shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題34

 

 

みなさんこんにちは、shanです。

今回も久しぶりの投稿となります。

 

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穢翼のユースティア Official Web -Main Page-

 

2011年4月28日にオーガストより発売された「穢翼のユースティア」です。

オーガストと言えばいずれもアニメ化されている「夜明け前より瑠璃色な」そして時系列的にはこの作品の後に発売された「大図書館の羊飼い」が有名だと思いますが、そのほかにも「月は東に日は西に 〜Operation Sanctuary〜」「FORTUNE ARTERIAL」と合計4作品ものアニメ化実績を持つ、かなりの大御所ブランドというイメージがあります。

本作は、それまでのオーガストの作風であった「明るく楽しい雰囲気」を打ち破る新しい企画として開発された作品で、ダークな世界観、シリアスなストーリー、ハッピーでないエンドなどが盛り込まれています。

オーガストといえば最近では2017年12月にサービスをスタートさせたソシャゲ「 あいりすミスティリア!〜少女のつむぐ夢の秘跡〜」が謎のヒットぶりを見せていることにも言及しなければなりません。特にこの「あいミス」に関しては、Youtubeで「あいミスRADIO!」やその他声優さんによる解説動画を上げるなどかなり力を入れている印象があります。なお、本作のキャラは世界観の違いからかコラボさせてもらっていない模様...。昨今のエロゲ業界の衰退に反して、ソシャゲで成功したオーガストは逃げ道を見つけることができたのかもしれません。

 

どうでもいいですが、本作のタイトル「あいよくのユースティア」って初見だと読めなくないですか?私は「えよくのユースティティア」だとずっと思っていました...。

 

本年2021年はオーガスト創立20周年にあたり、前から興味のあったこの作品がfanza様で半額セールをしており、今回プレイすることができました。

前評判に違わずかなり重厚で長いストーリーだったので、ストーリー解説が長くなりますが、ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略対象ヒロインは6人。シナリオは大きな一本の流れに沿って進み、真ヒロイン以外のヒロインのルートに入ると最後の真実にたどり着くことができない、いわゆる途中下車方式をとっている。したがって、おすすめ攻略順はシナリオの流れに従って

フィオネ→エリス→コレット→ラヴィリア→リシア→ティア となる。

また各ヒロインのルートをクリアすると、おまけとして関連したSSが順次解放されていく。

総プレイ時間は20~30時間。

回想数は

フィオネ      2+2

エリス            2+2

コレット        2+1(ラヴィリアと3P)

ラヴィリア     1+1(コレットと3P)

リシア           2+2

ティア           1+3

リサ、クローディア、アイリス 各+1

(+はおまけシナリオ中の回数)

 

 

・あらすじ

 

「ノーヴァス・アイテル」、それはかつて人間が神に見捨てられ、地上が混沌に飲み込まれたとき、聖女イレーヌによる祈りによって神に赦され、空に浮かんだ都市である。以後数百年に渡ってこの都市は代々の聖女の祈りによって空に浮かんできた。しかし十数年前、「大崩落(グラン・フォルテ)」と呼ばれる大地震が起き、それまで貴族たちの住む上層と、平民の住む下層に分かれていた都市の下層の一部が地盤沈下した。この災害により一部の地域は地上に崩落して多くの死者を出し、また沈下した地域は「特別被災地区」通称「牢獄」と呼ばれるようになった。牢獄の周りは断崖絶壁となり、国が関所を作って下層との往来を制限した他、支援を渋ったことで治安が悪化し、窃盗や殺人が横行するようになったが、「不蝕金鎖(ふしょくきんさ)」と呼ばれるマフィアのような組織が台頭し、牢獄を取り仕切るようになって規律が生まれた。

主人公カイム・アストレアは「大崩落」によって下層から牢獄に落ち、生き倒れていたところを不蝕金鎖の初代頭領に拾われ、暗殺者として過ごしてきた。今は不蝕金鎖の頭領は2代目である息子のジークに代わり、主人公は不蝕金鎖の経営する娼館「リリウム」の何でも屋として、生計を立てていた。ジークとは先代の統治時に一緒に仕事で死地をくぐり合った仲であり、主人公はジークに便宜を図ってもらいながら、友人として組織に属さない立場になっていた。そんなある日、主人公はジークの依頼で上層から売られてきた娼婦を乗せた馬車を迎えに行く任務を任される。裏路地で馬車を発見した主人公が見たのは、娼婦たちの惨殺死体と、1人だけ生き残っていた少女、ユースティア(通称ティア)の姿だった。主人公がティアを抱きかかえた時、ティアの身体から謎の光が放たれる。それは「大崩落」のときに空を覆ったのとまったく同じ光だった。光が収まった時、主人公はティアの背中に小さな白い羽が生えていることに気付く。これは羽化病と呼ばれる症状で、「ノーヴァス・アイテル」においては伝染病として国による取り締まりが行われている病気だった。主人公は周りに反対されながらも、「大崩落」とティアから放たれた光の関係性を探るため、襲撃時の情報を引き出す名目でティアと共に暮らすことにする。ティアは上層で貴族の家の召使いをしており、暴力を振るわれていたためにおどおどしていて主体性が無く、すぐに謝る癖があった。主人公は襲撃当時のことを覚えていないというティアの記憶を取り戻すためティアに優しく接するが、ティアは情報を引き出された後は用済みとして放り出されることがわかっていたために忘れたフリをしていた。牢獄には羽化病罹患者を「保護」し、治癒院に送る仕事をしている防疫局強制執行部、通称「羽狩り」と呼ばれる国家組織がおり、治癒院に送られた後帰ってきたものはいないことから、牢獄民は「羽狩り」に不信感を抱いていた。主人公は「羽狩り」からティアを匿いながら、牢獄内を巡ってティアの好感度を上げる日々を過ごし、主人公側もティアに情が移ってくる。そんなある日、「羽狩り」の執行現場を見てしまったティアは、自分のせいで主人公に迷惑をかけないように、主人公の家を出ていくことを決意する。ティアは主人公にウソをついていたことを謝罪し、睡眠薬入りのお茶を飲ませて主人公の家を飛び出す。主人公が優しくしてくれるのは情報が欲しいためだと分かっていたが、それでも優しくしてくれたのはうれしかったし、自分が主人公にずっとウソをついていることに耐えられなかったと、平和ボケしたことを語るティア。このティアの性格は本編全体を通して主人公の心を溶かしていくことになる。

ティアはすぐに「羽狩り」に捕まってしまうが、謎の存在により「羽狩り」は殺され、ティアもまた死んでしまう。しかし、目が覚めて急いで追いかけてきた主人公が目にしたのは、この前と同じ光を発して生き返るティアの姿だった。

 

ここでOPが流れる。始まりから固有名詞や世界観の説明が多く、理解に時間がかかる。また個人的にだが、横文字の登場人物名は物語に入りこむのが遅く感じてしまう。

主人公は大崩落、暗殺者などの今までの経験から人生に絶望しきっており、「生きていることに意味なんてない」というのが信条となっている。その割には主人公らしく、登場するヒロインにはツンデレで根は優しいところをみせる。一方ティアは「自分には生まれてきた意味がある」が信条であり、その対比が物語全体を通して重要になってくる。

 

主人公はティアを連れて家に戻り、光の事を調べるために改めてティアと一緒に暮らすことにする。そのため主人公は金貨500枚で、一応娼婦扱いとなっていたティアを身請する。そんなとき、主人公はジークに、最近牢獄を騒がせている連続殺人事件の容疑者である「黒羽」についての捜査を「羽狩り」と協力して行うように依頼される。「黒羽」とは現場に黒い羽が落ちていることからつけられた名前で、正体は人間ではないという噂まであった。

以降は個別ルートに入るため、キャラ紹介欄で説明することにする。

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20211024000748p:plain フィオネ・シルヴァリア 162.6-87-57-83

 

身長が小数第一位まで設定されているのって珍しくないですか??

 

防疫局強制執行部特別被災地区隊の隊長を務めている。父は政治家、兄は先代の隊長という役人の家に生まれ(母は言及無し)、清廉だが堅物で冗談が通じず、融通の利かない性格をしている。防疫局が「羽狩り」という蔑称で呼ばれていることに耐えられず、何度も訂正する場面があるが、一方で自らの手で羽化病罹患者を疑惑のある治癒院に送ることにおいては割り切れていないところもある。

主人公はフィオネとそれぞれの組織の構成員と協力して、「黒羽」の調査を進める。調査の途中でフィオネに対する信頼度の上がる選択を取ると、フィオネルートに入る。調査が進み、「羽狩り」内に内通者がいると踏んだ主人公は、フィオネに黙って囮捜査を行い、「黒羽」をおびき寄せる。主人公と駆け付けたフィオネによって「黒羽」は捕縛されるが、その正体はフィオネの隊の副隊長だった。彼は天使崇拝思想を持ち、羽化病罹患者通称「羽付き」は天使の姿を冒涜する存在だとして「黒羽」の噂を利用して「羽付き」のみを選別して殺していた。フィオネは自分の隊員、しかも副隊長が保護対象である「羽付き」を殺していたことにショックを受けるが、何とか気持ちを整理して本物の「黒羽」の調査を進める。

そんな中フィオネは主人公に対する好感度を高め、一緒に食事をする仲になるが、ふとしたことからフィオネはティアが「羽付き」であることを知ってしまう。主人公の知人であるティアを「保護」するかどうか葛藤するフィオネだったが、さらに本物の「黒羽」に遭遇し、その正体が失踪した自分の兄であることに気付いてしまう。「黒羽」の相次ぐ出現によって「羽狩り」と不蝕金鎖両方に被害が及び、組織の構成員たちは「黒羽」の抹殺に向けて進んでいく。それでも兄を殺したくないフィオネは主人公にティアのことを見逃す代わりに、「黒羽」と対峙したときに時間を稼ぐように交渉を行う。役人としての矜持を曲げてでも取引を持ち掛けたフィオネに対し、主人公はそれを了承する。主人公とフィオネは「黒羽」をおびき寄せ、フィオネの語り掛けによって「黒羽」は一瞬人間としての理性を取り戻す。しかし、その状態は長くは続かず、黒羽は途切れ途切れの意識の中で、自らを殺すようにと頼む。主人公はそれを受け入れて「黒羽」を殺し、「黒羽」は最期の言葉として治癒院では人体実験が行われ、保護された人々は殺されていること、自分は施設に潜入したが捕まって改造され、このような姿になったこと、さらにフィオネに対し、自由に生きること、剣に振られず自らの意志で剣を振ることを伝えて息絶える。

フィオネは「羽付き」になった父親を治癒院に送った過去があり、自分が今まで行ってきた「羽狩り」としての仕事の真実を知って呆然となり、「羽狩り」を辞めることを決める。さらに家も売却すると言いだし、過去の自分を捨てるために自暴自棄になっていることを危惧した主人公は、フィオネと一緒に牢獄で暮らすことを提案する。それからしばらくして、フィオネは主人公と同じく娼館の用心棒として働き、牢獄の治安維持に貢献していた。ティアは主人公の家を出て、主人公やジークが懇意にしている、不蝕金鎖の先代が身請した元娼婦、メルトが営む酒場「ヴィノレタ」で住み込みで働いていた。主人公とフィオネは牢獄の仲間に見守られながら、ヴィノレタで結婚式を挙げるところで終わり。

アフターのSSは2つ。「浴槽と湯気」は、風呂好きのフィオネが牢獄の主人公の家にバスタブを購入し、初めて入った風呂で主人公とHする話。「新婚の調理場」は長期出張から帰ってきた主人公が、朝から台所でフィオネとHする話。

普段は厳格だが、主人公と付き合うとデレモードに入るフィオネが可愛い。やはりギャップ萌えは正義。主人公と牢獄で過ごすことで、性格が柔らかくなっていくのもいい。ちなみに人気投票では2位。ルートシナリオとしては、物語序盤であるためか作品の紹介程度のものに思え、黒羽の正体もテンプレだと思ったが、その処理の仕方を含めてダークな世界観にはふさわしい話となっていたように思う。

CVは橘桜さん。特記することはないが、普通に上手だったと思う。

 

フィオネに対する信頼度が低いと、「黒羽」を殺す役目が主人公からフィオネに代わる。主人公は実の兄である「黒羽」をフィオネ自身に殺させることで、フィオネに後始末を自分でつけさせようとするが、「黒羽」を殺して話を聞いたフィオネは心が折れてしまう。主人公は自分がフィオネを支える代わりに、フィオネの人生をわざと侮辱することで、その言葉を撤回させ、主人公を見返すことを原動力にさせてフィオネを立ち直らせる。自分の足で再び立つことができたフィオネは防疫局に残り、情報を集めて真実を突き止める道を選ぶ。主人公とは決別の道を行き、好感度はゼロかマイナスに戻ってしまう。

 

 

f:id:shanxdl:20211024010318p:plain エリス・フローラリア 158.8-92-56-85

 

牢獄唯一の女医で、娼婦たちから最も頼りにされている存在。性格は冷静だが不愛想で毒舌家。7年前に両親が殺され、娼婦になろうとしていた寸前に主人公が身請した。主人公に言われて、3年前に医学を身につけて医者になる。主人公からこれを機に自由に生きることを命じられたがこれを拒否。現在では主人公の家の近くに住みつつ、家事をしにやってくる。主人公の怪我の手当てをすることに生きがいを感じ、主人公に命じられれば死ぬことも厭わないようなヤンデレキャラ。主人公の家に同居し、主人公のために料理をしているティアに対して敵意を抱いている。

主人公は何度「自由に生きろ」と言っても付きまとってくるエリスとの関係を清算するために、エリスと同居してゆっくり説得をしようと考える。ティアをヴィノレタへ移し、やっと主人公と2人きりになれたことを喜ぶエリスに、主人公は再度この同居はエリスを自由にする説得を行うためのものだと告げる。主人公に自分の想いをわかってもらえず、一気に絶望に叩き落されてしまったエリスは精神的に壊れてしまい、主人公に言われたこと以外は何もできない、身請当時の精神状態に戻ってしまう。医者として頼られたときには元に戻るが、それでも主人公の気を引くためにわざと料理を失敗したり、怪我をしたり、勝手に危ないところをうろついたりと、奇行が目立つようになる。

一方主人公も、エリスを受け入れられない理由があった。エリスの両親は悪徳商人であり、不蝕金鎖の先代に言われて主人公が暗殺を行っていた。そのことが主人公のエリスに対する負い目となり、エリスを身請した理由で、エリスを抱けない理由となっていた。なお、当時のエリスは親から虐待されて部屋に閉じ込められて過ごしており、自分の事を人形だと思っていて、言われたこと以外何もできなかった。主人公は4年かけてやっとエリスを医者として人間にしたのだった。

エリスとの問題が進まない中、不蝕金鎖で抗争が起きる。相手は同じく牢獄に縄張りを持つ組織「風錆(ふうしょう」で、ジークが不蝕金鎖の2代目頭領となったことに反発して組織を抜けた、初代副頭領のベルナドとその一派が作った組織だった。風錆は不蝕金鎖が禁じている麻薬の売買で力をつけており、日常的な小競り合い、部下の引き抜き、縄張りの荒らしなどによって不蝕金鎖は段々と追い詰められていく。主人公とエリスはベルナドの接触を受け、ジークを売れば上層にある屋敷を与え、2人で暮らさせてやると持ち掛けられる。主人公はこれを利用し、誘いに乗ったフリをしてベルナドをおびき寄せて殺す作戦に参加することになる。

決戦前日、主人公は決心してエリスに、両親を殺したのは自分だと告白するが、あれからさらに壊れてしまったエリスには真剣に受け取ってもらえない。主人公はカッとなってエリスの首を絞めてしまい、それを受けてエリスは、主人公に殺されることが自分の事を見てもらえる最善の方法だという結論にたどり着く。エリスは主人公に殺してもらうためにジークの情報をベルナドに売りに行く。主人公はそれを止めに行くが、エリスに「自由になってほしい」のは、エリスのためを思ってではなく、自己満足の偽善であることをエリスに見抜かれ、論破されてしまう。

主人公には優秀な兄がおり、幼少期の主人公はいつも兄の背中を見て、兄を妬んで過ごしていた。大崩落のとき、主人公は転落しそうになった兄の手を掴むが、兄は「立派な人間になれ」という主人公にとって呪いの言葉を残して下界へ落ちていった。主人公の家の家訓において「立派な人間になる」こととは「生まれてきた意味がある人間」のことであり、牢獄での過酷な生活で人生に絶望し、それを達成できていない主人公はそのうしろめたさからエリスに「立派な人間になる」ことを押しつけていたのだ。

主人公はジークにエリスの裏切りを伝え、ジークは襲撃されるが、主人公と「羽狩り」たちの助力もあって、ベルナドを逆に捕縛することに成功する。ジークは牢獄の治安維持のため、向こうは牢獄における味方を作るため、「羽狩り」の長を務める貴族、ルキウスとの会合を行っていたのが今回の協力につながった。

主人公は襲撃の途中でエリスの話を聞く。自分は人形であり、命令がないと生きられない、だから自由はいらない。主人公のおかげで医者として人間の真似事ができるようになったが、主人公が一緒に暮らすと言ってくれたせいでまた元に戻ってしまった。主人公に自分を所有し、命令してほしい、という話だった。主人公はそれを聞き、今すぐは無理でもエリスが自立できるようになるまでエリスのそばにいることを決める。ティアはルキウスの紹介でちゃんとした羽付きの研究施設へ移り、エリスにも少しずつ主体性が生まれてきたころ、エリスの妊娠が発覚するところで終わり。

アフターSSは2つ。「花嫁衣装の記憶」は結婚式の初夜にHする話。「風邪を引いたら」は薬の調合をしているエリスと裸エプロンでHする話。

これも普段は毒舌でSっぽいキャラがデレたときの破壊力がたまらない。「イジワル」と「バカ」の言い方が最高にかわいい。娼婦を辞めたのにこんな格好で歩いてるのかと言いたくなるような衣装もかわいい。また眼鏡モードも搭載している。個人的には主人公の「目が綺麗だな」というセリフに「いる?」と返すエリスが最高にかわいい。ちなみに人気投票は4位。

シナリオ面ではエリスの好意を全て無視してただ「自由になれ」と繰り返す主人公のガイジっぷりが目に余る。あまりにもエリスがかわいそうなシナリオである。

CVは篠宮聖美さん。神代岬名義のときには取り立てて上手いと思ったことはなかったが、今回はエリスのクールな演技が抜群にうまかった。特にHシーンでの声のかすらせ方が尋常でなく上手だと思った。

 

襲撃時にエリスの話を聞いて、それでも今エリスに自立してほしいと願うと別ルートに入る。エリスは怒って主人公をナイフで刺そうとするが、主人公が身を挺してエリスを受け入れる姿勢を見せたことで思いとどまる。エリスの「生まれてきた意味」はこれから見つければいいとエリスを説得し、エリスとは今まで通りの関係を続けていくことになる。

 

最後まで主人公のいう事が変わらなかったのに、急に主人公を殺そうとしていたエリスが改心するこの展開には違和感を感じた。もう少しエリスを受け入れなかった時の展開に理由をつけられなかったものかと思う。せっかく魅力的なヤンデレヒロインだったのにここだけが残念。

 

 

f:id:shanxdl:20211024022440p:plain コレット・アナスタシア(聖女イレーヌ) 155.3-80-55-82

f:id:shanxdl:20211024022418p:plain ラヴィリア データなし

 

ベルナドの襲撃が治まってしばらくたったある日、ラヴィリアが牢獄にやってくる。彼女は聖女の使いと名乗り、ティアにあてた手紙を持ってきた。その内容は、夢で天使の信託を見たので、ティアを「天使の御子」として上層にある大聖堂で暮らすように手配する、という内容だった。主人公はその胡散臭さに、消極的だったが、ティアが行きたがったためにティアの兄という設定で大聖堂までついていくことにする。そこで主人公とティアは第29代目の聖女イレーヌと対面する。

聖女、本名コレット・アナスタシアは通称「盲目の聖女」と呼ばれ、目が見えないがなぜか大聖堂内にある聖域では目が見えるようになる。信仰心に篤く、天使の存在を信じており、たまに夢でその声を聴くことができる。負けず嫌いで頑固、純粋で論理的で、信仰心の高さからウソをつくことができない。元は貧民の生まれで、聖教会に拾われて育ち、聖職者となってその信仰心と演説能力を買って、聖女に選ばれた。聖女は毎日都市を浮かせるための祈りを行うという役割を持っている。

ラヴィリアはコレットと共に教会に拾われた身であり、今では聖女のお付きをしている。貧民時代はコレットを妹のように思っていたが、今では聖女の身を案じつつ、特定の人間をひいきしてはいけないと考える聖女によってきつく当たられることも多い。

 

主人公は聖女に、ティアが「御子」である証拠を求めるが、聖女の見た夢以上の情報はない。それは天使を信仰している聖女にとっては真実足り得るが、天使を信仰していない主人公にとっては受け入れられるものではなく、また聖女以外の聖職者たちも天使のことは信仰していないため、水面下での反発が起こっていた。それでも聖女は次の信託が降りるまでティアに大聖堂で暮らすことを頼み、主人公は聖女のチェスの相手をするという形だけの依頼を受けて留まることを決める。

ティアを追い出したい神官長と、ティアを「御子」だと信じる聖女の間で軋轢が生じ、ラヴィリアが板挟みにあう。聖女も「御子」の存在が他の聖職者に受け入れられていない事実はわかっていたが、天使を信仰する行為は自分の生きる意味そのものであり、その信仰を曲げることは生きる意味を失う事であるため、他の言い方ができなかった。そんな時、都市において地震が頻発するようになり、主人公とティアが、聖女の祈りの妨げとなっているという他の聖職者たちの不満が日に日に強くなっていき、これ以上「御子」を留めることは難しいと考えた聖女は、断食断水で祈りを捧げ続ける「不断の祈り」を執り行う事を決める。祈りは3日間行われたが、いまだ天使の信託は降りず、ラヴィリアは聖女を心配するあまり、中断を進言する。しかし、祈りを中断させるということは聖女を信じていないことと同義だとして聖女の逆鱗に触れ、ラヴィリアはお付きを解雇されてしまう。ラヴィリアの信仰は聖女を信じることであり、今回の行いは自らの信仰に反するものだという聖女の判断だった。さらに主人公は聖女から「ノーヴァス・アイテル」は聖女の祈りによって浮いているのではなく、その理由は不明であること、聖女の本当の役割は都市に何かが起こった時に人々の怒りや恨みを背負って処刑されることであること、自分はそのことを知って絶望してしまい、それが心因性の失明につながったが、天使の声を聞いたことで自らの信仰を見つけることができたこと、を告白される。

ここで物語の真相が一つ明らかになる。何のために祈るのか、誰のために祈るのか、という問題や、信仰は人によって異なるものである、という考え方は従来の宗教が絡むシナリオとは異なる方向性に思えて新鮮でよかった。

 

ラヴィリアは聖女に拒絶されて絶望してしまい、心配した主人公が部屋を訪ねると、そこで血まみれで倒れているラヴィリアを発見する。ラヴィリアはもう長い間羽化病に罹患しており、聖女のそばを離れないためにそのことを隠し、背中に生えてきた羽を定期的にナイフで切り落とし続けていた。今回は聖女に拒絶された動揺から手元が狂い、失血死しそうになるが、ティアが天使の力を発現させて羽を取り除き、ラヴィリアを救った。主人公と神官長はその現場を目撃したことで、ティアが「天使の御子」であるという聖女の言い分を信じざるを得なくなった。また聖女は離れた場所にいたにも関わらず、ティアとラヴィリアの現場の様子を細かく描写し、聖女の持つ天使のお告げを夢で見る力も本物であることがわかった。

一方都市には地震が続き、人々の不安が限界を超えようとしていた。教会は「お目見えの儀」を行って人々の不安を取り除こうとし、聖女はそこでティアの力を人々に披露するように頼む。儀式当日、聖女が姿を現した時に二度目の崩落が起こり、牢獄の一部が下界へと崩落、主人公の懇意にしていた酒場「ヴィノレタ」とその店主メルトが落ちてしまう。人々はその責任を聖女に求め、聖女の処刑を求めて暴動を起こす。主人公はメルトが死んでしまったことで怒りと悲しみを覚えるが、聖女が都市を浮かせているわけではないという真実を知ってしまったがために気持ちのやり場が無い。牢獄で暴動に巻き込まれないように聖女は大聖堂に戻り、主人公はティアをルキウスに保護させて聖女の安否を確認しに大聖堂に向かう。ルキウスとは風錆との抗争をきっかけに知り合った縁だったが、それ以降もなぜか主人公に接触し、協力を申し出てくれていた。

主人公は大聖堂でラヴィリアに、自分の全財産を報酬に聖女を連れて逃げるように依頼される。実は第29代目聖女となる予定だったのはラヴィリアの方だったが、ラヴィリアは責任を負う事を恐れてその役目をコレットに押しつけた過去があった。ラヴィリアはそのことをずっと後悔しており、聖女はそんなラヴィリアを赦してお付きとしてそばに置いたが、ラヴィリアは最後に自分が身代わりとなって処刑されることで聖女の役に立ちたいという願いを持っていた。主人公は何も知らない聖女の部屋に行き、最期にチェスを指す。やはり自分が死ぬと分かっているときの最期の会話は最高なんだよなぁ...。

聖女からは体は民のための生贄として捧げるが、心は主人公のために捧げるという告白があり、主人公はそれを受け入れてセックスする。性交を聖戒で禁じており、性知識もない処女という設定だったのに、初めてのセックスの演技、特にちゅぱ音が手慣れてい過ぎたのは笑ってしまった。事後、主人公は睡眠薬入りのワインを飲ませ、コレットを牢獄にある自分の家まで運ぶ。後日、ラヴィリアの処刑が決まり、主人公とコレットはそれを見届けに行く。ラヴィリアが最期の願いとして、貧民時代によく歌ってくれていた曲を琴で弾いたことで、ようやくコレットはラヴィリアが自分の事をどれだけ心配してくれていたかがわかり、今まで邪険に扱ってきた自分を恥じ、主人公の静止を振り切ってラヴィリアの元まで走り、謝りながら抱き合って一緒に崖から飛び降りる。CGを見る限り髪の色などの変装も全くしていないが、これで替え玉だと騙されるのが少し設定が杜撰なのではと感じた。

主人公はジークに頼んでラヴィリアが飛び降りる崖の中腹に部下を待機させており、少々予定は狂ったもののラヴィリアとコレットは無事網に引っかかって助かる。コレットジークから崩落の原因についての説明を求められ、コレットは自分が都市を浮かせていないことを説明するが、証拠がないため信じてもらえない。主人公、コレット、ラヴィリアはジークからの不信を買い、殺されそうになるが、ジークの恩情によって牢獄からの追放措置が下される。主人公たちはルキウスを頼って下層に家を貸してもらい、そこで暮らすようになるところで終わり。

他の事は証拠がないと信じないのに、聖女が都市を浮かせているという事に関しては証拠がないのに信じるというダブスタが気になった。しかし、500年もの間その価値観が一般的に受け入れられてきた世界ではそれも仕方のないことなのかもしれない。また、そんなに都合よく崖の下に網を張れるのか、という問題も気になったが、このご都合展開に関してはまあよし。失明に関しては、聖女の仕組みを知り世の中に絶望した結果としてのものだったが、ラヴィリアを助けに行く際、今まで目をそらしてきたことに向き合うという決意を固めたことで見えるようになる。

目の見えない女の子とする描写がすごくよかった(小並感)。ちなみに人気投票は5位。

なお、主人公はコレットから、牢獄での生活にこだわり、ティアを連れて大聖堂に生活拠点を移すという提案を拒むのは、前に進むのを恐れているためだと指摘される。このことはこの後の物語に重要になってくる。

 

CVは遠野そよぎさん。安定の演技でコレットの真面目な感じがよくあらわされていたと思う。ちゅぱ音が激しいのはいつもはうれしいが、この設定に限ってはちょっと緩急が欲しかった。

 

処刑前日にコレットの身体を受け入れず、聖職者としての信念を説得すると、セックスはしないことになる。その後の展開は同じだが、ジークからコレットとラヴィリアを庇うとラヴィリアルートに入る。主人公は下層で2人と暮らし始め、ラヴィリアに告白する。主人公はコレットにラヴィリアと付き合っていくことを伝え、これからも3人の生活が続いていくところで終わり。

ラヴィリアはシーンがあるもののサブヒロインなのでシナリオ的にもコレットルートのおまけのようなものである。ちなみに人気投票は6位。

ただCVが桐谷華さんであるその一点が重要で、サブヒロインに桐谷華さんを使う贅沢さを感じることができる。

 

アフターSSは「就職活動日記」の1つで、世間知らずのコレットとラヴィリアを主人公が酒場に連れていき、泥酔したラヴィリアが主人公に勢いで告白してその結果3Pになる話。

 

コレットとラヴィリアを信用せず、ジークからも2人を庇わないと別ルートに入る。コレットとラヴィリアは主人公の人質として牢獄に残り、主人公は自分が都市を浮かせている真実を調査することをジークに約束する。主人公はついに前に進むために牢獄を出ることを決意する。主人公はティアを預けていたルキウスの元に向かい、ルキウスは国家改革のため、主人公は都市の秘密を探るために協力関係を結び、情報を集めるためにルキウスの補佐官として王城へ行くことになる。

 

f:id:shanxdl:20211024141140p:plain リシア・ド・ノーヴァス・ユーリィ 146.0-73-52-76

 

「ノーヴァス・アイテル」を統治するノーヴァス王家第一王女。父である現国王が幼少期から病に伏しているため、父に代わって政治を行っている。しかし実際は実質的な国のトップである執政公ギルバルトの傀儡として承認を出すだけの存在になっていた。下々の生活を知りたいという気持ちから召使いに扮して料理や洗濯を行う事もあるが、それが自己満足であることには気づいていない。「王はすべての国民の父」であるという、父からの教えを実現しようと、牢獄を含めたすべての国民が平和に暮らせる世の中を作るという理想論を掲げている。

ルキウスはギルバルトによって腐敗してしまった国を改革したいという想いがあり、そのためにリシアをこちらの陣営に引き入れることを目的としていた。主人公は王城を散策中に召使いに扮したリシアを見つけ、王女とは知らずに接触する。リシアは主人公の話す牢獄の生の暮らしに興味を持ち、主人公を自分の話し相手として取り立てる。リシアはギルバルトの報告を鵜呑みにし、牢獄の現状について楽観視していたが、主人公とお忍びで牢獄に行き、その現実を自分の眼で確かめることで初めてギルバルトに疑いを持つようになる。

リシアは今までの自分を恥じ、国政に積極的に関わろうとするようになるが、何か質問をするたびにギルバルトにはぐらかされ、うまくいかない。またギルバルトによって、昔牢獄で暗殺者をやっていたことをリシアに隠していたことがばれ、主人公はリシアの信頼を失ってしまう。同じころ、ルキウスが、死んだと思っていた主人公の実の兄であることがルキウスの口から語られる。ルキウスは大崩落によって都市から転落したが、崖の中腹に引っかかっていた所を貴族に助けられ、以降死んでしまったその貴族の息子の代わりとして名前や髪の色、性格や仕草まですべてを変えて生きてきたという。主人公は今までそれを隠してきたルキウスに不信感を抱くが、ルキウスによって丸め込まれる。

主人公はティアを連れて王城に隠された地下を探索することになるが、謎の黒い液体に襲われ、腕に火傷を負う。液体はティアの力によって浄化されるが、その液体はティアが羽付きの羽を治すときに出る液体と同じものに見えた。ティアは力を使って気を失ってしまう。またしばらくして、ティアが何者かに襲われ、自室のベッドの上に縛られているのを主人公が発見する。主人公は犯人と対峙するが、顔を隠しているもののその太刀筋から、犯人がルキウスの腹心の部下の女であるシスティナであることがわかる。システィナは逃走し、主人公はリシアと仲直りすることに成功する。主人公は知らなかったがこれはルキウスの策であった。さらにルキウスと主人公は、エリスを噂の名医だとして国王を診察させる策を思いつく。国王の容態を見たエリスは、国王の症状は病気ではなく、今まで毒を故意に飲まされ続けてきたせいだとわかる。国王はうわごとでリシアに自分の書いた遺言を渡すように頼み、リシアがそれを読むと、自分が王妃とその愛人の間にできた子であることが書かれていた。リシアは最後まで父親からの愛情が得られず、今まで信じてきた優しい父親像もギルバルトによって刷り込まれたものであることを認め、甘えを捨てて王たらんとするための決意を固める。

ギルバルトによってルキウスへの冤罪による逮捕命令が下り、ルキウスはついに武装蜂起を決行する。主人公はクーデターの旗印としてリシアを説得する役目を受ける。リシアはクーデターにより自国の民を傷つけることにためらいを感じていたが、王になるために自分のすべてを捨てる決意を固める。

このとき、リシアは幼少期、庭師の老人に手伝ってもらって作った花冠を父親に渡しに行ったが父親である国王はリシアを邪険に扱い、それ以来リシアは花が嫌いになってしまった。リシアを呼びに来た主人公に庭師の老人が声をかけ、優しいリシアが王になるのは辛いが、もしリシアが決意を固めたならこれを渡してほしいと言って花冠を主人公に託す。主人公は王になることを決めたリシアに老人からもらった花冠をかぶせる、というエピソードがあり、これが結構感動的だった。またリシアは、王になる代わりに主人公にそばで支えてほしいと語り、主人公はそれを受け入れる。

リシア、ルキウス、主人公はクーデターを起こすが、ギルバルト率いる国王軍は強く、苦戦を強いられる。そこでリシアは中立を保っていた近衛騎士団を味方に付けようと説得に行く。近衛騎士団長であるヴァリアスは国に忠誠を誓っており、リシアの幼少期から父である国王に頼まれてリシアの教育係を務めていた。リシアは自分を叱ってばかりいるヴァリアスに反発し、今までわざと反抗的になっていたが、それが真に自分を王にしようとする教育が故であったことに気付く。ヴァリアスが自分の事を見捨てていなかったその忠義に気づいたリシアは、王にふさわしい態度をとり、ヴァリアスを説得して近衛騎士団を味方に付ける。このときヴァリアスの剣を素手で摑むリシアがかっこよかった。

リシア、ルキウス、主人公、ヴァリアスはギルバルトを探して王城内を進むが、最期にギルバルトが飼っていた狂犬である殺し屋の女、ガウが征く手を阻む。ガウは主人公と同じく牢獄で育った殺し屋で、殺すことに快感を覚え、主人公に同族意識を持っていた。主人公とヴァリアスはリシアとルキウスを先にいかせ、ガウと対決する。ヴァリアスは何本か指を失うが、ガウが主人公に執着していたため、主人公が攻撃をしのいでいる間にヴァリアスがガウを斬ることに成功する。また、城の広間ではリシアがギルバルトに最期のとどめを刺していた。クーデターは成功に終わり、現国王がまもなく衰弱死して、リシアの王としての即位が決まった。

戴冠式当日、王冠を手に持ったリシアはその裏にかつて自分が渡した花冠と、「ありがとう、わが娘」という手紙がつけられていることに気付く。本当は父親が自分を愛していたことを知ったリシアは泣きながら王冠を被る。こういうエピソードは好き。

主人公は兵たちの剣術指南役という肩書をもらって城にとどまり、「国民の母」になることを決意したリシアと共に生き、主人公もルキウスの家に養子入りして貴族となり、リシアにふさわしい人間になることを決めるところで終わり。

アフターSSは3つ。「文学王女」は主人公が貴族になった後、農場の視察という名目でリシアとデートしてリシアの手作り弁当を食べ、木陰でHする話。髪を下す差分があるところがgood。「召使い再び」は主人公のリシアへの忠告によってリシアがすね、召使いの格好をしたリシアと仲直りHする話。「二人の育児計画」では子供が生まれたと仮定したときの教育方針についての話を主人公、リシア、ルキウス、ヴァリアスでする話、Hなし。

最初は理想論を語る現実の見えない小娘と言う印象だったが、物語が進むにつれて成長していくのが描き方がうまいと思った。身分違いのヒロインではどのように周囲を納得させるかが定番の展開となるが、今作では牢獄出身というある意味被差別部落出身の主人公に対し、さしたる反発がなかった点が少し気になった。リシアを王にするためのエピソードが感動したのはよかった。

金髪ツインテで尊大な態度をとるヒロインで、アフターとはいえ髪を下したCGがあるのがよかった。もう少しデレ要素があるとなおよし。ちなみに人気投票は1位。

 

CVは海老原柚葉さん。つまり繪里子先生。演技の下手さでよく話題に上がるが、このヒロインに関して言えば全く気にならなかった。下には下がいるという事か...(IMIASM)。ただキス音はこれくらい控え目でもよかったが、フェラ音になると少し物足りなさは感じた。

 

リシアの告白を受け入れず、あくまでリシアを王にするためにリシアに協力すると別ルートに入る。このルートでは主人公のリシアに対する忠誠度が高くならず、ガウとの決闘時にヴァリアスを1人残して主人公はリシア、ルキウスと先にいくことになる。その結果、ヴァリアスはガウと相打ちして死んでしまう。リシアは死ぬ前のヴァリアスから、国王から継承した鍵を受け取り、それをもって王城内にある塔へと向かう。ガウによる時間稼ぎができていないので主人公たちは鍵を使って開けた塔でギルバルトを見つける。そこでギルバルトから真実が語られる。都市を浮かせているのは、天使の力である。500年ほど前、都市の人々は天に還ろうとした天使を捕まえてこの塔に閉じ込め、それ以来とらえた天使から力を抽出することでこの都市は浮いている。このことは代々王家の秘密となっている、ということである。ギルバルトの目的は、天使の力を用いて、恋人であるクルーヴィスを生き返らせることだった。十数年前、天使の力の研究をしていたギルバルトとルキウスの養父ネヴィルは、研究の進行に人体実験が必要となったことがわかる。ギルバルトは反対したが、ネヴィルがギルバルトの不在時に研究員であったクルーヴィスを使って勝手に実験を進め、クルーヴィスを殺してしまった挙句、実験は失敗に終わった。以降ギルバルトはネヴィルに復讐して国政の舞台から落とし、クルーヴィスを生き返らせる実験を行ってきた。「大崩落」は天使の力をクルーヴィスに移す実験の失敗により引き起こされた出来事だった。主人公はそれを聞いて激怒し、ギルバルトを殺すが、ギルバルトの最後のあがきによってクルーヴィスに天使の力を移す実験が再度行われ、実験は失敗に終わるがまた都市の一部が落ちてしまう。また、天使から抽出できる力は枯渇しかかっており、都市の未来が不穏なものであることが示唆される。リシアは王として即位し、ルキウスはティアの力を調べるための実験への協力を要請し、主人公はティアのそばにいるため、そして政権が交代して多忙になったルキウスの補佐をするために上層に残る。

ここで2回目のOPが流れる。曲も映像も異なり、ついに最終章が始まることを予感させる、いい演出だと思った。

 

f:id:shanxdl:20211024162106p:plain ユースティア・アストレア 149.6-79-54-80

 

今作の真ヒロイン。皆からはティアと呼ばれている。姓がなかったため、主人公が自分と同じものを与えた。元は上層の貴族の使用人として生活しており、暴力を振るわれていたせいか卑屈な言動が目立ったが、主人公と共に暮らしていくうちに本来の明るく能天気な性格が目立つようになる。主人公はそんなティアの純朴さに無意識のうちに救われていた。羽化病に罹患しており、当初は小さかった羽が、天使の力を使うたびに大きくなっていく。自分には生まれてきた意味がある、という信念を持っており、都市を助けるために苦痛を伴うルキウスの実験にも協力する。

ルキウスは天使の力を引き出すため、ティアに羽付きの治癒を繰り返させる。羽付きを浄化するたび、ティアは苦痛を感じるが、それが都市を救うため、自分の生まれてきた意味だと信じて実験を続ける。主人公はそんなティアを助けてやりたいと思うが、都市の安全との天秤にかけてティア一人を選ぶことができず、またルキウスにも同様の説得をされて見守ることしかできないでいた。

そんなとき、牢獄に「黒い霧」のうわさが流れていることがわかる。それが王城の地下で自分とティアを襲ったものと同じ液体だと気づいた主人公は、ルキウスの命によりティアを連れてその調査に向かう。牢獄では頻発する地震によって人々の不満が高まっていた。主人公とティアは崖を超えて下界から登ってきた黒い液体と遭遇し、ティアの力を使ってそれを浄化する。ティアは力を使ったことにより昏倒してしまい、ティアを連れて上層に戻った主人公はティアが力の代償として記憶を失いかけていることに気付く。それでも主人公は実験の中止を言いだせず、ティアも都市を守ることは主人公を守ることにつながるため、主人公のために実験を続ける。ルキウスの狙いはティアに天使の力を使わせ続けることで、ティアを天使として覚醒させることだった。ティアの苦痛は、自分の人格が天使に浸食されることで起こるものだった。実験はなかなか進まず、やがて牢獄でまたもや地震とがけ崩れが起き、人々が暴動を起こす。ルキウスは「羽狩り」を主力として武力でそれを鎮圧し、主人公も上層側としてその鎮圧に参加する。主人公は自分の行動に正しさを感じられず、その姿をジークに見られて「自分の足で立っていない」と批判され、絶交を言い渡される。一方王城では武力を用いて暴動を鎮圧したルキウスに対し、全ての国民を救いたいという信念を持つリシアとの論争が起きていた。ルキウスは大のために小を切り捨てる、という発想を究極まで論理的にした考えを持っており、人間を数字としてしか見ていなかった。リシアはルキウスとの話し合いは無意味であると悟り、主人公に対し今後武力衝突があった場合は自分を呼ぶようにと頼む。主人公はルキウスの考えを論理的に正しいと思いつつも、都市のためにティアを売った自分に対して迷いを持っていた。

迷いで動けなくなった主人公を尻目に、ルキウスはより多くの天使の力をティアに使わせるため、主人公に内緒でティアを牢獄へと連れ出し、黒い液体を浄化させる。この黒い液体は、天使の力が人間に触れて濁ったものであることがルキウスの口から語られる。さらにティアが天使に近づくにつれて、ティアは塔に囚われている天使から、「人間を見捨てろ」という干渉を受けるようになる。この干渉は天使のお告げとしてコレットの夢に現れ、コレットは塔に囚われている天使の存在と、ティアに行われている実験の存在を知る。天使を信仰しているコレットは、天使を救い出すため、反乱を起こすことを決意し、ジークと協力して不満がくすぶっている牢獄民を中心に王城に向けて立ち上がる。

牢獄と下層の境である関所で衝突が起こり、主人公は約束通りリシアを呼ぶ。関所では「羽狩り」隊長フィオネが、同じ国民である牢獄民を殺すことに迷いを覚えており、到着したリシアも武器をおさめ、話し合いによる解決を呼びかける。しかし、かけつけたルキウスによって下層+上層というより多くの民を守るため、ここで牢獄民を鎮圧するのが最適であるという説得が行われ、結局殺し合いになる。しかし、牢獄民に対して絶対的なカリスマを持つジークと救世主であるコレットを頭に据え、反乱軍の士気は高まっており、ついに関所が陥落して下層への侵入を許してしまう。

主人公は同じ牢獄の民として同胞を殺されたことによりジークに不信感を持つ。主人公はせめてティアの様子を見に行き、ティアが主人公に告白して2人はセックスするが、セックスの後でティアはこれ以上主人公の顔を見たらくじけてしまうので、もう会わないことを主人公に告げる。ティアは昔主人公が買ってやった宝物である安物のネックレスをベッドに残し、1人で実験施設に戻る。この描写はティアの子どもから女性への内心の変化が感じられてとてもよかったと思った。

次の日、反乱軍はより勢いを増し、ついに上層へと攻め入ってくるのを主人公は都市で一番高い王城から見下ろす。リシアは反乱は鎮圧できないとして、投降しようとするが、そのときルキウスが天使の力を操作して、反乱軍のいる地域を崩落させる。さらにリシアを私兵で拘束して軟禁し、戦いを続けようとする。ここでルキウスは、天使の力を操作すれば任意の地点を崩落させられること、「ノーヴァス・アイテル」はいずれ資源不足に陥ることは明らかであり、都市の人口を減らすことは必要不可欠であること、牢獄はいずれ崩落させ、人口を減らすための場所であり、そのために支援は行ってこなかったこと、を明かされる。主人公はさらにルキウスから、自分の意志がないことをつきつけられる。主人公の今までの行動は正当性や妥当性を盾に自らの意志では行動しておらず、状況に流されてルキウスの腰巾着になり下がっていた。ここまできて自分が過去に縛られ、「自分の生きる意味」を見つけられていないという呪いをとけていなかったことに気付いた主人公は生きる気力を失い、正しい行動がわからなくなってしまう。しかし、主人公は自分を買った金を返しに来たエリスに出会い、エリスが完全に自立できるようになっていたこと、自立できていなかったのは自分だったこと、大切なのは後悔しないように生きること、だということに気付く。

主人公はティアが実験を行っている塔から光が溢れる光景を見て、ティアを失いたくないという本当の気持ちに気付く。主人公は塔へティアを助けに行き、天使の横に磔にされたティアの前でルキウスと決闘する。その決闘の中で、主人公は自分が牢獄から出なかったのは前に進むことが怖く、考えずとも毎日が過ぎていく環境に甘んじていたこと、生まれてきた意味は自分で後悔しない選択をすること、だということに気付く。またルキウスも同じように自分の生まれてきた意味をなくさないように、いつまでも偽りの人格に縛られてきたのだということがわかる。主人公はルキウスを倒すが、ルキウスにとどめを刺さなかったためにルキウスがティアを天使として完全に覚醒させてしまう。

塔に囚われていた天使は、初代聖女イレーヌが変化した姿だった。500年前、当時聖職者だったイレーヌは人間の愚かさに対する救済を神に祈り続け、神によってその身を天使に変えられ、人々を導く役目を与えられたが、人間によって裏切られ、とらえられてしまった。それ以降ずっとイレーヌは人間に絶望し続け、ついに人間を滅ぼすという思想を持つに至った。ティアは天使イレーヌが天使の力を使ってクルーヴィスの死体から産ませた子で、覚醒したティアはイレーヌに浸食されて都市を滅ぼそうとしていた。主人公は最期の力を振り絞って、手足の1本を焼かれながらもティアに近づき、意識を取り戻させる。しかし、都市を支える天使の力はもう限界に近付いており、都市は下界へと落ちていくがティアが天使の力を全解放して下界の黒い液体をすべて浄化し、「ノーヴァス・アイテル」は無事に下界へと着陸することができた。主人公の手足も元に戻っていたが、ティアは天使の力の使い過ぎで肉体が消滅してしまい、意志が世界に溶けていってしまった。最期はティアが主人公の頭の中に、ずっと見守っていることを語りかけて終わり。

アフターSSは3つ。「楽園幻想」はティアと下界で農業を営みながら静かに暮らし、子作りHをする夢をみる話。「ティアの娼館初仕事」はベルナド撃破後、ティアと娼館リリウムの高級部屋でHをする話。本編でティアとHしたときに破瓜の描写があり、このSSにも破瓜の描写があるので処女膜が2枚あることになるんですが...。天使の力かな??

「カイムの覚醒」はなんでもありの夢で天使として覚醒した状態のティアとHする話。

 

f:id:shanxdl:20211024172018p:plain 天使ver

 

他人のために自分を犠牲にできる正統派のヒロインで、それゆえに尖った描写がなく、悪く言えば平凡。主人公の成長のためにも使われたキャラという印象を受ける。シナリオに関しては主人公サイドの話が圧倒的に多かった印象だが、このキャラが世界の秘密を明かす舞台装置のような役割を担ってしまった以上、ヒロインの過去描写、抱える問題の解決に分量を割けないのは仕方ない、といった考えも持てる。このキャラだけ本編中のHシーンが1回なので、本当にtrueエンドの伏線回収に忙しかったんだろうなという深読みもできる。ちなみに人気投票は3位。

エリスシナリオでもそうだったが、同じことを延々と考えて一向に前に進まない主人公にはイライラさせられた。アウトロー系の主人公でこの女々しさは悪い意味でギャップ。

 

CVは森保しほさん。つまりジョルノさん。演技に関しては特にいう事はなかったが、収録時期の問題なのか、常に鼻声なのが気になった。そこだけが残念。

 

・その他

アフターSSとして、リリウムで働く娼婦であるリサ、クローディア、アイリスとのHシーンが1回ずつある。こちらは特筆すべきことはなし。

またHシーン以外は主人公にも声があり、近藤隆さんが担当している。Hシーンの前のキスに移るところぐらいまでは声があるので、乙女ゲーさながらの主人公のボイスを聞くことができる。

さらに今作には数多くのサブキャラが出演するが、その声優も豪華であり、高橋広樹三木眞一郎谷山紀章杉山紀彰、 一条和矢藤原啓治伊藤健太郎が出演している。

さらにOPである「Asphodelus -アスフォデルス-」は壮大なサウンドが雰囲気にあっていて、好き。

 

・終わりに

 

重厚なシナリオという前評判にふさわしい出来だったと思う。細かい矛盾点はあるが気にならないほどであり、全編を通してシリアスな雰囲気が持続する中で、それでも飽きないような引き込まれるシナリオになっていたと思う。