shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題6-2

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回は久しぶりにあのヒロインに会いたくなったので、同作品の全年齢版を、追加シナリオ目当てにプレイしてみました。

 

 

 

ということで、今回プレイした作品は、「パルフェ 〜ショコラ second brew〜 Standard Edition」です(古すぎてサイトが対応していなかったため表紙絵は無し)。本家が2005年に発売されたこのゲームですが、2006年に追加シナリオとキャラを加えてPS2版で全年齢版として移植され、それが2007年にPCに逆移植されたのが、本作品です。ちなみに2015年には、PS2版のVita移植版も発売されています。Vita版の表紙絵は時間がたち過ぎていてずいぶん顔が違うけれども...。

 

今回はロイヤルスイートコレクションに収録されていたSE版の、追加ヒロインルートについての感想を述べていきたいと思います。

既存ヒロインについての感想はこちらから。

無題6.1 - shanの落書き帳

 

 

 

何回やり直しても里伽子が右手を使っていることに気付けなかった主人公が悪いんだよなぁ...。姉さんの手はすぐ気づくくせにさぁ...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、今作の追加シナリオに関しては、本編のライターである丸戸文明は関わっていないことが明らかになっており、若干の設定の齟齬が見られるが、全体として大きな破綻は無く、また物語の雰囲気を大幅に損なうことなく、きれいにまとまっていると思った。

 

 

 

追加ヒロイン1人目

 

f:id:shanxdl:20201020195334p:plain 川端 瑞奈 かわばた みずな

 

キュリオブリックモール店で働く玲愛の同僚。本編にもサブキャラとして登場しているが、SE版では攻略可能ヒロインに昇格し、メインキャラに見えるようなキャラデザの見直しが行われた。

もう1人の追加ヒロインにも言えることだが、後からシナリオを追加したので、個別ルートや共通でのフラグ立て中に他のヒロインと絡まないのではないかと思ったが、そんなことはなく既存のシナリオの中にセリフが追加されていてその気配りはよかった。ただ、こいつは主人公のライバル店で勤務しており、また玲愛と違って裏方なので、あまり絡みはなかったが。

瑞奈は玲愛と同じく、本店からブリックモール店を助けるために派遣されてきたスタッフだが、優秀な玲愛と比べて平凡な自分にコンプレックスを抱いていた。そんな瑞奈だったが、オープンスペースで客とトラブルになっていたのを主人公が助けてくれたことで主人公に好感を持ち、主人公と帰り道を共にするようになる。そんな中むかえたクリスマスの売り上げ勝負でキュリオが勝ち、瑞奈は褒美としてキスが欲しいと伝え、2人は付き合うことになる。

主人公は一緒にいて落ち着くからという理由で瑞奈を好きになるが、正直付き合う理由づけが弱いと感じた。瑞奈からの主人公の呼び方は「仁(ひとし)さん」。また違う呼び方を考えてきたのは好感が持てる。

そして、玲愛ルートでもあったが、玲愛が本店に戻ることになり、瑞奈がブリックモール店のフロアチーフ代理を任されることになる。自分への自身の無さから不安になる瑞奈だが、そこで正式なチーフになるための試験として、バレンタインの企画を任されることになる。瑞奈はその重圧から体調を崩してしまい、見かねた主人公がライバル店である瑞奈の企画を手伝うことになる。

このとき主人公が瑞奈に黄金チャーハンをご馳走してあげるのだが、公式カップル厨すぎて思わずそれは里伽子のだ、と叫びそうになった。

そんなこんなで2人が考えたのは販促チラシにPOPの制作という当たり障りのないものだった。迎えたバレンタイン当日、主人公はファミーユが行っていたバレンタイン戦略である、TVCM、チラシ、由飛によるピアノの生演奏、に驚愕する。主人公はこのことを知らされておらず、里伽子が指揮を執って行ったこの戦略によってキュリオ側は大敗を喫する。呆然とする主人公に里伽子は、馴れ合いと競争は違う、と伝えるのだった。

この場面、バレンタイン中の描写はなく、1日の始まりと終わりしか描かれないのだが、ファミーユにできる大行列、飛ぶように売れていくチョコを呆然と眺める主人公、キュリオでの仕事が手につかない瑞奈、などの描写を入れると、もっと雰囲気が出たのではないかと思った。

さらに里伽子は主人公に追い討ちをかけ、ファミーユをキュリオに売却するための企画書を持ってくる。店長が主人公からキュリオ側の人間に置き換わるだけで、ファミーユは設立当初の10倍の値段で売れ、借金も完済し、主人公も大学に戻れていいことづくめだと里伽子は言う。そこで主人公は目が覚め、自分がファミーユを愛する気持ちに気付き、店長の自覚が芽生え、店は売らないと即答する。

ここで主人公を発奮させるためだけに、無駄になるであろう企画書を丸一日かけて作ってくる里伽子の健気さがすごい。

しかし瑞奈はバレンタインでの敗北からさらに自信をなくしてしまい、主人公を避けるようになり、キュリオにも辞表を提出してしまう。追いかけてきた主人公に、瑞奈は才能があって、なおかつ努力を怠らない玲愛のような人間には絶対に勝てないという凡人のコンプレックスをぶちまける。主人公がしてきた瑞奈の弱さを肯定することは、瑞奈がしてほしかったことでは無く、ただ瑞奈を甘やかしているだけで、このままでは2人で堕落していくだけだった。自分よりも才能があって、主人公の役に立つ人間である玲愛や里伽子と付き合えばいい、と別れを切り出す瑞奈に主人公は努力する過程にも意味があることを伝える。そうして努力の末にできたのがファミーユなのだと。瑞奈はそれを聞いて持ち直し、リベンジとなるホワイトデーのイベントで見事売り上げでファミーユに勝利する。

ホワイトデーではファミーユ側は主人公主体、キュリオ側は瑞奈が主体となり、お互いの店員たちの協力を得ながら企画を進めるが、1点だけ致命的な齟齬がある。ホワイトデー当日、里伽子がファミーユを手伝って注文と客の入りの傾向をパソコンで分析してくれるのだが、左手の動かない里伽子が明らかに片手でタイピングすると怪しまれるであろう仕事をファミーユの店内で行うわけがないのだ。そこだけが残念だった。

エピローグでは再建したファミーユ本店(焼けた方)で主人公と瑞奈の2人が、瑞奈の夢であった、瑞奈の店に瑞奈の両親を呼ぶところで終わり。

 

正直、元サブキャラであったとは思えないほどシナリオの内容は濃く、満足するものだった。サブキャラの時からの設定の後付けもそれほど違和感はなく、楽しめるルートだったと思う。

CVは深井晴花さん。全年齢版なので、あまり良し悪しが出るところはないが、この人は改名して今は七ヶ瀬輪さんと名乗っているとのことで、処女ラジのゲストいつも楽しみに聞かさせていただいております、という感じ。

 

 

追加ヒロイン2人目

 

f:id:shanxdl:20201020203502p:plain 沢崎 美緒 さわざき みお

 

卸会社「沢崎珈琲」の営業であり、ファミーユとは本店時代から付き合いがあり、珈琲豆を卸すかたわら、忙しい時には無料で皿洗いなどの雑務を手伝ってくれていた。という過去を捏造された、PS2版で追加された全くの新キャラ。その背景から、由飛、玲愛以外のメンバーとは面識がある。バリスタの日本選手権で新人王に選ばれており、珈琲に対してプライドがある。また専門学校時代に周りが男ばかりで舐められないようにする必要があったことから、男のような口調でしゃべるが、本当は繊細な心を持っている。

この立ち絵では違うが、主人公の1つ上の21歳なのに、私服時の髪型がツーサイドアップでかわいい。やはりツーサイドアップこそ至高。

そういえば喫茶店なんだから専門のバリスタがいてもおかしくないというか、その着眼点はさすが、といえるキャラ設定だと思った。

作中キャラで一番の貧乳で、ファミーユのメイド服が胸がなさ過ぎて着れないため、専門学校時代に自分の店を持った時のために自分でデザインした、バリスタの制服を着ている。

こういう自分の店のために作った服を、ファミーユのために着てくれるとか、ちょっとした設定だがとてもよかった。

実家は前述の「沢崎珈琲」(親族の経営する会社)の経営する喫茶店SAWA」だが、父親が不倫して失踪し、母親が過労で入院し、大学を中退して店を継いだ姉が採算重視の外注に切り替えて、店で珈琲を淹れなくなったこと、姉が自分をバリスタ選手権の新人王の肩書きを使って広告塔にしようとしたことなどから姉と仲が悪く、自分で珈琲を淹れる仕事につけないことに不満を抱いていた。そこで、共通ルートで恵麻の復帰に合わせて、自身も沢崎珈琲を(勝手に)辞め、バリスタとしてファミーユに就職する。

この時点ですごく設定が重くないか...?

彼女はファミーユで働くので結構登場シーンがあり、既存の場面にセリフが足されていたりするが、全てをカバーすることはできず、どうしてもつなぎに違和感を感じることがある。また新規収録のセリフは録音環境の違いからか、同一キャラでも明らかに音の反響の仕方が異なり、かなりの違和感がある。あとここでいうことではないが、里伽子の新規セリフは明らかに鼻が詰まっている。

主人公の呼び方は「仁(じん)」。これは恵麻が呼んでいるのを聞いて間違って覚えたが、もうこっちの方が呼びやすくなったから。また新しい呼び方を考えてきてえらい。

美緒ルートでは、大学を辞めて両親の店を継いだ姉と、大学を休学して兄と姉の店を継いだ主人公にシンパシーを感じ、主人公のそばで働いているうちに主人公に惹かれ、12月に入ったところで2人は付き合うことになる。しかし、美緒が勝手に沢崎珈琲を辞めていたことで親戚に迷惑がかかり、美緒を連れ戻すよう命令を受けた美緒の姉、都(みやこ)がファミーユに乗り込んでくる。都は美緒を引き抜いた、という業務上の不信を理由にファミーユとの契約を解除し、珈琲豆の取引を停止させるという脅しをかけてくる。主人公側はどうすることもできず、結局クリスマスが終われば美緒を解雇し、沢崎珈琲に返すことになる。美緒はクリスマスまで失踪し、沢崎珈琲の息がかかっていない新しい珈琲豆の仕入れ先を里伽子と一緒に開拓してくる。

この、都襲来のイベントが12月18日に起こり、その後24日のクリスマスまでは通常イベントのため、温度差が出てしまうのが少しマイナスポイント。

クリスマス後、美緒は元の営業に戻り、またバリスタの選手権に再び出場して優勝を目指すが、予選落ちしてしまう。応援に来てくれた明日香と里伽子の前では気丈にふるまっていた美緒だったが、主人公が来たことで感情が決壊してしまう。美緒は主人公に頼られることに価値を見出していたが、本当は自身の無さ、不安でいっぱいであり、いつもはそれを押し殺していたが、とうとうつぶれてしまったのだ。そこで主人公は呼び方を「美緒さん」から「美緒」に変え、美緒を頼る側から頼られる側になろうと決意する。

しかし、凶報はこれだけでは終わらず、美緒に味覚障害があることが発覚する。これは実は伏線があり、かすりが冗談で作ったわさび入りのロシアンケーキに反応しない、主人公に料理を作ってあげた際、主人公が味が濃く感じる、バリスタの選手権用にブレンドした珈琲の試作をファミーユメンバーに試してもらった際、全員が美味しくないと感じる、などすぐわかる伏線がいっぱいでこれは驚かなかった。神の舌を持つと呼ばれている将来有望なバリスタにわさびケーキを食べさせるかすりさんェ...。

主人公は、美緒の悲しむ姿をみたくないという苦悩から本人になかなか伝えることができず、里伽子に相談する。里伽子は主人公は優しすぎるから、1度主人公に頼ってしまうと、どんどん依存してしまうことに気をつけなければならない、ということを主人公に話すが、途中から美緒に見られてしまう。美緒は主人公が昔から里伽子の事を好きなことを知っており、浮気を疑い、その疑惑を晴らすため、主人公は味覚障害の事を美緒にばらしてしまい、最悪なタイミングでこのことを知らされた美緒は失踪してしまう。

必死に探し回る主人公の元に、美緒から電話が入り、どうして自分ではなく里伽子に1番に相談したのかと、詰め寄られる。美緒は頼られたり、頼ったりするのではなく、本当は自分のことを見てくれる人を探していたのだ。主人公に不信を抱く美緒に、主人公はファミーユの一員として、美緒の居場所を作ることを約束する。そのために病気を治す手伝いをする、と。

エピローグでは都の一人称で話が進み、とうとう「SAWA」を畳むことが語られる。都は天才である美緒のために、バリスタとして1人前になった時の美緒の居場所として「SAWA」を守るため、大学を辞めて死に物狂いで店を経営していたが、いつしか店を守ることが1番の目的になり、美緒のことを見ていなかったこと、美緒は高校時代から受験にバイト、部活と頑張っている姉を癒すために珈琲職人を目指すようになったこと、などが語られる。実は都もストレスから味覚障害になっており、そんな姉のために美緒は「SAWA」で最初で最後の珈琲を姉のために淹れ、2人は和解する。

このとき、素の女言葉に戻る美緒がとてもかわいかった。

 

美緒ルートは意図的に里伽子ルートに似せているのではないかと私は考えている。ヒロインに重い病気が発覚するところや、病気に対する伏線があるところ、主人公に対して不信を抱くところ、その解決方法、などである。

しかし、その解決方法は「家族」になる、という同じものだったとしても、美緒と里伽子には決定的な違いがある。里伽子とは結婚して本当の「家族」になると主人公は言っているが、美緒には「ファミーユ」の「家族」になるとしか言っていない。やはり本妻の座は奪われないんだよなぁ...。

美緒ルートでは、もし里伽子以外の(主人公が好きな)ヒロインに、何らかの障害が発生したら?という状況が語られる。思い返せば同じような行動に出るのは後は玲愛ルートくらいだが、答えは里伽子に相談する、である。これは主人公は浮気を疑われても仕方ないし、里伽子の気持ちを考えると非常にクるものがある。

里伽子よりも自分を見てほしいと泣いた美緒は、ある意味普通の反応と言えるし、このルートを書いたライターの、丸戸に対する挑戦ともとれなくもない、かも?

 

美緒のCVは斎藤桃子さん。最近見ないが、「咲-Saki-」のステルス桃や「WORKING!!」のなずな役が有名か。少し幼い感じの声だが、ギャップがあってよかったし、味覚障害を知らされたときの慟哭の演技が迫真でよかった。

 

完全新規キャラということで、どんなシナリオになるか不安だったが、ふたを開けてみれば世界観を壊すことなく、まとめられていてさすがだと思った。若干重たいけど...。

 

 

 

これにてパルフェは本当に終了。

里伽子ルートも改めてプレイしたが、ちゃんと里伽子が手を使うシーンでは全て意図的に「右手」と限定されており、こだわりが感じられた。里伽子ルートではHシーンの代わりに、2人で初詣に行くイベントが追加されており、何気ない一幕なのだが里伽子が主人公が好きなことが伝わってきてよかった。やっぱり里伽子がNo.1!!!!