shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題22

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回紹介するゲームはこちら。

 

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こなたよりかなたまで

 

2003年12月12日にF&C FC01から発売された、「こなたよりかなたまで」です。「こなかな」の愛称で親しまれるこの作品は、keyをはじめとする泣きゲーブームの1つとして生み出された作品です。

遥かに仰ぎ、麗しの」などで知られる健速(たけはや)先生のデビュー作でもあり、私はOPである、KOTOKOが歌う「Imaginary affair」が名曲であったことから、かねてよりプレイしたいと思っており、fanza様の割引セールによってそれが実現しました。

健速先生と言えば、ライトノベル六畳間の侵略者!?」シリーズを手掛けていることでも有名であり、私はアニメ未視聴ですが前々から興味があり、またwikiを見に行ったところ38巻(2020年11月現在)も出ている長寿シリーズになっているみたいなので、読んでみたいところです。

また、発売元のF&Cはエロゲ黎明期から存在する老舗メーカーで、「Pia♥キャロットへようこそ!!」シリーズが有名です。

 

なお余談ですが、このキービジュアルに出てくるような、登場人物が全員仲良くなるような展開は存在しません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは4人。最初はクリス√しか選べないが、2周目からはほかのヒロインの√も選ぶことができる。

シナリオの尺は短く、1周3時間くらいで、個別ルートもそれぞれ1時間くらいで終わる。

回想シーンはクリス(True)、佳苗、いずみ、二十重でそれぞれ1回ずつ。

 

・あらすじ

すでに両親を亡くし、天涯孤独の身である高校3年生の主人公、遥彼方(はるかかなた)は、その年の7月に末期がんを患っていると宣告されていた。余命は桜が見れないくらいまでで、今は12月、主人公は自らの終わりに向けて、幼馴染である島田耕介(しまだこうすけ)の助けを借り、ただ漫然と日々を過ごしていた。

そんなある日、主人公が抗がん剤の副作用で苦しんでいた時、主人公の家に金髪の女性が不法侵入してくる。彼女、クリステル=V=マリーは吸血鬼であり、主人公の抗がん剤の混入した血液を吸って体調を崩してしまう。人を探してやってきた、というクリスに対し、主人公は体調が治るまでここで暮らすように伝える。少女の運んできた非日常と共に、終わりを待つだけだった主人公の生活に変化が訪れる、というもの。

 

 

これより先はキャラ紹介欄で話すことにする。

 

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20210224153824p:plain 九重 二十重 ここのえ はたえ

 

なぜか高3の12月という時期に主人公のクラスに転校してきた謎の少女。無口で人を寄せ付けず、冷たい雰囲気を放っている。その正体はクリスを追ってきた退魔士で、クリスに引き寄せられて集まってくる怪異を狩ることを目的とし、組織としてクリスについて回っている。

うっかり夜中に外出した主人公が怪異に襲われそうになったところを助け、主人公が礼を言ったことから主人公に興味を持つ。それからも怪異を殺戮する自分に対し、主人公が変わらず優しく接したことから主人公に惹かれていく。しかし、主人公に自分が「殺し」をする姿を見せたくないと思ってしまったことから初めて怪異を狩ることに失敗し、弱くなった自分では主人公を守れないことから、この街を去ることを決意する。

二十重は退魔士として、怪異を狩って生きてきたが、生き物の命を狩っている自分は人から恐れられなければならないと思っており、一方で自分を恐れずに見てくれる人を探していた。

二十重が街から去るためには監視対象のクリスが街を離れることが必要であり、二十重はクリスと相談して2人で街を出ていくことにするが、主人公にそれを感づかれ、説得ののち、もう1日だけとどまることにする。この時、自分をだました贖罪として、主人公はSEXを(半分冗談で)要求し、二十重は主人公に対する好意からそれを受け入れて、実際に行為を行う。

次の日、学校主催のクリスマスダンスパーティが行われ、主人公は二十重とダンスをして、自分らしく生きることを二十重と約束する。二十重は主人公がいなくなった後も、主人公とダンスを踊ることを待ち続けると述べ、ここでシナリオは終わる。

後述するが、もうすぐ死んでしまう主人公に対して相手の人生を縛るというのは、主人公が物語開始時点で幼馴染の佐倉佳苗に対して一貫して、やらないように決意してきたことであり、それを簡単に覆してしまうのは、二十重と過ごした時間の少なさや、主人公の二十重に対する心情描写の少なさを見ても、違和感があった。

怪異に襲われるから夜出歩くなという二十重に対し、何かあれば君が守ってくれるんだろう、と言ってただ二十重に夜食を渡すためだけに外出し、実際襲われて2人ともけがをする、というシーンに対しても、主人公の死に対する恐怖感の薄さを差し引いてもあまり納得のいくシーンではなかった。

 

総じて、その存在理由のレベルから必要性に疑問を感じたキャラ。実際健速先生がプロトタイプで書いていたフリーゲーム版では存在していなかったキャラらしい。

CVは一色ヒカルさん。声に関しては文句なし。

 

f:id:shanxdl:20210224155832p:plain 朝倉 優 あさくら ゆう

 

7月の検査入院の時に、主人公と相部屋になった、県立がんセンターに入院している少女。現在12歳だが、もう数年もずっと入院治療を続けており、薬の影響か発育が遅く、その長い髪と相まって人形のような雰囲気を持つ。両親はすでに他界しており、唯一の肉親である祖父が毎日お見舞いに来ているが、もし自分が死んでしまっても誰も悲しまないように、他人との関わりを拒絶し、祖父のことも無視し続けている。その姿は主人公が幼馴染である佳苗にしようとしていることを成し遂げた姿であり、主人公はその姿に恐怖を覚え、これではいけないと考えるようになる。主人公は、自分が優より先に死ぬため、優が死ぬことを悲しむことはない、だから自分の前では頑張る必要はない、と言って優の心に取り入り、心を開かせて祖父との仲を取り持つ。

CVは香月さん。聞いたことのない名前と声であり、検索してみたがそもそも出演作が本作を含めた2作品しか存在しなかった。セリフ数も少なく、Hシーンもないため、あまりいう事はない。主人公のベッドに甘えてもぐりこむ優ちゃんが可愛い。

 

優√は正確には優&いずみ√と銘打たれており、もう1人ヒロインが存在する。

 

f:id:shanxdl:20210224161319p:plain 鹿島 いずみ かしま いずみ

 

県立がんセンターに勤める看護師の1人。24歳だが、主人公の事を「かなちゃん」と呼び、自分の事は「いずみちゃん」と呼ばないと怒る。いつも元気で笑顔を絶やさないが、それは終末期医療に携わる人間として、患者の心のケアに有効であると考えているため。いつも主人公と優の仲を茶化したり、セクハラ的な発言をしているが、その本心は、いつも死にゆく患者のためにもっとできることはなかったか、と己を罰している。

主人公の検査入院中に、患者である老人が亡くなったことから、その死を悔やんで病院内の教会で祈りをささげているところを主人公に見つかり、互いを慰め合うためにSEXをする。その後主人公に銀のロザリオを渡す。

CVは紫苑みやびさん。出演作も多く、有名な人だと思うが、声を聴くのは初めてだったが、お姉さんキャラとしては普通だったと思う。

ただ、主人公とSEXをする過程が不自然過ぎたので、取ってつけた感じがしてそこはあんまりだった。難しいことだと思うが、シナリオゲーである以上、私はSEXをするときにそこに意味がある作品が好きなのだ。

 

優&いずみ√では、クリスは主人公が一番一緒にいたい相手は自分ではないと言って、主人公の元を去ってしまう。主人公は優を通して自分の姿を見ることができ、終わりに向けて1人になるのではなく、事情を知っていて、共有してくれる病院の人たちと過ごすことを決めたのである。

二十重√ほどではないが、この√も取ってつけた感があった。優はすごくいいキャラだったのだが、尺の都合か主人公との絡みが物語開始時点より前の、主人公の検査入院の時がほとんどなので、もう少し掘り下げてほしかったように思った。

またこの√では主人公が前を向くことができたが、主人公の余命も、優の病気も何一つ改善されてはいないところもポイントだと思う(褒めている)。

 

f:id:shanxdl:20210224162503p:plain 佐倉 佳苗 さくら かなえ

 

主人公の幼馴染。いつも主人公、耕介と3人で登校しており、片方の髪だけを三つ編みにした、大人しい少女。主人公が癌に侵されていることを知らされていない。これは主人公が佳苗のことを大切に思っており、病気を打ち明けることで、佳苗が悲しみ、「日常」が終わってしまうことを恐れているからである。恋愛の矢印は耕介→佳苗→主人公であり、主人公の事がずっと好きだった。主人公が末期癌だと診断された7月、主人公は親友である2人にそのことを打ち明けに行くが、佳苗は主人公が言いだすより前に「ずっと一緒にいてください」と告白してしまう。それが到底無理なことがわかっている主人公は、病気のことを言いだすことができず、また告白の返事もしないまま、ずるずると今日までを過ごしてしまっている。また彼女の片方だけの三つ編みは、小学生のころ主人公がしてくれたものを今までずっと続けている。

佳苗のため、という名目で彼女を徹底的に避けて過ごしている主人公は、クリスと一芝居打って、クリスを主人公の彼女だと思い込ませる。それでもあきらめきれない佳苗は主人公に2回目の告白をし、もう一度拒絶される。主人公は佳苗のつらそうな顔を見ていられなくなった耕介から説得として殴られるが、その姿を佳苗に見られてしまう。またがんセンターの定期健診から出てくるところも見られてしまう。それでも何とか言い訳をして拒絶を続ける主人公。さらに彼女の三つ編みを自分の手でほどき、彼女の思い出とも決別させようとする。

クリスはそんな主人公の姿を辛そうだと評し、主人公の心が佳苗に向いていることを読みとって、自分を逃げ場所としないように佳苗と向き合う事を主人公に伝えて、自分は主人公の元を去る。

クリスが主人公の元を去る前の最後の夜、2人で夕食を食べて、テレビを見、言いたいことをうまく言えずにただ「おやすみ、クリス」とだけ伝えるシーンはすごくよかった。最後にもう一度「おやすみ」と2回目を言うところもすごく雰囲気があって好きだった。

クリスがいなくなって、クリスマスダンスパーティの日、主人公は佳苗と話をすることを決めて会場に向かうが、決心がつかなかった。そこに佳苗がやってきて、「私と踊ってくれませんか。」と3度目の告白をする。しかし、今まで演技に付き合ってくれたクリスに、また自分に申し訳が立たないと、またもや佳苗を拒絶する主人公。そこで佳苗はついに限界だと思った耕介から真実を聞かされる。佳苗は逃げ出した主人公を追い、公園にたどり着き、「大嫌いだ」と4度目の告白をする。主人公はやっと佳苗を受け入れ、2人はSEXをして、これから一緒にいることを誓いあう。

最後の告白が嫌いから入るのがよかった。主人公は結局自分勝手な考えで佳苗を拒絶しており、相手を信頼していなかったのだ。ただ、4回も告白しないと主人公と付き合えないとは、不遇系幼馴染の流れが来ていると思ってしまった。他√ではクリスが恋人だと思い込んだまま、さらに病気の事も知らされないままだし...。

というか、小学校の頃に主人公がしてくれた髪型をずっとしているって、こいつ相当重いな?だがそれがいい。クリスに対してヤンデレ化する方向でもよかったが、それはコンセプトに合わないか。

CVは風音様。全体的に悲しい声が多い役回りで、演技力はさすがだと思った。エロゲ始めたての頃の風音様の声が聞けるのはよかった。

 

 

 

f:id:shanxdl:20210224164852p:plain クリステル=V=マリー

 

主人公の家に転がり込んできた吸血鬼。推定400歳くらい。この世界の吸血鬼は昼間も出歩けるらしい。また、実は世界に残った最後の吸血鬼でもある。主人公に対してはのじゃ口調の尊大な話し方をするが、それ以外には敬語でしゃべる。日本には誰かを探しにやってきて、そのまま主人公の家にいつくようになる。

人より長い寿命を持つクリスと、人より短い寿命を持つ主人公は、他人に対して深くかかわらないという心構えに共通点があり、それゆえ2人は寿命に関してウソをつかず、依存できる存在として暮らすようになる。クリスは吸血鬼の持つ暗示能力を使って主人公のクラスに転入し、時を過ごしているうちに主人公にほれて告白するが、佳苗の好意を知っていて拒絶している主人公はそれが後ろめたくて、告白を断る。

クリスはそれでもあきらめず、今まで自分にかけていた暗示を解いて、おしとやかで敬語しゃべりになった素の自分を主人公に見せる。主人公は大事なところでクリスによりかかってはくれないが、クリスは自分をすべてさらけ出して、主人公によりかかることを決めたのだ。クリスに惹かれ始めている主人公は、クリスとクリスマスデートをするが、そのとき貧血が起こって主人公は倒れてしまう。病院で目を覚ました主人公に、クリスは自分と「契約」し、永遠の命を手にして自分と一緒に生きてくれないか、と提案する。

Normal√では、主人公はこれを拒否する。主人公にとって、今まで過ごしてきた日常は大切なものであり、佳苗との歪な関係を続けてでも維持したいものだった。クリスと共に行くことは、これまでの日常をすべて捨てることを意味し、それは主人公にとってどうしても許容できないことだった。

そのとき、クリスの前に怪異が現れ、クリスは戦う事を余儀なくされるが、吸血鬼としての自分を主人公に見せるのが怖かったクリスは今まで血を吸っていなかったため、力が出ない。しかし、助けに来た主人公が「死ぬのが怖い」と、最後に本音を自分に見せて寄りかかってくれたことから、主人公の血を吸う事を決意し、力を取り戻して怪異を倒す。そして主人公はクリスに看取られて、桜の中で死んでいく。

True√では、同じく1度は主人公が拒否するが、自分のやり方は間違っていたことに気付き、他人を頼ることに決めて、クリスとSEXする。その後、主人公は約束を思い出す。それは主人公が小学生の時に、金髪の女の人とした約束だった。女の人は1人は寂しいと泣いており、そんな彼女に主人公は世界を見て回ってきて、それでもまだ1人が寂しいならば、結婚してあげる、というものだった。その約束をもとにクリスは世界を回り、そして主人公の元に帰ってきた。クリスの探し人は主人公だったのだ。主人公は約束を果たすために、怪異と対峙しているクリスを助けに行き、プロポーズをする。永遠の命が欲しいから共に生きたいでは主人公は首を縦に振らなかったが、共に生きたいから永遠の命が欲しいと願うべきだったのだ。その後、敵を倒したクリスは主人公と結婚し、主人公は日常をクリスと2人で守りながら、クリスと永遠を生きていくことを誓う。

 

True√は王道の展開だが、個人的には永遠の命は手に入れない方が好みなのでNormalエンドの方が好き。ただ、残ったクリスの悲しみを考えると、Trueエンドでも仕方ないと言うところ。物語なのである程度は仕方ないが、それまでは現実に即していて、最後のオチにめちゃくちゃSF要素を使われると、うーんという気分になったりもする。それはそれとして、シーン中のクリスが異常に可愛くてやばかった。

CVは春瀬みきさん。生き別れの姉妹として藤村歩さんが挙げられていた。おしとやかになった後のクリスが可愛くて、また声もあっていたと思う。

 

・その他

 

冒頭でも書いたように、この作品は音楽が素晴らしかった。OPもEDもよかったし、BGMでもいくつか素晴らしいと思えるものがあった。特にOPに関しては1度聞いてみてほしい。

システムに関しては古いゲームのせいか、バックログで音声が再生できないのが致命的だと思った。シーンジャンプもないため、聞き逃すと戻れない。

 

・最後に

 

泣きゲーの中で評価が高かったため、自分の中でハードルが爆上がりしていたためか、ふたを開けてみるとそれほどでもないと思ってしまったのが残念。テーマ的には死にゆく登場人物とその周辺、心情という非常に好みの題材だっただけに惜しいと思う。個人的には死にゆくのは主人公ではなくヒロインの方が好き。

後はやはり尺が短く、描写が不十分だと思うところが多かったのも残念か。ただ、部分部分のシーンを抜き出すと、これだと思える部分もあった。

続編も出ているが、そちらに関してはライターも異なり、評価もクソなので、思い出を汚さぬようにここで終えておこうと思う。