shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題40.5

 

 

もうちょっと続く予定ですが、本編としてはこれが最後です。

 

〇グランドルート

 

工場誘致撤回に向けて、3ヒロインすべての提案を断るとグランドルートに入る。主人公は誘致撤回がゴールではなく、その先にある、御一夜の完全な復興を目指すことが重要であることに気付く。そのため、主人公は稀咲をはじめとする、工場誘致という立場では対立している面々をも仲間に加え、御一夜全員が一丸となって取り組んでいかなければならないと主張する。

主人公は九洲全土での復線を目玉にできないかと考える。それを行うメリットは大きく2つあり、ひとつは技師の問題だった。今まで九洲にある鉄道会社は、鉄道車両及びレイルロオドの法定検査を帝都まで輸送することで行っており、それには莫大なコストがかかっていた。それは九洲に検査を行う事の出来る鉄道技師が残っていないのが原因だったが、御一夜に車両の整備を行う施設が作れれば、大幅なコストの削減につながり、またそれには九洲の鉄道会社の支援と賛同も得られるだろうと主人公たちは考える。これはポーレットルートで出てきた術仙炭鉱跡に整備工場を作るという案と同じである。

このようにグランドルートでは、各ヒロインのルートで主人公たちが考えた地域新興案が全て合わさって実現されていくので、一番いい世界線に思えるし、これまでの集大成に思えてよかった。

もうひとつのメリットは九洲をブランド付けするというもので、現代は「どこにでもいける」エアクラが普及したことで逆に情報過多になり、「どこにもいかない」という選択を取る人々が増えていた。そこで九洲に鉄道ブームを起こす事で、行き先の選択肢を絞り、九洲に観光に来てもらいやすくするというものだった。主人公たちはこれを基本線として、とにかく九洲全土の復線に向けて動き出していくことにする。復線のためには線路のための宅地買収、また目玉となる新観光列車のビジョンが必要となり、さらに九洲の復線をどう御一夜に還元していくのか、というところもまた課題であった。

稀咲をはじめとする誘致賛成派を巻き込んだ話し合いは一定の理解を得られ、稀咲が主人公に対する個人的な興味からその計画を手伝ってくれると同時に、稀咲の父親の頭取からも案を検討してもらえることになる。主人公たちは、御一夜から日ノ本の鉄道の未来に向けて走り出す希望の列車となるように願いを込めて、コンセプトを「未来行き列車」と決め、新観光列車の最初の一歩として日々姫が制服をデザインし、それを着てみんなでポスター写真を撮る。

 

 

これがその時撮られた写真で、これから新しい物事が自分たちの手で始まっていくのだという希望の表情が描かれた、素晴らしいCGであると思った。これを見るだけでワクワクが伝わってくる気がして、とても好き。

なお、凪・ふかみ・稀咲が着ているのが新制服になるのだが、この制服を着た立ち絵・CGは今後一切登場しない。←???

 

ただ、グランドルートの主人公は、まだ自分の過去と折り合いをつけられておらず、未だ妹である路子に囚われており未来への希望が持てず、それ故上記の写真にも写れないでいた。それでも主人公は、前に進まなければならないと考え、ナビと2人で生家の墓参りに事故後初めて行くことを決意する。主人公は墓前で、この計画を任されていることに重圧を感じており、しかし自分の価値は他人の役に立つことで初めて示されるのだと弱音を吐く。主人公はナビと話をし、今の自分は過去の自分と比べて変わった、と評価してもらおうとするが、その本質は変わっていないことをナビから指摘される。さらにこのままだと主人公はいつか致命的な過ちを起こしてしまう可能性があるため、周りの人々ときちんと向き合うことを提案される。ナビの提案の意味がわからなかった主人公だったが、とにかくナビの言う通りにしてみようと考える。

主人公は始めに日々姫と向き合う事にする。主人公は日々姫についてデザインの仕事の手伝いをする。そこで日々姫から問題を細分化して考えることに気付かされる。主人公は、沿線の宅地買収により発生する人々の不満を緩和するため、沿線の皆で作り上げていく、自分たちの列車というコンセプトにできないかということを思いつく。そこで列車をより身近に感じてもらうため、「8620運転台通信」の発行と、日々姫のデザインを活かした「クマ川流域観光マップ」の作成をすることにする。

次に主人公はポーレットと向き合うことにする。九洲全土を線路でつなげた場合、御一夜に今ある湯医線はその環から外れており、湯医自体に観光スポットが無い場合、観光客に素通りされてしまう危険があった。そのため、湯医の観光資源を探して主人公とポーレットは湯医の沿線を散歩することにする。主人公たちは術仙の炭鉱跡まで歩いてきて、そこで廃炭鉱を利用した「マイントレジャー」の構想をひらめく。さらに、このルートでは決まっていなかった車両工場も術仙に作ることを思いつく。そして廃炭鉱を中心とした「過去」の町術仙から、最新の電車が走る街八ツ城(八代)までの路線を作ることで過去から未来へ、という「未来行き列車」のコンセプトを活かせることを思いつく。さらに湯医沿線は過去をイメージした沿線にし、未来から過去へ戻れる路線として、資料館などの過去を思い出させる施設を配置し、「レイル・ロマネスク」をコンセプトにすることを考え付く。

主人公は話をしていて、ポーレットが昔御一夜で会った女の子だと気づくが、上空から主人公を見守っていたナビによってポーレットの告白は邪魔されてしまう。このルートではそれぞれのヒロインと1対1になるシーンがあるが、主人公が鈍感になり、さらにナビがいい雰囲気の邪魔をするので、特定ヒロインと結ばれるところまでいかない。

次にれいなと向き合うことにする。術仙炭鉱を再開発するにあたっては、昔炭鉱で働いていたれいなの知見が必要であり、主人公はれいなの昔話を聞く。れいなは主人公の後押しもあって、記憶のロールバックを受けることにする。このあたりはポーレットルート、れいなルートと出来事としては同じである。

次に稀咲と向き合う事にする。主人公は稀咲と、宅地買収についての話し合いをする。用地の買収は、住人の感情問題が大きい等非常にデリケートな問題であり、御一夜にはそのノウハウを持つ人間がいなかったため、交渉は難航していた。そこで買収に関する助言をもらうため、赤井宮司のツテで後東氏に会う事にする。後東はニイロクルートで出てきた赤井宮司の帝鉄時代の同僚で、強盗とまで揶揄された買いたたきのプロであった。後東は帝鉄が解散したときの赤井やニイロクたちとの約束で、再び日ノ本に電車を走らせるために奔走しており、澁谷ー横濱間の電気鉄道を実現させる手前まできていた。稀咲は保線の専門会社「日ノ本鉄路」を設立させ、そこで宅地買収も行おうと考えており、後東にはそこに出資してもらう形で買収のノウハウを持った人物を貸してもらおうと考えていた。後東側にとっては、帝都で自分たちの鉄道計画を実現させるために、より政治的な圧力の少ない、地方である九洲で同じく買収のテストケースとして情報を集めることにはメリットがあった。交渉は難航し、破談するかに思われたが、同席してくれていた赤井宮司の「私に免じて」の一言により、御一夜側が2/3以上の株式を保有すること、後東側が社長を任命することで合意する。これは後東側は買収のノウハウを持つ人物を送り込み、ノウハウの提供と情報収集を行うとともに、御一夜側は社長が後東側に有利な提案を露骨に行った場合、株主総会で罷免することができるようにするという合意だった。後東は帝鉄末期に自分たちの旗印となって先頭に立ってくれた赤井宮司に借りがあり、今回でその借りを返したことになる。

こういった、他ルートの伏線がグランドで回収されるのは好き。さらにこれをもって、主人公たちの計画は概ね軌道に乗ったと判断され、頭取が工場誘致撤回を表明してくれる。ここから九洲の各鉄道会社への交渉や、観光施設の建設、宅地買収などを行って時が流れる。日々姫、凪、ふかみが成長した立ち絵になる。

事業は進んでいたが、主人公は未だ新列車のアイデアを固められないでいた。そんな中、主人公はナビとの約束を守るため、次は真闇と向き合う事にする。

真闇は完全に人間による干渉を止め、機械的に制御された新しい焼酎を作りたいと考え、醸造管理のためにレイルロオドを雇っていた。このレイルロオドには立ち絵、セリフ、CG全て存在しないのが残念である。彼女はとある量産機体のレイルロオドだったが、機体の解体が話として持ち上がった時、それが量産機故、機体の保存の方向には誰も賛成してくれず、無残にも機体を解体されてしまった過去を持っていた。それゆえ鉄道にはもう関わりたくないと心を閉ざしており、主人公やハチロク、日々姫といった鉄道に携わる人間とは、関りを持っていなかった。しかし、仕事中に真闇にする話から、心の底では鉄道が好きな気持ちがあることに真闇は気付いており、彼女の話を真闇伝いで聞いていた主人公は、新観光列車のアイデアを思いつく。

それは九洲の旧九国それぞれをコンセプトとした、1両3室×3両の豪華観光列車であり、九洲全土を観光のために停車しながら9日間かけて周るというものだった。メインターゲットは家族旅行向けとし、1室の定員が6名で1泊1室99999円+食事代で売り出す。食堂車では九国の郷土料理や特産品をメインで提供し、九洲をまとめる象徴とする、というものだった。また8620だけで九洲全土を周るのは車両がもたないので、リレー形式で牽引機を替え、機関車→汽動車→電車とつなぐことで、技術的にも未来へと進んでいく「未来行き列車」のコンセプトを応用できると考える。主人公はこの列車を「リレートレイン ナインスターズ」と名付ける。主人公たちはこの案を採用し、実現に向けて動き出す。ふかみは「ナインスターズ」へ通しで乗車する車掌を目指して、車掌の勉強を始め、またポーレットのツテで帝央ホテルへ接客の研修へ行く。また新しい機関助士として、凪ルートで出てきた凪の剣道のライバルである中村千景(なかむらちかげ)を雇用し、さらに8620の補機となる機関車とレイルロオドを探して宗方、シルヴィコンビを招聘し、由布院に捨てられていたD51 1031の修復とみくろの雇用にも着手する。

1年が経ち、ふかみが研修から帰ってきた。その間に主人公たちは新車両のデザインの立案や千景、日々姫、凪の機関士・機関助士としての育成などを行っていた。主人公はふかみと向き合うことにする。ふかみは研修を通して新たな視点を身につけており、それを踏まえて主人公たちはもう一度会議を行う。ふかみは乗務憲章の作成と乗務員への情報端末の共有を提案し、それは可決される。また、「ナインスターズ」の高級感を演出するためには、各部屋への入り口となるエントランスとしての空間が必要だと主張する。これは、すぐ客室に入らず、フロントで受付をした後に部屋に入る方が高級感が演出されるからだったが、そのためには既存のデザイン案を練り直す必要があった。日々姫もその案には賛成するが、主人公はスケジュール管理者として、関係者のモチベーション及び資金繰りの関係で、完成までの期限を後4年以内と見ており、急ピッチで日々姫にデザイン案の提出を依頼する。

そんなとき、線路敷設のために買収した土地に地盤沈下が起きたことが判明する。これは数キロ先に会った廃炭鉱(術仙とは別)が原因であり、40億かけて廃炭鉱を埋め戻すことを余儀なくされてしまう。しかし、クラウドファンディングやマイレールファンド(稀咲ルートででてきたやつ)はすでに募集した後であり、これ以上は国内の鉄道に関心がある層からも資金を調達することは不可能に思えた。さらに稀咲の持つ仲国とのツテを使った融資もすでに行っており、これ以上は見込めない状況であった。そこでポーレットが、今まで疎遠にしていたフランク(フランス)人の母親と連絡を取り、母親のツテでフランクから融資をしてもらうことを決意する。母親との会話内容は語られないが、主人公たちは無事フランクの銀行から融資を受けられることになる。

それからしばらく経ち、御一夜鉄道は一丸となって計画に向けて進んでいた。主人公は凪、千景、みくろペアを呼び出し、完成した線路の試験運転を任せる。これまで熟練度が足りないと、運転を任せていなかった主人公だったが、今回は彼女たちが御一夜の未来を担っていく存在であると考えたためである。そして彼女たちは見事試験運転を走り切り、ご褒美として凪は主人公にお願いをする。

千景とみくろは他ルートで登場したキャラで、特に千景は声と立ち絵が始めて明かされた他、2人とも御一夜鉄道の一員となり、主人公の仲間となっている展開がよかった。

ちなみに千景のCVは桐野侑未さん。セリフが少ないので特に言えることはなかった。

凪と向き合うことにした主人公は、凪に昔沿線の木を倒してしまったことの謝罪をされる。凪はずっとそのことを謝りたかったが、その意味がちゃんとわかるまでは謝りたくないとも思っていたと主人公に話す。それを聞いて主人公は、ナビに言われた他人と向き合う事の本当の意味を理解する。それは他人の事を「ちゃんとわかる」ことで、そのためには「自分とも向き合うこと」が必要だった。主人公は過去の自分と今の自分がつながっていることに気付き、過去の自分を否定しないことで、やっと自分を赦す事ができた。それに気づいた主人公はハチロクと向き合う事にする。

ハチロクは、過去に主人公が巻き込まれた事故を起こした当事者の一人であり、そのことをずっと負い目にしてきた。しかし、自分を赦すことができた主人公はやっと、当時の事についてハチロクと話す勇気が持て、2人はお互いを赦し合うことができた。2人はお互いに時計を交換し、お互いに自分の時間を捧げる決意をする。

時計を渡すことで自分の時間を相手にあげる表現にするのがとてもエモいと思うし、これでハチロクと付き合わないのがもったいなかった。

主人公はオリヴィの不調の報告を宗方機関士から受けて、旺宮のひよこのところへ相談に行き、体温を測るというレイルロオドの延命法を聞く。オリヴィのデータから彼女の老衰が始まっていることがわかるが、寿命がいつくるかについては、すぐ起こることではないようであった。さらに主人公はひよこから、エアクラナビにも魂があるという仮説について聞く。人工知能は人間との関わりの中で後天的に魂を獲得することがあり、これは製造段階ではわからないため規制することが難しく、それゆえ人に害意をなす可能性があるとしてレイルロオド反対派からも攻撃されていた。そこで、レイルロオドはエアクラナビの姉とも呼べる存在であり、人間ともエアクラナビとも寄り添える存在として、エアクラナビの教導役としての新たな活用方法を生み出せないかと主人公は提案する。また反対派による攻撃を受けないために、稀咲が行っていたことを真似して、レイルロオドの研究を事業化し、資金を募って研究を行う事で成果を公開し、大っぴらにすることを主人公は提案し、ひよこはそれの前向きな検討を行う。

さらに2年ほどが経ち、いよいよ「ナインスターズ」の初めての運行の日が来た。主人公は機関士として乗車するために駅に向かうが、駅で待っていたポーレットが、当日キャンセルが1部屋だけでたことを教えてくれる。主人公は路子との最期の約束を果たすため、その部屋を買い取って主人公の過去の家族たちを乗せたことにして運転する。主人公、日々姫、ハチロクの担当箇所である御一夜ー八ツ城間の運転が終わり、赤井、ニイロクへと列車は引き継がれた。一息ついた主人公は、改札を通り抜けていく両親と路子の姿を見る。さらに改札の手伝いを終えて帰ってきたハチロクから、女の子を連れた家族の相手をし、「いい旅だった、と伝えてくれ。」と言われたことを語られる。主人公は思わず涙があふれ、白昼夢の中で路子に会う。そこで主人公の周りにいる女の子の中で誰が好きなのか尋ねられた主人公は、今まで路子のことだけを考えてきたから他の女の子については考える余裕がなかったと語る。しかし、主人公の長年の使命であった、路子を終着駅に連れていくという目標を果たした今、それについて考えたいと主人公は話す。

最後に主人公にしか見えない形で死んだ家族を出す演出は好きだし、他にそれを感知したのが、モノであるハチロクというのもエモいと思った。また、グランドルートなのに主人公が誰ともくっつかないことについて一応の理由づけが為されていたのもよかった。ひとつだけ不満を上げるなら、完成したナインスターズのCGが一つもないため、車両や内装がわからないところだろうか。

御一夜に戻った主人公は、路子と話していた夢物語として、新幹線「ひかり」を帝都ー逢坂間で走らせる計画について話し始め、主人公たちのレールはまだまだ続いていくのだった、という話。最後にみんなで記念写真をとって終わり。

 

 

これが最後の記念写真で、中盤の写真では未来への希望が持てなかった主人公が、笑顔で真ん中に入っているのが素晴らしい。宗方とシルヴィがいないのが残念だが、主人公が作り上げてきた御一夜鉄道の集大成の感じが出ていてとてもよいと思った。ちなみに右下の見覚えのないキャラが千景である。キャラデザはわりと好き。

 

 

〇仲国ルート

 

グランドルート後に開放されるルートで、中国の出資に配慮したのであろうズブズブのルート。正直蛇足だが、この世界観でキャラの新しいエピソードを見たいならば、少なくとも悪くはないと考える。

ナインスターズが走り出してから約2年が経ち、主人公、日々姫、ハチロクは、稀咲のツテを通して仲国側から、「仲国版ナインスターズ」のコンセプト案の立案のため、仲国へ視察に来てほしいという依頼を受ける。主人公たちは、法律上物品扱いとなり、海外への移動が禁止されている、レイルロオドであるハチロクのために戸籍を取得し、「右田ハチロク」となったハチロクにパスポートを取得させる。主人公たちはジェット機で北琴(北京)へと到着し、そこで仲国側からの歓迎を受ける。

 

 西瓜 すいか

 

仲国を代表する機関車、東富4 2000の専用レイルロオド。仲国の国鉄に勤め、試験運転士として日ノ本の鉄道事情に詳しかった前マスターの影響で、日ノ本語が堪能。現在はその息子であり、仲国国鉄の運転士である劉志寰(りゅうしかん)をマスターとしている。

 

CVは伊ヶ崎綾香さん。他にも仲国国鉄から案内役として派遣されてきた姜叶煌(きょうようこう)という稀咲の友人の偉い人がおり、こちらのCVはかの仔さんとなっている。この2人はいわゆる同人出身の声優さんであり毛色が異なるが、Hシーンがないせいなのか、特段違和感はなかった。2人とも仲国語を話すシーンが何度かあり、本当の発音は知らないため詳しくはわからないものの、違和感はなかった。

 

主人公たちは仲国と日本の文化の違いに戸惑いながらも、仲国の鉄道事情を理解するため、北琴ー聖都(成都)間の寝台列車に乗車することにする。皆が寝静まった真夜中、主人公と日々姫がスケッチブックでこっそり会話している様子に気付いたハチロクは、主人公に対する気持ちがあふれだすが、共感を切っていなかったため、そのことを西瓜に気付かれてしまう。西瓜はハチロクをこっそりと夜の食堂車へと連れ出し、2人で話をする。

西瓜はマスターである志寰に恋をしており、約2年前、志寰が運転士になったときに、志寰からの告白も受けていた。しかし西瓜は、志寰の告白を受けることで自身のシーリングが開封されてしまうことを恐れ、その告白から逃げ出してしまっていた。

ここで、シーリングを開封するということは、レイルロオドの替えの効かない生体部品を解放するということで、機能停止までのタイムリミットを縮める行為であるという事実が明かされる。そんな大事なことをさらっと流した上に、この設定を活かせばレイルロオドと人間との間での恋愛にもう少し要素を取り入れることができたと思うのだが...。これを聞いてしまうと、主人公が他ルートでハチロクやれいなのシーリングをほいほい開封していたことにもやもやを感じてしまった。

西瓜はハチロクと主人公との関係を見て、ハチロクが主人公に対して感じている感情を参考にさせてほしいと考え、2人はお互いにマスターに対する感情を共感する。その結果、このルートのハチロクは主人公に恋をしているものの、その感情を自覚できておらず、ただ主人公の一番そばで、一番のレイルロオドとして居続けたいとだけ思っていた。機能停止が怖くて踏み出せないという西瓜にハチロクは、自分は過去を後悔したくない、そのためなら明日壊れたとしてもかまわない、と述べる。それを聞いた西瓜は、

志寰に自分の気持ちを伝えることを決める。夜が明けて列車が目的地に到着し、主人公たちは付近の観光地を巡ることにするが、西瓜と志寰がしれっとくっついている。主人公たちは、ハチロクたっての願いで、現地の蒸気機関車へ乗車することにする。蒸気機関車はボロボロで、歴史を感じさせる機体だったが、照明が機体の雰囲気に合わない最新式のLEDに代えられているなど、今でもツギハギしながら使われていることがわかった。ハチロクはこれほどの歴史的価値のある機体なのに、どうして正規部品を使って交換しないのかと尋ね、運転していたレイルロオドは、扇風機をクーラーに代えるように、便利にするのがなぜいけないのかと答える。これを聞いて主人公とハチロクは、歴史をガラスケースに閉じ込めておく側面がある日ノ本とは異なり、仲国では歴史は今とつながっているものであることに気付く。ここから主人公たちは、「仲国版ナインスターズ」の案を考え付く。

なお、蒸気機関車を運転していたレイルロオドは立ち絵が存在していたが、出番も少なく特に大きく絡むわけでもなかったので割愛する。

仲国では若年層の鉄道離れが進んでおり、若者に鉄道に対する興味を持ってもらう事がまず必要だった。さらに仲国では春節国慶節で1年に2回、7日間の長期休暇があるため、旅行の日程を7日間と位置付ける。主人公は中国を6つの行政区分で分け、それを南北でさらに2つに分割した。そして北半分のうち7日間で7つの主要都市を巡る「北斗七星」、南半分のうち6日間で6つの主要都市を巡る「南斗六星」を走らせることを考える。さらに仲国全土に水滸伝百八星になぞらえた108の駅を6つの区内に分けて選出し、区内ごと・全国を周るスタンプラリーを行うことを考え付く。主人公はこの一連の計画を「DISCOVER CHINA」と命名し、仲国の歴史を学び、感じてほしいという想いをこめた。さらに主人公は、夢物語として将来的には日仲が協力して、仲国全土を走る新幹線を開発し、移動時間の短縮を行いたいと語る。話が大きくなってしまったため、仲国側の姜からは、主人公に出世して国同士でのやりとりを行えるくらいになってほしいと頼まれてしまい、主人公はなんとか頑張ってみることを約束して終わり。

話の内容はともかくとして、アフターストーリー系は好きなので、どんなことでもおまけとしてついているのは素晴らしい。ただ、シーリングに関する後付け設定はいらなかったと思う。あと、西瓜と志寰のシーンがないのもエロゲ的にはマイナスで、西瓜の魅力があまり伝わってこないと感じた。

 

 

以上で本編は全て終了となる。

個人的には、ヒロインの個別ルートで色々と解決策を考えた主人公が、グランドルートの世界線ですべてを統合させた、一番いいエンディングにたどり着くという流れが好きなので、これはよかった。あと集合写真のCGがすごく好きだった。

回収されていない伏線、特にオリヴィに関するレイルロオドの真実系が闇のままになっているのは残念だが、全体を通して話の流れが見えるのはよいと思った。あと、キャラを出し過ぎて、出番が少ないサブキャラがいる一方で設定は作りこんであるので、もっと各キャラの深掘りをしてほしいと思ってしまうのもうれしい問題だと思う。

また無駄に曲が豪華で、各キャラのOP、EDまたafterのOPやEDが個別に異なっており、全部でボーカル曲が33曲ある。さらに奥井雅美KOTOKO橋本みゆきなど有名なアニソン歌手が歌っているものも多数あり、豪華である。個人的にはハチロクEDの曲が気に入っている。

 

前作「ものべの」がすごく好みだっただけにハードルが爆上がりしており、正直最初はここが足りない、という面ばかり見てしまっていたが、ハチロクafterが素晴らしかったこと、それを受けてのグランドルートがそこそこまとまっていたことで、十分良作といえる出来になっていると思う。関連コンテンツはもう少しあるので、次回以降はその紹介をしていけたらと思う。

 

 

※追記

実在しましたね、ナインスターズ...。

恥ずかしながら鉄道関係は全く知識がなく、自分の中で「ななつぼし」と言えば北海道の米の品種のことだったのですが、ふとそういえば、九州にそんな名前の列車が走っていたな、と思い調べてみたら、コンセプトからほぼ同じものでした。

だからといってパクっているのが悪いというわけではなく、むしろ作品世界においてこのような豪華寝台列車を走らせるとしたら、キャラはどう考えてどう動くのか、ということをストーリーに取り入れていたことがとてもよかったと思いました。