shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題27

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回も早速始めていきましょう。

 

今回紹介する作品はこちら。

 

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アマツツミ

 

Purple softwareから2016年7月29日に発売された「アマツツミ」です。Purple softwareといえば、ここで感想は書いていないものの、私が始めてプレイした同ブランドの作品である「ハピメア」が有名で、その内容から私に苦手意識を持たせたブランドでした。しかし、同ブランドに所属しているイラストレーターである克先生の描くロケットおっぱいかわいい美少女が有名であり、かつこの作品(と世界観を同一とする次作)はポケ江戸界隈でも一時期話題に上がったこともあり、プレイすることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは4人。本作は1人のメインヒロインをTRUEルートとして、そのエンドにたどり着くまでに他ヒロインのエンドが分岐していく、いわゆる途中下車方式となっている。また、選択肢が発生するまでを便宜的に共通ルートと呼ぶと、共通ルートの時点で各ヒロインの抱える問題は主人公によって解決されるため、個別ルートはほぼアフター的な展開となり、かつヒロインの問題を解決することでヒロインからの好感度はMAXになっているため、それを振ってTRUEルートに進んでいかなくてはいけないのが少し辛かった。

プレイ時間は各ヒロインのルートにつき5~7時間ほどで、全体としては30時間ほどだろうか。

回想数はこころ6、響子5、愛6、ほたる5

主人公の恋愛観がおかしいため、共通ルートでもシーンがあり、個別ルートだけのプレイ時間は2~3時間ほどだが、Hばかりでシナリオが埋められているわけではない。

 

・あらすじ

 

「言霊(ことだま)」を使って人を操ることのできる、神の末裔である主人公、誠(まこと)は、人の世から隔離された山奥の里で、静かに暮らしていた。その里では言霊を操る神の末裔のみが暮らしており、里の民たちはお互いに言霊の力を発動させないためいつも無言だった。主人公の両親は病死しており、主人公はただ1人の許嫁である恋塚愛(こいづかまな)にちょっかいをかけられながら、セックスをしたり、畑を耕したりして退屈な日々を暮らしていたが、次第に外の世界へのあこがれが強まり、他人とのコミュニケーションを求めて、愛を置いて里を抜け出すことを決める。しかし、追手を撒きながら山をさまよっていた主人公は、とある山道で熱中症で生き倒れてしまい、そこを通りかかった織部(おりべ)こころに助けられる。こころに拾われ、こころが母親と2人で暮らしている、住居兼店舗である喫茶店「折り紙」で暮らすことになった主人公だったが、見知らぬ若い男を家に泊めている世間体の悪さと、自分がいることによる、母親のこころに対しての貞操面での心配などを考慮した結果、言霊の力を用いて自分をこころの兄だと認識させることにした。ちなみにこころには、死産になっていたが本当に兄がおり、父親は何らかの原因で死んでしまっていた。一方主人公は、こころの親友だという少女、水無月(みなづき)ほたると出会うが、なぜかほたるには言霊の力が一切通用しなかった。ほたるに正体を明かし、協力をとりつけた主人公は、同年代の他人が多く集まる学校へと言霊の力を使って編入する。こうして、主人公があこがれていた、人間とのコミュニケーションが始まるのだった、という話。


主人公が他人とのコミュニケーションを通じて感情を成長させていくことに主眼が置かれており、主人公は言霊の力を使って他人を動かすのが当たり前になっているが、それも徐々に変化していく。また、主人公はほたるからの「約束」である、「言霊の力で、みんなの笑顔と幸せを守ってあげてほしい」という想いに従って動いていくことになる。「言霊」には本当に強制力があるが、「約束」は誰でもが使える言霊である、という解釈がかっこいい。

 

以降は個別キャラ紹介欄にて。

 

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20210528213004p:plain 織部 こころ おりべ こころ 155-86-57-83

 

茶店「折り紙」の看板娘であり、面倒見がよく素直で健気な性格だが、天然。しかしたまに鋭い洞察力を見せるときがある。料理の腕は壊滅的。主人公の「妹」になり、自身が高校1年生であったことから主人公は2年生に編入することになる。主人公の事は「兄さん」と呼び甘えてくるが、次第に主人公の事を意識するようになり、主人公のかけた、兄妹であるという言霊によって葛藤するようになる。主人公は、里ではムラムラしたときにいつでも愛を抱いていたため貞操観念が低く、セックス=恋人という感覚を持っていない。そのため自分に好意を抱いてくれているこころとキスをする。しかし、そのことで悩むこころとは逆に、両親を早くに亡くしていた主人公は新しくできた「家族」の居心地がよく、言霊の解消ができないでいた。そんなとき、こころの母親が倒れたという知らせが入る。こころの母親は元々身体が弱く、毎年入退院を繰り返していたが、今回は多臓器不全を引き起こしており、もって数日の命だという事を宣告された。そのことを「兄」である主人公にだけ打ち明け、こころにはいつも通り振舞う母親だったが、こころも気づかないフリをしながらも母親がもうすぐ死ぬことに気付いていた。母を失う恐怖で、主人公にいなくならないで、と懇願するこころを見て、主人公は言霊の力で母親を救う事を決意する。言霊の本質は自らの命=魂を言葉に載せて、相手の魂へ干渉することであり、それを応用すれば自分の命を他人に分け与えることが可能であった。主人公は最後にこころに会うが、そこで主人公が自分の前からいなくなることを感づかれてしまう。主人公は「もう心配しなくていい」「ありのままでいい」とこころに言霊を使うが、それによりこころのタガが外れてこころとHすることになる。主人公はその後眠ってしまったこころを置いて病院に向かい、言霊を母親に使うが、主人公に言霊使いの才能がなかったおかげですべての命を分け与えることはできず、母親の寿命を少し伸ばすことができただけとなり、また主人公の命も完全には消えなかった。衰弱した主人公に、里から主人公を追いかけてきた愛が言霊の力で少し命を与え、主人公もまた死なずに済んだ。

ここでOPが流れるため、実質的にはここまでがOPなのかもしれないが、こころの抱える問題は母親のことだと考えているため、あえてここに書かせてもらう。いつもはほわほわしているけど肝心なことには鋭くなる女の子は好き。

その後、愛が正式に主人公の前に姿を現し、言霊の力を使って主人公の妹兼こころの姉として一緒に暮らし始める。しかし、愛はことあるごとにこころからの主人公に対する想いを、主人公がかけた兄妹だという言霊を盾にして否定しようとしてくる。そのためこころとの関係は進まないが、主人公がこころを愛することを選ぶとこころルートに入る。主人公とこころは家の中や外でHを繰り返すようになるが、主人公にはまだ居心地のいい「家族」の関係を壊す決意がもてなかった。しかし、何度かのHを経て、主人公はついに言霊を解くことにする。こころはこれまでの出来事に戸惑い、主人公を避けるようになるが、兄でなくなっても主人公の事が好きなままだった自分の気持ちに気付き、主人公はもう一度こころに告白して、こころの家に残ることになる。愛もまた、居心地のよいこころの家を出ることはせず、「家族」としての関係を続ける、という終わり。

個別ルートの問題に関してはパッとしない上、主人公がうだうだしなければいいだけなので正直面白くないが、シリアスを2つも入れると疲れてしまうので、これぐらいでもよいと言える。しかし、本筋の問題も、こころ自身ではなく母親の話なので、盛り上がりに欠けることもまた事実。一応母親は風音様の声なので、それは豪華だと思う。

しかし、そんなことも気にならないほど、こころが可愛かった。CVは秋野花さんで、天真爛漫系の後輩もしくは妹キャラを演じさせればピカイチだと思うし、こころというキャラにすごくあっていた。えへへという笑い方がすごくかわいかったし、主人公になついている感じがとてもよかった。本作は変態的な構図が多く、ワンピースのこころを下からのぞき込む、という構図があり、珍しいと思った。

ちなみに回想数は母親を助ける前の共通で1回、ルートに入ってから3回あるが、主人公がこころを選ばなかったとしても、母親を助けたり、共に暮らしていることでこころからの好感度はMAXのままであり、続く共通ルートでこころを抱くシーンが2回ある。つまり、TRUEルートに入ろうとすると、こころは選ばれないのに3回も抱かれていることになり、かわいそうである。

胸の小ささに悩んでいるシーンがあるが、設定上の3サイズからすると十分すぎるくらいであり、CGでの大きさからみても数字を少し落とした方がいいのではないかと思った。

 

 

f:id:shanxdl:20210528221548p:plain 朝比奈 響子 あさひな きょうこ 153-90-59-87

 

主人公のクラスメイトとなった高校2年生の少女。神社の一人娘であり、霊感があって霊が見えることから奇抜な言動を繰り返し、周囲から浮いてしまっており、ボッチでコミュ障。しかしそれは、小さいころから霊が見えており、霊と人間の区別がついていないためであった。すごく夏目友人帳の夏目と被る設定だと思った。主人公は彼女と友達になるが、言霊の力がばれてしまう。しかし響子は神社の娘であるからか主人公を怖がらず、むしろ神である主人公に仕えるのが自分の役目だと言いだす。主人公はそんな響子と友達として付き合っていたが、ある時霊感を消したい響子のために色々と考えていた主人公は、響子に触れると自分にも霊が見えることに気付く。響子には10年前に水難事故で死んでしまった幼馴染、鈴夏(すずか)がおり、その死を経験したことが響子が霊を見るようになったきっかけだった。響子はそのことを今でも悔やんでおり、主人公に触れているときに「私が死んで鈴夏が生きるべきだった」と発言してしまい、響子にしか見えない、霊としての鈴夏が具現化してしまう。また、響子が主人公を通じて言霊の力を使ってしまったことで、主人公と響子の間につながりができてしまい、2人は物理的に10 m以上離れられなくなってしまう。主人公は仕方なく言霊を使って響子をこころの家に居候させることにした。また、主人公は響子に触れている間だけ鈴夏の姿を見ることができ、鈴夏は最初は無表情で何もしゃべらなかったが、日が経つにつれ言葉を話すようになっていった。また、鈴夏と再会できたことで響子は前向きになれ、主人公としたかったこと、としてHをねだる。しかし、響子は次第に衰弱していった。この鈴夏は響子の記憶から生み出された存在であり、実際の霊ではなかった。また、鈴夏は響子の命を吸う事で現世にとどまっており、このままでは響子の命が危なかった。しかし、響子は鈴夏は自分の身代わりとなって死んだと信じており、自分の命は鈴夏に返すのだと言ってきかなかった。主人公は響子を説得しようとするが失敗し、最期の思い出として響子とHする。神社の祭儀として行われた灯篭流しの日、鈴夏は自分は満足したから自分のためにも生きて、幸せになってほしい、と響子を説得する。今この瞬間、響子の生み出した鈴夏に本物の鈴夏の魂が混じっていたのだ。響子は自分の声で鈴夏にお別れを言い、鈴夏は光となって消えていった。

その後の響子の告白を受け入れると響子ルートに入る。主人公は響子の霊感を消すために試行錯誤し、言霊を使って響子から霊が見えるという認識を消すことに成功し、デートとHを重ねる。しかし、それ以降身の回りでハプニングが頻発するようになる。霊のいない世界に喜んでいた響子だったが、主人公やこころたちにも被害が及び始めたのを見て、言霊を解く決意を固める。言霊を解いた瞬間、響子に黒いもやがまとわりついているのがわかり、発狂しかける響子だったが、それはまばゆい光によって払われる。それは「死の気配」であり、響子は霊感があるためそれをひきつけやすかったが、響子に憑いていた神様の力がそれを守ってくれていたのだった。響子は霊感を戻し、前向きに生きていくことを決める。

回想数は共通2回で個別3回。相変わらず個別ルートの手抜き感がすごい。本筋の問題に関しては、使い古された展開だが、テンプレは好きなので悪くない。響子は立ち絵としてはいまいちだったが、CGはかわいかった。M属性がある、という描写があった割にはそれを活かしたシーンがあまりなかったのが残念。また、グラマラスという描写があり、数字もそれを反映したものになっているにもかかわらず、後述する愛のせいであまり目立たなかったのが残念。もう少しCGでは盛ってくれてもよかった。

CVは夕季鈴さん。「PRIMAL×HEARTS2」のときはあまり目立たなかった印象だが、本作では息の使い方がうまい印象を受けた。

 

 

f:id:shanxdl:20210528225915p:plain 恋塚 愛 こいづか まな 159-92-58-85

 

主人公と同じ言霊使いの少女。主人公の許嫁で、里では稀代の天才的な言霊使いと呼ばれていた。主人公の後を追って主人公と同じクラスに編入するが、主人公の「妹」という設定にしたせいで、こころからは「愛ちゃん」と呼ばれている。愛には、病で死んだ双子の姉、希(のぞみ)がおり、本当は希が主人公の許嫁だった。愛は希の死に際に主人公の事を託されたことで主人公に固執し、また里に同年代の子どもが主人公しかいなかったこと、両親が自分を見てくれず、いつまでも死んだ姉の事ばかり見ていたことなどから主人公に依存しており、主人公のそばにいるために里を抜け出してくる。また、病気で死ぬ間際の姉を看取った際、病で体温が低下していた姉から、「雪が降っている」という言霊をかけられてしまったため、常に体の周りに雪が降っており、夏でも上着を着ている。物語序盤は主人公を里へ戻すための説得を続け、主人公以外のすべてに興味がなかったが、こころたちを通じて他人とのコミュニケーションをとっていくにつれ、徐々に周りに興味をもつようになる。「家族」でありながらひかれあっていくこころと主人公に嫉妬を覚え、主人公がこころとH(3回目)したことを知ってしまい、自分以外の人間を知覚できなくなる言霊を主人公にかける。主人公は、今まで陰ながら支え、尽くしてきてくれた愛のことに気付き、今度は自分が愛に尽くすことを決める。主人公は希が死んだあと、愛との接し方がわからず、ずっと本質を避けて過ごしてきたが、ようやく愛と向き合う事を決める。しかし、主人公に言霊をかけ続けている愛は、どんどん消耗し、自分にかかっている雪の呪いを打ち消せなくなっていく。それでも主人公が自分から離れていってほしくないと言霊を死ぬまで使い続けることを決めていた愛だったが、主人公は愛と一緒に里に帰るから言霊を解いてくれるように頼む。しかし、それが愛を死なせないためで、愛を愛しているからではないと思った愛は主人公から逃げてしまう。主人公は愛に対する想いの強さで自分にかけられた言霊をとき、愛を追いかける。愛は昔、希と主人公がキスをしているシーンを偶然見てしまい、そのときの嫉妬から希を里の外へ「買い出し」に行く組に言霊を使って組み込み、主人公から遠ざけた。希は里の外から病を持って戻り、十分な医療設備がなかった里ではその病を治療することができず、結果として希も主人公の両親も死んでしまった。愛はそのことをずっと悔やんでおり、それが愛が主人公に依存する原因だった。主人公は自分が希であるという言霊を愛にかけ、愛を赦す。愛はそれを受けて、希に赦されたと感じ、今までは希に対する負い目から解こうとしなかった雪の呪いにむけて言霊を使い、呪いを解く。愛は過去を清算し、もう一度主人公に告白する。
愛の告白を受け入れ、愛と許嫁の関係を続けると、愛ルートに入る。愛の意識は変化し、周りを気遣えるようになり、また今までは相手に嫌われるのが怖くて使っていた言霊をなるべく使わないようになる。愛は里、そして主人公以外にも興味を持てるようになったことを自覚し、一度里に戻って主人公を探さないよう里の民を説得することを決意する。なお、愛は言霊の力が強いので平気だが、主人公は言霊の力が弱いので逆に言霊で洗脳されてしまう危険があるため、ついていけなかった。愛がこころたちの記憶を消して里に戻ったその数日後、愛はこころの家、つまり主人公の元に帰ってきて、改めて主人公の婚約者としてこころの家に住むことを決める。

主人公とヒロイン、両方の成長が感じられるルート。特に愛がこころのことを気遣い、本当の姉妹のようにふるまえるようになるシーンはかわいい。2人とも言霊が使えるため、展開が万能になりがちなのは諸説。愛が序盤で主人公に言う、「大切なものを増やす覚悟」を、終盤で2人ともが成し遂げたという対比がよかった。

主人公のことを困らせるのが好きなSな性格だが、それは主人公に構ってもらうのを待っているためである、という非常に好みな設定があるのに、主人公との逆転があまり描かれなかったのは残念だった。

また克先生の描く巨乳キャラには高い確率で陥没乳首キャラがおり、例にもれず今回はこのキャラが担当。自分は陥没乳首に対して思い入れはないが、医学的には真性と仮性の2種類に分類されるって知ってた...? しかも裏設定は一切描かれないがなぜかこのキャラだけ母乳が出る。まあ、神様だからね...。

身長との比率的に響子の方がおっぱいが大きく描かれてもよいと思うのだが、なぜかこのキャラの巨乳だけはやたら強調して描かれている。そういう担当だから仕方ないにしろ、響子がかわいそう。

回想数は共通3回(うち里を出る前が1回)、個別3回。下からのアングルがある。

CVは山田ゆなさん。「ef」の雨宮優子役が有名だろうか。一見すると冷たく見える演技はうまかったが、ちゅぱ音がいまいちに感じた。ちゅぱ音というとフェラチオをするときの音と思われがちだが、この音はキスシーンにおいても重要であり、特にバードキス、ディープキスそしてフェラ音の3種類の違いを出すことでより臨場感が高まると個人的には思っている。つまりこれらがすべて同じに聞こえるようではだめなのだ。

 

 

f:id:shanxdl:20210529001203p:plain 水無月 ほたる みなづき ほたる 146-74-54-76

 

物語における真ヒロイン。こころの親友で高校1年生。表情豊かなムードメーカーで、だれとでも仲良くできる明るい性格。町にある総合病院の医者の娘でお嬢様。なぜか主人公の言霊が効かないが、面白そうだからと主人公に協力してくれる。町に来たばかりの主人公に、「言霊の力でみんなの笑顔と幸せを守ってあげてほしい」という行動理由を与えた。一人称は「ほたる」だが、「わたし」と呼ぶときもある。これについては後述。ほたるルートまで来ると、主人公はかなり人間の感情に詳しくなり、成長している。ほたるはこれまでのルートではジョーカー的な役割をこなし、主人公が困っているときにひょっこり現れて助けてくれていたが、常に主人公のそばにいるわけではなかった。しかし、こころとも響子とも愛とも付き合わないことで、ようやくほたるを選ぶことができる。主人公は自分がほたるが好きなことに気付き、ほたるに告白するが、逃げられてしまう。主人公はこころと愛に、自分がほたるが好きなことを打ち明け、2人との関係を清算する。こころは一晩泣いた後、主人公とほたるをくっつける手助けをしてくれることになり、2人はデートをすることになる。主人公はデート中に、週が明けたらもう一度告白してほしい、という不思議なお願いをほたるから受けることになる。次の月曜日、主人公はもう一度ほたるに告白し、OKをもらって付き合うことになる。しかしほたるは日曜の24時になると、光となって消えてしまった。

ここで挿入歌が流れる。真OPみたいでかっこよかった。

ほたるの本体は末期がんで、病院に寝かされていた。生者を呪い、死にたくないという強い願いが奇跡を引き起こし、ほたるに分体を生み出す能力を与えた。ほたるは自分と全く同じ記憶をもつ健康な体のコピーを作り出し、その分体を学校に通わせて、自分の命を生き永らえさせるための方法を探していた。しかし、自分と同じ顔と記憶を持った健康なコピーに嫉妬したほたるは、コピーの寿命を1週間に設定し、コピーほたるは1週間ごとに「死ぬ」こととなった。つまり、連続するほたるという他人からの認識による集合体に関しての事は「ほたる」、1週間の間に経験した、その個体オリジナルの出来事については「わたし」という一人称で表現していたのだ。ほたるは主人公を自分への愛情で縛り、言霊の力を用いて自分を助けさせようとしていた。オリジナルほたるは死への苦しみと恐怖から、他者に対して傲慢な性格をしており、コピーほたるのことを木偶人形と呼ぶその姿勢が主人公の怒りを買った。ほたるは言霊を干渉される側の魂=命が弱っていたため、言霊がきかなかったのだ。ここでオリジナルほたるを殺すことを主人公が考えてしまうと、NORMALエンドに入る。新たに生まれたコピーほたるの目的は主人公を好きになること、それが自分の生きる意味を探すことだとコピーほたるは語った。今までのコピーほたるは、オリジナルほたるに主人公への気持ちを報告していなかったため、コピーほたるの中には主人公に対する想いはなかったが、主人公の中には今までのコピーほたるたちが置いていった想いがあった。主人公とコピーほたるはHをすることで体だけではなく心をつなげるという方法を考え、それで今回のコピーほたるも主人公を好きな気持ちを取り戻した。オリジナルほたるの寿命が残りわずかであることから、自分が最後のコピーであることを察したコピーほたるは、主人公と結婚式を挙げることを決める。日曜日、2人だけの結婚式が執り行われ、主人公は「ほたる」を助けるために「人」を辞め、初めて他人を害するために言霊を使うことを決意する。まずはコピーほたるに、「お前はオリジナルほたるのコピーではない」という言霊をかける。次にオリジナルほたるのところへ行き、「お前は偽物だ」という言霊をかけることで定義を入れ替え、日曜の24時にオリジナルほたるが消滅するようにした。しかし、その言霊をオリジナルほたるに受け入れさせるために、主人公も一緒に死んでやる提案をしたため、2人は一緒に消えてしまう。主人公はコピーほたると「またね」と約束をし、光となって散る。コピーほたるが探しに来た時、主人公は光の球となってコピーほたるの左手の薬指に止まり、それから天に登っていった。エピローグでは、愛がこころの家に残り、またこころも主人公の帰りを待っている描写がある。また、ほたるは妊娠していることを示唆する描写がある。

最後の主人公が光になってからの一連の流れが、CGもあいまってとても幻想的で、素晴らしかった。演出もいちいちかっこいい。特に主人公が初めて知った「またね」の約束をしてから消え、約束を果たすために光の玉となって蛍の舞う花園でほたるを待っていた演出がエモいと思った。

 

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真ほたる 人生に絶望している女の子をおとすのもそれはそれでかわいい

 

上記エンドを迎えた後、オリジナルほたるを殺すことを決意しない選択肢が現れる。主人公はオリジナルほたるともコミュニケーションを取ろうとし、そのうちオリジナルほたるもコピーほたるも、同じ「ほたる」であると考えるようになる。主人公は今までこころ、響子、愛との経験のおかげで、人間の負の感情に対しても俯瞰的にとらえられるように成長していた。主人公はオリジナルほたるとHすることによってオリジナルほたるとも心をつなげようとし、それは成功し、オリジナルほたるも主人公の事が好きだと認める(なんだそれ)。一応主人公がHしながらオリジナルほたるに命を分け与えたため、重病人とHしても死ななかったらしい。オリジナルほたるは最後に蛍を見たいと言い、主人公はほたるに告白した思い出の場所、蛍の舞飛ぶ花園へオリジナルほたるを連れ出す。ちなみにこの時、

物おもへば 沢の蛍も 我が身より あくがれいづる 魂かとぞみる

という和泉式部の歌が出てくる。こういう過去の文学作品からの引用をサラッとする作品はかっこよくて好きだし、この歌も蛍と言えば、で出てきた歌で、ほたるの境遇と少し被っているのもまたよし。あと、死にかけのヒロインの点滴の管を引っこ抜いて無理やり連れだすシーンも好き。

花園に着き、オリジナルほたるはついに生きることをあきらめ、コピーほたるに自らのアイデンティティを渡し、消えようとする。しかし主人公はあきらめずに考えるようにコピーほたるに頼み、体はコピーほたるのまま、オリジナルほたるの意識だけをコピーほたるに移して1つにすることを思いつく。主人公は言霊の力を使ってそれを成し遂げようとするが、それを言い終わる前に主人公の命が全て言霊に代わってしまい、途中で倒れてしまう。主人公は最後の力を振り絞り、自分の持つ言霊の力を命に代えて、それを成し遂げる。

結局やっていることはNORMALエンドと同じなのだが、主人公がオリジナルほたるを受け入れたからこそ、2人のほたるもお互いを受け入れることができたという流れになっている。ただし以降もほたるの言動はコピーほたるのものと変わらないため、読み手からして変化のないまま、主人公が自分の能力を賭ける価値はあったのかと考えてしまう。

また、主人公が一度倒れた時、彼岸で鈴夏と出会い、もう一度此岸へ送り返してもらう展開もありがちだが好きで、主人公が今までやってきたことがTRUEエンドにつながっている感じがしてよかった。

エピローグではただの人間になってしまった主人公が、こころたちの正式な家族になり、ほたるから旅に出ることを提案される。主人公はいつでも前に進み続けているからである。最後にほたるからの「あなたは何色ですか」という質問、初めてほたると会った時は「まだ何色でもなかった」主人公は「夏の空の色」に染まっていた。

 

最後の展開が結構雰囲気で進んだのでよくわからなかったが、それでもよい雰囲気だったと思う。オリジナルほたるの傲慢な性格が、主人公と会うたびに角が取れていくのはかわいかったし、普段のコピーほたるとのギャップがあってよかった。

CVは小倉結衣さん。さすがベテランを感じさせる演技でよかったし、1人2役的な演じ分けも上手だった。

 

 

・おわりに

 

本作のOPは「こころに響く恋ほたる」といい、シナリオの攻略順にヒロインの名前が並んでいるところが芸細ポイントだと思った。愛だけ苗字だけど...。

アマツツミは「天津罪」、スサノオが犯した罪のことでつまり「神」が犯した罪の事である。作中で「神」と明言されているのは主人公と愛、そして分体を生み出す、人ならざる力を得たほたるである。それぞれがどんな罪を犯したのかと考えたが、よくわからなくなったのでやめにすることにした。

本作は前評判無しでプレイしたのだが、なあなあで流している部分はあるものの、全体的な物語の雰囲気は悪くなく、思ったより好感触だった。こころがかわいい。

次は是非「アオイトリ」をプレイしたい。