shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題40.3

 

 

続きが遅くなってしまい、申し訳ありません。

 

3人目のヒロインはこちら。

私はいつもメインヒロインは一番最後にプレイするのですが、今回はハチロククリア後に解放されるサブヒロインがいること、グランドルートがあることから、先にプレイすることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハチロク 124-57-43-59

 

旧帝鉄8620形蒸気機関車トップナンバー機8620専用レイルロオド。共通ルートで説明した通り、主人公をマスターとして8620での乗務を補佐する。模範的な日ノ本撫子(大和撫子)であり、丁寧な話し方をし、一人称は「わたくし」。自分がモノであることを自覚しており一歩引いた立ち位置から物事に関与し、人間は全て様付けで呼ぶ。しかし、日々姫だけは本人からの希望により呼び捨てで呼ぶ。動力源は石炭と水で、特に上質な石炭を丸かじりするのが好き。トップナンバー機のレイルロオドは一人称を愛称(れいな、等)で呼ばず、一般的な呼称(私、等)で呼ぶことが認められており、それを誇りに思っている。また、日ノ本で製造されたほとんどのレイルロオドの姉ともいえる存在であり、無意識に姉らしく振舞ってしまうところがある。

実は主人公とその家族が脱線事故に遭ったときの機関車は8620であり、ハチロクもそれに乗務していた。当時の判断により、洪水で流されてしまった橋に突っ込むよりは、と脱線を進言した張本人である。ハチロクはその事故のことがトラウマになっているが、事故で亡くなったのが主人公の家族だとは気づいていない。

日々姫がいないときの、主人公単独時に対する生の町の人々の声を探るため、また8620の機関士としての技術を高めることで、御一夜鉄道株式会社の一員としてポーレットの補佐するのがベストだと考えるとハチロクルートに入る。

正直、他のルートに比べてルートに入るための説得力が高く、またこれ以降の流れから考えて、メインヒロインなのである程度は当たり前だが、このルートにものすごく力を入れているように感じた。

序盤は日々姫ルートと同じく、8620で観光振興を行うため、客車を調達する手段を考えることになる。しかし、まだ現役の鉄道車両の絶対数は減っており、ポーレットが各地のツテを当たってくれるが、中々良い感触は得られなかった。そこで、8620の魅力を伝え、8620に自分の持っている客車を引いてほしい、というまいてつのマニア心に訴えかけるため、主人公は写真で、日々姫はスケッチでアピールすることになる。最初はポーレットの作っていた御一夜鉄道の公式ホームページに載せていたが認知度が低く、より広範囲へのアピールのため、主人公たちはハチロクに文章を書かせ、「8620運転台通信」という私的な新聞を発行することに決める。

新聞は好評で、それが日ノ本の鉄道復権に向けた活動をしている最先端のパトロンである電車姫の眼に留まる。電車姫は主人公たちの活動に興味を持ち、新聞の購読費を終身無料にするという破格の条件で、主人公たちにストーブ客車を譲ってくれる。このストーブ客車は、文字通り車内にストーブと煙突がついた客車で、雪国等で人気の高かった客車であった。主人公たちは早速8620でストーブ客車を牽引し試験走行を行うが、客車の上についた煙突から、ボイラーの排煙が逆流してくるという問題が判明する。主人公たちは対策を考え、主人公が逆にストーブからの煙で煙突を埋め、煙の逆流を防ぐという案を考え付く。ただ、夏にストーブを焚くのは辛いので、新たなストーブの活用法として、ストーブで肉を焼けることを観光の売りにすることを考える。こうして、窓を常時全開にし、扇風機で室内の温度を低下、さらに除熱板をストーブの周りに立て、除煙板でボイラーからの煙を客車の上へと誘導させた、「バーベキュートレイン もくもく8620 1号」が完成する。

窓を開けることによってどうしても発生するボイラーからの煙たさを、車内を焼き肉の煙で満たすことによって、最初から客に煙たさを了承済みのような状況にすることで緩和したこのアイデアはいいと思ったが、ストーブの天板が小さく一度に1ボックス分の客しか焼けず、運転中に順番となるため、鉄道に興味を持たない身としてはこれは人気がでるのか?と考えてしまった。

作中では、このバーベキュートレインを電車姫が自身のブログで紹介してくれたことにより、1か月後の予約が速攻で埋まる爆発的人気となり、社長であるポーレットは満足度の確保のため増発を余儀なくされる。また同時期に、まだ諦めていなかった工場誘致推進派の残党から、煙害についてのクレームが寄せられる。主人公たちは、煙の排出方向を調節できる器具を煙突につけることで、これを解決するが、徐々に主人公とハチロクは共に過去の失敗を繰り返さないよう、人々の期待に応えようとして、無理を重ねていく。

そんなとき、主人公は8620の運転時に違和感を感じる。ハチロクが何も言わないため、異変が発生しているのかどうか戸惑う主人公だったが、実は8620の台枠に歪みが発生していたことがわかる。これは過去の脱線事故による、目視では確認できなかった内部の傷が増発や客車牽引による負担の増加により顕在化したもので、このまま放置すると8620が致命的なダメージを負い、走れなくなってしまうほどのものだった。ただ、1~2年ほどは修理せずとも走行は可能であろうとハチロクは進言する。ハチロクは、主人公が工場誘致撤回という目標を2年で達成できなければ義父によって強制的に跡継ぎにされてしまうという話を知っており、そのためには今8620をなくしてしまえばせっかくうまくいきかけている観光振興がまた潰れてしまう。そのため、自らを使い潰す覚悟で主人公のために働こうと考えていた。主人公はハチロクを抱きしめ、ハチロクを失ってしまう事の方が大切だと説得するが、ハチロクには届かなかった。主人公はハチロク抜きでポーレットと相談し、8620を修理に出すことを決定する。猶予があるとはいえ、万が一にも致命的な事故を起こしかねない8620での営業運転は、安全を第一とする鉄道業界ではしてはいけないことであり、ポーレットも社長としてそれを受け入れる。ただ、台枠の修理には途方もない金と時間がかかり、主人公はそれをボランティアと募金によって賄っていこうを策を考え始める。そのときハチロクが乱入し、ハチロクと主人公で話し合った結論と違うと、主人公を責める。ハチロクは、主人公が言った「鉄道事故が怖い」というセリフを一般論的な解釈をして、自分の判断が信用されていないと感じ、逃げ出してしまう。ハチロクは周辺をうろついているうち、8620の日常点検に来た日々姫と会う。そこで日々姫にいきさつを説明し、日々姫から主人公の言った言葉の真意について確かめてくるよう助言を受ける。

ここで主人公の気持ちがハチロクに傾いていることを察し、またハチロクも主人公のことが好きなことに気付いており、ケンカしているところに付け込むのではなく、ハチロクの背中を押す日々姫が健気でかわいいと思った。

ハチロクは主人公から昔の事故について聞き、あの事故にお互いが関与していたことを知る。あの事故で死んだのは主人公の妹1人だけであり、主人公はそれを妹を連れて勝手に前の車両へ移動しようと立ち歩いていた自分のせいだと感じており、ハチロクは脱線を進言した自分のせいだと感じていた。しかし、それでも主人公はハチロクを説得し、2人で前を向いて進むことを決める。主人公とハチロクは2人でお風呂に入り、もし8620が廃車となることがあっても、自分は残って主人公についていきたい、と語り、主人公もハチロクにずっとそばにいてほしい、と伝える。ここでハチロクのシーリング機能が解放され、記憶障害も回復する。

お風呂でのハチロクシーリング解放のCGがとてもマニアックだと思った(ほめてる)。

主人公は台枠の修理について、静態保存されている他の8620形から台枠のみの交換を行えないか、という案を考え付く。そしてポーレットを通じて電車姫と交渉し、台枠の交換を受け入れてくれる会社を名児耶(名古屋)に見つけ出す。しかし、台枠の輸送費はこちら持ちとなるため、ポーレットは市に補助金を出してもらうための補正予算案を提出する。ポーレットは辞任覚悟で議会に臨み、主人公も参考人として答弁する。対立相手は稀咲だったが、ハチロクの助けもあり、主人公はなんとか稀咲の質問に答えることができ、また稀咲をこちらの陣営に引き込むことに成功する。

そして替えとなる台枠が御一夜に到着し、向こうの技術者も助っ人として来てくれる。その作業中に、もう壊れてしまった、元の車両のレイルロオドの話をされ、想いを託された主人公は、その重みを改めて感じ、プレッシャーで倒れてしまう。また、主人公はハチロクのことが好きだと自覚し始めていたが、それはハチロクは「モノ」であり、自分を置いていかないからではないか、と考えてしまい、純粋な好意かに疑問を抱いてしまった主人公はハチロクと距離を置くようになる。ハチロクは主人公の異変に気付いていたが、自分が「モノ」であり人間と対等でないこと、話し合うことの怖さ、などから何もいう事ができなかった。しかし、派遣されてきた技術者の、元のレイルロオドの思い出話から、直接話し合うことの大切さに気付き、主人公へと問いただす。主人公は話をする中で、ハチロクに好きだと告げる。そして、ハチロクもレイルロオドとしては古く、いつ壊れてもおかしくないこと、明日壊れるかもしれないのなら、今日を精一杯生きて、満足して今日を終わることが大切だということに気付く。

この時点では、主人公はハチロクに好意を示したが、女性としての好き、とはまだ言っていないため、付き合わない。

時は飛んで、修理が終わり、8620はまた走れるようになった。なお、修理中は代役としてキハ07Sでバーベキュートレインを牽引することで、観光列車と日常列車を同時に運行するという方法をとっていた。これは観光客から見れば、列車の発車時間を朝の通勤・通学時間に合わせられるので都合のいいものではなく、満足度が下がっていたことが語られる。

再び8620によるバーベキュートレインの営業が再開したが、工場誘致推進派はまだあきらめておらず、その筆頭派である隈元銀行頭取が次の手を打ってくる前にこちらも次の策を考えた方がいいと、稀咲から進言される。稀咲は廃炭鉱を利用して、そこに蒸気機関車の整備方面を集約させた施設と資料館のような施設を併設して建設することで、新たな地域活性化へとつなげられないかという案を考える。その調査のため、主人公たちは調査に行くことになる。

話の筋とは関係ないが、廃炭鉱の廃駅でごっこ遊びをし、手書きの双鉄駅-ハチロク駅間の無期限の切符を作り、それに入鋏してくれるハチロクのCGがかわいかった。

イデアは難航し、稀咲、日々姫、凪、ふかみの4人はアイデアを考えるため、通っている学園の合宿所で合宿をしたいと申し出る。一度は了承した主人公たちだったが、運悪く合宿当日に台風が直撃する。さらに心配になって連絡した学園には稀咲達の姿はなく、主人公はアイデアを考えるため、こっそり徒歩で廃炭鉱に向かったのだろうと考える。そこで唯一動けた主人公とハチロクは、8620で廃炭鉱駅まで4人を救出しにいくことにする。豪雨が主人公のトラウマを刺激し、またトラブルのため主人公は一時運転室を離れることを余儀なくされる。ハチロクに運転を任せ、トラブルを解決させて帰ってきた主人公が見たものは、号泣するハチロクの姿だった。ハチロクも同じ事故でトラウマを負っており、ハチロクの気持ちを主人公は考えられていなかったのだ。しかし主人公は、それを反省し、1人では乗り越えられないことは、2人で乗り越えればいい、とハチロクを説得。極限状態において、ついに2人は過去との決別を果たすことができたのだった。

到着した廃駅では主人公の推理通り、4人が迎えを待っていた。無事に御一夜に連れ戻された4人は保護者たちにこっぴどく叱られるが、稀咲の保護者として来ていた頭取が、御一夜の人たちが4人を助けるために力を貸してくれた光景を目にし、他人同士が手を取り合っていける風景を守りたいという主人公の主張に納得してくれる。

主人公は改めてハチロクと向き合い、「モノ」とは「人間のために機能する存在」であるというハチロクに、それは事故にあってからの主人公も同じで、「モノ」だったと語る。しかし、今は自分の意志でハチロクが欲しいという思いを感じており、これが自分が人間として得た最初の感情だとハチロクに告白する。ハチロクも自分が「モノ」から「女」になったことを実感し、2人は恋人となる。

かなり丁寧に「モノ」もしくは「ロボット」であるハチロクに主人公が惹かれていく過程を描き、またハチロクも最初から人間らしい感情を持っていたので、特にロボットだからということは感じなかった。やはりこのあたりは描写の仕方なのだろうと思った。

頭取は台風の一件から計画を考え直し、エアクラ工場を別の場所に作り、御一夜を九洲の鉄道の集約地として各地と線路をつなげていく、「大九洲SL構想」をぶち上げる。エアクラ機は重量制限の面からエアクラで輸送できず、また日本人は自走での納品を嫌がるため、鉄道を用いてエアクラ機を輸送することは、エアクラ社にとってもメリットがあった。これで御一夜への工場誘致は正式に撤回されることとなった。

またハチロクは主人公と付き合いだすが、自分がレイルロオド故主人公との間に子を作れないことを気にしていた。主人公は遺伝子を残す方法は子を為す事だけではなく、人々の記憶に残ることで、記憶の遺伝子を伝えていけると、ハチロクに言う。そして主人公はハチロクにプロポーズする。結婚のためには戸籍が必要だったがそれは名前があれば取得可能であることをポーレットが調べてくれる。ハチロクは形式名称のため、ハチロクには名前が無く、主人公が「すず」(凛としていて、鈴の音のように輝いている)という名前をハチロクに与える。

最後は「行くぞ、ハチロク。」という主人公のセリフに合わせて「はい、双鉄様!」というハチロクのセリフが字幕なしで入ったところでEDが流れる。この演出は結構好き。

アフター以降、仕事の時は字幕のキャラ名がハチロクとなるが、主人公とのプライベートのときはキャラ名がすずとなるのが細かくてよかった。

レイルロオドは子が為せないということは、アフターのメインとなる重要な要素となる。これについては後述。

このルートでも1クリックでの時間の跳躍はあるが、それが気にならないくらい主人公とハチロク周りの心情の変化や成長がはっきり描かれていて、とてもよかった。

Hシーンは無印5+無印アペンド4+アフター3となっており、れいなとの3Pが1つある。数が優遇されているだけでなく、服装、プレイ内容にもかなりバリエーションがあり、また他2人と比べてCGの構図やキャラの表情等においても優遇されている印象を受けた。

ちなみにれいなとの3Pについては、ハチロクに告白してからの話で、主人公がキハ07Sでれいなと仕事をする機会が多くなり、その際主人公がれいなに対して過剰なスキンシップを取っていたことかられいなが主人公に対してシーリングを解放してしまったという話。れいなは何もわからずポーレットに相談からのポーレットがハチロクに相談し、ハチロクが教導としてれいなに教えてあげながらセックスをする、というもの。ヒロイン2人ともがレイルロオドであることからの、2人の感情の共有描写が特徴的だった。

 

ハチロクの声優は桐谷華さん。本当に何もいう事がなく、ただただ感謝するのみである。エロゲに声を当ててくださってありがとうございます。アフターに入ってすぐも全く演技に違和感がなくブランクを感じさせないのはさすがの一言。

 

 

アフターは本編の6年後から始まる。「大九洲SL構想」が全国の大手鉄道会社にパクられてしまい、御一夜鉄道株式会社も収益は年々増加しているものの、全国に比べると少ないものであった。そこで御一夜鉄道は、かねてから進めてきた鹿兒島(鹿児島)の「みかん鉄道」との業務提携を本格的に開始することにする。これは御一夜鉄道が主体となって延伸した路線をみかん鉄道へ貸与する代わりに、車両を1台譲ってもらい、その車両に既存の路線を任せ、8620で新路線を走って集客につなげるというものであった。これは鉄道ファンの間で有名な名所の1つである小畑(おこば、大畑)を含む路線であるため、集客への期待は大であった。その話を主人公、ハチロク、稀咲、頭取でしていたとき、稀咲の元秘書の人が訪ねてくる。彼女は他ルートでも登場するが、本ルートでは寿退社しており、赤ちゃんを連れて遊びにきたのだった。ハチロクは初めて赤ちゃんを抱っこさせてもらい、それで主人公との子がどうしても欲しくなってしまった。主人公は日々姫と真闇を通してそのことに気付かせてもらい、その夢をかなえるための方法を模索することをハチロクと約束する。

そんなとき、急にみかん鉄道から譲渡予定の機関車とレイルロオドが来ることが決まった。準備を進めていた中での突然の前倒しに御一夜鉄道側は混乱するが、ポーレットが早く私たちと働きたいと思ってくれたのだ、という言葉を信じて歓迎会の用意をする。しかし、業務終了後にやってきたその機関車から降りてきたレイルロオドは号泣しており、担当機関士は足早にその場から帰ってしまったのだった。

 

ハチロクアフターは実質オリヴィルートといっても過言のない内容である。よってこれ以降はオリヴィをメインとして話を進めていく。

 

 オリヴィ 

 

冥国(メリケン)製汎用型レイルロオド。日ノ本で製造されたレイルロオドと異なり、マスターシステムを採用せず、特定のマスターを持たない。これは広大な冥国を走る機関車が、交代制勤務だったからに依るものである。また同様の理由で専用の機関車を持たず、どんな機関車にもある程度合わせて乗務できる。今のオリヴィはⅨ号機関車に乗務している。性格は明るく、子どものように癇癪をおこすこともあるが、製造されてから100年を超える大ベテランであり、機体寿命が限界に近付いている。そのため、通常は8年に1回でよい全身点検を毎年受けなくてはならないと義務付けられている(稼働50年を超えたレイルロオドは4年に1回で、ハチロクとれいなはこれにあたる)。みかん鉄道が大好きで、移籍してからも最後まで帽子のマークを外さなかった。ハチロクと同じで動力源は石炭だが、口が小さく丸かじりができないため、アイスピックで細かく砕いだ石炭を好む。

ポーレットはレイルロオドに人格を認め、その意見を聞くなど会社運営に当たってレイルロオドに配慮しているが、旧帝鉄の流れを組む会社(みかん鉄道を含む)では、レイルロオドは鉄道部品であり、命令以外の支持は存在していなかった。そのためポーレットは、みかん鉄道との会社としての話し合いの中でオリヴィの説得を行ってくれるものと考えていたが、みかん鉄道側ではオリヴィに対し、御一夜鉄道への移籍を命じただけで、自分が捨てられたと考えたオリヴィは自暴自棄になり、みかん鉄道を一秒でも早く飛び出してきた、というのが真相だった。

また、その言動とハチロクより小さい容姿、さらに顔合わせ初日に号泣して疲れて眠り、ハチロクが添い寝したことから、ハチロクはオリヴィを子ども扱いするようになってしまい、それがオリヴィの気にくわなかった。次の日からオリヴィは明るく振舞い、ポーレットと主人公から与えられた仕事に従事してくれるが、ハチロクはオリヴィが感情の共感を拒絶していることが気になっていた。

Ⅸ号の既存路線での試験運転はうまくいくが、オリヴィから線路の状態について指摘される。オリヴィは御一夜鉄道の中の誰よりも保線に詳しく、主人公とポーレットはその知識を活用できないかと考え始める。

また、主人公とポーレットは、もしオリヴィが機能停止してしまった場合どうするかについて話し合いを行う。これはオリヴィの状態が思ったより悪かったためであったが、それをオリヴィに聞かれてしまう。オリヴィは自分がまた捨てられると思い込み、自分が消耗品で、マスターのいない、代わりの利く存在であるという本音を吐露する。オリヴィは主人公とハチロクの関係に嫉妬し、壊れた後の事を心配されるという事は自分を信頼していないという事だ、と述べる。オリヴィはみかん鉄道で一緒だった宗方(むなかた)という機関士(58)のことが好きで、マスターになって欲しいと夢見ていたが、それはかなわないこともわかっていた。主人公は自分の境遇に絶望しているオリヴィに対し、レイルロオドの寿命を延ばす研究をしている人を探す手伝いをすると提案し、オリヴィもそれをわずかな希望として空元気を出して立ち上がる。しかし、興奮してしまったせいか、オリヴィは熱暴走を起こし、意識を失ってしまう。これは機体の老朽化によるもので、直す術は存在しなかった。オリヴィは冷水で冷やすことにより意識を取り戻したが、オリヴィの残り寿命に対しての不安を隠せない主人公たちであった。

主人公は電車姫を通してレイルロオドの寿命の研究についての話を聞くが、現時点ではオリヴィのためにしてあげられることはなかった。ただ、体温を毎日測ることで、安静にしておかなければならない日がわかるということを教えてもらう。さらにポーレットは、御一夜鉄道の資産では毎年オリヴィに全検を受けさせることができないという指摘を稀咲から受ける。そこで、代替案として、全検を受けられず、安全のため乗務ができなくなっても、オリヴィには保線等で働いてくれるように提案し、オリヴィはそれを受け入れる。また、そのときのため、後進としてニイロクを説得する。ニイロクはポーレットルートでも出てきたが、詳しくはニイロクルートで説明する。

オリヴィも自分の知識や経験を誰かに伝えたい、と考えるようになっており、伝えることは残す事だ、という考えにたどり着く。これは主人公とハチロクの子ども問題にも共通することである。

また時は過ぎ、Ⅸ号機関車をオリヴィ、日々姫、凪で完璧に運転できるようになったため、新バーベキュートレイン「もくもくオリヴィ 1号」の運転が開始する。主人公とハチロクは8620での新路線運行に向けての試験運転を開始する。また、主人公、ハチロク、オリヴィはレイルロオドの寿命延長の研究のための情報収集のため、旺宮(大宮)にある鉄道歴史館へと出張に行く。そこではレイルロオド、ひよこが館長として勤めていた。ひよこは自らを不死鳥博士と呼んでほしいといい、オリヴィが検査を受けている間、ハチロクと主人公に研究について話をしてくれる。

レイルロオドが整備体、運転体の換装に使ったり、再起動に使ったりするタブレットという部品はいわばレイルロオドの魂と呼べるものであり、それは世界のとある一族にしか作成できなかったが、いまや不審死により一族は途絶えてしまっていた。つまり、いくら体を直しても、魂が摩耗していくと人間で言う老衰のような状態になり、永久に稼働することはできない。そしてレイルロオドに魂があるとすると、レイルロオドは人間とは別の「種族」であり、シーリング解放は記憶を次世代へつなげ、タブレットの増殖の役割を果たすためのキーではないか、という仮説である。ひよこはその研究のため、ハチロクタブレットを複製させてほしいと頼み、ハチロクは了承する。また、オリヴィが本当に壊れそうになったときに、技術の進歩が起こるまで凍結保存をするよう勧めるが、オリヴィは即座にこれを断る。オリヴィはまだ、今の人たちと自分のつながりしか考えることができず、自分の知っている人がいなくなった世界で再び目覚めても意味がないと考えていた。これに対し、主人公とハチロクで、オリヴィに家族の絆について伝えていこうと決意する。

再び御一夜に戻り、試験運転を続けるハチロクと主人公、オリヴィたちだったが、そこで線路の不陸(線路が浮き上がっていること)を発見する。これを放置すると重大な事故につながりかねないと判断した主人公たちは、みかん鉄道から宗方さんを応援として呼び、原因の調査を開始する。しかし原因は不明で、御一夜鉄道側は見張り小屋を建てて地点を監視するほか、周辺への聞き込みを行う以外に手がなくなる。ポーレットは2年後の宗方さんの定年退職後に、保線の専門家として御一夜鉄道での再雇用を提案し、宗方さんはこれを受け入れる。オリヴィはこれに大喜びし、2年後を迎えるまでがオリヴィの生きる希望になる。

また宗方さんも御一夜鉄道で少しの間ともに仕事をするうちにオリヴィを大事にしている様子が伝わってくる。最初はオリヴィに返事をしなかったり、お礼を言わなかったりした宗方さんにいい思いを持っていなかった主人公だったが、宗方さんのことを見直すようになる。またオリヴィは一番最初から「モノ」として宗方さんの役に立てるのが嬉しくてしょうがない様子であった。この不器用なオジサンとオリヴィの関係がすごくよくて、好きだった。

そして1年の時が流れる。オリヴィはニイロクを完全に後進として育て切り、日々姫、凪、赤井宮司の誰と乗っても完璧な運転ができるようになったので、乗務を引退することを決める。そして、いまだ不明であった不陸地点の調査に本腰を入れることにする。オリヴィは宗方に初めて頼み事をされた、この場所の原因調査に張り切っていたが、オリヴィの体温が活動危険域を越え、オリヴィは2週間ほど安静にしていることを余儀なくされる。しかし、自分の身体がもうこれ以上体温が下がることはないことを感覚で理解したオリヴィは、体温計(口の中で測るタイプ)を誤魔化し、仕事へと向かった。しばらくぶりにオリヴィが不陸地点で聞き込みをすると、付近の井戸水に砂が混じっていることが発覚する。これは霧縞山(霧島)の火山活動が活発になっていたせいで、これが不陸の原因だった。つまり、地中深くにあった水蒸気溜まりが、火山活動の活発化のせいで膨張し、それが地面を押し上げていたのだ。御一夜鉄道は会社として、シフトを組んでしばらく24時間体制で監視にあたることを決めるが、オリヴィはその最初の夜番を志願する。その日の夜番は主人公、ハチロク、オリヴィの3人となり、主人公が仮眠をとっている間、ハチロクとオリヴィは話をする。そこでオリヴィは、ハチロクに対してタブレットレベルでの共感解放、つまりすべての感情の共有をしてみるかと提案する。かねてより、オリヴィが深いところの共感を切っていたことが心配だったハチロクはすぐこれに応じるが、共感を行ったとたん、魂に響くような痛みが体を突き抜け、震えが止まらなくなる。これはオリヴィの機体に経年劣化による過剰な負荷がかかっており、安全のための機能停止の推奨が痛みの感覚となって心に流れ込んでいたためであった。オリヴィはもうずっと、笑顔の裏でこの痛みに耐え続けてきたが、もう長くは耐えられそうもないことをハチロクに語る。2人は以前の話の続きで、自分を誰かの記憶に残したいという気持ちはあるけれど、それは不特定多数ではなく、本当はたった1人の思い出に残っていればいい、という話をする。そのたった1人が、ハチロクにとっての主人公、オリヴィにとっての宗方さんであった。オリヴィが皆のことを大切に思っているように、逆もまたそうだということに気付けたオリヴィは、本当の意味で分かり合えたが、そのとき火山の影響で不陸地点に水蒸気爆発が起こり、付近が陥没してしまう。さらに、様子を見に行こうと立ち上がったオリヴィは、異常発熱により倒れてしまう。ハチロクはオリヴィと全感情を共有することで痛みを半分に分け合い、かろうじてオリヴィの意識を取り戻させる。そしてオリヴィの指示で、急ピッチで線路の復旧にあたる。今までオリヴィは「モノ」として扱われてきたため、末端の仕事しかしてこなかったが、初めて司令塔となったオリヴィは頼もしく、ハチロクが動けないオリヴィに代わって現場の様子を共感で伝えることで作業はスムーズに終わった。

数時間後、主人公たちがオリヴィとハチロクを迎えにやってくる。オリヴィはもう体を動かすことができず、オリヴィがもう長くないことを悟っていた主人公とポーレットは、宗方さんを招待し、オリヴィの引退列車を走らせることを決める。それから数時間後、御一夜から延伸した線路をみかん鉄道の終点まで、宗方機関士と主人公、日々姫を機関助士、ハチロクをレイルロオドとしてⅨ号機関車が走ることが決まる。ポーレットがマスコミへ流した情報によって沿道にはたくさんの人々が集まり、また客車は満員になった。オリヴィはもう目も見えなくなっていたが、それでも宗方さんの膝の上で楽しそうにしていた。もう一度だけ、Ⅸ号機関車で宗方さんと走りたいという夢がかなったのだ。機関車が途中駅に停まるたび、追加客車の要請を受けて、客車は長くなっていった。また、オリヴィは走行中に今までの主人公たちとの思い出を語り、皆への感謝を口にした。夕方になり、オリヴィがいつも自慢していたみかん鉄道の路線へと入った。オリヴィは感覚だけで、自分が世界一好きな景色、夕暮れの海岸線を走るⅨ号機関車からの車窓、を主人公たちにお礼だと紹介する。そして最後のお願いとして、宗方さんのことを「My Master」と呼び、機能を停止する。

オリヴィが段々と止まっていくことを察しての宗方さんの演技、実はオリヴィのために石炭とアイスピックをポケットに常備していたこと、そして慟哭の演技が相まって最高に感動するシーンだった。感動させるためのすべての描写、布石が丁寧で、その間ずっと画面がオリヴィの顔から切れないのもよかった。

正直ハチロクルートとしてみると、ハチロクが脇役になってしまっているが、オリヴィルートとして見てみると、最高で、予定調和的な死もここまでお膳立てされてしまうと感動せざるを得ない。

このいわゆる「死にかけのヒロイン」シチュは私の好きな展開の1つで、さらにかなり出来がよかったので、このルートだけでかなり満足している。あまり語ると異常者になってしまうのでこのぐらいにしておくが。

エロゲという媒体でありながら、このような展開であるため、オリヴィにHシーンが1つも存在しないのは少し残念だった。

他ルートでは展開の早さや、設定的な矛盾点が気になるところもあったが、このルートでは、オリヴィの最期という書きたいことに向かって最適なプロットを組んでいる印象があり、そこがしっかり描けていたので他の所は気にならなかったこともよいことだと思った。ポーレットが市長の3期目をやっていて、日々姫ルートで主人公の支えが無いから辞任する羽目になっていたのはなんだったのか。

 

 

そして、残念ながらもう少し続いてしまう。

さらに1年後、ひよこの研究の成果が出て、オリヴィのタブレットから2つのロオドコア(魂のようなもの)を精製することに成功する。1人は「こだま」というレイルロオドで、宗方さんのことを「マスター」と呼び、まだ見ぬ特急系電車のレイルロオドになりたいと願う女の子、もう1人は名前は不明で、主人公たちを家族だと思っている女の子だった。その女の子が主人公の家にひよこに連れられてやってきて、「おかえりなさい。」と出迎えるところで話は終わる。

 

生き返り、転生は個人的には大嫌いで、綺麗に終わった物語に蛇足以外の要素を見つけることが不可能なレベルなのだが、これは機械であるレイルロオドが転生したと考えられるので、リサイクル的な意味でギリセーフなのか?という感想を抱いた。ただ、せっかくの感動がやや薄れてしまったのは事実。

 

オリヴィのCVは知らない名前だが、声を聞けば一発でわかる藤咲ウサさん。オリヴィの元気の良さ、悩んでいるときの声、死に際と演じ分けられていて、かわいかったと思う。

 

 

 

 

そして、素晴らしいルートであったがゆえに目立ってしまったのでここに記載しておくが、本ルートは保線に関する説明や火山の説明など図が多用されており、わかりやすくなっているのだが、2か所ほどで地の文で説明されている図がCGにない部分があった。また地の文では図が書かれていることになっているのに、白紙のCGが映ったところもあった。さらに、ハチロクのシーン中に3回ほど、ハチロクの一人称が「わたし」になっているところが存在し、これはおそらく誤植であろうと思われる。さらに全体を通して同一シーン内でもピー音が統一されていない部分もあり、チェックの甘さが際立った。

こういう誰でもチェックできる箇所で評価を落とすのはもったいない。

 

 

残すはサブヒロインを何人か残すのみとなったので、また進めていきたい。