shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題40.1

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回は記念すべき第40回ということで、大作を持ってきました。

ただ、全部を一度に紹介するとかなり長くなるため、分割して紹介していこうと思いますが、ご了承ください。

今回紹介する作品はこちら。

 

 

まいてつ Last Run!!

 

2020年10月30日にLoseより発売された「まいてつ Last Run!!」です。

Loseといえば、私のブログを読んでくれている方なら知っているであろう、私の好きな「ものべの」を発売した会社であり、進行豹先生の描くシナリオが好きだったこともあり、「まいてつ」にも前から期待していました。

この作品は2016年に発売された「まいてつ」無印版にアフターシナリオ、新規キャラを追加したいわゆる完全版といわれるもので、これが発売されるという情報があったため、今まで無印版はプレイしていませんでした。そのため、全く初見でのプレイとなっています。

この作品に関しては色々と炎上騒ぎがあり、それが原因で評価を落としている部分も少なからず存在します。私としても思うところがあり、物申したいところではあるのですが、ひとまず今は作品の内容についてのみで、解説をしていきたいと思います。

ただ一言だけここで言っておくと、Loseは新作エロゲについては発売しないことを明言しており、進行豹先生のシナリオが好きだった私としては、いずれどこかで、また進行豹先生のシナリオを読むことができればと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは共通ルートのシナリオあらすじから。

 

舞台は、地磁気と太陽光を利用した新動力機関エアクラが発明され、鉄道が駆逐されてしまった、いわばパラレルワールドの日本である日ノ本。主人公右田双鉄(みぎたそうてつ)は地元に立ち上がったエアクラ工場誘致計画に反対するため、大学を休学して御一夜市(おひとよし、熊本県人吉市がモデル)へと里帰りする。なお主人公は、鉄道がエアクラに取って代わられていく末期(作中では大廃線時代と呼称)に鉄道の脱線事故に遭い、両親と双子の妹、路子(みちこ)を失い、御一夜市にあるクマ焼酎の由緒ある蔵元である右田家に養子として引き取られた過去を持つ。主人公が工場誘致に反対する理由は、工場排水によってクマ川(球磨川のこと)が汚染され、クマ川の綺麗な水を売りにしている右田家の焼酎作りにも悪影響が出るほか、綺麗な川と自然の町である、自らの育った御一夜市を守りたいという想いからであった。主人公の義姉であり、右田一酒造元の杜氏でもある右田真闇(みぎたまくら)は主人公の想いに賛成してくれるが、義妹である右田日々姫(みぎたひびき)は誘致に賛成する立場だった。日々姫は高校で、工場誘致推進派の先鋒である、隈元銀行頭取の娘で隈元銀行御一夜支店長でもある宝生稀咲(ほうしょうきさき)と仲良くしており、稀咲の言う、工場を誘致した際の御一夜市へのメリットに説得され、御一夜市を救う方法を工場の誘致に見出していた。しかし、御一夜市の衰退を憂う気持ちは自分と同じだという事に気付いた主人公は、とにかく自分は誘致反対のための活動を通して、日々姫や稀咲を説得していきたいと考える。

主人公を養子として引き取ってくれた真闇と日々姫の祖父である右田汰斗(みぎたたいと)はすでに病死しており、主人公は御一夜市滞在の間、義祖父の部屋を使うことになる。義祖父は鉄道マニアで、右田家の資産を鉄道に入れ込んで食い潰したと親族に疎まれており、その部屋は鉄道関係の資料で足の踏み場もないほどだった。主人公と日々姫はとにかく義祖父の部屋を掃除するが、その途中で偶然、義祖父の部屋に置かれていたレイルロオドであるハチロクを起動させてしまう。

レイルロオドとは、鉄道車両の運転、整備等の補助をするためにうみ出された人型モジュールのことで、人工知能を有し、感情も持つ存在であった。また、レイルロオドは全個体が共感通信という機能を持っており、鉄道に関する情報や自身の感情までもを他のレイルロオドたちと共有でき、そのおかげで列車の遅れや不測の事態への迅速な処理を可能にしていた。この共感通信は、エアクラナビ(エアクラ機関を搭載した車両に付随する、運転を補佐する人工知能)にも引き継がれており、そのおかげで人々は渋滞、交通事故とは無縁の交通手段を確保することに成功していた。

ハチロクは旧帝鉄(帝鉄=国鉄日本国有鉄道のこと)8620形蒸気機関車トップナンバー機8620専用レイルロオドであり、大廃線時代末期に蒸気機関車(SL)による観光振興を目論んだ汰斗により、購入されたという過去があった。ハチロクは事故を起こしており、共に破損した8620形を買い取って、ハチロクの持つ知識によって修復するというのが汰斗の計画であったが、事故の影響かハチロクには記憶の一部欠落が見られ、8620形の修復ができなかった。失望した汰斗はとりあえずハチロクを眠らせ、そのまま亡くなってしまった、というのがハチロクの経緯だった。ハチロクは動力源として水と石炭を必要とし、主人公は石炭を確保するため御一夜市の外れにある廃炭鉱まで石炭を調達しに行こうと思いつく。主人公は幼少期の鉄道事故の補償としてエアクラ飛行機を一台所有していた。試作機であるそれは、日ノ本においていまだ貴重なものであり、搭載されているナビには主人公の命を最優先に守るプログラムが組まれており、またナビには人格らしきものも生まれていた。主人公はその飛行機でハチロクと廃炭鉱に向かおうとするが、ハチロクは自分たち鉄道とレイルロオドを駆逐したエアクラ全般に恨みを持っており、飛行機内でナビと喧嘩をすることになる。主人公は恨むべきは環境ではなく自分の無力であり、「次」のために力をつけるべきだとハチロクを説得する。これは列車事故ですべてを失い、絶望していた主人公を救った言葉でもあった。廃炭鉱周辺は地磁気に異常が発生しており、地磁気をエネルギーとするエアクラが運行できないエリアとなっていた。そのことを知らなかった主人公たちは不時着してしまい、そこでまだ稼働している線路を発見する。このような磁場の異常がある地域や、大人数、大質量の輸送ではまだ鉄道が現役で活躍できることを知ったハチロクは、エアクラと共存しエアクラにできないことを鉄道が引き受けていきたいと前向きに考えられるようになる。

不時着してしまった主人公たちは、列車を運転してきた雛衣(ひない)ポーレット及びそのレイルロオドであるれいなに拾ってもらう。ポーレットは現御一夜市長でありながら、御一夜鉄道株式会社社長としてキハ07Sの運転も毎日行っている人物であり、れいなはキハ07S専用レイルロオドとして補助を行っていた。ポーレットは工場誘致反対派であった前市長である父の遺志を継ぐ形で市長になっており、主人公はポーレットと話をして、8620形を修理して御一夜鉄道で走らせることで観光振興につなげ、御一夜市の活性化を図って誘致反対の礎とする計画を立ち上げる。ポーレットもまた鉄道マニアであり、主人公の計画に賛同してくれる。そのため主人公は汰斗が買い取ったという8620形を探し始め、またハチロクと共に8620形の機関士としての特訓を始める。通常レイルロオドには対応する鉄道車両の場所がわかるという特性が備わっているが、ハチロクは事故によりその機能を失ってしまっていた。主人公はポーレット、日々姫、れいなと協力して機体を見つけるが、ようやく見つけたその機体は想像以上に事故で大破してしまっていた。ハチロクはその機体を見て絶望して倒れてしまうが、主人公の説得により再び立ち上がり、人間の役に立つという道具の本質を果たすために絶対に修理するという決意を固める。

機能の低下により1人では修理のできなくなってしまったハチロクに代わり、ポーレットやれいなが修理の手伝いをしてくれる。また主人公はそれと並行して観光振興への協力者探しを始める。病弱な母に代わってクマ川下りの運営をする早瀬ふかみ(はやせふかみ)、鍛冶屋の娘でふかみの親友である蓑笠凪(みのかさなぎ)、旧帝鉄で機関士として勤務していた過去をもつ、今は神社の宮司をしている赤井清春(あかいきよはる)などに相談、協力してもらい、8620形修理のために資金を集めることにする。主人公は8620形の修理事業を公開し、それ自体を観光として観光客を呼ぶことを考える。また真闇に協力してもらい、8620形と同じ石炭ボイラを使った焼酎の販売も始める。こうして、もう一度人々の笑顔を運びたい、というハチロクの願いの実現のため、主人公は奔走することになる。

そんなとき、御一夜鉄道の路線内で倒木事故が起こり、あわや大事故に発展しかける事例が起こる。たまたま居合わせていた主人公とハチロクがポーレットの運転する列車を止めたことにより事故は免れたが、ポーレット1人で回していた御一夜鉄道には限界が来ており、線路周辺の整備(保線)の必要が深刻になる。主人公は稀咲にアポを取り、自身の持つエアクラ飛行機を担保に2億を借り入れ、あと必要な2億は主人公が将来隈元銀行で働くという条件を出されたが、真闇が家族を助けるためと言って2億を借してくれたため、それで資金を作る。

ここから一気に場面がとび、主人公の奔走により各方面から寄付が集まったことで保線と8620形の修理が完了し、主人公はハチロクと共に試験走行に成功する。そして今後、観光振興のために何を重視するかを主人公が考えるところでルートが分岐する。

 

私は鉄道に興味がなかったため、かなり頻繁に出てくる鉄道関係の用語がわからなくて戸惑った。専門用語には全て解説があり、また全てキャラのボイス付きで解説してくれる豪華なものとなっているが、物語の世界観に入り込むまではとっつきにくく感じるかもしれない。

主人公は過去の鉄道事故で家族、特に双子の妹を亡くしたことで鉄道に強いトラウマがあり、また自身が生きる意味を、他人の役に立つためと定義しているところがあり、自分に無頓着なところがある。転じて自らの生についてもあまり執着がなく、共通ルートでポーレット、日々姫、れいな、ハチロクと一緒に風呂に入るシーンがあるが、彼女たちの裸を見ても一切反応しない。これは生=性に興味がないためである。

余談だが、本作は中国での発売、また全年齢化を意識しているのか、CGでも18禁となるような箇所は徹底して修正されており、エロゲをプレイしている気にならない。上述したお風呂シーンでもヒロインの立ち絵は全てバスタオルを巻いたものであり、味気がない。この問題に関してはパッチを当てることで解決できるが、地の文が修正されないため、一部齟齬のある言い回しになってしまっている。

共通ルートとしては、ハチロクを見つけて機関車の修理に入るまでを丁寧に描いているのに対し、一瞬で修理がすんでしまうため、尻すぼみな印象を受けてしまう。特に主人公たちがあれほど気にしていたお金の問題や、修理にかかる時間とそれによる問題が丸投げされてしまうのは、穿った見方をすればうまく描けなかったのではないか、とも思えた。

また8620形修理後は御一夜鉄道でれいな-ポーレットのキハ07Sと交代で客を乗せることになるが、ハチロクのサポートがあるとはいえそんな短期間で主人公が機関士としての仕事をマスターできるものなのか、そもそも御一夜鉄道はエアクラが動けないエリアにある学園へ生徒たちを通学させる通学・通勤電車としての需要が主になっているが、市長と2足のわらじを履き、また唯一の運転士であるポーレットのスケジュールはどのようになっているのか、一日何便運行しているのか、などの問題が山積みのように感じ、リアリティを追求してる箇所がある中で曖昧にぼかしている設定が目立っているように感じた。

本作はe-moteを採用しており、全ての立ち絵やCGがlive2Dのように動き、またそれが違和感のない動きであるため、リアリティを与えているのがすごいと思った。特にハチロクやれいなは低身長のため、立っている主人公と話すときは上目遣いになり、座っているときは正面を向く、など目線の動きも細かく作られているのがこだわりを感じられてよかった。Hシーン中もヒロインが上下に揺れ、それがやりすぎないレベルにとどまっていることもよかった。

 

個別ルートに入ると、各キャラに対応したOPが流れる。本作は楽曲にも力を入れており、サブキャラも含めたすべてのヒロインのOP、EDまたアフターのOP、EDに異なる曲を使っているのが豪華だった。

 

 雛衣 ポーレット ひない ぽーれっと 158-84-59-83

 

亡き父の遺志を継ぎ、御一夜へのエアクラ工場誘致の反対の旗を掲げる、現御一夜市長兼、御一夜鉄道株式会社社長。キハ07Sの運転士でもあり、同専用レイルロオドのれいなとは、実の姉妹のように仲良しである。母方にフランク(フランスのこと)人の血が流れており、クォーターである。父の影響で鉄道マニアであり、各地の個人鉄道車両オーナーとの間につてを持っている。優秀だが突発的なトラブルに弱く、市議会では想定外のヤジに委縮してしまいうまく答弁ができないため、市長としては無能の烙印を押されてしまっている。

今後の観光振興において、市長と社長の両方を務めるポーレットの負担を減らしたいと考えると、ポーレットルートに入る。主人公はポーレットの個人秘書として、ポーレットの仕事をサポートすることになる。またポーレットは当初主人公のことを「双鉄さん」と呼んでいたが、途中から「双鉄くん」と呼ぶようになる。これは主人公がまだ右田家に引き取られてきたばかりで絶望していた時、同じく父につれられて御一夜市に来ていたポーレットと出会っており、そのとき鉄道を恨んでいた主人公にポーレットは、道具自体には善悪がないことを気づかせた。この出来事は今なお主人公の考え方の根底にあり、主人公はその時の女の子がポーレットだと気づいていないが、ポーレットの方はそのことを覚えていたからだった。

主人公とポーレットは観光振興の新しいアイデア出しに御一夜市内を巡り、駅弁の制作、また赤井阿蘇神社の有形文化財への登録というアイデアを思いつく。さらに主人公の義祖父の残した地図とれいなの助言から、廃炭鉱駅と線路を見つけ、それを復線させて廃炭鉱をレジャー施設化するというアイデアも思いつく。それから廃炭鉱へ視察に行き、主人公たちは石炭の採掘体験とそれに付随する様々なアトラクションを体験できる「おひとよマイントレジャー(仮)」の設置に向けて取り組んでいく。さらに主人公はポーレットとのデートを重ね、自分にとってポーレットの笑顔が何より大切であることに気付く。まだそれが恋であることに主人公は気付かないが、ハチロクは主人公の話からそれを読み取り、それまで主人公の部屋で寝泊まりしていたのを日々姫の部屋に移る。また主人公はそこから派生して、観光の目的がお金集めのためではなく、観光をさせる側が笑顔にならなければ客を楽しませることはできないことに気付き、計画をよりよいものへと修正していく。こうして計画は順調に進み、今では市の持ち物となっている廃炭鉱の利用権を得るために市議会へ議題を上げることになった。ポーレットは第三セクターを立ち上げ、自身の持つ御一夜鉄道株式会社が主体となって施設運営に当たる考えだったが、市長の持つ会社が事業主になることは市民への疑惑を招くため、施設が完成したのちに市長を辞任するという考えを明かす。また、過去に炭鉱に携わっていた人々にとっては、廃炭鉱に関する話題を掘り起こされることは傷であり、そのフォローをどうするのかといった問題もあった。さらにポーレット自身も心の問題を抱えており、主人公に対して弱みを見せようとしなかった。そういった問題を抱えたまま臨んだ議会で、ポーレットは答弁の途中で過労で倒れてしまう。議会は後日に持ち越しとなり、主人公はポーレットから過去についての話を聞く。

ポーレットの両親は小さな貿易会社を経営していたが、御一夜市に工場誘致の話が立ち上がったことで、御一夜市出身だった父はその反対運動に参加することを決めた。はじめは仕事の片手間に参加しているだけだったが、いつしか反対運動へ入れ込んでしまい、ついにポーレット母の同意なしに父は市長選への出馬を決めてしまった。それがきっかけでポーレットの家庭は壊れてしまい、ポーレットは離婚した父と共に御一夜市に残った。ポーレットは両親が離婚したのは自分がいい子ではなかったからだと考えており、そのため自分は役に立つ存在でなければいけないという強迫観念を持っていた。主人公はその告白を聞いて、ポーレットの抱える仕事の負担と心の負担を減らすために手伝いを始める。まず主人公はポーレット父が市長の時代に彼の秘書をしていた市職員からポーレット母の電話番号を聞き出し、ポーレットに母親に電話させることで母と和解させた。さらに主人公とポーレットが過去に会っていたことを思いだして話すことで、ポーレットも自分の話を聞いて立ち上がった主人公に勇気をもらっていたことがわかった。そして主人公はポーレットに告白し、2人は恋人となる。

また、ポーレットのよき相棒であったれいなは、元々エンジン車だったキハ07Sをディーゼル車に改造したことがきっかけで、データ量が増大し処理落ちするという問題を抱えていた。今まではれいなの処理落ち=運転中の居眠りはポーレットがカバーすることにより事故が起こっていなかったが、マイントレジャーが稼働して今より多くのお客さんを乗せることになると、解決しなければならない問題であった。しかしレイルロオドには記憶と記録の区別がなく、キハ07Sを再びガソリン車に戻すと、それに付随してディーゼル車時代のれいなの記憶が消えてしまう可能性があった。それゆえポーレットはれいなの修理に踏み出せなかったのだが、主人公と付き合ったことで「今」に固執するのを辞め、「未来」を見据えられるようになったことでれいなの修理を受け入れられるようになった。

またれいなのバックアップは、赤井宮司元帝鉄職員)の持っていた壊れたレイルロオド「ニイロク」にも移されることになった。これは「ニイロク」が、例え今までの記憶を失うとしても再びレイルロオドとして走りたいと願ったからであり、この辺のことは詳しくニイロクルートで語られると思われる。

再改修は問題なく済み、れいなの記憶は失われることはなかった。また、ポーレットが主人公と付き合って心に余裕ができ、議会でも堂々とした答弁ができたことにより、案は承認され、マイントレジャーは本格稼働に向けて進んでいけることになった。主人公は稼働に向けて奔走していくことになるが、そんな中で日々姫は主人公とポーレットが恋人になったことに気付き、自身の恋心に別れを告げて主人公を送り出すシーンがある。相変わらず進行豹先生は失恋を書くのがうまいと感じた。

マイントレジャーでのアトラクションの中にクマ川下りが含まれていることから、マイントレジャー側はクマ川の使用権を得、それに伴ってクマ川への排水を伴う工場誘致計画は実現不可能になったはずだったが、工場誘致推進派のトップである隈元銀行頭取、宝生元忠(ほうしょうもとただ)は、神社の有形文化財化、そして廃炭鉱の技術継承炭鉱としての認可のための大臣視察に向けた準備を妨害することで、認可を阻止し、別方面からマイントレジャーをつぶそうとしてくる。手始めに廃炭鉱の整備、そしてマイントレジャーのキャスト募集のため主人公たちがかけた求人に対し、大臣視察までの間限定で主人公たちの2倍の時給を出す短期バイトで募集をかけることで、主人公たちを妨害してくる。主人公は途方に暮れてしまうが、真闇、そして真闇が呼んでくれた町内会の婦人会の面々、そしてポーレットの人望が集めた市役所のボランティアによってその窮地を乗り切る。

ここに関しても、大臣視察までの期限は1週間ほどと明言されており、また残っている仕事は既存の線路から廃炭鉱前までの線路の保線と延伸、マイントレジャーの各設備の整備、施設内の装飾の作成など、市役所職員のボランティアと町内会の協力ごときでは到底終わらない量に見えたが、どうだったのだろうか。

そして大臣視察は無事に終了し、全ての認可が下りることになった。視察にきた大臣が優しすぎるようにも感じたが、これはこれで主人公たちがした努力を認められるようで悪くないと感じた。

最後は主人公がポーレットに結婚のプロポーズをし、自分の幸せはポーレットを幸せにすることにあると決意して終わり。

共通ルートの8620形修理の時と全く同じで、準備段階を詳細に語っておきながら肝心の完成までを駆け足で描きすぎてカタルシスが不足しているように感じた。また人手不足と資金不足の両方を問題提起しながら最終的にはなあなあで済ませているようでやはりしっくりこなかった。さらにシナリオ全体が工場の誘致を阻止し御一夜市を救うということを主目的にしていて、またそのためにやることが山積みで尺を多く割く必要があり、ポーレットの魅力が今いち伝わってこなかったのも残念。

ポーレットの回想シーンは無印4+無印Hシーンアペンドパッチ4+アフター2で計10個となっているが、告白後の1シーンを除いて全てが本編のクリア後に解放されるものであり、閲覧のためには一度本編の流れを止めて場面一覧から選ぶ必要がある。これは前作「ものべの」にも適用されていた仕様なのでここはいいのだが、「ものべの」ではHシーンに突入するまでは本編中で描かれていたため、一度止めてHシーンを見に行くのもやぶさかではなかったが、「まいてつ」では全てが終わってからHシーンだけ解放されるので、本編プレイ時にヒロインとのイチャラブを体験することができず、ヒロインに対してプレイヤーの好感度が上がらないというのが正直なところ。全年齢化に配慮してエロシーンを排除しすぎた弊害だと思う。せめてキスシーンや情事前のシーンぐらいは本編に配置しておいてほしかった。

ポーレットは幼少期の出来事以降主人公のことが好きであり、告白されて恋人にしてもらうことができたと実感するシーンが可愛かった。

 

CVはあじ秋刀魚さん。ラジオやYoutubeなどを聞いていると、地声と演技の声のギャップに驚く声優さんだが、演技は上手で特に違和感を感じたところもなかった。

 

 右田 ひかり

 

主人公とポーレットの1人娘。アフターで登場。甘えん坊であり、また極度の人見知りで知らない人に話しかけることができない。4才であることからアフターは本編の5年ぐらい後であることがわかる。

アフターはポーレットが2期8年の市長の任期を終え、退職する日から始まる。マイントレジャーができたら辞職するとはなんだったのか。ポーレットは多くの市職員に別れを惜しまれており、また退職セレモニーでひかりがポーレットに花束を渡す役だったが、ひかりは知らない人の大勢いることを怖がり、ポーレットの前に出ていくことができなかった。仕方ないので今やお姉ちゃんとなったれいなからポーレットは花束を受け取る。なお、後任の市長は稀咲であった。主人公とポーレットは、ひかりに愛情を与えすぎていて、ひかりが真に「他者」との交流をしたことがないのを心配していた。そこで、主人公、ポーレット、ひかり、れいなの家族4人で旅行に行こうと思い立つ。

主人公たちは水戸から寝台列車に乗って鳴子温泉へと向かうことにした。ひかりはポーレット、ハチロク、れいなの影響で主人公よりも鉄道に関する知識が深く、道中でも鉄道に関する知識を教えてくれる場面があった。旅行を通して、ひかりは行商人のおばあさんとの出会い、足湯体験、こけし作り体験、雪うさぎと男の子との出会い、などを通して、「本当に伝えたいこと」を伝える勇気が出せるようになる。

旅行から帰ってきてしばらくしたのち、御一夜鉄道でとあるセレモニーが開かれる予定だったが、主人公が花束贈呈の役に選んだ日々姫に、日にちを間違えて伝えるというミズをやらかしてしまう。主人公はその場にいたひかりに代役を頼み、ひかりはつっかえながらも今度はしっかりと花束を渡すことができたのだった、という話。

話の流れとしては王道で、またひかりの成長がメインに描かれているためポーレットの話では全くないのだが、私は家族の話に弱いので、これはこれでよかった。特に家族風呂に入りながらみんなでひかりの悩みを聞いてあげるシーンは、主人公とポーレットの親らしさ、れいなの姉らしさ、が感じられ、家族を感じられるよいシーンだと思った。

ただ圧倒的に尺が足りず、シナリオ全体としては3時間ほどの長さ、また追加シーンも2つのみなので、アフターだけを目当てに買うと激怒ものだろうと思った。「ものべの」はアフターももう少し長かったし、ひかりの成長とポーレットとの日常という2つの軸をもってシナリオを作ってくれればもう少しポーレットの魅力も伝わったしよかったのでは、と思ってしまう。

 

CVは梅木ちはるさん。知らない人だったが、幼児らしさは出せていたと思う。

 

 

 

 れいな 113-53-42-55

 

御一夜鉄道キハ07S専用レイルロオド。いつもはポーレットと行動を共にしている。出身は硬上鉱山鉄道(かたかみ、岡山県の片上鉄道のこと)で、元は鉱山で働いていたことから炭鉱にも詳しい。のんびりと間延びした話し方をする。

車両機体がガソリン動車からディーゼル動車に改造されたことに伴い、自身も改修されたが、その影響で時折運転中に眠ってしまい、非常時の対応はおろか、共感通信も不可能になる欠点をもっている。しかも、キハ07Sは必要に応じてガソリン動車への再改修が可能なように完全には改造されておらず、またれいな自身にもガソリン動車用のデータを持たされているため、それがさらなる負荷を与えてしまっている。

ポーレットルートアフターでは、ひかりの姉として気丈にふるまい、面倒をみてあげる姿が描かれるが、れいな自身が主人公と結ばれるルートも存在する。

れいなルートはポーレットルート途中で、3人で廃鉱山を視察に行くところから分岐する。3人は石炭火力発電所を発見し、これを稼働させてマイントレジャーの電力を賄えないかを検討すると共に、火力発電所の運転のために採掘する石炭を、事業レベルで大掛かりに行い、どこかへ売れないかと考える。これは採掘のためのコストを考えての事である。この仕事を抱え、さらに忙しくなったポーレットに代わって主人公とれいなは2人でもう一度廃炭鉱の調査を行う。れいなは、石炭を買ってくれる相手が見つからず、疲弊していくポーレットを見かねて主人公とハチロクに相談し、ポーレットと意見交換をする会議を開いてくれるように頼む。そこで主人公とれいなは、廃炭鉱調査の際に見つけた貨車の話をし、観光を兼ねて客車と石炭を積んだ貨車をつなげて混合列車として走らせるという計画を思いつく。ちょうど北九州工業地帯の持つ貨物列車用の線路があり、矢幡(八幡)製鉄所が混合列車の話に興味を持ち、石炭を買ってくれることになった。そこで主人公たちは御一夜から矢幡まで線路を延伸する計画を立てる。

れいなはポーレットに、主人公と一緒だと毎日がもっと幸せになるという話をする。ポーレットはれいなが主人公に恋をしていることに気付き、れいなのために自分は身を引く覚悟を決める。混合列車の計画は進み、ポーレットは矢幡に視察に行ってきてほしいという話をれいなにするが、主人公はれいなが矢幡に移籍すると思い込み、自分がれいなを好きなことに気付いて、れいなに結婚のプロポーズをする。ポーレットは身を引く覚悟だったが、レイルロオドであるれいなが主人公と結婚するためには戸籍の取得のためポーレットの養女となる必要があり、主人公の義母になれることが自らの幸せだと考える。

話はここで終わるが、Hシーンが3+1+1で5つ解放される。

そのうち最初の1つでは重要な設定が話されるのでここに記しておく。こういうことをするなら本編とHシーンを分ける意味がないし、そもそも18禁でないと話せない設定を作れるのがエロゲのいいところなのにと思ってしまう。

レイルロオドには封印(シーリング)というものがあり、人間との絆が深まった際に生理が始まり、機能が解放される特性があった。れいなと主人公が結ばれた日、ポーレットとれいなが主人公の家を訪れ、ポーレットからそのことを説明すると共に、れいなにセックスの手本を見せるため、3人でセックスをすることになった。最初にポーレットが主人公にフェラしてお手本を見せ、その後れいなのお願いでセックス本番のお手本を見せることになった。主人公はポーレットを選ばなかったので躊躇するが、ポーレットから初恋をあきらめるために一度だけ抱いてほしいと言われ、ポーレットへと挿入する。しかし、処女膜を貫通したところで、セックスの意味を知ったれいなから、これ以上は手本はいらないと泣きながら懇願されてしまう。主人公はポーレットとのセックスを途中でやめ、れいなに挿入して最後まですることになる。これでポーレットは心かられいなの母として振舞う事ができるようになった、という一場面なのだが、これではあまりにもポーレットがかわいそうで、いくられいなの頼みだとは言えせめて1回くらい最後までしてあげてよかったのではと思った。後は構図が仰向けになったポーレットが上にれいなを乗せ、その上から主人公が覆いかぶさる、というものだったのだが、ポーレットの表情から伝わる心理描写が見事だと感じた。

シナリオとしては中途半端で終わると思いきや、「まいてつ 全部入りプロジェクト」としてれいなアフターが後出しで追加されている。この全部入りプロジェクトについては、Last Run!!の追加シーンの少なさから出たクレームを解消するためのものと考えられており、追加パッチとしてサブヒロインルートのアフターを追加するというもので、れいなも追加シーンが作られている。なお、追加パッチということでゲーム設定にうまく組み込めなかったのか、通常の場面選択画面からは選ぶことができず、シーン一覧という鑑賞画面から飛ぶ必要があって最初はわかりにくかった。

れいなアフターはれいなと主人公が結婚してしばらくたった後から始まる。れいなは主人公の家で同居することになり、ふとしたことから主人公はれいなから、鉱山技師であった、れいなの前マスターの話を聞く。その思い出を主人公に話しているうち、れいなは前マスターの奥さんから、結婚にあたっては花嫁修業をしておかなければならないという話をされたことを思いだす。そこで主人公とれいなはよき夫婦となるため、2人で花嫁修業に励むことにする。2人はお茶を稀咲に、お花を日々姫に、料理を真闇に習い、2人は夫婦として成長していく。これらの過程を通してれいなと主人公の日常が描かれており、れいなが主人公にとって日常の一部として溶け込んでいく様子が描かれていてとてもよかった。そして主人公とれいなは、これからも人、そして線路をつなげていき、やがて復活するであろう路線とそこで働くレイルロオドを、2人の子どもとして、未来を託していこうという話をして終わり。

れいなと結ばれた後が描かれる理想的なアフターで、れいなの可愛さや持っている過去の話が掘り下げられ、よかったと思う。Hシーンも1つ解禁されるが、それは重要ではないので割愛する。真闇に料理を習うとき、古い型であるがゆえに味覚センサーが貧弱であると不安がるれいなに対し、主人公にとって1番の味はれいなにしか出せないと諭す真闇が、その心情を考えるとエモポイントだと思った。

 

CVは杏子御津さん。幼女キャラをやらせたら上手く、安定感があった。ふわふわした話し方もキャラによくあっていたと思う。

 

ここまでを通して、Hシーンでは無印部分は淫語無修正だが、アペンドやアフターでは音が消されていたり、またピー音が入っているものがあったりと対応が異なっており、それが適当な対応だと感じてしまった。また、前述した通り、裸パッチを当てれば立ち絵の差分は変わるが、文章は変わらないのでおかしい部分ができたりと、エロゲのくせにエロを軽視しているのがよくないと感じた。

また本作はHシーン以外では主人公に声がついているが、アフターになった瞬間主人公の声が全く違うものになるのも問題だと思った。アフターでは主人公の声優が交代しているようで、どんな問題があったのか知らないが、これでは違和感から主人公の声を消さざるを得ず、ずさんだと感じた。

 

 

今回はこのへんまで。次回はまた別のヒロインを攻略していこうと思う。