shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題28

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

それでは今回紹介する作品はこちら。

 

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アオイトリ|Purple software

 

Purple softwareから2017年11月24日に発売された「アマツツミ」です。

無題27で紹介した前作「アマツツミ」と世界観を同一にする作品で、キービジュアルも前作と対になるようなものとなっています。

しかし、プレイし終わった後の感想としては前作要素は1%もなく、本作単体でも十分に楽しめる作品だと考えました。

本作は題名の通り、メーテルリンクの「青い鳥」を主題としており、作中でも原作をなぞらえた表現が出てくるほか、聖書をはじめとして他の文学的、哲学的要素も出てくるシナリオであり、そういった引用が好きな私としては好みの作品でした。例えばJ. D. サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」であったり、シェイクスピアの「マクベス」、「ヴェニスの商人」であったり。しかし全ての引用元を知っているわけではないため、シナリオを理解できたかと言われれば微妙だったのが残念でした。「青い鳥」に関しても、あらすじは知っているのですが読んだことはなく、また青空文庫にも入っていなかったので、機会があれば読んでみたいと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは4人。最初にメアリー、小夜、理沙の3人のルートをクリアすると、TRUE エンドであるあかりのルートが解放される。またあかりルートのみアフターがある。ストーリー構成は、プロローグである「始まりの3日間」、共通ルート、個別ルートへと流れていき、プレイ時間はそれぞれの枠組みで6~8時間ほど。総プレイ時間は30時間ほどだった。また、各キャラのルートをクリアするとおまけとして回想シーンが解放される。

回想数は

メアリー 2+2

小夜  3+1

理沙  3+1

美果子  1+1

理沙&美果子  1+1

あかり  6+1(うち1回はオナニー)

ゆき +1

メアリー&小夜&あかり  +1

となっている。

 

本編中でのHシーンを抑えて、シナリオの本筋を読みやすくする意図があるのではと感じた。理沙と美果子の3Pは現実だが、メアリー、小夜、あかりの4Pは主人公の妄想という設定である、念為。

おすすめ攻略順はメアリー→小夜→理沙→あかりだが、正直あまり大差はない。

 

・あらすじ

 

始まりの3日間

とある山間部に位置する全寮制のミッション系女学園である霧原学園に特例として暮らしている学生神父である主人公、白鳥律(しらとりりつ)は奇跡の力を持っていた。彼は触れた相手から負の感情を奪い去ることができ、その力のせいで悪魔に狙われているため、生まれてから一度も学園から外に出たことがなく、またその力を使ってセックスによって学園の女生徒たちを「幸福」にしてもいた。主人公は昔、一度だけ気まぐれで女生徒からのセックスを断り、そのせいで彼女は精神の安定を保てずに自殺してしまった。そのことが主人公のトラウマとなっており、主人公は以降彼女たちからのセックスの誘いを断れなくなり、義務感で抱かれる生活を送っていた。主人公は特別な力を持っているがゆえに「普通」に憧れており、その力をなくしたいと思っていた。そんなとき、主人公の住む教会にメアリー・ハーカーがやってくる。彼女は吸血鬼で、100年の旅を終えて、自分の故郷であるこの家に帰ってきたのだと語る。

彼女との最初の邂逅が主人公の顔を踏まれる、という展開なのは前作のリスペクトだと感じた。また、主人公が恋人関係にない状態でヒロインを抱いている、という点も前作と共通か(あかりが「幸福」になりにきた友人の付き添いとして来ていて、主人公に抱かれている)。

メアリーは主人公と一緒に教会で暮らすことになり、時を同じくして主人公の元に「電話の悪魔」を名乗る怪しい存在から電話がかかってくる。悪魔はかつて主人公が自殺させてしまった少女の声で語り掛け、主人公の正体がキリストの対になる存在、つまり悪魔にとっての救世主(メシア)であり、主人公の力は他人の負の感情を吸い取って糧にする力であること、このままだと主人公の中にある悪の救世主としての人格が数年後には覚醒して、今の白鳥律としての人格は消え去り、悪魔を率いて世界を滅ぼすであろうこと、学園から出られない理由は主人公の力を学園という結界内に閉じ込めておくためであること、が語られる。主人公はそれを意識するようになり、救世主としての覚醒が一段階進んで、物質の変換やPKなどが行えるようになる。主人公は救世主としての力を抑えるための方法を考えていくことになるが、それとは別に吸血鬼でありながらポジティブで純粋に見えるメアリーの様子が気になる。普通の吸血鬼は永遠に続く生、終わらない夜に絶望しているものだが、メアリーには100年生きてきたわりにその様子が見られなかった。それはメアリーが語った旅の終わり=メアリーの人生の終わりを意味していたからで、メアリーは自殺をするために故郷に帰ってきたのだった。それに気づいた主人公はメアリーを止めようとするが、メアリーの意志は固く、説得は失敗する。主人公は「電話の悪魔」と取引してメアリーを助ける方法を尋ね、悪魔は主人公を「正気のまま他人を幸せにしないと気が済まない狂人」と評しながらも個人的に1度だけ無償で主人公の願いを聞いてくれる。それは主人公の血をメアリーに飲ませることで、主人公の悪の救世主の力でもってメアリーに日光への耐性をつけるというものだった。これによりメアリーの日光による焼身自殺は避けられ、メアリーがしたかった心残りである「自分の事を誰かに覚えていてほしかった」「男の子とデートがしたかった」「太陽の暖かさを感じたかった」の3つの願いが全てかなえられ、メアリーはもう少し現世にとどまることにしたのだった。

 

プロローグから飛ばしていると感じる内容で、吸血鬼をキャラとして出すときのお約束と言える内容とはいえ、ほぼメアリーシナリオといっても過言ではない出来で、特に自殺を翌朝に控えたメアリーとの最後のお茶会とか主人公がメアリーを助けるために悪魔と契約しようとするシーンは熱く、とてもよかった。あとメアリーがかわいい。

メアリーは人間だった時はキリスト教徒だったので、今でも祈りをかかしていないが、本気で神に祈るほど吸血鬼としての性質が反発して血を吐く、という設定が好き。また

キリスト教徒のメアリーが、キリスト教で罪とされている自殺を選ぶという葛藤の現れも好き。

 

ここから共通ルート。

毎朝主人公の血液入りの紅茶を飲むことで日光を克服したメアリーは、吸血鬼のもつ魅了の魔眼を使い、主人公のクラスメイトとして2年生に編入してくる。プロローグで「電話の悪魔」から言われたように、主人公は自分より他人を優先する傾向にあり、それは主人公に「大切なもの」が存在しないからであった。メアリーは主人公がその命を救えたことで、過去に救えなかった少女に対する代替的存在となった。さらに「電話の悪魔」による、主人公に枷を増やそうという作戦の元、主人公の所に、生き別れた双子の妹である黒崎小夜(くろさきさよ)がやってくる。彼女は主人公と同じように特別な力を持っており、彼女は触れた相手に特定の感情を与えることができた。小夜と主人公は家族であるという実感、つながりを得るためにセックスする。これで家族の実感がわき、主人公の大切なものはメアリーと小夜の2つになってしまった。また主人公たちの後輩である海野あかり(うみのあかり)、昔主人公が初体験をした相手で、教師として学園に戻ってきた赤錆理沙(あかさびりさ)も加わり、主人公の周りがにぎやかになっていく。メアリーは奇跡に対抗できるのは愛の力であり、つまり神はアガペーによって人間全体を愛しており、悪魔ならば特定の女に執着せず、好きな時に好きな女を抱くはずなので、特定の人間を好きになれば、それは神性の否定につながるのではという意見を出す。主人公は学園に捨てられていた赤ん坊であり、両親の愛を受けずに育ったため、愛を知らなかった。そこで主人公は特定の誰かを好きになることで救世主の力をなくそうと言う仮説を試すことにする。また、メアリーは人間としての気持ちを忘れないためにずっと物語の創作を続けており、クリスマスの劇として恋愛ものの芝居を発表することにし、それと合わせて主人公に相手となるメインヒロインを選ばせ、そのヒロインとの恋愛を育んでいけるように計画する。

ここで選んだヒロインによってルートが分岐するため、以降はキャラ紹介欄で説明する。

主人公は将来的に悪魔の味方になるポジションでありながら、教会で神父として育ったため考えが善によっているが、自分の覚醒により世界が滅びるのにもかかわらず、あまり積極的に動こうとはしていないのが気にはなったが、力をなくすためのアプローチ方法としてはよく考えられていて納得できる展開だった。

 

f:id:shanxdl:20210616161045p:plain メアリー・ハーカー 147-73-53-78

 

吸血鬼の少女(100歳)。吸血鬼キャラは作品によって体質が変わるが、本作の吸血鬼は日光で体が焼け、治癒力も高いが、変身はできず、また力も強くない。ニンニクや十字架は平気である。正直吸血鬼は制約が多すぎてデメリット能力持ちの割には強くないと思ってしまう。明治時代ごろに、学園ができる前の外国人居留地、今は主人公が住んでいる教会に住んでおり、日本人牧師の父と英国人の母を持つハーフだった。しかし、教会に強盗が襲撃したことにより一家全滅しかかっていたところを、通りすがりの吸血鬼の師匠に助けられ、吸血鬼となる。その後師匠と2年間旅を続けたが、師匠が消息を絶ち、以降は1人で旅を続けてきた。時代が移り変わり、吸血鬼という存在が人々の恐怖の対象から薄れてきたことを感じ、旅を終えて故郷に帰ってきた。師匠からは吸血鬼としての力の使い方を教わっていないため、魅了の魔眼をわずかに使えるのみ。劇の相手としてメアリーを選ぶと、メアリールートに入る。主人公が記憶をなくした吸血鬼、メアリーは行き倒れた主人公を拾う館の少女となり、劇のシナリオが完成するが、メアリーは、自分の吸血鬼としての性質から無意識に自分を恋愛の対象から外しているため、恋の演技ができない。そこで2人はお互いに恋人ごっこをして恋愛を学んでいくことにし、それを通じて2人に本物の恋心が産まれていく。メアリーは自分が人間と結ばれるべきではないと知りながら、主人公を好きになってしまったことを、神父の主人公に懺悔する。主人公は神の言葉ではなく、自分の言葉でメアリーに自分からも好意を伝え、2人は付き合うことになって、劇も無事成功する。しかし、主人公と付き合いだしたことでメアリーに独占欲が生まれ、主人公を「魅了」して主人公の血を吸おうとしてしまう。そんな吸血鬼としての自分に絶望してしまったメアリーは、いずれ完全に心が吸血鬼になってしまう前に人間のまま死にたいと思い、血を飲まずに神に祈り続けて自殺しようとする。主人公は自分の中の救世主の力を覚醒させ、メアリーの吸血鬼の力を完全に奪って自分の中に取り込み、メアリーを人間に戻す。そして主人公は、以降は抱くことによってではなく、メアリーと協力して対話によって学園の女の子たちの悩みを解決していくことを誓った、という終わり。

 

中身は異なるものの、結局メアリーの自殺を止める話なので、プロローグの焼き直し感が強かった。また主人公が力を覚醒させる展開がご都合主義に感じたが、それはそれで仕方のないことかと思った。あとメアリーが主人公を好きになる過程がうまく理由づけされていないと感じた。

メアリーは吸血鬼として闇に生きる存在でありながら、作中では一番光となっている存在で、実際他ルートではためらいなく主人公のために命を捨てる選択をしたり、主人公を後押ししてくれたりするのがかわいかった。作中ではメアリーは「アカイトリ」と呼ばれており、これは「青い鳥」中でチルチルとミチルが見つけた青い鳥の偽物の中の1羽だが、赤という色は太陽、明るさを連想するところからメアリーにその役割が充てられているのだろうと考えた。

CVはくすはらゆいさん。日常ではギャグ要員をしっかりとこなし、かつ要所で可愛らしい演技ができて最強だと思った。100歳という設定だが、ロリババア要素が一切なかったのは諸説。

 

 

f:id:shanxdl:20210616163951p:plain 黒崎 小夜 くろさき さよ 156-91-58-86

 

主人公の双子の妹。最近までお互いに存在を知らず、小夜は東京の孤児院を出て1人で暮らしていたが、「電話の悪魔」の手引きによって主人公のいる学園に転校してくる。主人公と同じ奇跡の力を持っており、主人公が「奪う力」なら、小夜は感情を他人に「与える力」である。主人公をからかって遊ぶが内心では主人公の事を大切に思っている。小夜を劇の相手に選ぶと小夜ルートに入る。まだ家族として認め切れていない2人は本当の兄妹になるため、デートを重ねる。それによって2人は本当の兄妹になれるが、小夜は妹でありながら主人公の彼女になりたいと思うようになり、2人は告白して付き合うことになる。しかし、劇の練習中、突然小夜が倒れてしまう。主人公は「電話の悪魔」から、小夜が倒れたのは、小夜の力が元々主人公の力であり、主人公はそれを取り戻そうと無意識に小夜の命を吸っているからであること、小夜に触れるたびに小夜の命は吸われること、メアリーを殺して吸血鬼の力を小夜に移すことでのみ小夜は生き残れることを伝えられる。メアリ―と小夜のどちらかを選ぶことを強いられた主人公に対し、メアリーはその核心に気付かないまでも何かを察して、自分か小夜を選ぶ状況になったら迷わず小夜を選んでほしいと主人公に言う。またメアリーを殺すことにより、主人公の枷が外れて悪の救世主としての覚醒が進むため、「電話の悪魔」は主人公にメアリーを殺させるために主人公を監視していた。主人公はメアリーを殺す準備をする振りをして、力を使って自分の分身を作り出してそれを「電話の悪魔」に監視させ、自分は1人で小夜の元に向かった。そこで主人公は一旦小夜の力を全て奪い、救世主として覚醒したのち、残った白鳥律としての人格で自分の身体を殺し、その血を小夜に分け与えることで小夜を救った。エピローグでは主人公は生と死の狭間の世界?のような場所をさまよい、小夜が主人公を探して旅に出ることを決意するところで終わる。

 

小夜と主人公のイチャラブが主軸となっているが、一応実の兄妹であることにも関わらずそこの葛藤のなさ、小夜を救った方法のよくわからなさ、とルートとしての評価は低め。劇も結局本番は行われない。ただ、小夜の主人公が好きという想いの深さやそのまっすぐな生き方は、あかりルートで光っているので、そこはかっこよかった。また、メアリーが主人公のために自分の命を捧げるシーンもかっこいい。

あと結構巨乳キャラではあるが、あかりの陰にかすんでしまっている印象を受ける。もったいない...。

CVは鈴谷まやさん。エロゲとして聞くのは始めてだったが、特に語ることもないほど上手だった。

 

f:id:shanxdl:20210616170458p:plain 赤錆 理沙 あかさび りさ 163-90-61-89

 

主人公たちの学園に赴任してくる新人教師。学園のOGで主人公とも面識がある。今年教員免許を取ってすぐ赴任してきた、という描写があるのでそれを鵜呑みにすると23歳で主人公の6つ上。理沙が学生の時、主人公はただ触れ合いによって彼女たちの悩みを癒していたが、理沙は主人公を押し倒し、レイプまがいに主人公の童貞を奪った初めての相手。ただ主人公はそのことを覚えていないが、主人公が年上女性に対する恐怖感を作る一因となった。学生時代は演劇部の部長で、主人公たちの演る予定の劇にも手伝いとして参加してくれる。劇の相手として理沙を選ぶと、彼女のルートに入る。役作りのため、2人で恋人ごっこをしようと提案する理沙を主人公は承諾し、理沙の役の衣装である学園の制服を着て2人はもう一度セックスをする。理沙は主人公の中に自分の思い出を作っておきたかったと語り、主人公の方も理沙に対して好意を抱いていたため、2人は告白しあうが、理沙は主人公とは付き合えない理由があると言う。理沙の妹で、主人公のクラスメイトである赤錆美果子(あかさびみかこ)が、劇のメンバーに加わる。劇の内容は理沙と美果子で主人公を取り合う三角関係ものにすることが決まる。

 

f:id:shanxdl:20210616171501p:plain 赤錆 美果子 あかさび みかこ 157-84-57-82

 

主人公のクラスメイトで理沙の妹。サブキャラ。いわゆる天才で他人の気持ちがわからず、常識からずれた行動をとりがち。実家は名家と呼ばれる類の家だが、その性格からか、何も期待されていない。学園で唯一の男である主人公のことは気に入っていて、セフレの仲。家族では唯一、理沙の事が大好きで、理沙のためならなんだってできる。

 

理沙は美果子を政略結婚の道具にせず、普通の幸せを与えてあげるため、自分の主人公に他する恋心を美果子に植え付ける契約を「電話の悪魔」と結び、主人公と美果子をくっつけようとする。美果子は自分の心の違和感に気付き、それを理沙の持つ主人公への気持ちであることを解析して理沙の気持ちを読み、3人で仲良くすることを提案して3Pする。また理沙には秘密があり、彼女は末期ガンに侵されていて余命は後半年であり、そのため自分の主人公への想いを美果子に託そうとこんな契約をしていた。美果子はそれを知っており、自分もこっそり「電話の悪魔」と契約を交わしていた。その内容は劇が終わった時、自分の中にある理沙の心に体の主導権を渡し、自分は消滅するというものだった。それは美果子が自分より理沙が大切だからできた決断で、美果子は自分の身体を理沙にあげるつもりだった。主人公はそのことに気付いて2人を救おうとする。主人公は、理沙との初体験の記憶を思い出せないのではなく、「持っていない」ことに気付き、それがこれから起こるということに気付く。主人公は悪魔と契約し、理沙との初体験が起こった時に戻って現在の自分の記憶を再インストールし、強力になった救世主の力を使って理沙の病の根源を治療する、という手段に出る。これは現在だと理沙の体が病に侵され過ぎているので使えない手だった。また、この手段を用いると、タイムパラドックスにより世界が2つに分岐してしまうが、なぜか「電話の悪魔」の厚意により主人公はそのまま元の世界線に帰ってくる。理沙は病が治り、主人公は理沙と結ばれてハッピーエンドになる。

 

正直に言って一番いらないルート。理沙が病気だという展開も唐突過ぎるし、その解決方法も雑過ぎる。

また、理沙と美果子のキャラデザは克先生ではないのだが、特に1枚絵になったときの雰囲気のあってなさが致命的だと思った。すごく抜きゲーっぽい絵に見えて物語の雰囲気を損なっていると感じた。

理沙のCVは野々村紗夜さん。知らない人だが、wikiを見ると抜きゲーに多く出演しているように見える。またグリザイアシリーズのギャレット大尉の人らしい。印象が全然違うのでびっくりした。こういう優しいお姉さん系の声はとても上手だと感じた。

また美果子のCVは橘まおさん。こちらも演技はよく知らなかったが、youtubeなどで他の声優さんとの絡みがあるのは知っていた。演技についてはサブキャラという事もあり、特に語ることは無し。

 

このルートは内容よりも、今後の展開においての布石となるルートだと思う。今まで主人公はメアリー、小夜と救ってきた。メアリーは過去のトラウマの代替となる存在であり、主人公をトラウマから救ってくれた恩人、そして小夜は妹であり家族、と2人とも主人公とのつながりが強い。しかし理沙は主人公の初体験の相手、という薄いつながりであり、それでも主人公は自分を犠牲にしてでも助けようとした。つまり、主人公の「愛」さえ得ることができれば、そこに肩書きは関係なく、それがTRUEルートの大切な要素となっていく。「他人を縛るのは絶望ではなく愛情」なのだ。

 

理沙先生のWが61に設定されているところはgood。なおこのキャラも巨乳だが、あかりの陰に隠れてしまっている...。

 

f:id:shanxdl:20210616175001p:plain 海野 あかり うみの あかり 151-95-60-88

 

真ヒロイン。主人公の1つ下の後輩で高1。他3人のルートをクリアすると、タイトル画面から「あかりシナリオ」が選択できる。あかりはプロローグから登場していたものの、他シナリオでは影の薄い存在だった。主人公たちの仲間として劇の練習に参加し、全てのルートにおいてメアリーの持っていたメイド服を着て主人公たちの家でメイドの真似事をしていたり、劇においてもメイド役として劇の練習をしていたりするが、それ以上の動きはない。ただし、プロローグで主人公に抱かれていること、水泳部に所属し高飛び込みをしており、理由が「おちる」(落ちる、堕ちる)のが好きだからということ、メアリーに堕落願望があることを見抜かれ、最初に劇の相手を選ぶ選択肢に入れてもらえなかったことなど、裏が目立つ。さらに各ルートのエピローグであかりと「電話の悪魔」との意味深な会話が発生することからも、何かを行っていることが示唆される。

「あかりシナリオ」に入ると、あかりが最初から「電話の悪魔」と契約していたことが明らかになる。あかりは「電話の悪魔」の目的である、主人公から救世主の力を奪う事、に協力する代わりに、自分の願いを一つ叶えてもらう、という契約を結ぶ。「電話の悪魔」はすべての可能性に偏在し、今までのルートでの結末をあかりに伝え、それぞれのルートが別の世界線の話であったことが示唆される。あかりは主人公を愛情で縛るため、何のつながりもない自分を愛してくれるように、これまでの情報を活用して主人公を誘導していく。

あかりは「「アオイトリ」を憎悪する者」として紹介される。あかりは自分が平凡な「普通」の人間であることを自覚しており、「特別」になりたいという思いを持っている。しかし、「普通」の人間である自分にさえ手に入れられるものは「特別」になりえず、それゆえ一生「特別」に憧れ続け、「特別」を憎悪している。さらに「特別」になりたいと願うことそのものが「普通」の立場からの発想だという矛盾に囚われている。

物語はプロローグからもう一度やり直され、あかりは主人公が好きだと強引に告白して、物語開始直後から主人公の家に居座ることに成功する。さらにプロローグのメアリーの問題に関しては、「電話の悪魔」から教わった知識で、主人公が葛藤する前に解決法を提示して主人公とメアリーとのかかわりを最小限にし、小夜の登場も始めから2人が家族であると、外側から定義することで2人を納得させ、理沙と主人公が話し合う機会を奪った。こうすることで主人公に試練を与えず、主人公を成長させず、あかりを主人公が深く関わる唯一のヒロインにした。そのおかげで主人公はあかりを劇の相手に選び、練習中にあかりに告白する。2人は付き合うことになり、あかりは主人公と、「他人を幸せにするためには自分も幸せであること」「他人に自分の想いを言葉にして伝えること」を約束する。この約束によって主人公に主体性が生まれ、自我が成長したことで、主人公の中にある救世主の人格が反発し、女を抱きたいという欲求が強くなっていく。主人公は不特定の相手を抱かず、あかりを抱き続けることによってそれを発散させようとするが、「普通」の人間であるあかりは主人公の力に耐えられず、命を吸われてしまう。ついにあかりが失明してしまい、命の危険があることから、主人公は気分転換に、山の別荘へとあかりと2人で療養に行く。学園という閉じたコミュニティからさらに狭い2人だけの世界に来た主人公とあかりだったが、なぜか主人公の時間感覚が怪しくなっていき、あかりと延々とセックスを繰り返すことになる。そこで主人公は、あかりと自分の子どもと過ごす幸せな未来を想像してしまう。今まで主人公が不特定多数の相手とセックスしても相手が妊娠しなかった理由は、主人公の子どもは救世主の力を継承してしまうため、そうならないように主人公が無意識に妊娠しないように働きかけていたからだった。しかし、初めて主人公が心から自分の子を望んだことで、ついにあかりは妊娠し、主人公は自分の力を子に継承して「普通」の人間になる。

 

ところが...

 

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ついに子を通じて、主人公の力を奪い、「特別」になれたあかりは豹変し、今までの自分は全て演技だったのだと主人公に言い、力を使って主人公を別荘に縛り付ける。あかりは器が「普通」の人間なので、1時間ほどで救世主の力に耐えきれず、死んでしまうが、それでも主人公の大切な人たちを殺し、主人公の中で「特別」な自分を「永遠」にするために、主人公の家へと向かう。主人公は土壇場で「電話の悪魔」と契約し、後1時間以外のすべての寿命と引き換えにあかりの力の拘束を解いてもらってあかりを追う。あかりは家にいたメアリー、小夜、理沙、美果子を殺し、礼拝堂で主人公と対峙する。あかりは「幸せ=アオイトリ」のいない現実に絶望しており、この世界を終わらせることにしたのだと語った。主人公はあかりの力によって本音を言わされるが、主人公の口から出たのは「君を赦す」だった。あかりは勝ち誇る「電話の悪魔」に対して、契約にしたがって自分の願いを叶えるように言う。その願いは「神を信仰しろ」で、それは悪魔の存在意義に関わることであり、悪魔は消滅してしまった。あかりの本当の目的は、全ての可能性の世界に遍在し、この世界の破滅を目論む危険な存在である「電話の悪魔」の消滅であり、主人公を愛していたのは本当だった。しかし、「特別」を憎悪するという考えも本当であり、主人公、メアリー、小夜の持つ「特別」な力を全て自分に集め、彼らを「普通」に戻したうえで、力を使って生き返るように仕組んでいた。ただ、あかりはこのやり方が間違っていることにも気づいており、最後は自らの復讐のために用いてしまった、この世に産むことができなかった主人公との子どもに悔いながら死んでいく。ここでいったんEDが流れるが、このあとTRUEルートに進む。

TRUEルートではもう一度、物語をあかり視点で見ることができるが、あかりと主人公との子どもらしき存在が介入していることが示唆される。このルートはあかりが主人公となり、白鳥律を選ばない選択肢が存在するルートで、死の直前に白鳥律に救世主の力を戻すことで、自分は死なずにすむ、という選択が存在することが彼らの子どもによって教えられる。しかしあかりは別荘での白鳥律との逢瀬の時に、本当に心から彼を愛していることを悟り、自分よりも彼の幸せのために自分が犠牲になることを決める。この時あかりが唱えた「聖フランシスコの平和の祈り」はかなり有名らしい(知らなかった)。余談だが、聖書を引用してしゃべるキャラは一周回ってかっこいいと思うし、現実でも是非やってみたい。

あかりは礼拝堂でもう一度主人公と対峙し、死の間際に子どもの介入によって選択権が与えられるが、自分を赦し、もう一度死ぬことを選んだ。しかし、主人公はあきらめず、あかりのお腹にいる子どもに語りかけ、もし、この世界が好きならあかりの復活を依頼する。ここでスタッフロールとOPが流れる。最後にEDではなくOPを流すことによって、これからも物語が続いていくことを示唆させる手法は好き。

スタッフロールがあけると、あかりが生と死の狭間の世界?で倒れており、そこで主人公と出会う。彼は小夜ルートで救世主の力を手に入れた白鳥律で、彼は様々な可能性の世界を、小夜の元に帰るためにさまよっており、あかりと主人公の子どもに頼まれてあかりを現世に連れ戻しに来たのだ。最初はきれいな引き際を望んでいたあかりだったが、彼に触発され、強く「生きたい」と願ったことで、復活を遂げる。あかりは子どもを産み、その子には救世主の力が引き継がれてしまったが、今度はあかりと主人公が愛情をもってその子を育て、世界に絶望しないようにさせる決意したところで終わり。

 

全てのルートがこのルートにつながっているような、グランドルートにふさわしいとも言えるし、他のすべてのルートが無意味になってしまうようで寂しいともいえる。実際「電話の悪魔」を倒したのはこのルートだけなので、大団円なのは間違いないが。別ルートの主人公を出したのはグレーではないだろうか。

あかりは作中では「クロイトリ」と表現される。黒い鳥は「青い鳥」中でチルチルとミチルが見つけた青い鳥の偽物ではあるが、少なくとも捕まえた時は青かったのであるから、見方が変わっただけでそれは青い鳥であるともとらえられるし、またチルチルとミチルの家に最初からいた鳥が黒かったのだから、その点でも青い鳥だともいえる(「アオイトリ」中では最初から家にいた黒い鳥と、最後に見つけた青い鳥は別物だと考えられている)。「クロイトリ」は、「普通」の人間であるあかりを、悪魔やあかり自身が貶めて使う言葉だが、主人公は「普通」である、ということを「可能性の塊」である、と表現しており、上述した通り原作の黒い鳥も青い鳥の変化した姿であるのだから、あかりが「特別」になれる可能性はあるのだと考えられる。実際、作中ラストで、あかりは主人公の恋人という、主人公にとっての「特別」になれていたのに、それに気づくのが遅かったために「特別」を最後まで憎む結果となってしまった。結局「普通」とか「特別」というのは何を判断基準、価値基準と置くかで変わってくると言う話だと考えた。

別の観方をすれば、この話には舞台、劇といった言葉が度々出てくる。シェイクスピアの「この世は舞台、人はみな役者だ。」という言葉が用いられていることからも考えると、この話をある種の舞台としてみた時の観客の目線、つまりいつもゲームをプレイしているときのユーザーの目線としてみると、物語の登場人物に「普通」の人物はありえず、みな設定を持っている。その中にあかりという「普通」という設定をもったキャラを登場させているわけで、物語の外の枠組みから見ると、あかりも物語の登場人物という意味で「特別」なのではないか、と考えることもできる。

視点を物語の中に戻すと、あかりは主人公から力を奪ってからは、物語の主人公のようにふるまう事ができているが、逆に「普通」の人間が物語の主人公になろうとすると、こんなにも犠牲を払わないといけないのか、という話にもなるのではないかと思う。

 

あかりはパープルソフトウェア得意の陥没乳首、母乳キャラであり、作中随一の巨乳、またM気質で趣味がオナニーというオタク受けばっちりのキャラであり、実際とてもエッチだった。回想シーン数も一番多く、シナリオ的にもTRUE扱いのため、この作品はほぼあかりのための作品であると言っても過言ではない。

ただ、エピローグ後に解放されるシーンで、2人目の子どもを作るのはやり過ぎだと思う。高2で二児の母って...。

あと最後って復活...必要なんですかね...?(いつもの)

 

破滅願望持ちで陰のあるキャラで、特有の色気の表現がうまく、立ち絵にもそれがうまく表れていてとてもよかった。

 

CVは秋野花さん。安定して上手であり、豹変後の演技の演じ分けもよかった。今回のキャラは後輩ではあるものの、いつものほんわかキャラではなかったが、新たな秋野花さんの可能性を見れてとてもよかった。

 

f:id:shanxdl:20210616203712p:plain 柴田 ゆき 種族値不明

 

あかりの友達で高1。おまけの回想シーンで、主人公に抱かれに来たら...という主人公の夢に登場するため一応紹介。あかりルートでは劇にちょい役として出演してくれるが出番はあまりない。CVは鶴屋春人さん。

 

 

・終わりに

 

本作は挿入歌「二人だけのカーテンコール」が非常に名曲で、雰囲気がとてもあっていた。また、作中でキャラが原作の考察をしたりするし、下敷きとなった「青い鳥」の知識があればもっと楽しめたはずなので、これは是非原作を読むべきだと思った。本編はあかりルートに重点を置きすぎているきらいがあるものの、そういうものだと割り切れば良ゲーに入る良い作品だと思った。