shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題42

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

エロゲをやるモチベが復活したので、短期間で2本目のエロゲをプレイしてしまいました。えらい(自画自賛)。

とはいえ、今回プレイしたのは全年齢のノベルゲーですが、内容について紹介していきたいと思います。

 

 

 

ATRI-My Dear Moments-

 

今回プレイしたのは、ANIPLEX.EXEというアニプレックス傘下のノベルゲームブランドから、2020年6月19日に発売された「ATRI -My Dear Moments-」です。本作は「グリザイアシリーズ」で有名なフロントウイングと「サクラノ詩」で有名な枕が共同開発した作品で、シナリオを「この大空に、翼をひろげて」で有名な紺野アスタ先生が手掛けていることも話題となっていました。

また、本作は2024年にアニメ化することが発表されており、それまでにプレイしておきたいと思っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

ロープライス作品で、攻略可能ヒロインは1人。一応BADエンドの選択肢はあるものの、シナリオはほぼ一本道。

全年齢作品なので、Hシーンは無し。

 

 

・あらすじ

 

近未来の世界、原因不明の海面上昇でヒトの生息域は狭まりつつあり、また一時期は目覚ましい発展を遂げていた科学技術も失われつつあった。主人公、斑鳩夏生(いかるがなつき)は都心部にあるアカデミー(大学のような施設、主人公は高2)に通っていたが、学費を払えず休学し、幼いころを過ごした海辺の田舎町へ、そこに住んでいた祖母を頼って逃げてくる。主人公は幼少期にトンネルの崩落事故に巻き込まれて母親と右足を失っており、今も暗闇と静寂がトラウマで、幻肢痛に悩まされていた。また父親とは疎遠で離れて暮らしており、父親からの学費の振り込み額が減少したことが、学費を払えなくなった原因だった。しかし、海洋地質学者だった祖母はしばらくして亡くなり、主人公には祖母が研究に使っていたサルベージ用の船と潜水艇、そして借金が残された。主人公は、どこからか現れたキャサリンと名乗った借金取りの女と共に、海面上昇により沈んでしまった祖母の家の倉庫に眠る遺産を探すため、サルベージを行う。そして、海中に沈んだ倉庫の中で眠っていたヒューマノイドの少女、アトリを見つけるのだった。

 

一旦ここで、ストーリーの紹介を切る。

シナリオが1本道でエンドもほぼ1つである都合上、キャラ紹介をどのタイミングでするのか悩んだため、今回は先に紹介してしまおうと思う。なお、私の独断と偏見により、紹介するキャラは絞ってある。

 

・キャラ

 

 アトリ

 

本作のメインヒロイン。主人公が発見したときから30年ほど前に作られたヒューマノイド。作中時間ではロストテクノロジーになっており、新しくハード面を製造することはできないが、ソフト面でのメンテナンスはできるようである。人間と見分けがつかないほど精巧で感情面も豊かである。長い間海底で眠っていたせいで、記憶を一部失っているが、主人公を今のマスターだと認識し、忘れてしまった前のマスターの最期の命令を果たすために主人公と行動を共にすることになる。元々は家事ロボットだったようだが、家事は壊滅的に下手。また、ロボット三原則に基づき、ヒューマノイドは人間を攻撃することはできないはずだが、アトリはできる。

 

表情差分がいっぱいあって、非常にかわいい。またCVは赤尾ひかるさんで、「こみっくがーるず」のかおす先生のイメージが非常に強いのだが、喜怒哀楽が豊かで、しかしロボットであるアトリの表現がとても上手で、可愛らしさが存分に発揮されていたと思う。

2つ結びの髪型、すき。膝上までのワンピース、すき。両手をバンザイして喜ぶ立ち絵、すき。足を振り上げて歩くCG、すき。照れた顔の立ち絵、一番好き。

 

 

 神白 水菜萌 かみしろ みなも

 

幼少期、主人公が祖母の家に預けられていたころに知り合っていた幼なじみ。主人公より1つ下の高1。町長の娘。主人公のことが好きだが、残念ながら約束された負けヒロイン。町に帰ってきたが、毎日サルベージで海に出ていく主人公を心配して、学校に行こうと誘いにくる。また、お金が無くて食べものが買えない主人公を心配して、時々お弁当を持ってきてくれる。アトリが主人公への恋心を自覚してからは、相談に乗ってあげたりする当たり、一番貧乏くじをひくタイプの幼なじみ。

CVは高橋未奈美さん。「まちカドまぞく」のご先祖様のイメージが強すぎるが、ほんわかしたキャラのイメージをうまく表現していたと思う。

 

 

ここからストーリーへ戻る。

 

主人公は、キャサリンに急かされたのもあって、アトリを売って借金を返そうとするが、買い手が見つかるまでの間、主人公と一緒に暮らすことになる。またアトリは初期不良でリコールされたモデルだが、借金を返すのには十分な値段が付き、またマスターの命令を果たすため、売るのは45日間だけ待ってほしいと主人公にお願いする。くしくも45日後には、人類の他の惑星への移住計画の第一歩となる、ロケットの打ち上げ計画があった。

主人公は、元々失った右足に高性能な義足を装着していたが、学費の足しにするためそれを売り、旧世代の義足を装着していた。そこでアトリは、主人公の足の代わりになって役に立ってみせると主張する。主人公は、昔は沈んでいく地球を救うという漠然とした使命感に燃えていたが、アカデミーで教師と対立し、義足を売ってしまったため片足での生活が不自由で学生間でも孤立し、幼少期の事故のトラウマによる幻肢痛が再発して、結果として祖母の田舎町へ逃げてきたことをアトリに語る。主人公は今に絶望しており、無気力になってしまっていたが、いつものように夢でうなされていると、アトリが手を握ってくれたことにより1人ではないことを実感でき、少しだけ前を向けるようになったのだった。

アトリは最期の命令を思い出すため、「学校」へ行きたいと言いだす。主人公が水菜萌の誘いに乗って学校に行ってみると、そこは半分水没しており、教師は皆辞めてしまって誰もおらず、小学生3人と高校生が水菜萌、そして水菜萌の従兄である高3の野島竜司(CV細谷佳正)しか残っておらず、水菜萌が小学生に教えているような有様で、廃校の話が出ているほどだった。主人公は、身寄りがなく学校に住み着いている小学生、名波 凜々花(CV春野杏)が勉強に興味を持ち、また理解力と知的好奇心が高かったことから、凜々花に勉強を教えてやることで、また未来への希望を1つ持つことができるようになった。そこで主人公は、凜々花のために学校に潮汐発電機を作ってやることを考える。同じくどうにもできない現実に腐っていた、実家が工場だった竜司を巻き込んで、主人公たちは学校に発電機を作ることに成功し、電気の通っていない町に唯一点いた灯りは、生徒たちだけでなく、町の住人たちの希望となる。主人公は、大人の力を借りずに子どもだけで何かを成し遂げられたことに、自信を持つことができた。

この学校編は、主人公の失われた青春を取り戻している感があって、終末世界の中で行われているということもあって独特の雰囲気があり、とてもよかった。

ここでキャサリンの正体が明らかになる。キャサリンはこの町出身の、本名小佐田花子(CV日笠陽子)であり、元小学校教諭であった。昔町を出て都会に行った際、詐欺にあって全財産を失い、代わりに主人公の祖母の債権者の権利をもらった、というのが真相だった。主人公はキャサリンに働きかけ、この学校の教師として雇う事で、廃校問題を解決する。また、主人公が地球を救わなければならないという強迫観念に取り憑かれていたのは、事故に遭った際、父親が見舞いに来てくれなかったことを祖母が誤魔化して言ったせいであり、父親はロケット開発に携わって、地球を救うために働いているのだから、地球が救われなければ自分も救われないのだ、と考えるようになってしまったのだった。

それからは、学校に通ったり、竜司とアトリと凜々花とサルベージ屋を初めて日銭を稼いだりしていたが、昔主人公が母親に教えてもらった曲をアトリが知っていたことをきっかけに、主人公が幼いころにこの町で会った初恋の人が、アトリであることがわかる。アトリも主人公と昔あっていたことを思いだし、主人公はもう一度アトリに恋をする。主人公は意を決してアトリに告白するが、アトリに恋という概念が存在しないため、伝わらなかった。しかし、アトリは主人公の役に立ちたいと、水菜萌が設立し、発電機ができてから少し生徒が戻ってきた、料理部に入部して料理を習っており、部員たちにこのことを相談して主人公の気持ちに応えるため、デートをすることになる。そしてアトリは「期限が過ぎた後も自分をそばにおいてほしい」と主人公に返事し、主人公からアトリにキスをしてアトリもそれを受け入れてくれる。主人公はずっとアトリのそばにいること、アトリを幸せにすること、をアトリに伝える。アトリから、主人公と昔した約束である、地球を救うことはもうしないのか、と聞かれた主人公は、自分はアトリによって過去のトラウマを解決したため、もうそんなことはしない、と答える。

アトリは、毎日の行動をログとして記録するようプログラムされており、主人公はついそのログを盗み見てしまう。すると、そこに書かれていたことから、アトリには心がなく、主人公に役立たずのポンコツとして廃棄されないよう、これまで人間を観察したり、本や漫画を読んで学習してきた結果から演じてきた人格であったことが判明する。さらに、45日と期限を設定したのは、それでアトリの脳の寿命が尽きて機能停止してしまうからだとわかる。アトリを問いただす主人公に、アトリは地球を救う事を辞めた今の主人公は、未来をあきらめているため嫌いである、と答える。主人公は、これから自分と2人でいるときは人間のフリをするのを辞めろ、とアトリに命令する。以降アトリは、第三者がいるときはこれまで通り感情豊かに振舞うが、主人公と2人のときは感情の無いロボットとして振舞うようになる。

ここでさらに主人公の過去が明かされる。主人公は事故に遭って人生に絶望し、自殺しようとやってきた町外れの崖でアトリと出会っていた。アトリも自分自身の生きる意味をなくしており、自殺しようとしていたが、ロボット故にそれはできず、主人公に自分を押してくれるように頼んだ。主人公は、当時アトリを人間だと思っており、未練はないのかとアトリに尋ね、アトリは喜びを知りたい、と答える。同じことをアトリに聞かれた主人公は、父に捨てられたことを正当化するため、自分がアカデミーに行って地球を救う事を決意する。

主人公たちはサルベージの作業中、幽霊島と町の人たちに呼ばれている、漂流する巨大な島と遭遇するが、その正体は主人公の祖母が作った、自給自足できるメガフロート、通称「エデン」であったことが明らかになる。主人公はその島へアトリを連れていくことで、祖母からの最期の命令を果たせるのではないかと考える。主人公、アトリ、竜司の3人は、アトリと島の管理AIで通信ができることを利用して、海流に乗って漂流していた島を見つけるが、島が発生させた高波のせいで主人公が船から投げ出されてしまい、それを助けに飛び込んだアトリと主人公だけが島へ上陸する。島で2人きりになったアトリに、主人公はなぜもうすぐ機能停止するのにまだ学習を続けるのか、と尋ねる。それに対してアトリは、残された時間があるなら最期まであがくため、と答える。これは地球を救う事についても同じであり、主人公がもうすぐ機能停止するとわかっていたアトリに告白したことについても同じで、決して無駄ではないのだと言ったアトリだったが、主人公はまだ未来に希望を持てず、これを受け入れられない。アトリは主人公に、もう一度アカデミーに戻って、未来のために地球を救ってほしい、と伝える。

2人は管理AIとの通信を介して、島の中央制御室へたどり着き、そこで祖母の思惑が明らかになる。それは、アトリの脳と島の管理AIをつなぐことで、アトリに島の管理をさせることだった。しかし、それをするとアトリの今の人格は消失してしまう。主人公はその計画を否定し、またアトリは記憶を取り戻し、前のマスターが主人公の祖母ではなかった、ということが明らかになる。2人は助けに来た竜司と共に島を脱出するが、そのときアトリはログを落としてしまい、それ以来アトリの料理スキルは壊滅的に戻り、また主人公と出会ってからの記憶にも一部欠けが見られるようになる。

またしばらく経ち、アトリの寿命が近づいていく中、アトリが昔傷害事件を起こしたヒューマノイドと同一個体であることが判明する。アトリは再び主人公のために料理を覚えたがっていたが、生徒たちの安全を守るため、という名目でキャサリンに学校に来ることを禁じられてしまう。しかし、昔キャサリンを騙した男が町にやってきて、学校に立てこもって生徒を人質にとり、アトリの身柄を要求してくる。アトリは学校を脱出してきた凜々花からそのことを聞き、生徒の安全を優先するため、キャサリンの命令を破棄して学校へと向かう。主人公はアトリと別行動をとって家にいたが、同じく凜々花からそのことを聞き、アトリを追って学校へと向かう。そのとき、主人公は部屋の隅に、自分がアトリにプレゼントしたサンダルが片方落ちていることに気付く。

ここでサンダルを拾うかどうかでエンドが分岐する。

サンダルを拾わないと、主人公はそのまま学校へ向かう。男はアトリを開発した博士の弟子だったが、アトリが傷害事件を起こし、その後脱走したことで博士の名誉は地に落ち、博士は自殺してしまった。男はそれを逆恨みし、アトリを破壊することで復讐を果たしにきたのだと告げる。アトリと男は学校の屋上で対峙するが、人質になっていた水菜萌が、アトリを壊そうとする男の邪魔をしたため、男に殴られてしまう。それを見たアトリはリミッターが外れ、男を撲殺する。主人公が駆けつけた時には全てが終わっており、アトリは自分の事をバケモノだと言って、屋上から海に身を投げる。アトリのボディは壊れなかったが、メモリーが完全に壊れてしまい、主人公は、出会ってからのすべてを忘れてしまったアトリと2人きりで、アトリの寿命が尽きるまで未来に絶望した日々を送るのだった。ということでBADエンドになる。

サンダルを拾うと、水菜萌が殴られるシーンに主人公が間に合う。主人公が代わりに殴られ、キレたアトリが男を半殺しにするが、主人公の静止もあって殺さずに済む。主人公は、アトリの過去のログを読み返していて、マスターが死んだ日のページが涙で濡れていたことに気付いた。また、アトリは「喜び」を知りたいとよく口にしていたが、それは裏を返せば、「悲しみ」は知っていることの表れではないのか、つまりアトリにはやはり感情があるのではないのか、と主人公は男に言う。人間のフリをするな、と男が事前に命令していたにも関わらず、アトリが主人公の言葉を聞いて涙を流したことで、アトリに感情があったことは皆の共通認識となる。また、ここでアトリが起こした過去の傷害事件の真相も明らかになる。アトリの前マスターは主人公の母親であった。アトリは、ネグレクト気味だった主人公の母が、小学生の時に買い与えられたヒューマノイドで、母親は最初アトリを友達として扱ったが、母親の感情を理解できないアトリを段々と疎ましく思うようになっていった。さらに母親が学校でいじめられるようになり、それがエスカレートして屋上からの飛び降りを強制させられる事件が起こった。ロボットは学校に入れなかったため、アトリはいつも通学路と校門の外から母親を見守っていたが、母親の危機に命令を無視して校内に侵入し、いじめの主犯格を半殺しにしてしまう。しかし、助けたかったはずの母親にバケモノと呼ばれてしまい、また母親が停止信号を発したことで回収される。廃棄処分となったアトリだったが、待機施設から脱走し、再びマスターである母親を探す長い旅を続ける。ようやく見つけた母親は結婚し、主人公が産まれていた。それからは、アトリは隠れてそばで母親と主人公を見守ることにする。そんなとき事故が起こり、アトリは母親を助けるために崩落したトンネルの中に入っていった。アトリは母親を見つけるが、母親はすでに瀕死で視覚と聴覚を失っており、アトリと主人公を間違えて、アトリを胸に抱く。主人公がアトリに抱かれると安心して眠れる、と言っていたのは、アトリがこのとき母親の抱きかたを学習したからだった。また、母親はアトリがずっとそばに隠れていたことにも気づいており、自分が死んだあと、主人公をマスターとして見守っていくように命令する。これが最期の命令だった。最後に、もう一度「あの場所」で待っているように言い残して、母親は死んでしまう。アトリは「あの場所」で待っていても母親はもうこないことはわかっていたが、それでもそこで母親を待ち続け、それが主人公と出会う事につながるのだった。

主人公はサルベージ用の潜水艇を使って、アトリと2人で沈んでしまった「あの場所」へ向かい、そこで母親がアトリのことを友達だと話していたこと、母親は後悔しており、アトリのしたことを受け入れるのに時間がかかったこと、などをアトリに伝える。主人公を通じて、母親と和解できたアトリは、主人公に自分から告白し、2人は本当に想いを通じ合わせることができた。しかし、アトリに急にシャットダウンが起こって、その数時間の記憶は失われてしまう。

校内立てこもり事件の後、アトリの寿命が近いことは皆の知るところとなり、水菜萌が最後にお別れ会を開こうと提案するが、アトリはそんな悲しい会には行きたくないとしてそれを拒否する。そこで、アトリのリリース日が同じ月だということで、アトリの誕生パーティを開くことにする。パーティには学校の生徒の他、町の皆も集まってくれ、また屋上で花火をしてアトリは新たな喜びを知る。アトリの記憶は失われつつあるが、それでもアトリは何度でも喜びに気付くことができるようになった。

パーティの後、アトリは水菜萌に、自分がいなくなった後、主人公を支えてあげて欲しい、とお願いする。そして、寿命の予定日までまだ2日あるが、全てを忘れて機能停止するよりは、記憶を持ったまま先に壊れたい、と主人公に頼む。最後の夜を2人で過ごした後、アトリは町の皆の喜びが見たいから、エデンと一体化することを主人公に伝える。主人公、アトリ、竜司は再びエデンへと向かい、2人は島の底面にあった管理用ハッチを伝って、潜水艇で島の中へと入る。また、エデンには潮汐発電を用いた発電施設があり、その電力を海底ケーブルを通じて町へと送電する計画が途中まで進められていた。主人公たちはこれまでサルベージ屋の仕事として海底ケーブルの整備を進めており、アトリは管理AIに接続し、町へと送電ケーブルの経路をつなげる。そして夜、2人は島から、灯りの点いた町の姿を見る。主人公が学校に発電機を作った時は、それが嬉しくて泣いていた水菜萌達のことが理解できなかったアトリだったが、今度は町に灯りがともったのが嬉しくて涙を流す。そして主人公は、地球を救う事を再びアトリに約束する。アトリは主人公の幼少期、その約束をしたときと同じ「地球に私は含まれますか?」という問いかけを発し、今度は主人公ははっきりと「僕にとってお前が地球の中心だ」と返す。アトリは寿命を残り1日だけ残したまま、エデンの中で眠りにつき、そしてロケット打ち上げ計画の当日となった。アトリのログを読み返していた主人公は、主人公の1回目の告白の日のログが涙でにじんでいることを発見する。それはアトリの無自覚な喜びの涙で、アトリがこのころから喜んでくれていたことに主人公は改めて気付く。そして、人類の希望であるロケットの打ち上げは成功し、生徒たちとともに学校の屋上からそれを見ていた主人公は、アカデミーに戻ることをみんなに打ち明ける。水菜萌は、アトリの代わりに主人公をずっとそばで支えていくと、主人公に告白する。

ここで話が一旦終わり、タイトル画面に戻ると、TRUE ENDの項目が現れる。

60年後、主人公は水菜萌と結婚しており、フロート移住構想とロボットAI技術の発展を形にしてきたが、大病を患って死にかけており、残された寿命は後1日と言われていた。時を同じくして、エデンもメガフロートの初期モデルとしての役割を終え、老朽化のため海に沈められることが決まっていた。主人公は、その1日をアトリのために使いたいと決めており、ずっとそばにいてくれた水菜萌に謝って、意識を電脳世界に飛ばし、アトリを探しに行く。アトリの意識はエデンの中に溶けてしまっていたが、アトリはいまだ世界で唯一の、心を持ったヒューマノイドであり、その心は決して失われることはないと、主人公は確信をもっていた。主人公は、自分の心象風景を反映した電脳世界の中で、サルベージによって祖母の家の倉庫からアトリを見つけ出す。そして2人は、電脳世界の中で引き伸ばされた時間の中で、最後の1日を過ごすのだった、というところで終わり。

 

この話は、大別すると期限のあるヒロインと最後の一夏を過ごす、というものであり、テーマとしては私の好きなものに入る。しかし、前半の学校パートはよかったものの、主人公とアトリが本当の意味で付き合ってからの描写が足りなかったため、アトリと別れるときにカタルシスの不足を感じた。

また、TRUEエンドは明らかに蛇足であり、最後の1日を残して眠りについたことからそれを使うことは予測できたが、アトリの代わりに何十年も主人公を支えてきた水菜萌を差しおいて、自分が死ぬ瞬間を別の女と過ごすというのはあまりにも水菜萌をないがしろにしているのではないかと思った。

さらに、ロボットものとしてみると、主人公がアトリを好きになったときの葛藤や、周りからの反発といったものが一切ないのも残念だった。

表面をなぞるだけならあまり感じないが、詳しく考えだすとSF的な設定もガバガバなので、未来設定を名乗るのならもう少し頑張ってほしかった。

BADエンドの分岐がサンダルなのはよいが、サンダルを拾ったことと、主人公の移動速度が速くなったことに何の因果関係もなかったので、せめてそこは何か理由をつけてほしかった。

冒頭とラストに同じセリフを持ってきたりと随所に光るシーンも存在し、何よりアトリがキャラとして可愛かったので、その点は満足している。

 

 

・終わりに

 

主人公が母親に教えてもらって、アトリが歌った歌=EDとなっていて、赤尾ひかるさんの声と相まってよい曲だと思った。

描写不足だと感じる点は多々あるものの、全体を通して雰囲気がキレイであり、夏や海といった要素も好きなので、よかった。ただ、アトリと主人公のイチャイチャについては、主人公のトラウマの払拭という要素も関わってくるので純粋なイチャイチャシーンは少なく、18禁であればもう少し濃くできたのではないか、と思うところもあった。

アトリが動くことでまた印象が変わることもあると思うので、アニメ化には期待したいところ。