みなさんこんにちは、shanです。
今回紹介するゲームはこちら。

2019年2月22日にfengより発売された「夢と色でできている」です。
fengといえば「あかね色に染まる坂」や「星空へ架かる橋」がアニメ化もされた、由緒あるブランドですが、残念ながら2019年9月に破産手続きが開始され、現在では消滅しています。
この作品はfengの最終作(そしてこの作品が売れなかったからこそ最終作になってしまったとも言う)に当たりますが、個別ルートが短い、そもそも作中の時間が2ヶ月ほどしか経過せずに全体的に短い、未回収の伏線が多い、などという問題があり、もともと2015年に発売予定だったものが延期を繰り返して2019年に発売しているという事情が反映されているのではないかと感じさせます。
このゲームは佐咲紗花さんの歌うOP、藍月なくるさんの歌うEDが共に素晴らしく、私がこの作品を知ったのもOPがきっかけでした。
なお、公式サイトのキャラ紹介欄の「秘密のボイス」をクリックすると、メインヒロイン5人のASMR風自己紹介(全年齢)のYoutubeへと飛ぶという謎仕様があります。
以下、常体。
・攻略
攻略可能ヒロインは5人。雲は2周目以降しか入れず、恋はほかの4人を攻略しないと入れない実質のグランドルート。
推奨攻略順は(姫色→紫織)→かもめ→雲→恋
プレイ時間は共通が4~5時間ほどで、各ヒロインルートは3~4時間。恋ルートだけ4~5時間。フルプライスにしては短いと思う。
回想数は恋以外のヒロインが3+2回、恋が4+2回。
それぞれのヒロインのルートをクリアすると、2回ずつ回想シーンが解放される方式、恋のみ本編中に4回だが、うち2度はオナニーのみで、しかも短いものとなっている。
姫色がセンターヒロインと思わせて、恋が真の正ヒロインである、という構成は一昔前に流行ったもののように思える。また、恋ルートに入るためには物語序盤から選択肢を選ばなければならず、その影響で最初は選べない一択の選択肢というものが複数存在した。この演出は個人的には無駄だと思っていて、選べない時点では選択肢を表示させないほうが、演出としても驚きがあるのではないかと思った。
・シナリオ
神門(かみど)学園に通う高校2年生の主人公、乙原藍(おんばらあい)は、小学生の頃仲間内で「地球防衛軍」というグループを作り、裏山にあった小屋を秘密基地にして遊んでいた。防衛軍はリーダーである飛鳥井姫色(あすかいひいろ)が転校し、主人公が解散させてしまい、今では当時の仲間とは疎遠になっていた。主人公は唯一ずっとそばにいてくれた幼馴染である同級生の黒羽かもめ(くろばねかもめ)、そして2人きりで暮らしている高校1年生の妹、乙原恋(おんばられん)と退屈な毎日を過ごしていたが、姫色が突然主人公のクラスに転校してくる。主人公は知らなかったが姫色は海外に転校しており、帰国子女だったが頭はよくなかった。そして主人公たちと別れたときのままの性格だった。姫色は再び昔のように皆で集まりたいと主人公に言うが、防衛軍を解散させた主人公との間に温度差があり、壁ができていた。しかし、かもめが協力してくれて学園内に「防衛部」を新しく作って生徒のお悩み相談を行い、学園の平和を守ることになった。部員は姫色とかもめで、主人公は頑なに入部しないが、2人に引っ張られてなし崩し的に部室には行くようになる。
しばらくして、主人公と恋が付き合っているのではないかというウワサが学校の裏掲示板に流れ、さらに恋がストーカーされているかもしれないという不安を相談する。シスコンの主人公は解決に前向きになるが、恋は犯人が同じクラスの友人の凛子(幼少期に防衛軍のメンバーだった涼助の妹)だと気づいており、ただ真意を知りたいだけだった。凛子は恋ではなく、その隣にいた主人公のことを見ており、主人公のことが好きだから見ていたのだった。真相が暴かれ、凛子は勢いで主人公に告白するが、主人公が断りの返事をする前に、返事はいらない、と逃げてしまう。しかし、海外に留学している涼助の代わりに、凛子が防衛部に入部してくれることになった。
主人公たちのウワサを掲示板に流したのはかもめで、かもめはこの事件を利用して防衛軍のメンバーを部に集め、主人公が防衛軍を解散した真相を聞き出そうとしていた。真相を知っているのは主人公と、神社の娘である刻乃雲(ときのくも)の2人だけであり、主人公は防衛軍の誰かに対する見方が変わってしまう事件が起きたため、それを防ぐために自分が悪役になったのだ、とだけ語る。かもめはそれを聞いて、それ以上は聞かなかった。
主人公は海外の涼助とずっとメールのやり取りをしていたが、凛子から涼助は携帯を留学先に持っていかなかったことを聞く。涼助を名乗ってメールを送ってくる犯人を捜すため主人公は雲に相談し、解決の条件として雲の所属する(部員は雲のみ)オカルト研究会の活動を手伝って夜の校舎で肝試しをすることになる。恋、凛子、姫色、かもめ、そして姫色が呼んでいた1つ上の七夕紫織(たなばたしおり)と、防衛軍のメンバーがそろう中、主人公と紫織は校舎の中で怪奇現象に遭う。その正体は紫織に憑いていた子猫の霊、ミドリであり、猫の知識のなかった紫織が猫にあげてはいけない食べものをあげたせいで死んでしまった野良猫で、紫織はそのことをずっと後悔して学校の隅にお墓を作って毎日お祈りをしていた。ミドリは自分が野良猫で、どうせそのうち野垂れ死ぬことがわかっており、どうせなら紫織がくれる愛情のこもった食べ物を食べて死にたいと考えて死ぬことをわかって食べたのであり、紫織が責任を感じることは全くないということを紫織に伝えたくて、紫織に憑いていたのであった。雲のお祓いによりミドリは現世に顕現し、人間の言葉を話せるようになった。しかし、悪霊化する危険があるため、雲はその場でミドリを祓うために肝試しを行ったのだが、紫織の反対と主人公の説得により、経過観察を行うことになった。
ミドリの幽霊騒ぎのときに涼助を名乗るメールが危険を教えてくれたことにより、主人公はメールの差出人が雲であるとわかる。涼助が留学に行く前、防衛軍の仲間が離れ離れになってほしくないと考え、雲にメアドを託したのだった。雲から防衛軍を大切にしている想いを聞いた主人公は、雲と一緒に防衛部に入部することを決める。
共通ルートはここまで。
本作の選択肢の必要のなさは上で述べたとおりだが、ミドリを成仏させるかどうかで、どちらを選んでも成仏させないのはさすがにひどいと思った。
日常パートはかもめのボケや姫色の天然発言をツッコむという流れで進んでいくことが多いが、ギャグがあまり面白くなくてテンポが悪いと感じた。
さらに、面倒なことは後回しにする、というのが主人公の信条であるため、ヒロインからの好意を無視しまくるのも気分がよくないと感じた。
以降個別ルートへ。
・キャラ
飛鳥井 姫色 あすかい ひいろ 157-86(E)-57-83
主人公の同級生で幼馴染。防衛軍時代の役割は「レッド」。両親は離婚して父親と2人暮らし。父親の海外赴任に伴って海外(アメリカ)に転校し、主人公たちとは離れ離れになってしまったが、再び故郷に戻ってきた。小学生のときから転校を繰り返していたため、主人公と初めて会ったときは内気でおとなしい女の子だった。しかし主人公が姫色を気づかって仲間に入れてくれ、またオススメのマンガを貸してもらったりして、次第に打ち解けていく。このとき貸してもらった不良マンガのヒーローに憧れた影響で、口調が男っぽくなってしまった(「~ぞ」、「~だよな」等)。防衛軍時代はリーダーを務め、平和を守るための活動をしたいと思っていたが、それは今でも変わっていない。帰国子女だが文法が適当なため英語の成績は悪く、日本語は小学生時代で止まっているため、とても頭が悪い。転校する前からずっと主人公のことが好きで、今でもその気持ちを引きずっている。
姫色ルートでは、休みの日に部の皆で出かけることになっていたが、かもめが気を利かせてくれて姫色と2人きりのデートになる。主人公は姫色が自分のことを好きだということに気づくが、それを考えないようにしていた。
学校が始まり、教室では姫色(主人公が聞いていると気づいていない)とかもめ(主人公にわざと聞かせて真面目に考えるよう促している)が、主人公のそばで、主人公に好きになってもらうための作戦会議をしたりする。主人公はそれでも無視し続ける。
姫色は期末テストで全教科赤点をとってしまい、冬休みの午前中全てを補習に費やすことになる。さらに夜は家で夕飯を作らなければならず、主人公と過ごす時間が減ってしまう。それでも冬休みの午後は部活に充てられたので、主人公と姫色は部活動をする。ある日、部室の掃除をしたのがきっかけで保健室、職員室、部室棟と次々と大掃除を防衛部に押し付けられてしまうことになる。姫色は、自分が困っているよりも皆が困っている方が大変だから、と断らず、自分の課題の時間を削って学内の掃除を行う。主人公はそれを見かねて、ウラから手を回してせめて部室棟の掃除は自分たちでやるように撤回させる。空いた時間を使って2人はイブにデートに行くことにし、姫色が告白して主人公はキスで答える。
それから2人は何度もデートをし、姫色は冬休みの課題をすっぽかしてしまう。新学期が始まり、姫色は主人公に迷惑をかけられないと1人で課題を進めるが、間違いだらけで、さらに寝る時間を削ったために授業中に寝てしまうことが増えた。見かねた学校側が姫色の父を呼び出し、父親に迷惑をかけたくなかったから心配ないと答えていた、と姫色は弁明する。父親はそれを聞いて、他人に迷惑をかけたくないという姫色の態度は間違ったものであり、このままでは1人前になったと認められず、高校卒業後は好きにしていいという約束も撤回する、と伝える。高校卒業後は街に残って主人公と一緒に過ごそうと思っていた姫色は絶望する。また、新聞部によって姫色と防衛部の活動を貶すような学内新聞が書かれる。姫色は迷惑をかけないよう、防衛部の部長を主人公に引き継ぐと言い出すが、主人公はそれを受け入れなかった。姫色はどんどん自分を追い詰めてしまうが、かもめが助けてくれて主人公と姫色は2人で秘密基地で会うことになる。姫色はヒーローだから、自分の弱みを見せるわけにはいかないとずっと考えていたが、自己犠牲は自己満足しか生まないこと、自分を大切にすることを主人公に気づかせてもらう。そして自立した自分を父親に見せないと、卒業後も一緒にいられないと泣く姫色に対し、主人公は姫色の父親に会いに行き、娘をくださいと言う。姫色が、誰かに頼る勇気、誰かに迷惑をかける勇気を持つのが本当の正義の味方だと父親に説明したことで、父親は姫色の成長を納得してくれる。さらにかもめが手を回してくれて、新聞部の記事は防衛部に好意的なものへと差し変わったのだった、というところでおわり。
エピローグでは、無事進級できた姫色に主人公が婚約指輪を渡し、二度と離れないことを誓う。
とにかく口調が受け付けないヒロインだった。主人公がいくら諭しても掃除を辞めない頑固さにイライラしたのも相まって、センターヒロインのくせに評価が低くなってしまった。男っぽい性格なのに一途だったり、Hシーンの時に日本語では通じず、英語だと通じるのが細かくてよかった点は評価している。
CVは桃山いおんさん。実はあまりちゃんと作品で聞いたことはなかったかもしれない。特に違和感なく受け入れられた。
七夕 紫織 たなばた しおり 160-88(F)-58-86
主人公の1つ上の高3。防衛軍時代の役割は「パープル」。防衛軍で一番年が上だったため、他の皆を見守るお姉さん的な役割を自認していた。幼少期から修業をしていた影響で、力持ちで格闘技が強いのもあって、誰も頭が上がらない。実家は金持ちのお嬢様で、メイドがいる。母親は学園の理事長。防衛軍解散後は、主人公の初恋の人(主人公の義母)に似ていることもあって主人公のほうが距離を置き、今では受験勉強もあって、主人公とは疎遠になっていた。
紫織ルートでは、防衛部の皆で出かけることになったとき、紫織が一歩引いて自分たちを見守ってくれていることに、主人公が距離を感じてしまう。冬休みの間は部活に顔を出してくれることになった紫織だが、イブには主人公と「修業」のために2人きりで過ごしてほしいと言い出す。また、家の事情のために恋人のフリをしてほしいともお願いする。主人公は、昔から紫織が好きだったという自分の気持ちと向き合うことを決め、恋人のフリを受け入れることにする。
しかし、2人は紫織の母親から呼び出しを受け、その理由が紫織のお見合いのためだと誤解した主人公は、先手をうって母親の前で紫織に告白し、キスをする。紫織が話した「家の事情」とは、母親の過保護をやめさせるために自立した自分をみせたかったからだった。2人は誤解を乗り越えて恋人になる。紫織は将来の夢である「お嫁さん」になるために、「花嫁」修業をずっと積んできたのだと語る。
紫織の1次試験が終わり、2人は主人公の家でデートをする。恋も2人を祝ってくれる。そんなある日、ミドリから肝試しの挑戦状が届く。ミドリは自分が成仏しないといけないことはわかっていて、そのためには紫織の未練をなくす必要があった。紫織と主人公は再び夜の校舎を訪れ、ミドリは紫織と一緒にいたいという未練を断ち切り、紫織もミドリと別れる勇気を持つことができ、ミドリは無事に成仏できたというところで終わり。
エピローグでは紫織が卒業式を迎え、同じ大学で一緒にいられるように主人公が頑張ると決意する。
fengのゲームは初めてプレイするが、母乳ヒロインは基本装備なのだろうか。キャラとしてはかわいかったが、ミドリメインのシナリオになってしまっており、またミドリがいまいち好きになれなかったので、そこが残念だった。
CVは白月かなめさん。こちらもあまり聞いたことのない人だったが、お姉さんボイスは上手だったと思う。
黒羽 かもめ くろばね かもめ 149-89(H)-53-81
主人公の同級生で幼馴染。防衛軍時代の役割は「ブラック」。防衛軍解散後も唯一主人公のそばを離れなかったメンバーで、主人公からは頼りにされている。文句をいいながらも面倒見はいいが、下ネタもよく言う。口癖は「愉快痛快、私は○○する女よ。」コスプレが趣味で、部室でよくコスプレをしている。親はコスプレ趣味に理解を示さず、仲が悪い。成績が下がると塾に入れられてしまうし、防衛軍の活動についてもよく思われていなかったため、主人公のそばにいるために勉強を欠かさず、主人公とまだ付き合いがあることについては親に隠している。
かもめルートでは、年末に2日に渡って行われるコスプレイベントにかもめがレイヤーとして参加することを決め、主人公に手伝いを依頼する。家で衣装を作って親に見つかるといけないため、部室で衣装を作ることになり、主人公はそれを見守る。
衣装は出来上がり、イベント初日、イベントは大盛況で終わるが、かもめが家に帰るとコスプレイベントに参加していたことがバレており、かもめは衣装を取り上げられてしまう。これはかもめの両親が紫織の家の系列会社で働いていたことから紫織の母親と面識があり、紫織→紫織の母→かもめの両親と話がいってしまったことが原因だった。かもめには姉がいたが、小さいころに事故で亡くなってしまっていた。両親はそれ以降、2人分の期待をかもめにかけるようになり、かもめはその重圧につぶれてしまいそうになっていた。そこで、姉が好きだった魔法少女のコスプレをすることで姉にも背負ってもらおうと考えたが、両親にとってコスプレは姉のことを思い出す辛いものであり、二度としないよう泣いてかもめに頼んだ。それ以降、かもめは親を悲しませないため、好きなコスプレを親の前では封印し、親の言うことには従ってきたのだった。
主人公は、両親に返すために部室に取りに来たかもめの衣装をいったん預かってサイズをとり、責任を感じていた七夕家のメイドと協力して、こっそり新しくかもめのための衣装を作ることに決める。
また、かもめは主人公の両親が事故死したという過去を唯一知っており、それが主人公が防衛軍を解散した原因だと考えていた。そして防衛軍解散の件で何も知らないときに主人公をなじった自分に罪悪感を感じており、そのため主人公を支えてくれる恋人となってくれる人物(姫色か恋だと考えていた)を見つけて、2人を応援することを贖罪としていた。しかし主人公は、自分の恋人は自分で決めるとかもめに言い放ち、かもめに告白する。主人公からすれば、今まで自分を支えてくれていたのはかもめであり、かもめこそが恋人にふさわしかった。かもめは自分に自信がなく、主人公の恋人役が務まるか不安だと諦めてしまっていたが、主人公が役割に拘ることなく、ただそばにいてほしいと言ったことで告白を受け入れる。
ずっとそばにいたのに告白しない理由が考えられていて、よい幼馴染ルートだと思った。また、かもめがずっと下ネタを言っていたのは、主人公に恋愛方向に意識をむけさせるための、意味のあることだったとわかる。
2人は恋人になるが、それからかもめは塾に行くように親から言われ、家から逃げ出して秘密基地に向かう。主人公はかもめを追いかけて探し、秘密基地で見つける。かもめは、自分は弱い自分をさらけ出す勇気を持てない、主人公に頼る勇気のない人間だと語るが、ついに主人公に助けを求められるようになる。主人公は恋やメイドと一緒に作った新しい衣装をかもめに渡し、好きなことをあきらめなくていいんだと伝える。かもめは両親と話す覚悟ができ、結論は出なかったものの、自分の気持ちは伝えることができた。そしていつまでも隣を歩いていくよう2人で誓って終わり。
エピローグでは勉強と両立させることを理由に部活とコスプレを認められたかもめが、主人公のためにウエディングドレスのコスプレをしてくれる。
ヒロインがウエディングドレスを着るシーンがすごく好きなので、それがとてもよかった。ほかにもコスプレを着てHするシーンもあり、バリエーションがあってとてもよかった。ただ作中で一番巨乳だと言われているのにパイズリシーンが1回しかなかったところが残念。
ずっと主人公のそばにいたところからくる、主人公の考えや行動を理解しているところや、居眠りした主人公に膝枕をしてあげるところは正妻ヒロインの貫禄が出ていてとてもよかったと思う。
かもめの両親の話は消化不良感が強く、延期した影響が如実に感じられる出来となってしまっていた。
CVは小波すずさん。この人はどんなキャラでもある程度演じわけができてすごいと思う。
刻乃 雲 ときの くも 156-75(A)-56-80
主人公の同級生。防衛軍時代の役割は「ホワイト」。いわゆる電波系少女で、何を考えているかわからないところがある。基本は無口で、仲間で集まっていても1人本を読んでいるような、マイペースなところがある。実家は神社で、巫女の格好で実家を手伝っていることも多い。オカルト趣味があるだけでなく、実際に危機を予知する能力を持っている。
雲ルートでは、雲が毎晩悪夢を見ていることが明かされる。それは主人公と雲だけが覚えている、過去の事故に関するものだった。また、雲は過去の事故(=厄災)を回避するために、未来を変えようとしていることがわかる。
あるとき、雲が夜に秘密基地で灯りをつけて読書をしていたことから、市に対して誰かが住み着いているという通報が入ってしまった。市は老朽化に伴う倒壊防止の観点から基地の撤去を決め、それが理事長→紫織経由で主人公たちに伝えられた。雲は防衛軍の絆がなくなることを恐れて基地の解体に反対するが、主人公は自分たちが言い出すことで基地を使用していたことがバレ、退学処分を受けることを恐れて解体を受け入れ、新たに「防衛部」を居場所として守っていくよう雲を説得する。
雲は厄災を回避するためには防衛軍の7人が揃っているのは危険だと考え、それが主人公が防衛軍を解散した理由だったが、結局回避できない運命が近づいてきていることで、逆に防衛部全員が揃っていることが、厄災に立ち向かうためには必要だと考えるようになる。雲は1人で戦うのをやめ、主人公に助けを求める。基地の解体工事を見届ける2人だったが、雲は自分でも知らずに涙を流していた。それを見て雲がずっと自分の気持ちを偽っていることに気づいた主人公は、雲のために工事を妨害しようとして工事関係者に捕まって怒られ、2人で学園に引き渡される。雲は主人公の行動を通して、大切なのは基地でも部でもなく、全員が一緒にいることだと理解することができた。
主人公は、雲が好きだという気持ちを自覚し告白するが、雲は巫女という立場から、処女性を失えば能力を失う可能性があるため、厄災に対抗するために恋はできないのだと断る。しかし主人公は、雲が言っていることには根拠がなく、自分たちで正しい選択に変えればいい、と雲に強引にキスをする。雲は主人公のことを受け入れ、自分の選択で未来を変えるため、主人公と恋人になることを選択する。
年が明け、基地の跡地を見に行きたいという姫色と、見なくていいというかもめが少し言い争いになる。主人公は全員一緒に見に行くべきだと考えるが、雲が学校を休んでおり、連絡がつかなかった。主人公は怪しいと感じ、雲を探して秘密基地の跡地にたどり着く。雲は厄災の犠牲になった「彼女」を助けるため、自分が犠牲になることで辻褄を合わせ、厄災を回避しようとして樹の上から飛び降りようとしていた。主人公と恋人になることで、自分を犠牲にする覚悟ができたと語る雲を、主人公が説得してやめさせ、みんなで厄災に立ち向かっていくことを決めて終わり。
エピローグでは、基地の跡地でHしながら、これから2人で厄災に立ち向かっていくことを改めて確かめる。
グランドルートの前座となり、ルートが喰われてしまったかわいそうなヒロイン。能力周りの設定もよくわからなかった。このルートは主人公がクズすぎて、イライラするのもよくなかった。
CVは柚原みうさん。ベテランの方だが、聞いたのは初めてだった。ふわふわした話し方もうまかったが、Hシーンになると急に声が低くなり、ちゅぱ音が爆音になるのが味があってよかった。
乙原 恋 おんばら れん 153-82(D)-55-82
主人公の1つ下の実妹。昔は兄の後ろを追いかけていた鈍くさい子どもだったが、今では学園の優等生でアイドル的存在。しかし猫をかぶっているようで、家の中ではYシャツとパンツだけで主人公を誘惑する。家事全般を取り仕切っており、主人公もよく世話を焼いてもらっている。子どものころから主人公のことが好き。よくかもめから淫妹(いんまい)だとからかわれるがそれは当たっていて、いつも主人公とHなことをする妄想ばかりしている(恋ルートに入らないと恋の頭の中は明らかにならない)。主人公の呼び方は「兄さん」だが、焦っているときは「お兄ちゃん」になる。
恋ルートは他のヒロインをクリアしないと入れない。ヒロインのルートをクリアすると、雲が防衛軍時代に皆に配った「カラーベル」を回収できる。これは雲の神社に伝わってきた神具であり、不思議な力を持っているようである。また、共通ルートで増える選択肢を選ぶと別のカラーベルが回収でき、恋ルートに入るまでに11個のカラーベルを回収することになる。しかし、恋が持っていたはずのカラーベルだけがどうしても見つからない。
恋が過去の厄災の犠牲者だが、今はその記憶をなくしているようであり、しかしカラーベルをきっかけとして徐々に思い出しつつあるようだった。
イブの日、2人はデートをすることになり、そこで恋は主人公が好きであることを改めて自覚し、積極的に主人公に甘えるようになる。主人公に添い寝してもらい、妹として主人公のことが好きで、妹のまま主人公と結ばれたいと告白するが、主人公は答えずに寝てしまった。恋にとって家族愛と恋愛の好きは同義であり、そうしたい、そうあってほしいと考えていた。
恋は、主人公が好きだということを凛子に打ち明ける。凛子は恋の友達で、主人公のことが好きだという同じ気持ちを抱えていることをわかっているのに、凛子を裏切ることになるからだったが、凛子は恋のことを応援してくれる。
恋は主人公の誘惑を続け、主人公は厄災のことを考えて一度逃げてしまうが、恋が無くした記憶を埋めるため、二度と忘れないように毎日日記をつけていたことを知って、恋が過去に立ち向かう勇気を持っていたことがわかり、自分も勇気を出して恋に告白し、兄妹のまま恋人になる。
やがて秘密基地の解体が始まり、主人公と雲は「嫌な予感」を感じる。部の皆は恋と主人公が恋人になったことを祝福してくれ、1人も反対する人はいなかった。正月になり、主人公と恋の義理の母、橙花が帰省する。橙花は主人公たちの従姉で、両親が事故で亡くなり、親戚にバラバラに引き取られそうになっていた主人公と恋をまとめて引き取り、大学を辞めて主人公たちの母親になってくれた人で、主人公の初恋の相手だった。主人公と恋は橙花に恩を返すため、高校入学と同時に、橙花の夢であった世界旅行へと送り出し、2人暮らしをしていたのであった。恋は主人公の初恋が橙花だと気づいており、家事を頑張っていたのも橙花の代わりに主人公の面倒を見ることで、橙花に勝ちたい気持ちがあったからだった。橙花は恋が無くしたカラーベルの代わりに、旅行中に見つけた素材で自作したカラーベルをお土産としてくれる。それを見て、すべてを思い出した恋は1人で基地の跡へと向かった。
昔、バラバラに引き取られそうになっていた時、恋はその場から逃げ出してしまい、嵐の中基地まで逃げてきた。基地で主人公と2人で暮らしていこうと子どもながらに考えていた恋だったが、主人公が恋を探して基地まできた。主人公は、嵐で基地が倒壊の危険性があるため恋を連れ出そうとするが、恋は主人公が自分を連れ戻しに来たのだと誤解して逃げ出してしまう。恋は、その場にいた雲の静止を聞かずに崖から落ちてしまうが、追いかけてきていた主人公が何とか手をつかむ。しかし恋を引き上げることはできず、2人は崖から川に落ちてしまい、軽傷で済んだが恋はショックでこのことを忘れてしまった、ということだった。
思い出した恋は、自分には主人公を好きになる資格がないと考えそれを告げるが、橙花に自分に自信を持ってほしいと応援される。橙花は主人公と恋の関係にとっくに気が付いていた。恋は、両親の死からやっと橙花の前で泣くことができ、弱い自分を見せられたことで本当の家族になることができた。
当時の嵐の後、基地は倒壊してしまったが、雲が能力を使って基地を直していた。雲には時間を操作できる力があり、それを使って基地の時間を固定することで、基地を保っていた。しかし、その力の限界が訪れていることで、基地は無くなる運命になるのだった。また、恋が軽傷だったというのはウソで、命を落としかけていた恋を、雲が恋のカラーベルを媒介に力を使い、事故の時間を封印することで運命を変えていた。恋のカラーベルはその時に永遠に失われてしまった。
主人公は雲と相談し、防衛部の皆に過去の真実を打ち明けることにする。今度こそ恋を助けるため、成長した今の仲間たちの力を借りたいという主人公に、仲間たちは承諾してくれる。そんなとき、橙花が海外で事故にあったという連絡が入る。恋はその知らせを聞いていなくなってしまうが、主人公は恋の運命に巻き込まれて犠牲になるのは自分だけでいいと、1人で恋を探す。仲間たちは主人公が防衛軍時代にくれた思い出を覚えていて、自主的に力を貸してくれる。主人公は基地の跡地で雲と出会う。そこで主人公は、結局仲間を頼っていないことを雲から指摘される。雲と主人公だけが覚えていることだったが、実際に厄災で命を落としかけていたのは主人公のほうだった。そして主人公は、自分を犠牲にして恋を守る道を選んでいるので、それを辞めないと代わりに自分が樹から飛び降りて犠牲になると主人公を脅すが、主人公は仲間想いの雲が仲間の悲しむ選択肢をとれるはずがないとそれを一蹴する。恋も主人公が自分を犠牲にしようとしていることに気づいており、崖の上で主人公を待っていた。そして主人公に気づかれると自分から崖に身を投げるが、主人公は再び恋の手をつかんだ。恋は主人公に、自分を犠牲にして未来をつくるのではなく、皆を信じ、皆を頼って、皆で生き残る道を探すべきだと主人公を説得する。その時、恋が呼んでいた姫色、かもめ、紫織、雲、涼助、凛子が現れ、主人公たちを引きあげてくれる。主人公はやっと自分から仲間の手をつかみ、仲間を頼ることができた。恋はそれを気づかせるために、主人公を信じてわざと崖から飛び降りたのだった。事故の再現をしたことで運命は消化され、厄災を回避することができたというところで終わり。
エピローグでは橙花が助かっていたことが明かされ、また翌春、防衛部の新入生勧誘を皆で行い、恋と一緒に歩むことを誓う。
運命の話はよくわからなかったが、最後にヒロインたちが集まって主人公を助けてくれるところはいいと思った。それはそれとして主人公は人の話を聞かず、自分1人でなんとかしようとしすぎではあるが。
全編を通して恋がかわいく、主人公の前でオナニーをするシーンがよかった。また、昔からオナニーをしていたが主人公に触られないとイケないため、最後までしたことがなかった、という設定もよかった。ただHシーンで呼称が「おちんこ」から「おちんぽ」に途中で変わっており、同一ヒロインで男性器の呼称が(主人公からの指示を受けていないにも関わらず)変化していることはエロゲー的には極大マイナスなので、そこはよくなかった。
実妹であるが故の葛藤は描かれていないが、幼少期から恋が主人公を好きなことはバレていて、その時からの付き合いの仲間しかいないので、その場合はアリだと思った。
自分のルートと合わせて、2回も樹から飛び降りさせられる雲がかわいそう(小並感)。
CVは藤咲ウサさん。キャラと声があっていてよかった。ちゅぱ音は相変わらず...。
全てのルートをクリアすると、「乙原藍エクストラストーリー」という章が解放される。これは恋ルート延長の主人公が、集めた12個のカラーベルを見て、そこに込められた各ヒロインルートのラストを回想する、というもので、最後は誕生日の主人公をヒロインたちが祝う、5分ほどのシナリオである。正直これが必要なのか、という感想は否めなく、もしかしたら主人公の過去で橙花周りのシナリオを入れる予定があったのかもしれない。というか橙花はSD絵とボイスがあるにも関わらず立ち絵がなく、間に合わなかった感がひしひしと伝わってくるうえ、橙花の話でもシナリオがかけそうなくらいなのでもったいなく思った。
・終わりに
可愛くてよかったヒロインもいたが、全体的にボリューム不足で物足りなさの漂う作品だった。OPは神曲なので、ぜひそれだけでも聞いてみてほしい。