌの姪でフランス国粋主義者だが、日本には自分にない何かを学びにきたと語るフランスの伯爵家で同じくデザイナー科に入学する、ジャスティーヌ・アメリ・ラグランジェ(あだ名はジャス子)が引っ越してくる。
いよいよ4月になり、主人公はエストの付き人として無事に学院に入学できた。またアトレはパティシエ科、ルミネはピアノ科に入学した。アトレが妹なのに主人公と同学年である理由は、主人公が4月生まれで、アトレが翌年の3月生まれであるかららしい。担任は、主人公が桜屋敷に住んでいた時代に服飾の家庭教師をしてくれていた、元メイドの紅葉で、主人公の事情を知り、協力してくれることになっていた。主人公は入学して早々に、現学院長であり≪伝説の七人≫の1人である、ラフォーレ・ハンデルスバンケンに会う。彼はジャンに匹敵するデザイナーであり、現在はジャンの会社で副社長を務めているが、ジャンのそばで働くうちに彼に敵わないことを悟ってしまい、今では自分を限りなくジャンに模倣させ、また第二のジャンとなるのにふさわしい人物を探して学院長をしているといういわばジャンの狂信者だった。主人公は入学式の式辞で、自分が以前父親から聞いたジャンの言葉を得意げに語るラフォーレを見て、いつかジャンではなく自分を信仰対象にして見せると前向きに考える。
始めてのクラスで、主人公はジャス子に勝手に髪を触られそうになり、そこをエストに助けてもらうが、ジャス子からエストの家が没落貴族であり、マフィアとも癒着していることをクラスにバラされてしまう。エストが住んでいたニューヨークを離れて日本に留学してきたのは、ニューヨークの学校でも家のことがバレて、イジめられていたからだった。エストは落ち込んでしまい、また慣れない外国に1人で来たことで溜まっていたストレスが一気に噴き出てきてしまう。エストは帰宅して主人公に肩を借してほしいと言うが、主人公は女性であるエストに触れることを躊躇して即答できなかった。エストはそれで主人公の拒絶を悟り、代わりにマンションの40階に併設されているプールで泳ぐことにする。しかしエストは油断からか、足を攣って溺れてしまう。主人公は塩素が肌に悪いと言う理由で今まで泳いだことがなかったが、それでもエストを助けなければと思い、壱与に連絡したうえで、エストを助けに飛び込む。主人公と、駆け付けた壱与によってエストは助かるが、主人公は自分の女装という事情から服を脱いで飛び込むのが一瞬遅れたことを後悔し、エストが教室で自分を守ってくれた事もあって様々な感情に包まれ、今までは自分の都合のために利用していたご主人様(仮)だと考えていたのが、本当にエストのために何かをしてあげたいと強く思うようになる。
ここでOPが流れる。主人公はプライドが高く、"王の気質"を持っていると評されているほどご主人様オーラが出ているため、学院でもどちらがご主人様かわからないとよく言われているが、エストが抜けているところがあったり、主従関係について緩かったりして、違和感のない関係に仕上がっているところは良いと思った。今まで自分のことしか考えてこなかった主人公に他人を思いやる気持ちが生まれる、というのが本作全体を通してのテーマとなっているように感じた。
エストは命に別条はなかったが、助けられたときの記憶があいまいで、壱与と"男性"に助けられた、ということ以外は覚えていなかった。一方で"朝陽"が人工呼吸の真似事としてキスをしたことは覚えていた。主人公は、エストを助けた男性は"才華"で、たまたまアトレに会いにマンションに来ていたことにする。主人公はエストに対して誠実でありたいと考え、エストに自分の正体に打ち明けたいとルミネに相談するが、ルミネに反対されて保留する。
学院の授業で、主人公はエストの描くデザインが変化していて、到底受け入れられないものになっていることを知る。しかし、放課後に自分と2人でデザインを描いているときは元の素晴らしいデザインのままなので、どういうことかをエストに尋ねるが、エストは理由があって試行錯誤を繰り返しているのだと語るのみであった。
ラフォーレは特別クラスと一般クラスの対立を故意に煽り、その競争意識から良いデザインを生みださせようとしていたが、現在ではそれは悪い面だけが目立ち、2クラスの対立の激化だけを生む結果となっていた。主人公はそんな中、一般クラス首席の銀条春心(ぎんじょうはるこ、あだ名はパル子)と出会う。彼女はすでにネット上で自分の店を出しているほどの才能あるデザイナーで、全ての工程を1人で行っていることから、型紙の才能は主人公よりも上だと思わせるほどであった。主人公はそれに嫉妬しかけるが、彼女のデザインが原宿系で、自分の目指す方向性と異なるからという点で納得し、ライバル認定はしなかった。また彼女の友人で、パル子のマネジメントをしており、アパレル経営科に通っている一丸弓(いちまるきゅう、あだ名はマルキュー)とも出会う。主人公は全ての人間に愛を与えることが自分の存在意義だと思っている八方美人的な性格なので、それでも一般クラスとも仲良くしたいと考えていた。
こうして学院での友人ができつつある主人公だったが、ある日パル子、マルキューから、映画製作用の衣装を作ってほしいと依頼を受けたとの相談を受ける。納期と必要衣装数、パル子への負担を考えて迷っていると言うマルキューに、ジャス子がデザイナーとしてのチャンスが来たのにそれを逃す意味が分からないと言ったのが決定となり、彼女たちはそれを受けることにする。パル子たちは納期に間に合わせるため、正式な契約書を交わす前に、依頼された20着のうち10着を自腹で作製しており、後から経費として請求しようと考えていたが、その時点で制作会社との連絡がとれなくなってしまう。主人公は、その映画に出演予定だった朔莉に頼んで、内情を探ってもらう。すると、その映画のスポンサーの娘が特別クラスの3年にいて、圧力をかけてパル子の衣装を採用するのを辞めさせていたことがわかった。パル子たちには表向きの理由として、映画のイメージと違った、ということが伝えられており、パル子たちはそれで納得していた。主人公は、パル子の語った「着る人が楽しく1日を過ごせる服を作りたい」という志に感銘を受け、パル子にも興味を持つようになった。
主人公たちは、期末テストの課題として提出したデザインのうち上位10名のものを、夏休みに3人(+付き人3名)の班で衣装として完成させる、という課題を出される。今はクリスマスに行われるフィリコレが個人参加になったため、班での課題は夏休みにこなすことになっていたのだった。主人公はメイドであるため、成績が1番であったにも関わらず班として完成させるデザインには選ばれなかった。しかし、成績が10位だったいせたんが、自分より成績のよい主人公のデザインが選ばれないことに納得できないと言いだし、自分の枠を主人公に譲ると申し出る。特例としていせたんの申し出は受理され、主人公のデザインが採用されることになった。主人公たちは、エスト、いせたん、ジャス子、主人公、いせたんのメイド、カトリーヌ(ジャス子のメイド)の6人で衣装を製作することになる。ここで主人公はテストの課題用として提出した、自分のためのデザインより、どうせなら新しくデザインを変えて衣装を作りたいと考え、誰のために衣装を作りたいかを考える。
ここでシナリオが分岐する。
BADエンドでは、主人公がアトレの部屋に遊びに行くと、たまたまアトレが入浴していて、その裸を見てしまう。アトレは朝陽モードの主人公には過剰に反応しても、兄モードの主人公には何も反応しないので、恥ずかしがったりせずに普通の対応をするが、主人公は父の面影のあるアトレに性的興奮を覚えてしまう。そんな自分を嫌悪した主人公は、衝動的にマンションを飛び出し、夜の街を徘徊する。主人公は世間知らずなので、ホームレスに話しかけ、ゲロをかけられてしまう。またお金も持っていなかったので、さらに人々に避けられながらも街をさまよい、親切な人に銭湯を教えてもらって男湯に入る。するとそこに学院の男子生徒がたまたま来て、主人公の正体がバレてしまう。衣遠が万が一のために用意していた診断書のおかげで、主人公は女装したトランスの生徒として学院に通い続ける事はできたが、教室は別に分けられ、紅葉から出された課題を1人でこなし、寂しい学院生活を送ることになったのだった。
以降、個別ルートはキャラ紹介欄で紹介していく。今作はシナリオに関わってくる名前と立ち絵ありのキャラが多いため、少々煩雑になることをお許しいただきたい。
・キャラ
小倉 朝陽 こくら あさひ 164-84-58-82
主人公。男なのに3サイズ表記がある(Bはパッド使用時)。本名は桜小路才華(さくらこうじさいか)。母親から遺伝した白い髪と紅い眼を持ち、そのことに誇りを持っている。中でも白くて美しい髪が自慢で切りたくないからと、男性時でもポニーテールにして長髪のままである。声が高く、華奢なので、女装をしても全く違和感がない。女装時のメイド服は自作である。プライドが高くナルシストで、自分は全ての人間に愛を与える側の人間だと自負している。またドSでもあり、他人を困らせるのが大好き。幼少期にはよくルミネを困らせていた。口癖はルナのものでもある「大変に気分がいい」と、遊星のものでもある「やる気マン〇〇(例:マンゴスチン)」。両親のことは、世界で1番目と2番目に美しい人間であるとして尊敬しており、特に母親のことは尊敬しながらも越えるべき壁だと考えているが、父親のことは、母親に逆らえない軟弱者だと見ており、父の言葉を素直に受け止めることができないでいる。名前の"才華"は"才能が華開く"という意味で衣遠が名付けた。これはルナが主人公の名前を"毘沙門天(びしゃもんてん)"にしようと本気で考えていたためである。≪総裁殿≫には、自分がルナと遊星の息子である、という点だけで複雑な感情を抱かれており、他人の助けを前提に生きている甘ったれ、という評価を下されていて、仲は良くない。一方で衣遠叔父様には溺愛されている。
幼い頃から母親譲りの髪を自慢に思っていたが、幼稚園の時に見た目の違いを理由にイジめられ、ルナの勧めで黒髪のウィッグをつけて通うようになった。主人公の中ではこれがトラウマになっており、母親からもらった美しい髪を汚したと考えている。そのため、自分の髪が世界一美しいものであるということを世間に知らしめることを夢としており、それを叶える場所として、母親と同じフィリア学院を選んだ。また、デザインの腕も型紙の腕も、幼少期から英才教育を受けてきた故に非凡なものを持っているが、何かが足りないという評価から抜け出せておらず、それを探すためにフィリア学院へ来たという面もある。
幼少期に女装した父が母に犯されている姿を見てしまい、その時の父親の姿があまりにも美人だったために、性癖がねじ曲がってしまった。以降は女性の理想が「女装した父」になってしまい、世間一般の女性に微塵も性的な魅力を感じなくなった。また、両親の容姿を受け継いだ自分の容姿を美しく思っているが、そこには尊敬の対象である母の面影も混じっているため、自分に対して性的欲求を抱くこともできなかった。また潔癖でもある主人公は、女性に対しても凛々しさを求めた結果、自らが女装したときにのみ、デザインのインスピレーションが湧くようになってしまう。そのため主人公は定期的に女装しており、今回女装して学院に通うようになったときにも抵抗がなかった。
前作主人公ほど完璧超人感がなく、良家のお坊ちゃん感が出ている(桜小路の関係者には若と呼ばれている)が、金持ちの嫌味感は出ていなくてそれは良かったと思う。
主人公だけ(多分)商業施設関係の名前でないのはずるいと思う。あと、Hシーンの時に、モザイクごしでも主人公のモノが白いのがわかるのが面白かった。
CVは遥うみさん。鹿野優以さんらしい。遥そらさんが旧Twitterで遥一族だと言及していたので、最初は遥そらさんの別名義なのかと思っていた。
遊星の声は、男性時と女装時で声の高さが変わるだけで、同一人物感があってよかったが、才華の声は男性時と女装時で声の質まで変わるため別人感が出ていて、それぞれの演技の違いが見れて面白かった。
桜小路 亜十礼 さくらこうじ あとれ 146-78-55-80
才華の実妹で、フィリア学院のパティシエ科に所属。兄が4月生まれで自分が3月生まれのため、妹でありながら同学年である。兄とは違って父の日本人的要素を多分に含んだ自分の容姿のせいで、兄に迷惑をかけていると本気で思っているため、兄の役に立つことを生きがいとしている。仏教が好きで、会話に仏教用語が混じることがある。マンションの66階に住み、実質的な大家として振舞いながら、兄の手助けをしている。女装した兄に惚れてしまい、「お姉様」と呼んで過剰に慕っているほか、学院では「朝陽倶楽部」を創設して同志を集め、その人数は1000人を越えている。服装は和ロリを好み、同じくゴスロリが好みである≪総裁殿≫と趣味が合うこともあって仲は良い。
名前はルナが「亜十礼威無(あてーな)」とするところだったのを必死に周りが止めた結果、アトレになった。これは、父方の祖母がアイルランド系だったため、そこからとった響きであるとのことである。
CVは川崎美鳥さん。山本希望さんらしい。攻略ヒロインではないため何とも言えないが、平常モードとお姉様心酔モードが切り替わるのが面白かった。
八日堂 朔莉 ようかどう さくり 155-82-54-81
フィリア学院の女優科に所属する1年生。"桜の園"の44階に住む。すでに世界的に有名な映画女優で、芸名は「イトウ・サクリ」。実家は岡山で学校法人を運営している名家であり、地元では絶大な力を持っている一方で、保守的で排他的な家族とそりが合わず、実家を飛び出した変わり者。同じく教育事業を持っている桜小路家とは付き合いがあるが、両家の中は悪い。自他共に認めるコミュ障の変態で、どぎつい下ネタを平気で口にし、生意気で人をイライラさせる話し方をするが、これは海外で枕営業の標的にされないために生み出した演技の人格である(本人が下ネタ好きというのもある)。
幼いころに一度だけ招かれて行った桜小路家本家の観桜会で、自分と同年代の男の子が泣きながら屋敷に入っていったのを追いかけ、そこでウィッグを外した男の子の白髪があまりにも綺麗だったことが強く印象に残っており、その男の子に初恋をして、その子の正体をずっと追っている一方で、それ以降白髪フェチになってしまい、自分でも髪の毛を脱色して白髪に近い色にしている他、髪の色に合うようにカラコンをしている。いつも頭にデカリボンをつけているのは、その時の自分がつけていた一番目立つ装飾具だったためである。男の子の正体は主人公で、主人公は参加していた観桜会で母の陰口を聞き、母と同じ白い髪をウィッグで隠している自分が卑怯に思えて、思わず誰もいない屋敷の中へ逃げ、自分の髪を確認しようと考えたのだった。正体を言えない主人公だったが、朔莉自身も、初恋とは別人として、同じ白髪をした朝陽に一目ぼれしており、両性愛者を自称して主人公に熱烈なアプローチをしかけてくる。
この初恋は朔莉の人生に大きな影響を与えており、その時の感動を再現したかったためにとりあえず映画女優になったものの、朔莉の夢はその時の感動を劇として表現することであり、舞台女優の勉強をするためにフィリア学院に入学した。
毎朝主人公が7時頃にエストの部屋へエストを起こしに行くのを、主人公の部屋がある2階のエレベーターホールで5時前から待ち構えており、そこで朝のやり取りをするのが日課となっている。また、主人公たちに事あるごとにお土産として岡山名物のままかりを渡してくるため、エストの朝食にはほぼ毎日ままかりが出てくる。自分の部屋も白一色で、本当は服も真っ白にしたいが、精神病患者と疑われたことがあるため、服は色付きのものを着ている。
朔莉ルートでは、主人公は自分の知名度を上げるため、世界的に有名な女優である朔莉が文化祭でやる劇の衣装を作って、その名前を借りようと考える。しかし、朔莉の入学した演劇部門は、「出会い系クラブ」と揶揄されているほど、生徒や教師のやる気がないことで有名だった。そこで朔莉は、自分が嫌われ役となり、共通の敵として立ちはだかることで、クラスの団結力を高めさせ、意識を変えようという作戦を取っていた。その当然の対価として、朔莉はクラスで孤立することになっていた。
ちなみに、どうして問題があることで有名だった学科に朔莉が入学しようと思ったかについては語られていない。
主人公たちの班は、主役を含めた10着の衣装を縫う事で朔莉から許可をもらうが、ジャス子がわざとディティールを落とした脇役の衣装は縫いたくないと言い、それは主人公によって了承される。またエストが主人公のデザインの型紙を引くと申し出てくれる。主人公は衣装のデザインのため、クラスの担任が書いたという劇の脚本を読むが、それは内輪ギャグ満載のコメディタッチの作品であり、致命的に面白くなかった。女優科には教師もロクな人間がおらず、またプライドだけが高くて脚本に口を出す事ができなかった。また同じく朔莉は、自分が幼少期から書いてきた、幼い自分と白髪の少年との出会いをもとにした脚本を主人公に見せる。しかしそれは、古典的で陳腐なものに主人公には映り、2人は定期的にその脚本の書き直しと感想を送り合うことになる。
文化祭で行われた劇では、実施後のアンケートで朔莉以外の全てが酷評され、また観客のほとんどがイトウ・サクリを見に来た人間と会って、朔莉とクラスとの仲は修復不可能なほど悪くなってしまった。朔莉は自分の誇りと夢のため、相手に合わせてレベルを落とす事ができず、この結果は当然のものであった。
文化祭では朔莉の劇以外はサラっと流され、また劇の内容もセリフが2,3言の抜粋、また主人公たちの衣装制作シーンがほとんど描かれなかったことからも、中途半端な印象を受けた。
主人公はクリスマスのフィリコレに向けて、自分が服飾部門で1位を取り、また演劇部門では自分の衣装を朔莉に着せて1位を取らせる、という二部門の制覇を目標に掲げる。しかし、文化祭の結果を受けてフィリコレの脚本を担任が放棄し、朔莉はクラスメイトから脚本を押しつけられてしまう。朔莉は、主人公と直しを続けていた自分の夢の脚本を世に出すチャンスだと考える。
そんな時、主人公の定期健診があり、主人公はそのために用意していた保険証を、朔莉に返した原稿の間に挟んでしまったことに気付く。主人公はマスターキーを使って、朔莉の部屋に忍びこみ、そこで保険証と朔莉の日記を見つけ、朔莉が正体に気付いていないかを確かめるために日記を読んでしまう。すると、自分の正体が初対面の時点ですでにバレていたことがわかる。プロの女優である朔莉からすると、主人公が女装の演技をしていることは一発で見抜けるものだった。また、エストが溺れた時、壱与を呼んでくれたのは本当は朔莉で、毎朝早くから主人公の部屋の前で待っていたのは、主人公がいつ出てくるかわからないからに加え、主人公の女装の精度を確かめ、自分に朝イチから会う事で主人公の気を抜かせないという意図があった。実際、主人公は1度だけ寝坊した際、朔莉に身だしなみを整えてもらったことがあった。主人公は朔莉の献身に感動し、日記には主人公に対する好意が溢れていたこともあって、これ以上朔莉を騙していることに耐えられなくなる。主人公が朔莉に自分の事を告白すると、朔莉も本当の自分を見せてくれ、関西弁おっとり系お姉さんが現れる。口癖はめっちゃ〇〇。
正直、いつものキャラだとプラス要素がなかったため、それが素ではなかったという設定にするのはよかったと思う。また、演技のプロであるがゆえに主人公の演技には初手で気づいていたというのもよかった。
朔莉は初対面時に、アトレといた事から桜小路家の関係者であることを即座に見抜き、アトレが「お姉様」と慕っていること、中身が男であることは演技を見抜いてわかったこと、から主人公の正体にたどり着いたと語る。しかし、朔莉には主人公をどうこうする気はなく、3年間初恋の主人公のことを好きでいさせてもらう代わりに、主人公のことを学院生活を通じてできるだけ助け、卒業時に主人公に告白することを自分に誓った。
実際、他ルートでも朔莉は主人公のことを無償で助けてくれ、また朝の挨拶も主人公がその意図に気付かない限り塩対応であしらわれるので、報われないヒロインだと思った。同じ関西出身なこともあって、湊枠としてふさわしいヒロインだった。
日記帳を見られてしまったことから、朔莉は後戻りできなくなって主人公に告白し、主人公はその押しの強さから付き合うことになる。
付き合ったこともあって、朔莉のデザインは最高のものが描け、衣装の完成までできるが、自分のデザインはどうしても決まらず、期限の問題もあって主人公は、過去のデザインの中から流用することに決める。
そんな中で迎えた本番当日、王子役の生徒がドタキャンし、劇ができない自体に陥ってしまう。主人公は自分が朔莉のために、代役として舞台に立ち、自分の衣装を着てショーに立つのは、何故かピアノのコンクールを辞退していたルミネに頼む。主人公の夢を奪えないと言う朔莉とルミネに、主人公は自分の夢は「自分のデザインした衣装で舞台に立ち」「自分の髪を美しいと思ってもらい」「3年連続で最優秀賞を取る」ことだと詭弁を言う。主人公は母の影を追うのをやめ、自分だけの別の道を見つけられたことで、迷いを断ち切ることができた。その結果主人公と朔莉は、総合部門で最優秀賞を取り、また自分の脚本を舞台で演じるという朔莉の夢も叶ってしまった。これからは2人で次の目標を探すことにしたのだった、というところで終わり。
エピローグでは、エストに対して朔莉と付き合っていることだけをバラし、2年目の学院生活に向けて進んでいくところが描かれる。
ルミネがピアノコンクールを辞退した理由については、ルミネルートで詳しく語られる。
主人公が勃起できないというつり乙共通のハンデについては、今作の主人公がドSであるため、男女問わず困った顔をした人間に性的な興奮を覚えることと、肉体的な快感には抗えず、手コキや挿入時の快感で勃起を持続できること、等マイルドになっていたのが進行上の都合がよくてよかった。目隠しボールギャグや、ケツ穴にネギを挿すCGはあるのに、剃毛のCGがないのは少し残念だった。また、公開されている3サイズを見ると、朔莉はヒロインの中で一番Bが小さいのだが、CGでは一番Bが大きく見えるのも、どちらかを一致させてほしかった。
主人公の衣装制作に比重を置かず、また朔莉の教室内での日常等も語られないので、朔莉の問題は解決するものの、どっちつかずという印象を受けた。また日常シーンもあまりないので、素の朔莉を見られるシーンがあまりなかったのも残念。下ネタを言うときのニチャァ...とした顔は割と好き。
CVは遠坂リリさん。知らない人だったが、関西弁は自然だと感じた。
梅宮 伊瀬也 うめみや いせや 157-78-55-80
デザイナー科特別クラスに所属する1年生。"桜の園"の22階に住んでいる。ジャスティーヌによって「いせたん」というあだ名をつけられている。責任感や正義感が強く、頼られたい気質もあって、クラスでは委員長を務めている。負けず嫌いで努力家の一面もある。しかし実際には世間知らずで、相手のいう事をすぐ真に受ける他、今まで言いあいをした経験がなく、反論されるとすぐに折れてしまう。本人は気付いていないが、ドMである。物事を表面的にとらえ、よく言えば純粋な心を持っている。
実家は京都の名家であり、嫁入りした母親がルナの姉であるため、主人公とは従姉妹の関係にあたるが、母親がルナのことをいつも悪く言っているため、それを真に受けてルナの家が本家と仲が悪いのは、ルナのせいだと信じている。一方で、本人はルナの一家に対しての敵愾心はないが、母親のいいつけを守って、かつルナが悪いと信じているために関わらないようにしている。"桜の園"の大家がアトレに代わったことも知らなかったが、利便性を取って入居を取りやめることはしなかった。
CVはかわしまりのさん。思ったより登場機会が多いサブキャラで、かわしまりのさんの学生演技が聞けるのはうれしかった。
一丸 弓 いちまる きゅう 153-86-56-83
パル子の親友で、愛称は「マルキュー」。アパレル経営科に所属。パル子からは「きゅうたろう」と呼ばれている。パル子とともに立ち上げたブランドでは、HP作成や運営、対外交渉やスケジューリングを行っている。夢は自分の店を持つこと。
CVは深水もみじさん。知らない人で、サブキャラなのもあって特に何もなし。
銀条 春心 ぎんじょう はるこ 144-87-57-83
フィリア学院のデザイナー科一般クラスに所属する1年生。愛称は「パル子」。入学試験ではトップだったため、入学式で式辞を読んだが、原稿を席に忘れてしまったため、テンパって即興の歌を歌って終わった。それがまた特別クラス生からの反感をかってしまった。自身は競争には興味はなく、皆で仲良くしたいと考えている。人懐っこく、幼稚なしゃべり方をし、必要な知識はすぐに吸収するものの、他の事は覚えられない天才タイプ。両親が共働きの家庭に生まれ、今は祖母のアパートで2人で暮らしている。元々服を改造するのが好きで、その服で原宿などを歩いていた所を雑誌の取材に声をかけられ、それがきっかけで服作りを始めるようになった。最初は友人からの依頼にお金を取っていなかったが、交渉事が苦手で体よく使われ出していた時にマルキューが間に入り、ブランド「ぱるぱるしるばー」を立ち上げるきっかけとなった。販売形態はインターネットのみで、HPにはパル子のデザイン画のみが掲載され、購入者のサイズに合わせてパル子がオーダーメイドで服を作るシステム。その販売形態から数をこなせず、またパル子が納期に遅れがちなのもあっていつもマルキューからせっつかれている。また、自身のロリ巨乳体型に合う服がないのもあって、今では自分が着ている服は下着も含めて全て自作である。
パル子ルートでは、映画製作の衣装の件で主人公が友人として間に入り、エストに相談を上げることになるため、他ルートとは入り方が異なる。エストは正義感から主人公の想像以上に怒り、首謀者である3年生が特別クラスの1年生にこのことを自慢げに話しており、1年生は皆賛同していた、との情報から、クラスの隣人を疑いたくないと言いだし、まずは特別クラスの委員長であるいせたんに話を持っていく。しかし、いせたんには一般クラスのパル子たちに対する偏見があり、話し合いは平行線のまま、理解は得られなかった。そこでエストは、主人公を伴って一般クラスへの編入を決断する。
一般クラスでは、カップ麺を食べたことがない主人公とエストにカップ焼きそばを食べさせ、美味しいけどお菓子だという感想を引き出したり、エストの部屋のアトリエに2人を招待し、その高級な道具の使用感に2人が驚いたりする、あるあるがあるものよかった。こういう金持ちと庶民の間の異文化的交流は結構好き。
主人公はパル子と過ごすうちに、一見無駄に見える放課後の買い食いや寄り道などの時間に、パル子がデザインの源泉を見つけていることを知り、効率だけが全てではないことを知る。
ある程度パル子たちと親しくなったエストと主人公は、パル子の事情を教えてもらう。パル子は幼稚園の時、大玉転がしの玉の上から落ち、その上から大玉に踏まれたことで、内臓破裂を起こしたことがあった。その後病院のベッドで1人で目が覚めたことがトラウマとなり、今でも起きた時に1人だとパニック障害を起こすようになってしまった。また、事故の後遺症で、ストレスを感じ続けると体の血管が切れやすくなっており、それ故に競争ができず、怒ることもできなかった。そのためパル子は、何を言われても笑ってやり過ごす術を身につけた。また、彼女の家は共働きで、頭の良い弟を私立の学校に入れるため、お金が必要だったが、朝にはパル子のそばには常に誰かがいないといけないせいで、看護師の母は夜勤や遅番などを断らざるを得ず、また2人が責任を感じているのがわかるのがパル子には辛かった。そこでパル子は、実家を出て祖母と2人で暮らす事を申し出た。祖母は深夜営業の飲食店をやっているため、祖母が一緒に寝れないときはマルキューを呼んで一緒に寝ているのだった。そのためパル子には泊まりでの作業ができず、また祖母の帰りを待つ間に寝落ちしてしまわないために、夜はクラブ等に出かけるようになった。
主人公はパル子の事情を聞いて、この3年間で一般クラスと特別クラスの溝をなくそうと決意する。夏休みに入り、パル子、主人公、エストの3人で班での衣装制作を早々に終わらせた主人公たちは、「ぱるぱるしるばー」の臨時スタッフとして、パル子の服の手伝いをしていた。パル子と主人公の仲が親密になっていく中で、パル子は主人公に一緒に寝てほしいと打ち解けたお願いをする。しかし、中身が男であることから、それはできないと主人公は拒否し、拒絶されたと落ち込むパル子に対し、主人公は自分が男であることを打ちあける。パル子は女装した知り合いがいたり、理解があることからそれをすぐに受け入れ、パル子は主人公にとって、男の自分にできた初めての日本の友達になる。主人公はそれが嬉しくて、ちょくちょくパル子の家に遊びに行くようになり、やがてパル子から告白されて付き合うことになる。
文化祭では急遽ラフォーレの発案で、一般、特別クラス全員の生徒が、夏休みに班で製作した衣装を使ってファッションショーをやることになり、パル子の衣装が最優秀賞に選ばれる。しかし、それを気にくわない特別クラスの3年生によって、トイレに行ったパル子が囲まれる事件が発生する。主人公は帰りの遅いパル子を迎えに行き、パル子を助け出すが、その時に上級生の腕をひねり上げるという暴力をふるってしまう。暴力事件自体は、衣遠叔父様が相手の家に圧力をかけることでもみ消すことができたが、主人公は自分が暴力をふるってしまい、俗な人間になり下がってしまったことにひどく自己嫌悪する。しかし、パル子が主人公に感謝して励ましてくれる。
主人公は今回の事を受けて、一般クラスと特別クラスの壁を無くさなけばいけないとより強く思うようになり、いせたんに話をするものの、やはり受け入れてもらえない。またマルキューも、いせたんが一般クラスの生徒を見下した発言をナチュラルにするために腹が立ち、以降話し合いに同席しないと言われてしまう。そんな中で主人公はフィリコレに向けた衣装のデザインを考えるが、完璧でなくなった自分に自信が持てなくなり、スランプに陥ってしまう。そこで、パル子とデザインを交換し、お互いのために作った衣装をお互いに着ることにする。主人公は1年目の最優秀賞を諦めて、今一番作りたいもの、パル子の普段着を作ることにする。
しばらく経ち、今度はジャス子が、特別クラスは退屈だという理由で一般クラスに編入してくる。また、フィリコレで特別クラスをぎゃふんと言わせる衣装を作ってくれ、とパル子を応援する空気が充満し、ついにパル子がそのストレスと怒れないことから泣いてしまう。パル子にとって、着る人が楽しい気持ちになる服を作る事が全てであり、誰かを負かすためには服を作りたくなかった。そんなパル子の想いを聞いたクラスメイトたちはパル子に謝罪し、主人公は特別クラスとの和解のため、一般クラスの生徒に手伝ってもらって100着の衣装を作る計画を立てる。
フィリコレ当日、主人公たちが作った100着の服は、特別クラスの生徒の保護者に向けて作られた服だった。それは、自分たちの好きな人たちから、服をほめてもらえると嬉しい気分になる、というパル子と主人公の志が詰まった計画だった。そのために主人公は大蔵家の力を借りて、特別クラスの保護者全ての顔写真とサイズを手に入れ、パル子と2人でデザインを考えたのだった。これを受け、いせたんを笑わせることに成功した主人公は、パル子と出会い、新しい自分になることができたのだった、というところで終わり。
エピローグでは、パル子の衣装を着た主人公がフィリコレで最優秀賞に輝き、また特別クラスの生徒の大部分とも和解できた他、いせたんの妹がパル子の服を気に入ってお得意様になってくれたことが描かれる。主人公は当初と違う道を歩むことになったが、今がとても楽しく、これからは「ぱるぱるしるばー」の一員として服作りを続けていこうと考えたところで終わり。
主人公が簡単に路線を変更したように感じ、それに対する苦悩が何もなかったのが少し違和感があった。また、つきあってから主人公とパル子が2人で寝て、明け方にトイレに立った主人公が戻ってくるとパル子が目を覚ましており、パニック発作を起こしかけるという場面があったのにも関わらず、パル子が自力で持ち直して特に何もなかったのが残念だった。ここはお坊ちゃんの主人公に他人を預かる責任を感じさせる場面であり、自分が今まで親友として面倒をみてきたマルキューから、パル子を譲り受ける展開にもできたと思うので、軽く流されてしまったのがとても残念だった。
パル子はHシーン中に関係ない事を言ったり、ふざけたりするタイプのヒロインだったが、今回はパル子のキャラがぶっ飛んでいて、いい意味でそれがあっていたので、気にならなかったのもよかった。エピローグでフィリコレで最優秀賞を取った、主人公に着せたパル子の衣装がちゃんと描かれていたのもよかった。
CVは奏雨さん。一歩間違えるとキチガイキャラになるところを、かわいさに寄せていて、ヒロインとして上手だと思った。
山県 大瑛 やまがた だいえい
フィリア学院のピアノ科に所属する2年生。次男家の父富士夫と愛人との間に生まれた庶子であり、主人公から見て叔父にあたる。父と前総裁の日懃から認知されていないため、大蔵家の一族としては認められていないが、駿我が後見人として彼を引き取ってアメリカで育てた。兄である駿我の故郷を見たかったため、日本のフィリア学院への進学を決めた。このような家庭環境にも関わらず、穏やかで優しい性格をしている。
女子受けが高く、また時々ミニリサイタルをするほど人気があるが、教員からのピアノの評価は芳しくない。これは日懃が、大瑛を表舞台へ出さないように圧力をかけているためである。
並べてみると服装の手抜き感がよくわかる。
大蔵 瑠美音 おおくら るみね 164-84-58-82
フィリア学院ピアノ科に所属する1年生。"桜の園"の64階に住んでいる。前総裁の日懃が、ルナが才華を身籠った時に自分も新しい家族が欲しいと思い、当時18歳だった後妻との間に作った娘。したがって、主人公から見て大叔母に当たる。ルミネが産まれた事により、日懃は娘との時間を過ごしたいとの理由で総裁を引退し、りそなが総裁になることができた。年齢は下でも、今の総裁の1つ上の世代に当たるため、一族内での発言権は大きい。自分でもすでにいくつかの会社を経営しており、父親からは経営者になって欲しいと思われているが、本人の夢はプロのピアニストである。主人公はその関係性から「ルミねえ」と呼んでいるが、実際には才華と同学年であるものの、産まれた時期は遅い。幼いころから才華が懐いていたことから、才華の前でだけは素の自分を見せる。小さいときは主人公のことを「才華くん」と呼んでいた。今は「才華さん」。規則至上主義とも呼べる考えかたで、真面目でカタい性格をしていて、また大蔵家の家風を受け継ぎ、興味のない他人には無関心で排他的。そのため友達がいない。
幼いころ、才華がルミネの楽譜に紅茶をこぼし、ルミネがそれを怒って、悪いことをしたのだから叱らなければいけないという考えの元、才華を探したことがあった。才華はルミネに怒られるのが怖くて、夜の庭に隠れたが、懐中電灯を持って探しに来たルミネによって、その光を直接目に受けてしまう。色素の無い才華の目は、それによってダメージを受け、失明こそしなかったものの、そのことはルミネに一生の後悔を残した。それゆえ、ルミネは才華に対して過保護になり、才華の本気のお願いを断ることができなくなった。ルミネが才華の女装に最終的に折れたのもそのためである。
それとは別に、主人公を甘やかすことが好きであり、潜在的なドMでもある。
ルミネルートでは、主人公が文化祭でルミネの衣装を作ることにする。主人公はルミネに会いにピアノ科の棟に通ううちに、山県先輩からのリサイタルへの誘いを受ける。ルミネも、人気のある山県先輩の演奏技術がどのようなものか興味があると言って、2人はそれを見に行く。主人公は、いつも完璧を求め笑わずにピアノをにらみながら弾くルミネと、楽しそうに、また観客を楽しませようとピアノを弾く山県先輩を比べ、ルミネのピアノに疑問を抱く。ルミネは、山県先輩のピアノを聞いて、大したことないと評する。文化祭でルミネは主人公の衣装を着て最優秀賞を取るが、主人公も見に行ったその舞台は、観客のほとんどが大蔵家の関係者で、誰も演奏を聞いていなかった。主人公は文化祭の後、意を決してルミネの演奏が技術的に上手でも聞いていて楽しくないという助言を口にする。それを聞いたルミネは素人がわかった口をきくなと怒り、主人公は拒絶されてしまう。また、主人公はルミネが大蔵家の力を使っているという陰口を聞いた話をして、さらに以前山県先輩の演奏を楽しかったと評していたことも思い出されてしまい、余計にルミネの機嫌を損ねてしまう。
ルミネは風邪を言い訳に、主人公に会いたくないと少しの間実家に戻ってしまう。しかしそこで、父が本当に賄賂を使って、自分の成績や賞を買収していたという事実を知ってしまう。ルミネは自分の不正を嫌う性格から、そのことを知って吐きそうになってしまい、学科の人たちに謝罪してフィリコレへの参加を辞退しようとするが、すでにルミネへの悪感情は最高潮に達しており、謝罪を受け入れてもらえない。
他ルートでもルミネがフィリコレを辞退するのはこれが原因だが、このルート以外ではその理由までは語られない。
主人公は、親のしたことはルミネに責任はないとして、ルミネを慰め、ルミネが立ち直るのを待つ。また、ルミネの衣装を作って、フィリコレで2部門を制覇するという目標も、ルミネのために諦める。一方で、ルミネに対する非難はさらに過激化し、ルミネが一方的にフィリコレを辞退したことで、枠が繰り上がるわけでもなかったために他の生徒たちからさらに反感を買い、授業でははっきりと孤立させられ、学院が針の筵になる。ルミネは、主人公の姉として恥ずかしい姿は見せられないということだけを精神的な支えにして学院に通い続けるが、その精神はボロボロになり、イップスになってピアノも弾けなくなってしまった。また、ルミネは今まで順風満帆な人生を送ってきたことから成績不振になったときの立ち直り方がわからず、陰口におびえてびくびくするようになってしまった。主人公はそんなルミネを見ていられず、山県先輩に助言をもらおうとピアノ科棟を訪れるが、そこにルミネもついてくる。ルミネは追いつめられるとポンコツと化し、山県先輩に対して自分が辞退した枠を先輩に譲るという話をしてしまったことが先輩のプライドに障り、今まで怒鳴ったことのない先輩を怒鳴らせてしまう。そこでやっとルミネも、自分がひどいことを言ったことに気付き、今までの全てがあふれだして先輩と主人公の前で号泣する。
先に帰ったルミネを主人公が追いかけると、ルミネは他人に迷惑がかかるからもうピアノは辞めると言いだす。主人公はルミネにピアノを辞めてほしくなかったので、自分の出場するフィリコレで、BGMとして自分の衣装を着てピアノを弾いてほしいとルミネに言う。しかし、ルミネが自分でないといけない理由を尋ねたので、主人公はルミネが初恋の人で、今でも好きだからと告白する。
他ルートでも、主人公は自分に恋人ができるのは仕方ないが、ルミネに恋人ができるのは許せないと語っており、また、ルミネとの初恋は、家のこともあって結ばれるとは考えていなかったと語る。一方、他ルートで恋人ができたときにルミネのことを思い出すシーンは1回もないため、誠に自分勝手だと言える。ルミネは主人公がトラウマを刻まれる前から好きだったので性欲の対象内であり、朔莉、パル子が性欲を覚えないまま、流されて向こうからの告白につきあった、というのとは異なる心持ちになるのがよかった。
今度はルミネが流される側になり、主人公と付き合うことになる。しかし、ルミネを困らせることが大好きな主人公は、初体験の思い出でルミネを困らせようと、性知識皆無のルミネに初めてをアナルセックスで済ませるのはやりすぎだと思った。
好きだった姉を自らの肉欲の対象に落としたという事、潔癖だった自分が、初めて射精して浅ましい人間に堕ちてしまったという事を認識し、主人公の価値観が変化する。また、主人公はアトレと衣遠にもこのことを打ち明け、協力をお願いする。ルミネは主人公のために再びピアノを弾けるようになり、山県先輩とも和解することができた。ルミネは、大蔵家の縁者として新たな関係を築きたいと歩み寄り、山県先輩もそれを受け入れてくれた。また、山県先輩はルミネのピアノを聞いて、2人が付き合ったこと、肉体関係があることを見抜き、音に気を付けるよう助言をくれる。
フィリコレのリハーサルになり、主人公は衣装を着て順番を待っているときに、自分がモデルとしてこの場に立つ覚悟があるのかと突然疑問に思う。しかし、モタモタしているうちに主人公の番が終わりそうになり急いで舞台に上がるが、主人公が最後だったためにもう全員はけたと思いこんだ舞台係によって、照明が消されてしまう。さらに、真っ暗な舞台に主人公がまだ立っていることに気付いた舞台係が、主人公にスポットライトを当て、主人公は目にダメージを負ってさらに舞台から落下してしまう。
急に覚悟について悩みだすのが、事前の伏線等が何もなくて唐突だったのに加えて、スポットライトがダメなら他ルートでショーや演劇に出ていたのはどうなんだという思いがあった。まあ、暗闇で光を当てられるのがダメなのかもしれない。
主人公は一時的な失明状態になり、明日のショーには代わりにルミネに出てもらい、自分は目をつぶったまま、BGMを弾くと、ルミネに提案する。これはルミネを強制させるお願いではなく、お誘いだと主人公は言う。事前に登録されているモデルと違うので、最優秀賞の対象にはならないが、それでもルミネのためにデザインした衣装を皆に見せたいのだ、という主人公の想いを聞いて、ルミネはそれを了承してくれる。
フィリコレ当日、主人公はルミネが頼んでくれていた山県先輩のサポートもあって、無事目をつぶってピアノ演奏を成功させ、またルミネには最大級の賛辞が送られた。審査員は、主人公がケガをして出られなくなった、という事情を考慮し、かつ主人公の作った衣装が観客と審査員からの点数が一番高かったために、特例として主人公に最優秀賞が送られた。ルミネは不正をせず、本物の実力で初めて自分たちが最優秀賞をとれたことに感動して泣いてしまう。受賞コメントを求められたルミネは、主人公や周りの人々への感謝を述べるのだった、というところで終わり。
エピローグでは、主人公の正体はまだ明かしていないものの、山県先輩やアトレなどの大蔵家親戚たちで仲良くやっており、また他人に対して少しだけ壁を作るのをやめたルミネの姿が描かれ、来年のフィリコレに向けて2人とも頑張っていこうと決意するところで終わり。
主人公が目をつぶってピアノを弾けたのはそれが2人の幼少期の思い出の曲だったからで、それが過去作のOPであることはよくある展開だが、クラシックに近いピアノやバイオリン等でアニソンバリバリの曲が思い出の曲として流れるのは違和感がある。プレイヤーにとってはある意味思い出の曲と言えるかもしれないが。
せっかく甘やかすのが好きな年下の姉、という贅沢な属性を持っているのに、主人公が女に弱みを見せるタイプではないためにあまり活かされなかったのが残念だった。ルミネがおいでと言って抱っこするのを求めれば、もう男だからと拒否するのではなく、甘やかされにいってほしかったのが正直なところ。一方で、浣腸、ハメ撮り、拘束とひとしきりSMプレイをさせられているルミネはかわいそうながら可愛かった。
身内で付き合って家族にどう打ち明けるのかというのもやらなかったが、それはFDに一縷の期待。
CVは遥そらさん。安定の演技で、特に姉の演技は鉄板なので語ることのないほどよかった。また黒髪ヒロインだったこともよし。
フィリア学院の美容師科に所属する2年生。アンソニーとそのセフレである世界的スーパーモデルとの間にできた子ども。主人公から見て又従兄弟にあたる。アンソニーは2年前にジュニアの母親が亡くなるまでそのことを知らなかったが、遺書によってそのことが発覚し、今では父親として面倒を見ようとしている。大蔵家に認知されているが、本人は大蔵家にもその財産にも興味はなく、≪晩餐会≫にも参加したことはない。
まだ美容師免許はないものの、アメリカでは数多くのハリウッド女優やスーパーモデルのカットを引き受けてきた天才で、日本人の美しい黒髪を切りたいと思い、日本に留学してきた。入学式で見た主人公の美しい白髪を見て一目ぼれし、主人公の専属美容師になる。プロとして、向こうから求められない限り髪以外に興味を持たないことにしているため、軽い見た目と言動とは裏腹に信頼できる人物。
主人公がフィリコレに出場するときのスタイリストも引き受けてくれる。
ジャスティーヌ・アメリ・ラグランジェ 135-68-46-65
フィリア学院のデザイナー科特別クラスに所属する1年生。"桜の園"の11階に住む。家はフランスの元伯爵家で、叔父は駐日フランス大使の書記官。傍若無人でわがままな性格で、またラグランジェ家の例にもれず国粋主義者のため、授業初日からクラスメイトに油性ペンでラクガキするなどしてクラスの反感を買う。またデザインの才能は天才的で、すでにフランスで数々の賞を受賞しているが、かなりの気分屋でやる気にならないと全く描かない他、授業の課題も提出しないため、度々いせたんから注意を受けている。フィリア学院パリ校で講師をしている叔母のリリアーヌを尊敬しており、その叔母が自分のデザインで足りないものを日本人に学んだと語ったため、日本語を勉強して日本に留学してきた。そのため日本語は非常に堪能。しかしクラスメイトが半分蔑称のつもりで自分の事を「ジャス子」と呼んでいることが理解できず、あだ名として定着する。主人公のことは「白い子」、エストのことは「アーノッツの子」と呼ぶ。
基本的に日本人を見下しているが、才能があると認めた主人公、パル子には少し心を開く。またいつも注意してくるいせたんのことも、うっとうしがりつつも最後には認めているようである。エストルートでは成長を見せる。
CVは桐谷華さんで、このCVじゃなかったら共通ルートでは即座にミュートにしているだろうと思わせるだけのクソメスガキ要素が詰め込まれている。しかし、最後には憎まれキャラから脱却するのが面白い。
カトリーヌ・コレット 145-82-57-83
ジャスティーヌのメイド。同じくフィリア学院のデザイナー科特別クラス1年生となるが、同級生とはかなり年が離れている。フランスでメリルと同じ修道院出身の孤児で、メリルに憧れて自分も服飾の道を目指し、フィリア学院パリ校を卒業してメリルの会社に入れてもらったものの、自分の才能の無さを痛感し、メリルに申し訳なくて会社を辞めてしまった。しかし現在でもラグランジェ家のメイドをしながら服飾の勉強は続けていてデザイナーになる夢を諦めておらず、日本語が不慣れながらも、誰も立候補者がいなかったジャスティーヌの日本行きへの同行を志願した。幼少期は人見知りながらも遠慮のない元気な性格だったが、パリという都会でもまれているうちにすっかりおとなしい性格になってしまった。
彼女の年齢については、同級生と1回り以上離れているという記述と、10歳上という記述があり、ここでは20台後半だと考えておく。
語尾の~です。が全て~ます。になる話し方で、聞き取りも万全ではなく、ジャス子が授業に出ていないのもあって、クラスでは浮いている。クラスメイトからは「お母さん」という蔑称で呼ばれている。浮いている自分にエストと主人公が声をかけてくれたことを感謝している。
CVは佐々留美子さん。ベテランの人らしい。サブキャラクターなので、特にいうことは無し。
エスト・ギャラッハ・アーノッツ 156-86-55-84
フィリア学院のデザイナー科特別クラスに所属する1年生。"桜の園"の65階に住む。実家はアイルランド子爵アーノッツ家の四女で、三女とは双子の他、その他にも最低1人の妹と1人の兄がいる。実家は没落しかけであり、マフィアとの癒着でなんとか家格を保っている状況である。しかしそれも、当主である父が家族を守るために行っていることなので、エストからは何も言えない。そんな実家から距離を置くために幼少期からニューヨークで育ち、上流階級と接する機会がほとんどなかったことから教養や品性で劣っており、全裸で寝たり、英語で話させると低俗な発言が連発することから、朝陽によって英語禁止令が出ている。一方で、日本語は演劇の台本で覚えたため、やや芝居がかっている。また朝陽によって、貴族の令嬢にふさわしい品位を身につけるための矯正を日々受けている。例えば口癖は「ファック」だったが、朝陽によって「〇〇ック(例:ブティック、ダイナミック等)」と言い換えるよう矯正を受けた。隠しているがその本質はS。
正義感が強く、実家が裏稼業と関わることで他人を不幸にしていることをわかっているため、その反動もあって親切でお人好し。ロンドンに住んでいた頃は、実家のやっていることから学校でイジめられていた。その時に、家族に迷惑をかけないようどんなことをされても言われても、笑ったり笑われたりしてやり過ごす癖がついてしまい、それが今の性格になってしまった。エストが空気が悪くなると、自分をネタにして笑いを取ろうとするのはそれが原因で、彼女が貴族らしくない原因でもあった。引っ越し先のニューヨークでは素性を隠してうまくやってきたが、そこでもアーノッツ家のやっていることがバレてまたイジめられ、欧州の貴族事情に詳しくないであろう日本へと留学してきた。
主人公とはニューヨーク時代からのライバルで、才華と並んで天才扱いされてきたが、授業では全くタッチの異なるデザインを描いており、その評価は散々なものだった。しかし、本人には何か目的があってそれを続けているようだった。
エストルートでは、主人公はエストのために衣装を作りたいと申し出る。主人公は"才華"としてエストを助けて以来、正体を隠してエストとのメールを続けていたが、エストは"朝陽"に衣装を作ってもらう事を断ろうと思うが、どう思うか、と"才華"に尋ねる。主人公はエストに自分の衣装を着てほしかったため、エストが背中を押してほしいのだと解釈して、それを着てほしいとメールする。
主人公はエストの衣装を作るため、エストの内面を知ろうと様々な会話をする。そこでエストが日本に来た理由を聞く。日本では以前の自分を知っている人がいないので、素の自分を出せて、正義感から朝陽を守ろうとジャス子に声を上げたりできていたのだと主人公は考える。
夏休みの課題として、主人公はエスト、いせたん、ジャス子、カトリーヌと共に、エストの衣装を作ることにする。ジャス子も文句を言いながらも、主人公のデザインだからと手伝ってくれる。また夏休み中、エストとジャス子がいせたんの実家に遊びに行くことになり、主は正体がバレる危険性があることから行けなかった。その言い訳に才華と会うことになっている、とエストに伝えたところ、エストから自分のことをどう思っているか聞いてほしい、と頼まれる。エストの中では、朝陽をゴーストライターとして使っていた才華のことは嫌いになったものの、プールで助けてくれたことやメールでのやり取りを通してまた気になっているようであった。
主人公は、帰省した桜屋敷で衣遠叔父様に会い、父方の祖母がアーノッツ家が昔治めていた村の出身である話を聞き、自分とエストに遠いつながりがあるかもしれないことを知る。そこでエストが性欲の対象に加わるかもしれないと考えた主人公は、エストに興味を持つ。
夏休みの課題の衣装が思ったより早くできた主人公は、いせたんから服作りの楽しさを教えてくれたことについて感謝される。またその時の会話で、クラスの皆も主役になりたいと思っている、という話を聞いた主人公は、フィリコレの総合部門でクラス全員でファッションショーをやって、最優秀賞を目指そうと提案する。これは主人公も始めて他人と服を作ったため、それが思ったより楽しかったということもあった。しかし、その計画は、クラスメイトのデザインを、できる側の人間である主人公とジャス子が主に手伝い、型紙の面倒も見なければいけないことを意味した。ジャス子は、自分にメリットが何もないとしてそれを拒否し、癇癪を起こして部屋に閉じこもってしまう。しかし、時間がないため、主人公たちはジャス子の説得を後回しにして、クラスメイトの説得を先に行う。またエストに言われ、主人公はメイドの立場を一時的に捨てて、いせたんの顔を立てるの辞め、計画のリーダーとして立候補する。しかし、クラスで作業を始めてもなお、ジャス子は計画に参加してくれず、エストと過去に交わした約束通り授業には来るものの、一言も口を利かず、放課後はすぐに帰ってしまうことが続いていた。その代わりカトリーヌが残って手伝ってくれたが、ある日、カトリーヌに手伝いをお願いしたいせたんの机をジャス子が蹴り飛ばす。ジャス子は、「お母さん」と陰口をたたいていたカトリーヌのことをクラスメイトが都合よく頼り、謝りもしないことに怒っていたのだった。また、カトリーヌがクラスメイト達に教えるため、睡眠時間を削って日本語の動画を見て勉強していたこともバラす。いせたんたちはそれを聞いて、主人公が率先してフランス語で謝ったことにより皆でフランス語で謝罪し、カトリーヌと和解してジャス子も参加してくれることになった。
そんなとき、主人公はエストから、自分が他人のゴーストライターとしてデザインを描いていると告白するメールを才華宛てに受け取る。しかし、そのことについて問いただすメールを送っても、エストからの返事が返ってくることは無かった。
文化祭では、急遽学院長の思い付きで、デザイナー科のクラス代表1人ずつが、夏休みの課題を対象としたコンペを行うことになった。主人公はエストのために作った衣装で、エストにモデルとして出てもらうが、当日になって衣装を着てランウェイに出てきたエストが、顔が同じだけの別人であることに主人公、ジャス子、カトリーヌだけが気づいた。主人公はすぐさま理由を問いただすためにエストを探しに行き、マンションの部屋でエストと対面する。
エストには双子の姉、エステルがいた。彼女たち姉妹は元々2人でデザイナーを目指しており、エストには「ロンドン初の双子デザイナー」になるという夢があった。しかし、エステルは気分屋ですぐにデザイナーのやる気をなくしてしまい、エストは姉にデザインを続けさせるため、エステルの名前でデザインを発表したり、エストのデザインした服をエステルに着せてショーに出させたりした。また、エステルは自分が愛されていると思い込んでいる系の女子なので、次第に自分がエストの服を着てショーに出れば皆が幸せになると考えるようになった。今回もエストが、姉にかつてのデザインへのやる気を取り戻してもらおうと、日本で楽しくデザインをしていることを話した結果、自分が代わりにショーに出演するとわがままを言われ(エステルはロンドンから当日券のフライトで来た、日本語は話せない)、主人公やジャス子など手伝ってくれた人たちに申し訳なく思っているが、自分の夢のため、姉の頼みをどうしても断り切れないのだとエストは語った。また、今まで授業で別のデザインを描いていた理由は、自分が2人分の完全に異なるデザインを描くことで、自分も表名義として主人公とこれからもデザインが描けると考えていたためであった。主人公はエストの告白を受けて、従者の立場からそれを全肯定する。その言葉に救われたエストは、"朝陽"への好意が強くなるとともに、これからは2種類のデザインを考えるのを辞め、姉には自分のデザインを描いてもらうよう説得する方向に切り替えることを決めた。また、いせたんとジャス子にも理由を説明し、許してもらう事ができた。
それからしばらくして、主人公たちがパリへ研修旅行に行く時期がやってきた。他ルートでは留守番をしていた主人公だったが、エストがどうしても一緒にいきたいとねだるので、別の便を取って遅れて向かう事にした。しかし、マンションのエントランスで、風邪をひいて出発を1日遅らせていたいせたんの従者と偶然出会ってしまう。同行を申し出られた主人公は、その場では何とか自分の乗る飛行機の当日券を全て買い占めることで断ることができたが、その従者がドMで、ドSのオーラを放つ主人公に以前から男女関係なく惚れられていたことがあだとなり、好意から主人公の乗る飛行機をキャンセル待ちするために空港で張っていた結果、保安検査のチェック時の会話から主人公が男であることがバレてしまう。
パリ旅行は尺も無かったのか、遊星とメリルが住んでいたアパートに才華が一泊する、という出来事以外はほぼカットで流れ、休み明けの教室で主人公はいせたんから男であることをバラされて糾弾される。主人公はいせたんに突き飛ばされ、日の当たる窓際に押し出されてしまうが、そこをエストが泣きながらも庇ってくれる。そこで主人公は、自分の部屋でエストといせたんに事情を説明することにする。主人公の目標である、母と同じショーで最優秀賞を取るという話をしているうちに、いせたんの指摘で主人公は自分が自分を認められていないことに気付くことができた。また、話の流れでいせたんからのルナに対する誤解も解くことができた。事情を聞いたいせたんは、退学は免れないものの、警察に突き出さないことは約束してくれた。いせたんが退出して2人きりになった部屋で、エストからは自分を騙していたことを一生許さないと言われ、だから自分のそばで一生をかけて罪を償えと命令される。しかし、エストが主人公を好きな気持ちは変わらないので、主人公に自分に抱かれることを命令する。
エストはつり乙史上初の「おちんちん」と口に出したキャラになった。しかし、主人公がすぐに下品な言葉を訂正したため、以降は「おみんみん」と呼称することになった。これならピー音がいらないため、ある意味合理的かもしれなかった。少し笑いそうにはなるが。ちなみに対義語は「おるんるん」で、使用頻度は少ない。また、エストは欧米圏の人間で、喘ぐときは気持ちよさを相手に伝えるということを教えられているため、最初は洋物AVみたいになるのが、芸が細かくていいと思った。エストは謝罪を主人公に要求するが、主人公は自分が謝るときには「ありがとう」と言う、と言ってお礼を連発するのは気障な主人公ぽくてよかった。
主人公は学院を退学になり、マンションからも出ていくよういせたんに言われるが、自分が作った衣装をフィリコレでエストに着てほしいため、学院長のラフォーレと交渉をする。その結果、フィリコレまで学院長のアトリエに軟禁され、ラフォーレと一緒にいる時間はラフォーレからジャンの話を聞き、卒業後には自分が副社長を務めるジャンの会社へ入社する、ということを条件に、衣装を使用することを認めてもらう。
主人公は、残りの約2か月をラフォーレのアトリエで作業を開始するが、どうしてもよい衣装ができてこなかった。最初は主人公の才能を期待していたラフォーレだったが、衣装の出来を見るうちに次第に失望へと変わっていき、最初は毎日アトリエに顔を出していたのが、全く顔を見せないようになっていった。朔莉は、主人公が男だと知れ渡った後でも無償の協力をしてくれ、主人公の衣装を点検に出すために、アトリエと学院を往復してくれた。また、主人公の段々やつれていく姿をアトレやルミネ、エストに伝えず、自身も何も声をかけずに見守ってくれた。一方エストは、主人公のことを許してもらえるよう、クラスメイト達に声をかけて回っていた。その甲斐あって全員の説得に成功した。一方主人公は極度の疲労から、ついに朔莉に助言を求めるまでに落ちぶれていた。主人公に映画女優として成功したときに何を考えていたかを聞かれた朔莉は、初恋の気持ちだと答える。さらに主人公は、朦朧とする意識の中で父の言葉を思い出す。自分の衣装は、エストのデザインに自分が型紙をひいたもので、それは父の役割と全く同じだった。主人公は今まで反発してきた父を認め、その過去のセリフを思い出し、「自分が着せたい服」ではなく「相手の着たい服」を考えなければいけないことに気付く。今まで主人公には、相手の事を考える気持ちがが欠けていて、一方的に自分の愛を与えればよいと思い込んでいた。しかし、服は着る相手がいるもので、着せたい相手のために服を作る視点に気が付いた主人公は、足りない何かを埋めることができた。
主人公は大切にしていた自分の髪を切り、それを糸に使ってエストの衣装にエストの好きなものの刺繍をほどこした。出来上がった衣装を見に来たエストとラフォーレは、その出来に感動して涙を流し、ラフォーレは本当に主人公に宗旨替えをすることになった。また、エストは主人公もショーへ上がれるように取り計らってくれていたが、主人公は自分の夢は全てこの衣装に込めたので、自分はランウェイに上がらなくてもよいのだとエストに伝えた。
短くなってしまった髪は、ジュニアがウィッグを作ってくれていたことで、見た目だけは元通りにすることができた。また、主人公たちはフィリコレでグランプリを取ることができ、エストが衣装を着てランウェイを歩いてくるところで特殊EDに入るのはいい演出だと思った。クラスメイト達の話し合いにより、主人公はエストの作った衣装を着て、授賞式だけでも舞台にあがることができた。また、ラフォーレはジャンからの独立を宣言し、もう一度自分のデザインで勝負したくなったと皆に告げて学院を去ることになった。
エピローグでは、主人公が授賞式で舞台に上がったために≪総裁殿≫の知るところとなり、アトレや衣遠と共にお叱りを受けるとともに、今後2年間学院へ通うための許可をもらったことが語られる。また、クラスメイト達と打ち上げを行い、ジャス子も相手の事を考えて服を作る、ということを主人公から学んだので、来年度にはパリへ帰ることを切り出した所、いせたんが別れたくないと泣きだしたので保留になった。主人公の中には、アイルランドの国花であるシャムロックと同じ三位一体の心(才華、朝陽、エスト)があると語るエストに対し、主人公はこれからもここにいていいのか不安だと語る。それを聞いたエストは、プラネタリウムに例えて、偽りの空でも望まれている限りは存在していいのだと答える。ただし、自分だけには天蓋を開いて本当の空と、そこに輝く月を見せてほしいと言うエストに、「月がきれいですね」と返す主人公で終わり。
エストとする2回目のHシーンは、朝陽としてか才華としてかを選べるのだが、朝陽としてを選ぶと、女装した自分のケツをエストに掘られることになり、自分がトラウマを受けた両親の再現を、自分とエストのシーンで上書きしてトラウマを克服する、とつながるのが考えられていると思った。また、才華としてを選んだ場合でも、朝陽としてより、才華としてのHが気持ちいいとエストに言わせることができるため、こちらもよかった。
色々と詰め込んでいただけに尺が足りなかったのだと思うが、パリ編はもう少し描写が欲しかった。しかし、一番主人公が服飾をしているルートだったため、それはよかった(前作に関しては遊星がストイック+衣遠がラスボスすぎたのもある)。エストと姉の問題が全く解決しておらず、姉との対決がまだ残っているが、それはFDに一縷の期待(2回目)。
ジャス子は捨て猫不良理論ではないがかなり評価のあがったキャラであり、成長が感じられてよかった。
エストが、朝陽が才華であることを知った時に、これから自分はあなたが言ったことの全てに対して少しの疑いの心が消えなくなった、というセリフを言って、納得させられると同時にどうやって信頼を取り戻すのかに期待したが、エストが主人公のことが好きなので一瞬で消えていったのは残念だった。また、せっかく生活がだらしなく裸族である、という設定があるのに、主人公と裸で遭遇したのは2,3回であることも残念で、途中から朝陽→才華とチクりが入ることを恐れて朝陽の前でもきちんとするようになったのは残念だった。もっとダラけたエストを見たかった。
CVは野々山紅さん。山村響さんらしい。エロゲで声を聞いたのは初めてだが、外国なまりのある日本語がたまに現れるのは上手だったと思う。また声も可愛らしく、かなりよかった。
衣遠 叔父様
50近いはずですが、お元気そうでよかったです。
アペンドストーリー
〇従兄妹理論とその中心
エイプリルフール企画で作られたシナリオ。開始前に、男性キャラがかっこいいと思っている人はやらないでください、という注意が入る。
世界線はルナルートアフターで、りそなルートで行われた大蔵家関連の一連の出来事が、遊星とルナが恋人のままで起こった、ということになっている。遊星は留学しているりそなの頼みで、少しの間だけパリへ一緒に留学している、という設定。2の世界がルナルートの延長にある都合上、それを基本に物語の辻褄を合わせるための措置だと言える。
遊星はメリルと同じアパートで、りそなとともに暮らしていた。ある朝、遊星はりそなを起こしに部屋に入り、その時偶然アパートの下を通りがかったアンソニーを見つけて声をかける。しかし、窓の柵が壊れてしまい、遊星はアパートから外に落ち、たまたまアンソニーがキャッチして助けてくれる。遊星はそのショックで記憶を失ってしまい、アンソニーが色々と吹き込んだことが原因で、自分が体は男性だが心は女性の「小倉朝日」であること、兄の衣遠と従兄の駿我と二股をかけていること、を信じてしまう。朝日は2人に会って誠意を伝えたいと言いだし、遊星の希望を拒否するとその後悔が心に焼き付いて記憶に悪い影響を与えると医師に言われたことから、りそなはそれを了承する。主人公は衣遠と駿我のために朝食を作ると言いだし、衣遠兄様は味が濃ければ濃いほど好きなこと、特に卵かけごはんのとんかつソースがけが好きなことがわかる。また、衣遠兄様はりそなと遊星が送ったドレスシャツを、いつも着てくれていることがわかる。
お昼になり、メリルとエッテが様子を見に来てくれる。エッテは風邪をひいたという設定で立ち絵のみでギャラが発生しない。
夕食は衣遠ととんかつを食べに行くか、駿我と水炊きを食べるかを選ぶことになる。りそな、アンソニー、メリルの全員が水炊きを選ぶが、衣遠兄様がかわいそうなため、りそなが気を遣って衣遠兄様ととんかつを食べに行くことになる。とんかつを食べに行くと、遊星がキャベツをアーンしようとしてりそなに取られ、キレる衣遠兄様が見られる。
夕食後に再度全員で集まり、これからのことを相談しようとしたところで、りそなにルナ様から電話がかかってきて、それを聞いた遊星の記憶が一発で戻ったところで終わり。
全体で3時間ほどとなかなかのボリュームがあった。個人的にはこういうシリアスキャラのギャグ回は好きなのでよかった。
〇桜小路ルナアフターアフター
ルナのフィリア学院卒業まであと2か月になったころの話。遊星は1年留年する形で、男子部に通っており、屋敷ではルナのメイドを続けていた。ルナは3年連続フィリコレで最優秀賞を取り、湊は3年間ずっとルナと同じ班としてサポートをした。ユーシェは2,3年次の2年連続で準優秀賞を取り、また2年次にはルナが1年次に1次審査を突破したクワルツ賞で、日本人以外で初の最優秀賞を取った。瑞穂は1,2年次はルナと同じ班、3年次は別の班としてフィリコレに出場し、3年次の衣装は受賞はできなかったものの素晴らしいものだった。また、きものコンクールで2回目の優勝を果たした。
八千代がルナに卒業生代表として答辞を呼んでほしいというものの、ルナはデザイン以外の場で自分の姿が世間にさらされるのは嫌だと乗り気ではなかった。しかし、クラスメイト、特にユーシェたちからも推薦された結果、それを受けることになった。
遊星はルナに対して、ルナの卒業をもって「朝日」を永久に卒業すると話し、ルナの猛反対にあう。
ここでルナルートとりそなルートの辻褄合わせが行われる。
ルナルートの後、主人公とルナを結ばせるため、衣遠が大蔵家に根回しをすることになり、父の許可を求めて遊星と2人でマンチェスターに向かった。そこで父から衣遠の出自についての話をされ、父は衣遠と遊星が2人で仲良くしている姿を見て、自分の願いは果たされたのだと思い、遊星たちに協力してくれることになった。遊星たちはすぐに日本へ戻って、遊星、衣遠、りそな、ルナで話し合いを行い、衣遠の追放を避けるため、りそなに次期当主となってもらうことを決めた。そして遊星の存在は駿我とアンソニーには隠し、遊星は学院にも男の「朝日」として通う事にした。しかし、りそなに重圧をかけていることに気付かず、夏前にりそなが学院で潰されてしまい、また不登校になってしまう。このままでは衣遠1人で独立して闘うことになるかと思われたが、りそなは少しだけ強くなっており、1人でもう一度パリ校へ留学して頑張るので1年だけ猶予が欲しいと申し出る。衣遠はりそなの成長を認め、猶予をくれる。ここから乙りろで主人公とパリで経験した出来事を、りそなは1人で経験することになる。総裁殿は衣遠を追放し、また両親に罰を与えれば、りそなが1人になってしまうと考え、保護者として遊星を探していた。衣遠は桜小路家に圧力をかけ、遊星はルナの元に婿に行ったが、桜小路家がゴネていて遊星を帰さないため、取り返すには衣遠の力が必要だという芝居をうたせて遊星の存在の秘匿と、自身の延命を図る。一方りそなは9~12月までのイジメは1人で乗り越えたものの、クリスマスに遊星が日本から送った(乙りろでは遊星が贈った)マフラーを引き裂かれた出来事で心が折られてしまい、遊星に助けを求めた。遊星はルナと相談し、1月~5月のパリ校でのフィリコレまではパリで朝日としてりそなの付き人として留学することにした。そして5月のフィリコレで、遊星はりそなと共に作った衣装で最優秀賞を取り、大蔵家に自分を認めさせることができた、という風につながる。
衣遠は今回の一件についてルナの協力に感謝しており、大蔵家にルナを遊星の妻として認知させるための協力をしてくれる。その一環として、駿我とアンソニーを桜屋敷に呼ぶことになり、駿我とルナは、お互い遊星の内面に惹かれたものどうしとして共感し、協力をとりつける。
バレンタインの日、遊星は湊に相談したこともあって、朝日を完全に否定するのは辞めることにした。ここでルナを抱きにいくのだが、恋人として抱きに行くと、朝日になるのは2人が納得したとき、従者として抱かれに行くと、朝日になるのはルナがどうしても「朝日」にしかできない助けを必要としたとき、と変わる。
春休みにはエッテ(声付き)やメリルが遊びにきたり、卒業式前日にはルナのための衣装を作った1年目のショーが一番思い出に残っているといった話をしたりしながら、卒業式当日、ルナの答辞は自分の3年間の活動報告を読み上げるものだった。それは集団に交わらず、「個」を貫いた彼女らしい答辞であり、その締めくくりは「楽しかった!」でしめられる。それはくしくも、主人公が人生の目標としている言葉と同じであった、というところで終わり。
プレイ時間は4時間ほど、回想シーンも2回(実質3回)と平均的で、個別ルート1本をやったと考えれば満足できるボリュームだったと思う。「朝日」の取り扱いや、卒業式前という状況を扱ったのもよかったし、ルナルートという実質的な正史で、大蔵家関連の正式な解決が解説されたのもよかった。ルナと遊星のシーンに始めて中出しをしたことが明示されたり、子どもについての言及があるのも、2を意識しているようでよかった。
・終わりに
主人公が変わったということで、「つり乙」の期待値ほどには届かなかったという印象。倒すべき敵が自分になったことで、明確な悪役を用意できず、わかりやすいカタルシスがなかったことも要因か。特にルミネルートやエストルートは不完全感が否めないので、そこはFDに期待(3回目)。
メールの件名を表現する方法として画期的だと思った。