shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題32

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回紹介する作品はこちら。

 

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キミのとなりで恋してる!|ALcot ハニカム

 

2014年11月28日にALcotハニカムから発売された「キミのとなりで恋してる!」です。この作品は、以前紹介した「リアル妹がいる大泉くんのばあい」と同じブランド、同じシナリオライター(別名義)、同じプロデューサーで発売された作品で、 萌えゲーアワード2014にて金賞・シナリオ賞を受賞しています。公式略称は「となこい」。

妹キャラの描写に定評のあるライターさんが、どのようなシナリオを書くのかに興味があり購入しましたが、残念ながら本作の妹はサブキャラで攻略不可でした。

 

また、このブランドの傾向として、trueエンドからED、またタイトルに戻るところにギミックがあることが多く、この作品の演出も趣向を凝らしていていい演出だと思いました。

本作は祖母、そして親友ポジのキャラ付けが受け付けないと評価されており、実際プレイしてみてそう評価されている理由は理解したものの、物語を回す役割としてはある程度仕方ない部分もあるのではないかと感じ、自分は途中で投げ出すほどではありませんでした。

 

ーDo you know where love arise from?ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

ミドルプライスの作品で攻略可能ヒロインは3人。

総プレイ時間は8~10時間ほど。本編とは別にヒロイン3人、妹、親友ポジの5分ほどのサイドストーリーが1人2本ずつで10本ある。また、プロフィール欄があり、ヒロインからモブキャラに至るまですべての登場キャラの設定が読めるようになっている。さらに各ヒロインのED後の数行程度の後日談が、ルートクリア後に読めるようになっているのもポイントが高い。ただし、忘れていたのか仕様なのか、莉奈と涼香のプロフィールは一部埋まらないのがマイナス。特に莉奈の身長、3サイズが不明のままなのはステータスフェチの自分にとって致命的。ここを不明のままにしておくメリットが全く思いつかないので、これが仕様であるならば大幅なマイナスポイントにせざるを得ない。

回想数は各ヒロイン3回ずつ。

オススメ攻略順は 涼香→莉奈→なぎさ

ただしなぎさルートは物語全体のtrueルートとしての扱いで、なぎさ個人よりも主人公とその妹に焦点が当たっており、なぎさの影が薄くて不遇に感じた。

このことは公式の開発ブログでも述べられており、元々なぎさルートはそういう風に意図して作られており、公式でも「メインヒロイン(笑)」と称されていた。

また、莉奈かなぎさを選ぶ選択肢のチャプター名が、「莉奈(オススメ!!)」なのだが、これも公式で莉奈の店舗特典が0件であったことに由来するネタであり、こういった身内ネタを作品内に取り入れてくるのには諸説あるが、本編と関係ないところならやってもいいのではと思った。なお、その後莉奈は公式通販の特典色紙として無事書き下ろされた模様。

 

・あらすじ

 

数年前に両親を病気で亡くし、祖母と1つ下の妹の恵(めぐみ)と3人で暮らしていた高校2年生の主人公、関谷秋人(せきやあきと)は、ある日、祖母から突然1週間以内に嫁を連れてくるように言われる。主人公の両親は婚活がうまくいかず、40代でお見合いによって結婚しており、そのせいかいつも喧嘩ばかりしていた。そんな姿を見てきた祖母は、主人公に同じ轍を踏んでほしくないと思い、自分がまだ元気なうちに主人公にふさわしい相手を見定めるとともに、嫁を連れてこなかった場合、自分が選んだ相手とお見合いをさせると言い放つ。

主人公には同学年に2人の幼なじみ、星野(ほしの)なぎさと小松莉奈(こまつりな)がいた。なぎさとは小学生のとき、一緒にいたのを同級生にからかわれて以来、疎遠となってしまっており、積極的に話すことができていなかったが、莉奈とは今でも仲が良く、主人公は莉奈に彼女のフリをしてくれるように頼む。なぎさは引っ込み思案な性格で、小学生のときの事件で自分が主人公の迷惑になっていると思い身を引いたが、ずっと主人公の事が好きだった。そのことに気付いていた莉奈は主人公の頼みを断り、なぜ同じ幼なじみであるのになぎさには相談しないのか、と尋ねる。主人公はなぎさのためを思い、自分のために義務感で恋人のフリをさせて、なぎさに無理をしてほしくないのだ、と答える。それをこっそり聞いていたなぎさは主人公とのすれ違いを解消し、主人公のために頑張る決意を固める。

翌日、なぎさは自発的に主人公の家を訪れ、主人公の嫁候補として祖母を納得させるため、主人公と同棲することにするが、そこに祖母の選んだ嫁候補である1つ上の先輩、知花涼香(ちばなりょうか)がやってくる。彼女は陸上の長距離選手として有名であり、主人公を勧誘するために主人公のいる学園に転校してきた。主人公は元陸上部で、両親が亡くなって妹の面倒を見るために選手を辞め、今では女子陸上部のマネージャーをしていた。涼香は数年前のマラソンで、主人公がペースメーカーを務めていたときの走りを見て、そのペースメーカーとしての才能に惚れこんで主人公をスカウトしに来たのだった。ちなみにペースメーカーとは、スタートから先頭にたってレースをリードし、優れた記録が達成されるようにペースをつくる走者のことである。

2人は主人公の嫁としての祖母との約束事、毎晩寝る前にキス(ほっぺ)や一緒に寝ること(主人公は頑なにソファで寝る)を守り、同棲生活を続けるが、涼香はなぎさと違って主人公と積み上げてきたものが無い焦りから、主人公の唇にキスをしてしまう。しかし主人公が動揺するだけだったことから、涼香はそのことを謝って一度主人公の家を出て寮に移る。またなぎさも今のままの自分では主人公にふさわしくないと考え、涼香に陸上で勝つことを目標として、一度自分の家に帰る。

ここまでが共通ルート。涼香にキスされても何も言えず、あまつさえ涼香にそのことを謝らせて、自分のキスしたところをハンカチで拭わせてしまう主人公のヘタレっぷりに腹が立った。またなぎさに優しくするだけでその想いに気付かないのも少し描写がやりすぎだと思った。

一方で涼香にキスされたところをぬぐってからキスし返したりするなぎさがとてもかわいかった。

 

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20210809135944p:plain 知花 涼香 ちばな りょうか 162-77-55-79

 

主人公の1つ上の高3で、主人公をスカウトするためだけに陸上の名門高校から主人公のいる高校に転校してくる。母は元マラソン選手でオリンピックのメダリスト。母のモデルは高橋尚子で、愛称やエピソードが本人から引用したものになっている。目標は2020年東京オリンピックのマラソンで金メダルを取ることで、そのために天才的なペースメーカーの才能を持つ主人公をスカウトしに来たが、それとは別にその大会で見た、楽しそうに走る主人公の姿に惹かれてもいた。

主人公が涼香のパートナーになることを了承すると涼香ルートに入る。最初は主人公は涼香の陸上のパートナーにはなったが、恋人にはなっていない、として涼香の誘いを無視し続けていた。一方涼香は主人公への恋心を募らせて、陸上のパフォーマンスが落ちるようになっていた。このままではいけないと考えた主人公は、莉奈に相談し、莉奈は自分の気持ちに正直になるように主人公にアドバイスする。主人公も涼香のことが好きだったが、一目惚れだったため涼香を好きになる理由を探していたのだ。主人公が涼香に告白する決意を固めた時、先に涼香の方から主人公への結婚を申し込まれる。涼香も現状を変えたいと考えた末の結果だった。主人公も改めて涼香に告白し、2人は晴れて恋人となる。

恋人となってから場所を選ばずにキスをせがむ涼香がかわいく、また主人公に独占されたいと思いながらも、主人公は女子陸上部のマネージャーとして、自分一人のものでなくとも構わないと考える涼香の健気さがとてもかわいかった。

その後、主人公とイチャイチャできるようになったことにより調子を取り戻した涼香は、練習とイチャイチャを両立して過ごす。涼香が名器すぎて主人公が早漏になる、という設定はどうなんだ...。また一緒にお風呂に入って体を洗ってくれる(+手コキ)CGがめちゃくちゃよかった。

一方、なぎさと莉奈は主人公が涼香と付き合いだしたことにより関係が変化し、気軽に話に行けなくなったり、気を遣わなければいけなくなってきたことに戸惑う。なぎさは涼香と主人公が付き合ったことに焦りを感じ、涼香に勝つためにオーバーワークを重ねて倒れてしまう。それをきっかけになぎさ、莉奈、主人公の3人は話し合いをし、これからも気を遣わず、今までと変わらない関係でいることを約束する。なぎさも自分の気持ちに折り合いをつけ、2人を祝福してくれる。

涼香は母親のことを陸上選手として尊敬していたが、母が引退を決意するきっかけとなった記事を書いた、スポーツライターである父のことは恨んでおり、陸上をするきっかけも父を見返すため、だった。父から自分を実家に連れ戻すようにかかってきた電話のせいで涼香は父親と喧嘩してしまうが、主人公の仲裁によって父と仲直りすることを決意し、実家に電話する。そこで母から、父が体がボロボロになっていた母を止めるためにあの記事を書いたことを知らされる。父親への誤解は解け、涼香はいずれ主人公を連れて実家に挨拶に行くことを約束して終わり。

サイドストーリーは、涼香と主人公が物語上で初めて出会った時の涼香視点の話と、付き合い始めた後、夏の終わりに一緒に花火をする話。

OP映像を見ると、涼香のテーマは「一目惚れの恋」。他ヒロイン2人に比べて、今まで主人公と積み重ねてきたものが無く、シナリオ全体も薄いもののように思えた。

しかし、年上で、甘やかしてくれ、主人公を全肯定してくれるヒロインの破壊力にはすさまじいものがあった。CVは香山いちごさんで、この人の声は初めて聞いたが、とても雰囲気にあっていると感じた。またYoutubeでも配信を行っており、それを聞く限り、地声はこの演技の声よりさらに高くてフワフワしているのが素晴らしい。ただなぜか、「イク」という言葉を発するときだけ演技に違和感があった。他のシーンはそんなことは感じなかったのだが。

 

 

f:id:shanxdl:20210809145218p:plain 小松 莉奈 こまつ りな

 

種族値が無いの許すマジ。

主人公の幼なじみで高2。家は主人公の家の隣。幼稚園児の妹と両親の4人暮らし。両親が共働きで、妹の面倒を見てあげることも多い。主人公とは下ネタも言い合える友達的なポジションで、なぎさと主人公の仲が気まずくなってからは、いつも間に入って空気を取り持っていた。一方でシリアスな展開になるとお腹が痛くなるという体質を持つ。水泳部に所属しているが、記録や結果のためには泳いでいない。主人公のことはずっと好きだったが、主人公が好きなオーラを出しまくってるなぎさを見て、自分はこの2人を応援しようと心に決めていた、貧乏くじを引く系の幼なじみ。

主人公が涼香の頼みを断ると、涼香は女子寮に移動し、またなぎさも家を出るので主人公はまたいつも通りの生活に戻る。そんな中、雨が降った日に1本の傘をなぎさと莉奈が使い、主人公は濡れて帰ったことから主人公が風邪を引いてしまう。莉奈はそのことに自己嫌悪し、主人公の看病をしていくうちに主人公への想いが強くなってきてしまう。しかし、自分が主人公に告白することで3人の関係が変わってしまう事を恐れ、なかなか一歩を踏み出せないでいたが、涼香に背中を押され、主人公を放課後のプールに呼び出す。一方主人公はなぎさと一緒に校外をランニングしていたが、主人公の風邪がうつってしまっていたなぎさが、ランニング中に倒れてしまう。主人公はなぎさを自分の家に運び、莉奈との約束を思い出す。

莉奈との約束を優先し、なぎさを1人で寝かせて学校に戻ると、莉奈ルートに入る。主人公はなぎさが熱を出したことを莉奈に伝え、そこでの告白はできなかった。主人公が来るまでずっと考えていた告白のセリフを冗談に乗せて言う莉奈が最高にエモかった。

その後、主人公も莉奈が好きだということを自覚し、莉奈に告白する。この時のセリフが「俺たち付き合わない?」「別にいいけど? アメ食べる?」とさらっと流れていくのも莉奈らしさが出ていてよかった。

こうして付き合うことになった2人だったが、なかなかなぎさに言いだせずにいた。莉奈はなぎさから、涼香に勝ったらもう一度主人公に告白するつもりだという話を聞き、余計に言いだせなくなる。しかしなぎさは2人の態度や、周囲のうわさから、2人が付き合いだしたという事を悟ってしまう。なぎさの誕生日に、2人はプレゼントを渡し、自分たちの事を話そうとするが、その前になぎさが主人公に告白する。これはなぎさのけじめで、フラれるのがわかっていて、それでも2人の関係を祝福するための儀式だった。こうして仲直りした3人は、今まで通りの日常を過ごすようになったが、莉奈は進路に悩むようになる。自分のやりたいことがわからないのだ。その話に結論は出なかったが、とりあえず主人公のとなりにいれる人間になれるように、努力することに決めて終わり。

サイドストーリーは、莉奈の妹と3人でピクニックに行き、妹に主人公を狙われる話と、2人でウエディングドレスを着て写真を撮り、自分のやりたいことが、主人公のとなりにいること、だと気づくという話。エピローグでは髪を伸ばし始めており、これは主人公がなぎさのような長い髪が好きだと公言しており、今まではなぎさに遠慮していたが、これからは自分を出していくことに決めたからだと思われる。とてもよき。

作中一番のグラマーキャラでありながら、数値が出ないということには失望しているが、それはそれとして今までずっとなぎさと主人公の関係に遠慮してきたから、その反動で主人公に無理やりされたいという願望を持つようになった、とか唇が性感帯でキスだけで失神してしまう、とか主人公に生意気な口を利くのも主人公に無理やり襲ってほしいから、とかここ好きポイントが無限にあって最高。お菓子が大好きで体重を気にしている、とか八重歯がある、とかなぎさに遠慮し、涼香に遠慮して一番最後まで何も言いださないが本当は誰よりも主人公の事が好き、とか最高。まあ幼なじみ=不遇ヒロインのテンプレのようなキャラでもあるのだが。

莉奈のテーマは「積み重ねた時間の上にある恋」。3人の中で一番主人公といた時間が長いことを意識したシナリオだった。

CVは秋野花さん。後輩でない秋野花さんの演技は初めて聞くかもしれないが、いつものフワフワした演技とは若干異なって新鮮だった。そんな中でも主人公への好感度の高さ、主人公への甘えボイスなどはしっかり感じられ、やはり最高だった。

 

 

 

f:id:shanxdl:20210809152225p:plain 星野 なぎさ ほしの なぎさ 156-81-56-80

 

 主人公の幼なじみその2。家は主人公の家の隣。両親と3人暮らしだが、両親は旅行が趣味でよく2人で出かけ、家には1人でいることも多い。また、両親が家の中でなぎさに構わずどこでもセックスをするという性癖を持っているため、幼いころに見た両親の姿がトラウマになっており、エッチな話題が苦手。結論を持ってくるためだけにどうしてこんな倫理破綻者を生み出してしまったんですか?

女子陸上部に所属し、専門は3000 m。才能があり、期待のエースと呼ばれている。どんなに走っても胸が小さくならないのが悩み。涼香先輩...。

莉奈との約束より、熱を出したなぎさを優先するとなぎさルートに入る。莉奈は主人公を待つ間、3人の思い出の写真をスマホで見返していた影響で電池が切れ、連絡が通じなかった。主人公はなぎさを寝かしつけ、恵と祖母が帰宅したタイミングで学校に戻るが、莉奈はちょうど校門から出てくるところだった。事情を聞いた莉奈は「なぎさより大切なことなんかない」と言い、自分の告白をあきらめる。莉奈はなぎさのことを応援することに決め、いつまでも動かないなぎさに対して発破をかける。なぎさは主人公に告白し、再び主人公の家に同棲することになる。なぎさはエッチなことに関してトラウマがあり、最初は唇にキスすることさえできなかったが、なんやかんやあって主人公となぎさはイチャイチャして日々を過ごせるようになる。母親が言っているのを聞いていた、という理由で淫語もめちゃくちゃ言ってくれる。なんて万能な設定だろうか。

なぎさは自分に対してだけでなく、色々なことを我慢して、気を遣っている主人公の姿に気付き、主人公が後悔しないような人生を送れるように背中を押すことにする。莉奈となぎさが主人公の背を押し、主人公は再び陸上の選手として走ることを決意して終わり。前述の通り、なぎさルートは主人公+恵の話も兼ねているので、なぎさ個人に関する尺は短い。EDは新規CGを流しながら字幕なしのセリフがずっと流れるパターンで、結構いいシーンだが聞き逃さないよう注意しないといけないのが少し難点か。EDが終わるとシームレスにタイトル画面に戻り、主人公、なぎさ、莉奈の3人が一緒に歩いている小学生の時のCGに変わる。この演出はAlcotハニカムの頻出だが、それでもよかった。

サイドストーリーは、付き合いだしてからのなぎさとのイチャイチャルーティンの話と、なぎさの居場所が主人公の後ろから主人公のとなりに変わったことを自覚する話。

プロデューサーの人の趣味により夏でも黒タイツをはかされているらしい。自己主張をしないタイプなので、メインヒロインなのに影がうすいが、それはそれとして3人の中で一番エロいのは評価点。また寝ている主人公に対して「このあと夢の中で会えませんか? わたしはいつも、あなたに会いたいです...。」というセリフはとてもかわいかった。

なぎさのテーマは「時間を積み重ねられなかった女の子との恋」。小学生の時の事件で主人公と疎遠になり、一緒に過ごせなかったことを言っているのだが、テーマとしては弱く、元に戻る理由もあいまいで、いまいち入りきれないキャラではあった。

CVは歩サラさん。なぎさのもつ儚げな印象と、歩サラさんの透明感のある声がばっちりあっていたが、それはそれとして全体を通して声が小さかったのはマイナスポイント。まあ設定でいじればよいのだが。

 

f:id:shanxdl:20210809155053p:plain 関谷 恵 せきや めぐみ 148-83-58-81

 

 主人公の妹で高1。隙あらば主人公の乳首を触ろうとする悪癖を持ち、風呂にも乱入してくる。自分の顔を世界一可愛いと思っており、そのため自分に顔が似ている主人公の事も好き。主人公の両親は生前しょっちゅう喧嘩していたが、根っこの部分ではお互い認め合い、また愛していたが幼い恵にはそれがわからず、両親が喧嘩ばかりするのは自分が悪い子なせいだと思い込み、「いい子」であろうと努力していた。しかし、「いい子」であるという評価が「(どうでも)いい子」であると言う評価にしか思えず、自己嫌悪に陥るという負のスパイラルにはまっていた。自分のことをかわいいと連呼するのも、「かわいく」あれば両親が構ってくれるかもしれないというのが始まりだった。両親が亡くなりふさぎ込んでいたが、主人公が構ってくれるようになり、元気を取り戻すようになる。しかしそれは主人公に自分のしたいことである陸上をあきらめさせるという事だったが、この関係が心地よくてずっと主人公の手を離せないでいた。

なぎさルート終盤で、再び陸上に戻りたいと思う主人公の心に気付き、またなぎさと莉奈が主人公の背を押したことで、自分も兄の手を離さなければいけないという事を決心し、兄の背中を押す。エピローグでは兄の代わりに女子陸上部のマネージャーになり、頑張っている様子が描かれる。

サイドストーリーは、本編が始まる前、自分が主人公の枷となっていることを自覚しながらも勇気が出せなくて悩む話と、なぎさルート後、自分が主人公の事が「好き」だということに気付く話。この話で、主人公に対し、なぎさに家を出ていってほしいのだとわがままを言うシーンは結構感動した。結局恵は「妹」として主人公のとなりにいられる唯一の存在だという事を自覚する。

攻略はできないが、実質メインヒロインと呼べるような扱いで、このサイドストーリーの後、タイトル画面がもう一度変化し、主人公の逆のとなりに恵が描かれる。また遅れているなぎさを振り返っている主人公と莉奈に対して、恵はただ前を向いているという対比もすばらしい。さらにここで「キミのとなりで恋してる」のタイトル回収が行われるのもかなり感動した。

ただ一点、恵が主人公の乳首に固執する理由は最後まで語られなかった。しいていえば、風呂場で兄の乳首を触り、おっぱいを押しつけて背中を洗う事で自分を女だと認識させる無意識の行動、ととることができるかもしれないが、明言しないならその設定いる?とは思ってしまった。

CVはあじ秋刀魚さん。前回のきまテンとは全く違う演技で、ハイテンションの妹系という、高い声の演技もできることに感心した。

 

・その他

 

本作は、主人公の暮らす地名が「しべつ」、主人公たちの通う「恵苫学園」という名前、ランニングコースにある大きな湖、「ゴミ投げ」という方言、「オオバナノエンレイソウ」という花が登場する、と舞台が北海道であるにも関わらず、主人公の暮らす家の外観が本州基準であることが気になった。また主人公と涼香、なぎさ、莉奈が目指すことになる「オオバナノエンレイソウ」を校章に持ち、スポーツの強い大学、というのが出てくるのだが、この「オオバナノエンレイソウ」を校章として用いているのは「北海道大学」であり、別にスポーツは強くないと思うのだが...。

あと、ゲームが始まる前の「登場するキャラクターは18歳以上であり云々」のセリフが立ち絵ありキャラ全員分あり、そのキャラならではの小ネタが仕込まれていたのは細かくてよかった。またボイス設定をするときにキャラの個別ボイス音量をいじると、専用メッセージが全員分流れるのも細かくてよかった。

 

・終わりに

 

シナリオとしては平凡で、幼なじみが2人もいることから幼なじみゲーかと思いきや、最後に妹が全部かっさらっていくところはいい意味で期待を裏切られる作品だった。シナリオ賞受賞は疑問で、主人公の性格もヘタレ+鈍感であることから評価が低いが、キャラゲーとしては高水準であるように感じた。

もっとヒロインとイチャイチャしたいと感じたので、FDに期待したい。FDはシナリオゲーに作るのではなく、キャラゲーに対して作るのが正義なのでは?などと考えた。