shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題23-4

 

 

シリーズ最終章。

 

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9-nine-ゆきいろゆきはなゆきのあと

 

「9-nine-」シリーズ4作目、2020年4月24日に発売された、「9-nine-ゆきいろゆきはなゆきのあと」です。「9-nine-」シリーズの最終章であり、物語の謎が全て明かされるため、今までの3作と比べるとボリュームが増し、力の入れ具合も感じました。

キャッチコピーは「少女の夢——その果てに。」

今まであまり素性が明かされてこなかったヒロイン、結城希亜(ゆうきのあ)をメインヒロインとした、Trueルートと言える作品です。


前回の感想はこちら。

無題23-3 - shanの落書き帳

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

今作も選択肢が1択で完全な1本道シナリオとなっており、攻略も希亜以外できない。

プレイ時間は10~12時間くらいと前作までに比べて少し長いが、回想シーン数は同様に3回。

 

・あらすじ

 

前作「はるいろ」のエピローグで言及のあった、「ナイン」とソフィの会話からスタート。ソフィは人型の実体をとっており、この空間は「ソフィの世界」と表示されることから、異世界にいるソフィ視点だとわかる。ソフィはイーリスを倒すため、「ナイン」に対して「オーバーロード」を使いこなし、「はるいろ」の枝のラストで今度こそ完全にイーリスを倒せるように準備を整えるように依頼する。

ここでゲームのシステムに「オーバーロード」という名前で、いわゆるフローチャートが現れるようになり、ゲームをプレイしている我々が、これまでの3作の枝の内容を視覚的に俯瞰できるようになる。加えて、ソフィが「ナイン」に対して「反応がないため一方的に話している」という趣旨の会話をするため、「ナイン」=「ゲームをプレイしている我々」ともとらえることができる。これについては最後まで明言されることはないものの、いくつかの考察サイトを見ていると「ナイン」の行動が主人公である「新海翔」に同情的であることから、本当に別の世界の主人公のことを指している、という考察があり、本ブログではその考察に倣う事にする。ゲームプレイヤーを物語に参加させるのがあまり好きではないため。

「ナイン」はこの「9 -nine-」というゲームの世界を俯瞰的にとらえている、観測者としての視点であり、今まで出てきた「記憶をインストールする」という選択肢の主体は翔ではなく、ナインであったことがわかる。

 

というか、前作で(もっと前から?)薄々わかっていたが、今作はループものである。私は、ループものだから名作、は成り立たないが、名作はループものが多い、とは言えると思っており、本シリーズの評価が世間的に高いという点を鑑みても、それは言えるのではないだろうか。

 

閑話休題

 

ナインは「ここいろ」で地震が起こった日、つまり翔が夜の神社で初めてソフィを見つけた時に戻り、「オーバーロード」を用いて翔に「はるいろ」終了時までの記憶をインストールする。ちなみにナインは翔の取り込んだ「世界の眼の欠片」を通じて翔とつながっているため、地震が起こる以前には干渉することができない。ソフィが持つ「世界の眼」では未来を視ることができないため、ソフィだけではこれから何が起こるのかを主観的に知ることはできないが、翔がナインから得た知識を話すことで、この時点でソフィは翔を信用して協力し、今まで翔の監視に割いていたリソースを他に回すことができるようになる。

次に「はるいろ」ラストのイーリス戦で、希亜の攻撃のみが世界を超えてイーリスの魂に届いていたことを思いだしたナインとソフィは、「はるいろ」の枝のイーリス戦の時に戻り、そのことを翔に伝える(記憶をインストールする)。しかし、希亜の何らかのトラウマが発動し、結局イーリスを攻撃できずに失敗に終わってしまう。ソフィはイーリス打倒の鍵が希亜にあると踏み、希亜の心を翔に開かせ、イーリスを倒す新たな枝を作るための干渉をするようナインに命じる。

これ以降、翔はナインの干渉によって、今までの3作の枝の記憶を全て持つことになるが、余計な感情を持たないよう、それまでのヒロインとの恋愛感情はインストールされない。個人的には全ての感情をもったままのハーレムエンドも見てみたいが、話の本筋をややこしくしないよう、この選択は正解だと思う。

 

「そらいろ」、「はるいろ」、「ここいろ」の枝にて希亜と接触した翔は、希亜が「殺人」に対する強い忌避感、トラウマを抱えていることを知る。これを解決しないことにはイーリスを倒す、もっと正確に言うと殺せないため、翔は希亜と向き合うため、既存の枝の続きではなく、新たな枝を作ることにする。

もう一度地震が起こった時に戻った翔は、希亜がアーティファクトを手に入れる前にナインボールにて希亜と接触し、厨二的な出会いを演出して希亜の信頼を勝ち取ることに成功する。それにより、希亜から始めて「あなた」ではなく「新海くん」と名前で呼んでもらう事に成功した翔は、希亜との信頼を深めながら、できるだけ犠牲者を出さないように立ち回っていくことにする。まずは与一の起こす、第一の石化事件を止めるため、この時点で仲間になっていた都、希亜にすべてを打ち明け、与一を止めることに成功する。次に学校で起こる炎の能力の暴走事件を止めようとするが、異変を察知したイーリスの妨害に会い、以前よりも事件発生を1日早められ、また暴走具合を引き上げられてしまう。ピンチになる翔だったが、希亜が助けに来てくれたこと、またソフィから事前に「幻体」のアーティファクトを借りていたことで、犠牲者を出さないことに成功する。このとき、翔は「幻体」のアーティファクトを用いて「ゴースト」を呼び出すが、「はるいろ」の記憶を引き継いでゴーストに「レナ」という名前を付けているところ、またスマブラの2Pのように服が黒くなっていたのが細かいと思った。

ちなみにこの「レナ」という名前、私は最初「幽霊」の「れい」からとったのかと思っていたのだが、天が産まれた際、名前を天(そら)にするか、月(るな)にするか両親が迷っていて、それを参考にした、というシスコン丸出しエピソードがあるのもポイントが高いと思う。
またこの枝では与一が、翔に怒られるのはめんどくさくて嫌だから、という理由で悪事を働かなくなっており、与一との関係が良好で、それにより蓮夜を、蓮夜のネットつながりで春風を紹介してもらえ、全員にイーリスを倒すために協力の約束を取り付けることに成功する。また、この枝では特に何もしていないにもかかわらず、春風が主人格を主に出しており、人見知りが改善されているところが少し違和感があるが、物語をスムーズに進めるために仕方ないのかもしれない。

 

ここから本格的に希亜ルートが始まっていく。

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20210405205020p:plain 結城 希亜 ゆうき のあ 146-73-76-70

 

主人公と同学年の高校2年生だが、主人公とは別の学校である玖方(くほう)女学院に通っている。主人公のよく通っている喫茶店ナインボール」の常連で、いつも紅茶とパフェを食べていることから店のスタッフからはこっそり「パフェクイーン」と呼ばれている。ゴスロリファッションを着て、厨二病的な言い回しを使い、はっきりと意見を言う性格。正義感が強く、例え世界の危機だとしても法を犯すような方法はとらない。

 

ファミレスでの協力の約束の後、翔は希亜からトラウマの原因を聞くことにも成功する。希亜は昔、妹を飲酒運転による交通事故で亡くしており、それが「死」に対する恐怖となり、また妹に恥じない自分でいるために常に「正しい」自分を演じ続けていた。トラウマを克服するため、自分を演じるのをやめて素をさらけ出すことが必要だと考えた翔と希亜は、春風の能力の実験を兼ねて、猫が寄ってくるバフをかけてもらう事にする。このときの猫に甘える希亜がベタだけどかわいかったし、春風が猫に対して卑屈でかわいかった。さらに希亜は「弱い自分」を翔にさらけ出し、仲間を信頼することが必要だと考え、翔の部屋でYシャツ1枚(ノーパンノーブラ)でゴロゴロすることにする。そうはならんやろ...。ホラー映画を見て翔に抱きつく希亜が可愛かったので許す。さらにここで希亜の能力が明らかになる。希亜の能力は「ジ・オーダー」(希亜がつけた)で、「罪を裁く能力」を持っていた。この能力は、希亜が罪人だと認識した人物に対し、「希亜がふさわしいと思う」罰を与える能力だった。この能力は魂に直接攻撃を与えるため、イーリス本体を攻撃できるが、イーリスを倒すためには希亜がイーリスを殺す覚悟が必要であり、そのためにトラウマの克服が必要だった。

翔と希亜は、「はるいろ」の枝でイーリスと戦い、イーリスが翔の「オーバーロード」を認識する日、をタイムリミットとし、それまでに心を鍛えてトラウマを克服するために方法を模索していた。希亜は再び翔の家でゴロゴロするが、ふとしたことで翔に異性として認識されていることに気付いてしまう。希亜の無頓着な行動は、自身の身体と言動に対するコンプレックスから、翔に女性として意識されているわけがないと思い込んでの行動であり、そのため翔の親友を目指していたと語る。そして希亜は翔に告白し、そのまま初Hをする。このとき希亜は最初に喫茶店であったときから翔のことが好きだったと語っているので、チョロイン過ぎて可愛かった。2人は次の日、起きて朝からもう一回Hをするが、裸になっているところを訪ねてきた天に見られてしまう。

こういう純愛ものの作品において、学校や実家の廊下などの見られてもおかしくない場所でSEXするシーンで、他の登場人物が実際に来る作品に出合ったことがなかったため、この展開は新鮮だった。またこのときの天の会話もおもしろくてよかった。しかも恋人になった希亜のポンコツぶりが加速し、また翔に甘えるときの声が可愛すぎてよかった。

「はるいろ」の枝でのイーリスとの決戦日時が過ぎても何事も起こらず、それどころかイーリスは世界の眼を持ったまま姿を消し、消息不明となってしまう。決戦予定日から約2週間が過ぎ、突如白巳津川市全域で人々がスティグマの暴走を起こし、街全体がゾンビ映画と化す。イーリスが人々にスティグマを刻み、強制的に暴走状態を引き起こしたのが原因だった。翔たちは暴動をかわしながら、姿を現したイーリスの元へ向かう。このとき、仲間になっていた蓮夜と、翔の幻体のレナが戦闘面を担当することになるのだが、蓮夜がやたら強くて、またいちいち技名を叫ぶので最初は笑ったが、慣れてくるとかっこよくなってきた。かっこいい男キャラがいるエロゲは名作だし、それが杉田ボイスなのもいい。

翔たちはイーリスの元にたどり着き、「はるいろ」の枝と同じ展開で、翔と付き合ったことによりトラウマを克服した希亜の一撃でイーリスを倒す。そのままEDが流れるが、ED中にイーリスが登場し、時間が巻き戻ってしまう。

こういうEDなどのゲームシステムに干渉してくる系の演出は、「UNDERTAIL」などが有名な気がするが、かっこよくてよかった。

時間はイーリス戦まで巻き戻り、希亜がイーリス(沙月と同調)を倒した時、後ろから現れた与一とイーリス(ソフィと同じぬいぐるみの幻体)によって翔以外が全員殺されてしまう。イーリスはED前に希亜に一度殺されかけた後、死んだフリをして逃げ、そこから数百年かけて「オーバーロード」と同じ能力をもつアーティファクトを開発し、翔たちに復讐するために過去に戻ってきたのである。よってこの枝では希亜が討ったイーリスの魂はダミーであり、本体は無傷だった。与一も翔以上の力を手に入れたことで抑止が利かなくなり、力を使いたいがためだけにイーリスと手を組んでいた。翔もオーバーロードを用いて対抗するが、イーリスの力を得た与一の方が力が上であり、お互いのオーバーロードを用いた時間の巻き戻し合いに負けて、何度も仲間を殺され、翔は別の枝へ飛ぶことを余儀なくされる。それはこの枝での希亜との思い出をなかったことにするということ、血まみれの希亜を抱く翔に対し、「何度でもあなたを好きになる。」と言い残して腕の中で息絶える希亜、という演出は、お約束とはいえ感動したし、ここでOPが流れ、また歌詞と連動して自動でオート再生に切り替わる演出はかっこよかった。

やっぱりラスボスは時間系の能力者であるべきなんだよなぁ...。しかも最後に立ちはだかるのが、結局親友と思っていた与一、というのも熱くていい。

OPの歌詞も、このシーンに合わせて作ったと思われるほどよくできていたし、ここの演出は本当に良かった。

イーリスがオーバーロードの力を手に入れ、枝に干渉してくるようになったため、「未来」にいるイーリスを倒す以外に方法がなくなってしまった。またイーリスはさらに力を強化し、「同一存在」ではないはずの与一とも同調し、力を与えることができるようになっていた。翔はもう一度希亜の枝の始めに戻り、仲間を集めようとするが、先回りした与一に全員殺されてしまう。与一は翔の心を折るため、翔以外の身近な人々を殺し続けることを決めていた。

過去に一度でも観測された枝は消えずに残り続けることに気付いた翔は、希亜の枝で全員でイーリスを倒す協力を約束するために集まった日に戻るが、そこにも与一が現れる。自暴自棄になった主人公は集まっていたファミレスで与一を殺そうとするが、与一のオーバーロードによって逆に仲間だけを殺し返され、戦意を喪失してしまう。

次に翔は与一とイーリスが同調する前に与一を殺そうとし、地震の日に与一を呼び出して殺すが、与一とイーリスの同調は、翔が地震直後に記憶をインストールする5分後にはすでに完了してしまっており、オーバーロードによって再び仲間を殺され、あまつさえ希亜の死体を自分の部屋に置かれてしまう。これで完全に心が折れてしまった翔は、どうすることもできないまま、腐っていく希亜の死体とともに1か月を自分の部屋で過ごす。

このあたりの時間系能力者同士のバトルは、結果を改ざんされてしまうため、戦意を喪失させる方向へシフトする、という展開は考えられていて面白いと思った。それはそれとして希亜の死体と過ごすという描写はちょっとやりすぎでは...?これ純愛ものだよな...?なお、個人的には好き。

翔はあきらめていなかった。翔は今まで自分にオーバーロードを使っていた「ナイン」の存在に気付き、「世界の眼」を介してナインの力を使って別の枝の自分と同調し、ヒロインたちへの恋愛感情を含めた、すべての記憶を得ることに成功する。翔は与一の元へ向かい、再び戦いを挑む。翔は「幻体」のアーティファクトを用いて、都、天、春風、希亜の形をした人形を作りだし、そこに別の枝でのTrueエンドを迎えたヒロインたちの記憶を同調させた。

ここで、今までの作品が無駄ではなかったことが明らかになる。アーティファクトの力を分け与える方法として「眷属化」と呼ばれる方法があり、その発動条件は能力者の「血液か体液」を体に取り込むことだった(実際「そらいろ」、「はるいろ」では与一が蓮夜を眷属化している)。これまでの作品で翔とTrueエンドを迎えた枝で、翔がヒロインの身体に注いでいた精液を介して眷属化によって「世界の眼」の力がヒロインに移り、それを介してナイン、翔、ヒロインが一つにつながり、同調が可能となった。
振り返ってみると、確かに翔は全ての作品でヒロインに中出しをしており、思わぬ伏線だと思ったが、別ルートで結ばれたヒロインたちを全員同じ世界線に集める手法は個人的に好きではないので、そこは賛否だと思った。ハピメア、お前の事だぞ。本作に関してはあくまでも記憶だけのコピーであり、しかも体も幻体のため戦いが終わると消える、という予防線はあるが。

また、翔は与一が絶望させるために置いていった、ヒロインたちのアーティファクトすべてと契約しなおしており、幻体であるヒロインたちは、アーティファクトの力を使う事ができた。ヒロインたちとの絆により、心の強さ=アーティファクトの強さが増した翔は与一を圧倒し、都の力で与一の攻撃を奪ってカウンターで殺し、天の力で与一の結界を消して攻撃を通して殺し、レナを出して与一の出したゴーストを殺し、都の力で与一の血液を奪って殺し、春風の力で飛行機からものを与一の頭上に落下させて殺し、幻体で蔦を作って与一を拘束し、ビルから落として殺す。途中で蓮夜が与一に助太刀に現れるが、翔に圧倒されて一撃で気絶してしまう。この中では、ゴーストVSレナのシーンが、服の色だけが違うのも相まってスマブラっぽさがでていて面白かった。

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この集結シーン熱くない??

 

与一はこのままでは翔に負けることを悟り、さらにイーリスとの同調深度をあげてパワーアップする。やはりラスボスには第二形態がなくてはならないと思う。翔もソフィが持ち出してきた新たなアーティファクトと契約し、パワーアップする。第二ラウンドが始まるが、もうヒロインたちは戦闘面では非力で役に立たなくなっており、主人公を介して春風の能力を通して「祈る」ことで主人公にバフをかける。

この今までヒロインに助けられてきた戦闘面で役に立たなかった主人公が最後に覚醒し、逆にヒロインは敵の高レベル化に伴って戦闘面では役に立たなくなっていくが、主人公への愛ゆえに戦闘に最後まで参加し、最後はただ後方で主人公の勝利を願う、という展開がすごく好きなのでめちゃくちゃよかった。しかもその「祈る」というコマンドで、実際に主人公に有利な補正がかかる効果がつくと、ヒロインのいる意味が出てくるので本当にすごいと思った。

翔はさらに与一を圧倒し、焦った与一はさらにイーリスと同調しようとするが、同調深度が高くなりすぎてイーリスに完全に体を乗っ取られてしまう。イーリスは力を取り戻し、オーバーロードを用いて翔ではなくナインに対して世界線を越えた攻撃を仕掛けてくるが、とっさのところで翔がナインとの接続を切ったため、難を逃れる。

このままではイーリスに勝てないことがわかったナインとソフィはこの枝において「世界の眼」のユーザーではあるものの、イーリスと同調していない沙月を介して、別の視点からの干渉を試みる。与一と同調しているのは「現在」のイーリスだが、オーバーロードを使う瞬間だけは「現在」と「未来」のイーリスの魂が接続されることが判明する。イーリスはすべての枝の自分に対し、オーバーロードの可能性を伝えているため、全ての枝のイーリスを同時に倒さない限り、オーバーロードへと至る可能性が残されてしまう。そこでナインとソフィはすべての枝のイーリスの魂をひとつにつなぐことを試みる。それは成功し、もう一度最後の決戦の時に戻り、イーリスがオーバーロードを使う瞬間に希亜の「ジ・オーダー」によってイーリスを完全に倒すことに成功する。しかし、すべてのイーリスとは、イーリスと元は同じ存在であるソフィも含むため、それに気づいて躊躇した希亜によってイーリスに逃げられそうになるが、最後の最後に気絶から復活した蓮夜のアーティファクトによってイーリスの転移を封じ、無事攻撃をあてることができた。最後に美味しいところを持って行ったのが杉田なのが少々肩透かし感はあるが、最後の最後まで気の抜けないバトルなのはかっこよかったと思う。

この枝でイーリスを倒したため、全ての枝においてイーリスの危険は去ったが、この枝ではヒロインが全員殺されているため、この枝の翔にすべての悲しみを押しつけるような終わり方になったのは少しかわいそうだった。とはいえ、殺されたことにより放置した枝がほかにもたくさんあるので今更かもしれない。

視点は希亜の枝で初Hをした後へと戻り、翔と希亜の2人にだけ記憶をインストールすることで、希亜ルートに戻る。後は適当にコスプレエッチをして終了。

与一は魔眼をソフィに返し、姿をくらませていたことから、与一も記憶を引き継いでいることがわかった。またエピローグではソフィからやり残したこと、として都ルートの続きを上げられる。確かに「ここいろ」の枝では魔眼のユーザーが与一だということが特定されておらず、脅威が去っていない。最後は神社でたたずむ都の後ろ姿(都BADのラスト?)が移り、ここで作品は終了となる。

イーリスを倒したものの、まだ続きを作れるような終わり方で、実際に続きが出るのだが、一部では有料体験版とも揶揄された都ルートが補完されるのであれば、それはそれでいいと思う。都結構好きだし...。

 

希亜に関して言えば、この「9 -nine-」シリーズではギャップのあるヒロインがおらず(春風は特殊なので除く)、希亜のようなクーデレ系の、ギャップのあるヒロインの破壊力が際立っていたように感じた。やはり古から確立されたキャラ付けは強いのだ。普段の冷静さと付き合った後の甘えっぷりの落差からくるギャップ萌えに、ギャップが好きな私はとてもよかった。しかも八重歯があるところもかわいい。厨二バトルものの中でも一番厨二病なキャラで、スティグマの位置も左目なところもわかっていると思う。

 

CVは夏和小さん。喫茶ステラの時もこういうクーデレ系のキャラで人気が高かったし、もしかしてこういうキャラならいけるのではないだろうか。リドジョの千咲のような元気系のキャラより、今作のような落ち着いたキャラの方がうまく聞こえる。しかも聞くたびに演技がうまくなっているように感じる。今作のちゅぱ音は大変良かった。エロゲ界の未来を背負っている一人だと思うので、是非頑張ってほしいと思う。

 

f:id:shanxdl:20210405231127p:plain 高峰 蓮夜 たかみね れんや

 

思ったより出番が多かったし、だんだんかっこよくなってきたので紹介。主人公の一つ上の高3で、与一の友達。「そらいろ」、「はるいろ」では「リグ・ヴェーダ」を結成し、翔の敵に回るが、「ゆきいろ」では仲間になってくれる。厨二病で「コードギアス」の「ルルーシュ」に影響された言動をとり、また「真神流(まじんりゅう)」という、とある漫画に出てくる拳法を、空手や合気道、テコンドーといった武術を組み合わせて完コピしている。そのため素でもかなり強く、また「そらいろ」、「はるいろ」では与一の眷属となってアーティファクトの力を使う。「ゆきいろ」ではアーティファクトと契約し、本当にユーザーとなる。能力は「闇鴉(やみがらす)」(蓮夜がつけた)で「つながりを断つ力」。奇抜な言動から友達がおらず、友達とファミレスやカラオケに行くのが夢だったと語ったり、興奮すると普段はキャラを作って「私」だった一人称が「僕」へと変わったり、翔たちへの攻撃を手加減したり、と憎めないキャラ。その行動倫理は「与一の味方であること」であり、与一がどんなに悪いことをしても与一を裏切ることはない。しかし、その思いは与一には理解されておらず、(蓮夜も理解されたいとは思っていない)実際いくつかのルートでは与一によって殺されている。
CV杉田の厨二病キャラ、しかも実際に強いとあってキャラがすさまじく濃いが、「ゆきいろ」で仲間になっていた時の安心感があったので、とてもいいキャラだと思った。

 

f:id:shanxdl:20210405232347p:plain 深沢 与一 ふかざわ よいち

 

翔の友達で同じクラスメイトの高2。お調子者でいつも軽薄な発言をしている。ラスボス。クラスで孤立していた翔に声をかけ、クラスになじませてくれたことに翔は深く感謝している。一方で「昔から常人が生み出した規律の外にいる」と言われ、常人とは異なる考え方を持ち、幼馴染の蓮夜・両親含め理解者がいない。アーティファクトの力を手に入れたことで、道を踏み外し、殺人も厭わない非情な一面があらわになってしまった。「ゆきいろ」ラストの戦いでは、理解者が欲しかったという本音が明らかになるが、結局イーリスにさえ理解してもらえることはなかった。「ゆきいろ」終了時に消息不明なため、もしかしたら何らかの続編で事件を引き起こす可能性はある。

CVは山本和臣さんらしい。ラスボスが親友という展開は好き。最後に分かり合えなかったが、それはそれでよし。

 

・最後に

 

本作も曲がよく、特に挿入歌として流れる「Squall」がとてもかっこよかった。しかし、「ゆきいろ」だけ曲が配信されていないみたいなので、ぱれっとさん、けち臭いことしてないで配信してください。

全体を通して、予想の上を行くシナリオ、熱い展開、ほどよいテンプレ要素、と名作認定をしてもいいくらいの印象を受けた。これは評価が高いのも納得。

特にこの「ゆきいろ」は他3作に比べて特に力が入っている印象だった。これは希亜だけが特に優遇されているという意味でもあり、私は他のヒロインも結構好きなので、是非18禁のFDか何かで追加イチャイチャシナリオをお願いしたいと思った。全体的にストーリーを優先させすぎてヒロインとのイチャラブが薄いとは感じた。全年齢の完全版を出すのだから、それの18禁への逆移植も頼みます。