shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題30

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回は記念すべき大台の30作目ということですが、名作と呼ばれているものではなく、個人的に前からやりたかった作品をプレイしました。

まあ、数字なんてただの飾りです。

ということで、今回の作品はこちら。

 

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OVERDRIVE 5th Project - DEARDROPS

 

OVERDRIVEより2010年6月18日に発売された「DEARDROPS」です。以前紹介した「MUSICUS!」でも触れましたが、このメーカーは代表であるbambooさんがバンドマンということで、バンドの描写に力を入れていることで有名です。前作であり、個人的に最高傑作だと思っている「キラ☆キラ」に引き続き、これもバンドを舞台とした作品ですが、ライターが瀬戸口廉也ではないことからどうしても「キラ☆キラ」と比較してしまい、敬遠していました。しかし、「キラ☆キラ」との合同ファンディスクがあること、使われている曲がよかったことから、今回プレイすることを決めました。

 

終わった後の感想を率直に述べると、まあ...うん...という感じなのですが、それでもよければお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは4人。しかしうち2人はシナリオも短く、実質サブヒロイン。全体としてのプレイ時間は10~15時間くらいだろうか。

シーン数は律穂、かなで、りむが2回で弥生が1回だが、オバイブ作品の例にもれずクオリティは低い。

オススメ攻略順は特にないが、律穂が最後の方がいい。

 

 

・あらすじ

 

中学卒業後にドイツに音楽留学し、将来を有望視されていたバイオリニストである主人公、菅沼翔一(すがぬましょういち)は、そこで暴力事件を起こし、日本に戻ってくる。彼は罪の意識からバイオリンを辞めることを決意しており、また父親と喧嘩し、幼馴染である桜井かなでの父親が経営するライブハウスに住み込みで雇ってもらうことになる。今までクラシック一筋だった主人公だが、そこで初めてロックを聞き、衝撃を受ける。またライブハウスの常連だった権田英嗣(ごんだえいじ)と喧嘩してなぜかバンドをやることになってしまい、ギターの練習をすることになる。約1週間で1曲を弾けるようにならなければいけないという厳しい条件だったが、同じくライブハウスの常連だった大場弥生(おおばやよい)に教えてもらい、何とか形にすることができた。しかし、本番では主人公は英嗣のベースに圧倒されてしまい、何もアピールできなかった悔しさから物に当たってしまう。もう本気で音楽はやらないと決めていたはずの主人公は自分の行動と気持ちに困惑するが、そこを通りがかった英嗣から、本気でバンドをやってみろという助言を受ける。主人公はもう少しバンドを続けてみることにし、ベースとして英嗣を、リードギターとして弥生を誘う。また、やたらと主人公に突っかかってくる、芳谷律穂(かぐやりほ)をボーカルとして誘うために勧誘を続けるが、断られ続ける。彼女は他バンドに所属しているが、バンド内の人間関係が悪化し、そのバンドを抜けたがっていた。また、主人公がたまたま人助けをした人の娘である珠野りむ(たまのりむ)をドラムに誘う事に成功する。さらに律穂の現バンドメンバーとの律穂をかけた対バンを行い、律穂を仲間に引き入れることに成功する。こうして結成したバンド「DEARDROPS」は文化祭でのゲリラライブ、地元のフェスへの参加、ライブハウスでのライブなどの活動を始めていくこととなるのだった、という話。

 

これは全体を通して言えることなのだが、物語の展開にご都合主義が多く、また特に主人公と律穂の言動が幼稚に見える。別にご都合主義が悪いと言っているわけではないが、露骨であり、またご都合主義で解決するイベントの数が多いのはマイナスだと思う。プロットとして描きたいもの、やりたいことはあるが、その肉付け、自然な流れというのがへたくそだと感じた。

後メインヒロインでありながら、律穂に好感が持てないのは割と致命的だと思った。これは個人の感想だが。

主人公もプロのオーケストラで活躍していたはずで、音楽に関するノウハウは多少は持っているはずだが、それを感じさせる描写はないし、バイオリンを弾くことにトラウマがあるのはわかるが、付け焼刃のギターでプロを狙っていくことに不誠実さというか、違和感を感じた。

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20210707164106p:plain 桜井 かなで さくらい かなで

 

主人公の幼馴染で、貸しスタジオ兼ライブハウスである「ライブスペース696」のオーナーの娘。高校卒業後、腰の悪い父親を手伝ってライブハウスの経営を行っている。歌う事が好きでまた歌が上手いが、本人は自分に自身がなく、また押しに弱い性格のため普段は主人公を陰で支えている。共通ルートで、夏フェスに参加した律穂が高熱で倒れてしまうシーンがあり、他ルートだと主人公が強引に病院に連れていき、点滴を打って無理やり延命するのだが、かなでルートだと代役としてかなでがステージに上がる。なお、1時間で点滴を打って病院から往復できるわけないだろというツッコミは置いておいて、人前で歌う事にトラウマを持っていたかなでは何とか1曲歌いきるものの、立ったまま気絶してしまう。しかし、その歌声が、父親の古い知り合いである芸能事務所の社長の眼に止まり、かなでがスカウトされる。最初は家の手伝いなどの理由をつけてそれを断っていたかなでだったが、主人公の後押しにより自分の想いを歌で他人に伝えたいという自分の本当の気持ちに気付き、歌手デビューを決意する。社長、そして父親のコネにより、昔このライブハウスで活動していた、日本でも有名なロックミュージシャン、「レオ」に認知してもらうことに成功したかなでは、レオが立ち上げる新レーベルの第一弾として、「DEARDROPS」と枠をかけてバンド対決をすることになる。しかし、突然「DEARDROPS」のゴシップ記事が週刊誌に乗り、「DEARDROPS」は勢いをそがれてかなでが勝負に勝つ。勝ち取ったレオの前座としてのデビューライブで、かなではゴシップ記事を出したのが自分の所属する事務所の社長だという話を立ち聞きしてしまう。かなでは勝負が正々堂々としたものではなかったことにショックを受けてステージで歌えなくなり、デビューライブは失敗に終わる。社長からの謝罪を受け、なんとか挽回しようと気合を入れるかなでだったが、エゴサで自分に対する暴言の嵐を目にしてしまい、再びショックを受けて精神的な難聴に陥る。それでも迷惑をかけないためにステージに上がるが、聞こえない耳では音程が上手くとれず、ライブは失敗してしまう。ふさぎ込むかなでだったが、主人公の弾くバイオリンの音だけはなぜか聞こえたため、主人公と一緒にもう一度ライブをすることを社長に頼み込む。ライブ当日、会場へ向かう主人公とかなでの前に主人公がドイツで暴力事件を起こした相手であるヨハンが現れる。主人公はドイツで、自分よりうまいヨハンの演奏に追いつこうと精神が追い詰められた結果、ヨハンを階段から突き落としてしまっており、それが主人公の罪だった。しかしヨハンも完璧な演奏を追い求めるあまり、精神を病む寸前であり、主人公がしようとしていることに気付いて、楽になろうとわざと自分から階段の下に身を投げたことを告白する。ヨハンは主人公が師事していた師匠が今も主人公の事を気にかけていることが我慢ならず、当時の主人公と同じように、主人公を消そうと主人公の腹にナイフを突き立てる。主人公はわざとそれを受け、自分と同じ気持ちになってしまったヨハンを理解して赦し、腹部を刺されたまま会場へ向かう。主人公は何とか1曲演奏しきるが、ついに限界が来てステージ上で倒れてしまう。主人公は病院に運び込まれ、手術は無事成功し、ヨハンと主人公も和解する。またかなでは主人公やヨハンのような、自分を赦せない人たちの代わりにその人を赦してあげられるような歌を歌いたいという気持ちを持つようになる。これまでのかなでのライブの失敗により、事務所が破産してしまい、かなでと社長はかなでの家のライブハウスの物置を事務所代わりに借りて、心機一転新しいスタートを切ることにして終わり。

 

えーっと...、これでいいんですか?本当に?

かなでに対する社長やレオの期待度が高すぎて心配になるレベル。なんの実績もない新人に対して払えるコストを超えていると思うし、そもそもかなでが歌えなくなった理由が自業自得過ぎて少しも共感できない。もっと別のまともな理由つけれたやろ...。

主人公の過去をこのルートでやるのは別にという感じ。

 

OVERDRIVEのゲームはキャラに集中してほしいという理由でCVを公開していないが、今作はわかりやすいため、一応紹介しておく。

かなでのCVは青葉りんごさん。さすがベテランで演技は上手だった。Hシーンも上手。あとかなでの主人公に甘えるときの声、上目遣い、はかわいかった。

かなではこのルートのみ歌手デビューするため、ボーカル曲があるのだが、ボーカルは青葉りんごさんのままで、普通にうまかったと思う。

 

f:id:shanxdl:20210707171410p:plain  珠野 りむ たまの りむ

 

DEARDROPSのドラム担当。高2。猫のように気まぐれでマイペース、空気を読まない。共通ルートで主人公は絶望して座っているおっさんをみかけ、声をかける。おっさんは珠野といい、1週間後に結婚式を控えていたのだが、式場が事故で燃えてしまい、途方に暮れていた。主人公はライブハウスを貸し出すことで、そこで結婚式をやることを提案する。りむは珠野と結婚する相手の連れ子で、珠野を新しい父親として受け入れられず、2人から逃げ回っていた。ドラムはりむの本当の父親がやっていたことで、りむはそれを尊敬し、父のようなドラマーになることがりむの目標だった。結婚式当日、りむは珠野が夜なべしてりむと仲良くなるために練習した、父親が好きだった曲を演奏しているのをみて父親を冒涜されたと思い激昂するが、代わりに主人公たちと一緒に始めて合奏を行ったことで、バンドの楽しさに気付き、無理に父親の代わりにならなくてもいいとして珠野と和解し、DEARDROPSに加入してくれる。

りむルートではりむの母親と珠野が新婚旅行に行くことになり、りむが主人公の部屋に居候することになる。そこでりむが風邪を引き、主人公が看病することになってりむは主人公に好意を抱く。ここで弥生が以前バンド内恋愛禁止と言っていたので、りむは急にバンドを辞めると言いだす。主人公たちが説得する間もなくりむは無断でバンドを辞めてしまい、他のバンドのサポメンとして活動するようになる。主人公は自分を避け続けるりむになんとか会おうとして、ライブハウスで演奏中のりむのステージに乱入する。そこでりむの気持ちを聞いた主人公はステージでりむに告白し、バンドメンバーの許しを得て2人は付き合うことになる。しかし、主人公がりむとのデートの約束を、急に入った用事によりすっぽかしてしまったため、父親が自分と母親を捨てて出ていったことを思いだし、主人公を拒絶するようになる。主人公はりむを言葉だけでなく、安心させる証拠を示すため、今度はりむと主人公でライブハウスで結婚式を挙げることにした。

 

うすーいストーリーだが、サブヒロインと割り切ればまあ、という感じ。

主人公がただの畜生になり下がってしまうし、音楽関係ないやん...というところ。

CVは五十嵐裕美さん。普段の演技は上手だったが、Hシーンがへたくそで笑った。またりむのキャラが絶妙にうざかったのもマイナスポイント。

 

 

f:id:shanxdl:20210707173132p:plain 大場 弥生 おおば やよい

 

DEARDROPSのギター担当。高3。律穂と同じ高校。メンバーの中で唯一の常識人で、ヘタレ気味な性格だが、それを隠すために高飛車で上から目線な態度をとって強がっている、本当は弱い女の子。ギターを愛しており、ギターの事となると饒舌になって話が止まらなくなる。文化祭でクラスメイトとバンドをやるはずだったが、お嬢様校のためPTAからの圧力がかかって中止になってしまった。そこで主人公たちはトラックで学校に乗り付け、ゲリラライブを行う。ここの描写は青春×ロックという感じがして好き。

弥生ルートでは、音楽一本に絞り切れずにバンドと受験勉強を両立していた弥生が、主人公を居酒屋に誘う。弥生は自分が普通であることに悩んでおり、特に律穂が音楽一本に決めている中、自分はどうするべきだろうかという悩みを主人公にうち明ける。そこで飲みすぎてしまった弥生は、居酒屋のテーブルに登ってギターを弾き、そこから転げ落ちてギターをネックから折ってしまう。自分の軽率な行動で何よりも大切なギターを傷つけてしまい、失意に沈む弥生だったが、ライブハウスのオーナーであるかなでの父からギターのリペアショップを紹介してもらう。3か月後、弥生のギターは無事元通りになって戻ってくるが、今度はそれをひったくりに盗まれてしまう。弥生はこれを天啓と諦め、受験勉強に専念することにしたが、主人公はそんな弥生の姿を見ていられなかったため、ひそかに口コミや掲示板で弥生のギターを探す。弥生の受験前日、名古屋でそれらしきギターを見たという情報が入り、主人公は神奈川から名古屋に出かけようとするが、そのことが運悪く弥生にばれてしまう。弥生は受験をすっぽかして主人公に同行し、2人はついにギターを発見する。ギターは神奈川に修学旅行に来ていた小学生に拾われ、名古屋まで持ち帰られていたのだった。2人は小学生からギターを取り返し、またお金がないからという理由で泊まったラブホテルで、主人公は弥生に告白する。神奈川に帰った弥生は無事滑り止めの大学に合格し、大学生活とバンドの両立を続けるのだった。

 

これもサブヒロインなので、こんなものだろう、か。

ギターを盗まれて取り返して終わり、というあまりにも中身のない内容だが、それはいいのか。またせっかくまっとうな人生を歩もうとしている弥生に対して主人公が足を引っ張っているようにしか見えなかった。

CVは民安ともえさん。この人もベテランでとても上手だった。キャラとしては弥生が一番好き。

 

 

f:id:shanxdl:20210707174949p:plain 芳谷 律穂 かぐや りほ

 

DEARDROPSのボーカル担当。高1。弥生と同じ高校。人付き合いが苦手でコミュニケーション能力が壊滅的、かつ自分にも他人にも一切妥協を許さないストイックな性格のせいでいつも1人でいる。世界に自分の歌を響かせるのが夢で、主人公がその場所に連れていくことを約束したため、バンドに加入する。わがままで独善的だが、自分の認めた相手のいう事は素直に聞くほどの純粋さを持っている。

律穂ルートでは、地元で行われたフェスが終わった後、律穂が退学届を提出する。最初は音楽でプロになるための逃げ道を潰すためという消極的な理由だったが、「今」どうしても歌いたい、という前向きな思いに気付き、主人公の後押しもあって、母子家庭の母親の説得に成功する。それからもDEARDROPSの活動を続け、レオがテレビでDEARDROPSの曲を歌ってくれたこと、レオのプロデュースでコンピレーションアルバムを出したこと、レオの推薦で大阪のライブハウスまで遠征し、さらに雪による渋滞で到着が遅れたレオの前座として大阪城ホールで演奏をしたこと、などレオに期待され、メジャーデビューの打診を受ける。しかしそんなとき、DEARDROPSのベースである権田英嗣に手紙が届き、英嗣が失踪してしまう。この内容については後述。英嗣がかけてはDEARDROPSではなくなると考えた律穂と主人公はレオにメジャーデビューを断るが、英嗣がいなくなったことでDEARDROPSは活動を休止する。しばらくして、主人公にオーケストラで再びバイオリンを弾かないかという誘いが来て、またいなくなった英嗣を呼び出そうと、主人公たちはDEARDROPSをネットオーディションに参加登録し、名前を売る。2つの日程は重なってしまい、バイオリンに未練があることを律穂に見抜かれていた主人公は律穂に言われてオーケストラのほうに向かうが、途中で気が変わってバンドオーディションの会場へ向かう。そこでは律穂が突然の棄権を、観客に謝罪しブーイングを受けているところだったが、主人公は舞台に乱入し、バイオリンを弾き始める。また英嗣を含む他のメンバーもステージに集結し、DEARDROPSは再び活動を開始する。主人公たちはもう一度バンドを集めてフェスをやろうと企画するが、レオが主人公たちのことを裏切りと考えて妨害を行ってきており、会場を押さえることができなかった。主人公たちは郊外に不法投棄のゴミ山を見つけ、ここを片付けてフェス会場にすることを思いつく。ライブでの手伝いの勧誘や他の出演予定バンドたちのコネなどによって会場は片付き、フェスが行えることになったが、台風が接近し、当日は荒天となってしまう。また、主人公の元にドイツにいたときの師匠から、もう一度オーケストラに参加しないかという誘いが来ており、主人公は最初バンドに専念したいからという理由で断ろうとしたが、律穂にバンドを逃げ道にしてほしくない、世界で羽ばたけるならその才能を活かすべきという説得を受け、このフェスを最後にドイツへ渡航することを決めていた。激しい風雨の中、観客によるDEARDROPSを呼ぶコールが聞こえ、律穂はメンバーを率いてステージに上がる。演奏が始まると、奇跡のように雲が割れ、フェスは大成功に終わった。1週間後、ドイツへ旅立つために主人公の乗る飛行機の元に一台のトラックが現れ、中からDEARDROPSのメンバーが演奏を始める。主人公もそれに応えて機内でバイオリンを弾き始めたのだった。

 

ご都合主義の極みのようなシナリオ。なまじ先に「MUSICUS!」でメジャーデビューするバンドの厳しさみたいなものを見ている都合上、この甘い展開にひたすらイライラしてしまった。律穂の言動も子供がわがままを言っているだけに思えて全く共感できなかったし、最後の飛行機のシーンなんてあきれて何も言えなかった。空港のセキュリティ舐めすぎだろ、と。そもそもメジャーデビューしたいとずっと言っている律穂のスタンスが、いい曲を作っていればだれかが認めてくれる、というのが何とも。

CVは鹿野優以さん。特にいう事は無し。

 

f:id:shanxdl:20210707182702p:plain 権田 英嗣 ごんだ えいじ

 

DEARDROPSのベース担当。年齢不詳のオッサン。しょっちゅう暴力騒ぎを起こし、そこらじゅうで煙草を吸い、ガラが悪い。いつも1人で黙々と練習をしており、特定のバンドを組んだりはしていない。OVERDRIVE作品によくいるかっこいい男キャラ枠。

ライブハウスの他の客との口論がきっかけで、主人公とバンドを組むことになり、その音と音楽に対する姿勢に共感した主人公からDEARDROPSへ勧誘される。メジャーデビューに対して消極的な考えであり、そのことで律穂といつも喧嘩している。

実は昔、神戸でインディーズバンドを組んで活動しており、メジャーデビュー寸前までいったことがあった。そのバンドは英嗣とギターの男の2人で始めたバンドで、他にボーカルの女とドラムの男がいた。ギターとボーカルは付き合っており、英嗣もボーカルの女が好きだったが、ギターの男が親友だったため、納得してその想いを隠し、2人を応援していた。しかし、メジャーデビューの話が舞い込んだせいで、ギターとボーカルが喧嘩するようになり、英嗣はボーカルの女から相談を受け、結果的にボーカルの弱みに付け込むようにボーカルの女を寝取ってしまう。さらにボーカルの女が階段から転落死したことで、バンドは崩壊し、ギターの男は英嗣が彼女を自殺に追いやったと英嗣を恨むようになる。英嗣もまた彼女の死の責任を背負い込み、それがメジャーデビューしたくないという英嗣のトラウマになっていた。DEARDROPSが大阪に遠征したとき、英嗣はその昔のバンドメンバーと会い、ギターの男は英嗣がまたメジャーデビューしようとしていることが許せず、死んだ女の名を騙って英嗣に脅迫文を送る。英嗣はそれですっかりトラウマが刺激されてしまい、DEARDROPSを抜けることを主人公と律穂に伝え、思い出の詰まった神戸のライブハウスで廃人のように酒浸りになってしまうが、それを主人公が説得する。主人公は英嗣のベースの音をギターの男に聞かせ、それで英嗣が彼女の事を本当に悔やんでいることが理解できたギターの男は、英嗣に彼女の死ぬ間際の留守電を聞かせる。それは彼女が英嗣のことが好きになったという内容で、ギターの男との別れを切り出す内容だった。これで彼女が自殺ではなかったという確証を得た英嗣は、彼女の死の責任を背負い込むのをやめ、再び音楽をやることを決意し、2人は和解する。英嗣は彼女との思い出の地を巡るため、しばらく姿を消すが、オーディションの日に再びDEARDROPSに帰って来るのだった。

 

これが律穂ルートで挿入されることにより、律穂ルートは半分権田ルートと化している。こういう渋いオッサンキャラは好きだが、この話も冷静に考えると権田がクズなだけのような気もしてくる。

CVは稲田徹さん。かっこいいオッサンの演技だった。

 

・音楽

 

このブランドは音楽を売りにしているだけあって、シナリオのアレさに比べて曲は素晴らしかった。特に主人公がバイオリンで参加する珍しいバンド形態(律穂ルートのみ)であり、個人的にストリングスありのロックは好きなので、それもよかった。

ボーカルは律穂だが、歌うときはCVが変更され、歌担当はPricoとなる。この人は元々、この名義ではニコニコの歌い手として活動をしていた人であるが、一番有名な名義はmisonoである。声としては、作中で描写されているような神懸かった上手さというわけではないと思うが、それでも十分雰囲気には合っていると思った。

 

・その他

 

OVERDRIVEは10周年記念として2017年にCFで「OVERDRIVE 10th anniversary complete box」を発売しており、その中に「キラ☆キラ」の新曲「lucky☆lucky」、またDEARDROPSの新曲が入っており、それらは現在では手に入れることができないのが腹正しい。なんでもかんでもCFで作るのは止めてほしい。

 

・終わりに

 

曲に惹かれてプレイした作品ではあるが、曲だけ聞けばいいレベルだった。しかし、これで内容を理解することができたのはよかったと思う。逆にこれをやってから「キラ☆キラ」をやれば、そっちのすごさが倍増すると思うので、それはオススメかもしれない。ライターの人はこんなにも薄っぺらいシナリオを書いたことを反省すべき。