shanの落書き帳

ポケモンときどき〇〇

無題20

 

 

みなさんお久しぶりです。shanです。

今回は久しぶりに作品をプレイできたので、その感想について述べていきたいと思います。奇しくも第20回目となる節目にふさわしい大作をプレイできたと思っています。

 

今回の作品はこちら。

 

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はつゆきさくら

 

SAGA PLANETSから2012年2月24日に発売された、「はつゆきさくら」です。

SAGA PLANETSが現在のような方向性の作品を出すに至った原点である、「四季」シリーズの最終作で、冬がテーマとなっています。なお、シリーズとなっていますが、つながりはなく単体で楽しめます。

また、最近では「Summer Pockets」でお世話になった新島夕先生が単独でシナリオを書いているという事で、以前から気になっていた作品でした。

 

 

 

 

この作品、シナリオがかなり難解で、私の貧相な読解力では理解しきれず、シナリオの説明および解釈に間違っているところがあるかもしれませんが、その点についてはご容赦願います。

 

それではいつもの通り感想に移ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、常体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・攻略

 

攻略可能ヒロインは、キービジュに映っている5人。

サガプラのお約束なのか最初に長めのプロローグがあり、その後個別ルートへ分かれていく構成をとる。しかし本作ではシナリオが全29のChapterに分かれており、そのナンバリングから攻略する順番は決められているように感じた。

Chapter1~5      プロローグ

Chapter6~7      ラン(強制BAD?)

Chapter8~11    綾

Chapter12~15  夜

Chapter16~18  シロクマ

Chapter19~22  希

Chapter23~29  桜(グランドルート)

 

個別ルートが1つ終了するごとにタイトル画面に戻され、再びStartを選んで異なるヒロインを選択していくことになるが、Chapter7まで進んだ時点で綾と夜が、綾を攻略すると希、夜を攻略するとシロクマが攻略可能になる。さらに全員を攻略するとタイトル画面に「Graduation」が追加され、桜ルートに進めるようになる。

今回はChapterの数字通りにクリアすることとした。

プレイ時間はプロローグが3~4時間、各個別ルートが2~3時間でGraduationが4~5時間ほどだった。

回想数は

ラン1

綾3(グランドで+1)

夜4

シロクマ3

希4

桜4

今までプレイしてきた作品に比べるとHシーンの尺が短いが、長すぎてもダレてしまうので、これはこれでアリ。

 

 

・あらすじ

 

Chapter1

「ゴースト」のうわさが流れる内田川邊(うちだかわべ)市、その街にある白咲(しろさき)学園に通う高校3年生の主人公、河野初雪(かわのはつゆき)は進学校には珍しく、酒を飲んだり、ヤンキーと暴力沙汰を起こす不良生徒だった。ある冬の日、主人公は今や廃墟となった旧市街で白いドレスを着た謎の少女に出会う。少女の連れていたウサギを探して一夜の不思議な出会いを果たした主人公だったが、数日後にその少女が主人公のクラスへ転校してくる。少女は玉樹桜(たまきさくら)と名乗り、この街をゴーストから守るために来たのだと語る。主人公と桜はお互い別の目的のため、この街でゴーストを探し始める、という話。

 

wikipediaを見に行ったらかなり詳細なシナリオの説明が書いてあったので、そっちを見に行ってもいいかもしれない。というか、このwiki絶対攻略前に見てはいけないので注意。

 

この時点ですでに主人公の自宅の背景が廃屋だったり、主人公の家族であるらしいランという少女が人形であるような描写が入ったりと、何だかきな臭い。

 

また、ゴーストを現世に呼び寄せる媒体として「反魂香」というアイテムが登場する。反魂香は、焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるという、中国の故事に出てくるもので、私はこれを聞くとどうしても落語の「反魂香」という噺を思い出してしまう。

本筋ではないので落語についての内容は省くが、興味のある方は是非調べてみてほしい。オチの「反魂丹」は越中富山で江戸時代から作られている胃薬だが、現代では誰も聞いたことがなく、伝わらないことが少し残念。

 

閑話休題

 

Chapter2

主人公は卒業のための奉仕活動として、学園の教師来栖三木(くるすみき)に、「進路指導委員会」への参加を命じられる。そこで主人公に憧れている1年生、東雲希(しののめのぞむ)と出会い、学園に届いた「ファントム」からの脅迫状の事件を解決する。

 

この時点ではまだ「ファントム」の正体はわからない。この時の脅迫状の内容は「来栖教師は死者である。そして殺人者である。」というもの。これの意味は希シナリオを読めばわかるが、物語全体を通して「死者」の意味が文脈によって変わるので、少々わかりづらかった。

 

Chapter3

主人公と桜は反魂香の匂いをまとっている少女である、2年生の後輩、あずま夜(よる)と出会う。夜はアイスダンスの選手で、大会に向けて練習していたが、パートナーがことごとく怪我をして、自身が呪われているとのうわさが立っていた。主人公は夜のためにパートナーとして練習の相手をし、それが呪いではなく、夜に対する嫌がらせであることに気付く。大会本番、夜のスケート靴のブレードが嫌がらせにより急に外れてしまうが、主人公はとっさの機転でこれをカバーする。大会予選は突破することができたが、夜は3年前の復讐を語り、不穏な空気のまま終了する。

 

結局最後まで何の説明もなかったが、主人公が普通にスケートを滑れるのが面白かった。また主人公がバイトをする人形カフェに、新しく「シロクマ」という名前、出自すべてが怪しい女の子が雇われてくる。

 

Chapter4,5

クラスメイトの女の子が失踪し、その調査を任せられた主人公たち委員会メンバーは、旧市街にあるとある廃ホテルが怪しいとにらみ、調査に赴く。しかし実はそこは主人公の住処であり、主人公こそが「ゴーストの王」、「ゴーストチャイルド」であり、また桜の連れているウサギ「ネム」が主人公の家族「ラン」を消滅させた復讐相手である、「コノハサクヤ」であることが明らかになる。

主人公の目的は、ランを消滅させたコノハサクヤを殺してランの魂を再び手に入れること、また10年前のとある事件のためにこの街に復讐することであることが語られる。

 

ゴーストの王とかゴーストチャイルドとか、ネーミングセンスがダサすぎて笑ってしまった。また主人公が黒幕であるということをプロローグ時点で明らかにしてしまうことで、これからどういう風に話が作られていくのだろうと言う興味がわいた。

ゴーストチャイルドというのはゴーストから生まれた第二世代のゴーストの事を言い、前世が人間ではない分、ゴーストの純度が高くて強いとのこと。純血みたいなものだろうか。

このあたりのゴーストに関する設定も結構ガバガバorわかりにくかった。

 

ここまででプロローグは終わり。タイトル画面に戻され、個別ルートに入ることになるが、最初は桜(便宜上ランルートと呼ぶ)しか選べない。

 

Chapter6,7

ランルートに相当するが、事実的なBAD ENDと言ってもいいルート。

1/10からスタート。主人公はランを取り戻すため、実質的な仇であるネムと一緒にいる桜との距離を取ろうとするがうまくいかず、一緒にバレンタイン祭という文化祭のようなものを回ることになる。 その後のデートを経て、桜は主人公に告白し、主人公もまた、桜の事が好きだと自覚するが、まだ復讐に縛られているため、桜との決別を決める。

主人公は1人で街を滅ぼそうとするが失敗し、代わりに桜が正体を現し、「ゴーストの女王」として主人公の願いを聞き入れ、街を滅ぼす。主人公はランと妄想の中で体を交わらせ、そのまま朽ちていく。

 

ここでエンディングに入り、スタッフロールも流れるため、確定BAD ENDといった内容。伏線はあったが、桜もまたゴーストであることが明らかとなる(この時点では主人公は桜がゴーストであるという確証は持っていない)。一方この後タイトル画面に戻ると、物語は再び1/10から始まる。普通のゲームなら世界線が違う、ということで納得するのだが、今作ではChapterが連続していること、4人を攻略して初めてグランドルートが開かれることから、主人公がループしているという考え方もできなくもないと考えた。そのことについては一切説明されないが。

ゴーストの王がいるならゴーストの女王がいるのも当然のこと。(?)

また、主人公にとってはこれが最後の冬であり、この冬が終わるときがタイムリミットであることがわかる。これは主人公の学園卒業を意味しており、卒業ということがこの物語では重要な意味を持つ。

 

ここからはキャラ紹介と一緒に各個別シナリオを紹介していく。

 

・キャラ

 

f:id:shanxdl:20210121201754p:plain 小坂井 綾 こざかい あや

 

主人公の1つ上の先輩。前期の生徒会長であり、実家が剣道の道場を経営し、剣道が強い。今は浪人しており、主人公と同じ人形カフェでアルバイトをしながら受験勉強をしている。主人公の事は「ゆきち」と呼ぶ。最初どうしても1万円札のことしか頭に浮かばなくて、あだ名の由来が全く分からなかった、反省。

天然で無表情(に見える)キャラだがカフェの制服姿がエッチ。基本店に行かないといないので、他のキャラのルートではなかなか出番がない。しかしグランドルートでは大切な役割を果たす。そのことは後述。

 

綾ルートは他のキャラと異なり、物語開始時の1年前の話が回想として語られる。

 

Chapter8

ランをコノハサクヤに討たれた後、傷心していた主人公は、主人公に憑いているゴーストたちによって、王の自覚がでるまでホテルを追い出されてしまい、ネカフェを転々とすることになる。そのうちお金が尽き、学校の旧道場に住み着くようになった主人公は、不良を復讐と称して狩っていた「アキラ」と出会う。アキラに金で雇われて復讐の手伝いをするようになった主人公は綾に目を付けられ、綾がバイトしていた人形カフェで寝泊まりすることになる。綾は主人公におせっかいを焼きつつ、実際は主人公と死んだ弟を重ねているだけだった。

 

ここの、フワフワしているように見えつつ、実際は裏があったり、優しそうに見えて実際は自己満足のためだったりと、このキャラは表面上のキャラ設定だけではない深さがあって結構気に入った。裏表のある女の子は好き。

 

Chapter9

綾とアキラは姉弟であり、アキラが実家の門下生と肉体関係を持ったことで、学園を退学となり、また実家の道場が廃止となっていた。死んだはずのアキラがどうして主人公の前に姿を現したのかと疑問に思う主人公の前に、バレンタイン祭についての脅迫状が届く。その差出人はアキラだった。

 

Chapter10

バレンタイン祭当日、綾と二人で祭りを回っていた主人公は、不良グループが学校に乗り込んできているのを知る。その首謀者だったアキラの前にたどり着いた主人公は、自分が本当に憎いのは何もしてくれなかった綾だと知らされる。アキラはその場は引き、夜の教室で主人公は綾に告白する。

 

Chapter11

アキラのゴーストは綾が反魂香を使って呼び出したものだった。綾にアキラが憑依していることに気付いた主人公は、アキラを討とうとするが、綾はアキラを救えなかった後悔から、進んでアキラに体を明け渡そうとしていた。アキラはやけになって泥酔し、最後は付き合っていた門下生にも見捨てられて路上で凍死しており、自分を助けなかった周りの人間、ひいては世界を恨んでいたが、主人公と姉が好きだから、自分が変質して悪霊になる前に主人公に討たれることを望む。アキラの魂は綾のものと癒着しており、アキラの魂の浄化と引き換えに綾はこの冬の記憶を失ってしまう。

エピローグではアキラに体を貸していたため、面接試験を受けられなくて浪人してしまった綾が、主人公のいる人形カフェのバイトへ応募しに来る、という話。

 

主人公はまだ綾の事が好きだが、綾がそのことを忘れているため、主人公はその想いを打ち明けられないまま、一緒に過ごすことになるという展開は狂おしいほど好き。綾と呼びたいが呼べない主人公が苦肉の策で生み出したあだ名が「浪人」なところもいいし、記憶がないはずの綾が、主人公のあだ名を「ゆきち」にしようと、同じやり取りを繰り返すのもすごくよかった。

また、アキラの死因がしょうもなさすぎて泣いた。

CVは佐本二厘さん。元気系以外のキャラの演技は初めて聞いたが、とてもよくあっていた。最近復活されたみたいなのでうれしい。

また後述するが、このヒロインは負けヒロインになることが確定していることが悲しかった。だがそれがいい

三つ編みおさげは個人的にあまり好きではないが、髪をおろしたCGが存在することや、主人公に髪を結ってもらう事に重要な意味があることから、今回はヨシ。

過去回想がメインで、カフェで2人だけになるシーンが多いことから、マジで純愛な雰囲気が漂ってきてすごくよかった。ゴースト関係のシナリオは知らん。

 

f:id:shanxdl:20210121205618p:plain あずま 夜 あずま よる

 

主人公の1つ下の後輩。アイススケートの一種であるアイスダンスの選手であり、界隈では有名。ツッコミ役兼耳年増であることから主人公にイジられることが多い。プロローグで反魂香の匂いをまとっていることで、主人公に全裸で女子更衣室でシャワーを浴びているところに忍び込まれ、裸体を調査されたにもかかわらずその後も主人公の事が異性的な意味で気になっていたりするかなりチョロいやつ。主人公の事は「先輩」と呼び、つきあってからもその呼び方は諸説だが自分は好き。

普段は敬語だが、それは猫を被っているためで、とっさに出る「あぅぅ」とか「ひぇぇ」とかいった鳴き声が非常にかわいい。

 

Chapter12

夜は、スケートサークルの同期から、主人公の事を紹介するように頼まれる。その同期は3年前の世界選手権の選考会で夜が呪いにより怪我をさせたことになっている、夜のライバル選手の妹であり、その目的は夜が親しくしている主人公を奪う事で夜に復讐をするためだった。しかしひねくれものの主人公はその同期になびかなかった。

 

Chapter13

夜が呪いの姫と呼ばれている原因は前述の3年前の大会での事故にあった。夜がしばらく学校に来ていないことから主人公は夜の家を訪れるが、そこで反魂香の匂いに気付く。夜は3年前の自分の生霊を呼び出し、自分にいわれのない中傷を続けるこの街の人々に復讐をしようとしていた。主人公は夜中のスケートリンクで、3年前の夜の姿をしたゴースト「ナイトメア」と対峙し、ナイトメアの中にある夜の意識と対話し、告白することでナイトメアを浄化する。

 

急にゴーストに生霊をカウントしてくるので、定義がガバガバになってびっくりした。また「ナイトメア」はロリボイスになった夜なのだが、一人称が「メア」なせいでToLOVEるのキャラと被ったし、そもそも「ナイトメア」が安直すぎて笑った。3年前ということは中2なので、そのあたりの設定も盛り込んでいるのだろうと思った。魔女服かわいいし。ボイスも世界一可愛い。

 

Chapter14

主人公は大会に向けて夜のパートナーとして練習を続けるが、ナイトメアが再び現れる。ナイトメアは夜本人がストレスを感じた時に現れる。

 

夜は3年前の事件で本当の自分を封印し、猫を被るようになっており、この時に(押し)殺した本当の自分が死んでゴーストとなっている、という解釈なのだろう。

私自身は敬語キャラも好きだけれども。

夜の家に主人公が泊まるシーンがあるのだが、朝起きた時に夜が髪コキフェラをしてくれるのはさすがエロ担当だと思った。あと、家ではぐうたらしている、という設定も好き。

 

Chapter15

夜が呪いの姫だというビラが学校中に撒かれ、主人公は誤解を解くために奔走する。大会当日は主人公は自分自身の復讐のため、夜の演技を見に行くことはできないことを伝える。演技が始まると、夜に対して野次が飛ばされ、代わりのパートナーは逃げ出してしまい、夜はナイトメアを再び呼び出してしまう。主人公は自分の復讐を辞めて夜のもとに駆け付け、うわさを流していた真犯人を見つける。それは3年前の大会で怪我をして引退した夜のライバル選手で、彼女は人々の記憶から忘れられることを恐れて夜を通して自らの存在をアピールしていた。ゴーストの力で彼女を懲らしめた主人公は夜の元に駆け付け、ナイトメアを再び諭して夜と一緒にスケートの演目を踊りきり、夜に対する人々の誤解を解く。

エピローグでは夜中のスケートリンクで完全にゴーストとなった主人公と一緒にスケートを踊る夜の姿が描かれる。

 

「ゴーストダンス」なる謎の単語が急に現れるほか、3年目の冬が終わったが、主人公はなぜそのままなのか、などという細かい矛盾が気になるルートだった。

復讐に行くため、もう会えないことがわかっている主人公と夜が最後にHをするときの雰囲気がすごくよかった。

 

CVは桐谷華さん。この方の演技に文句なんて付けられるはずがない。個人的に桐谷華の声は、甘えるときや媚びるときに出すフワフワっとした声が一番好きなのでそれが聞けてよかった。また、今作はモブキャラの数が多く、その声優はメインの人たちがやっているので色々なところで声を聞けるのが楽しかった。

 

 

f:id:shanxdl:20210121213322p:plain シロクマ

 

主人公の働く人形カフェに転がり込んできた謎の少女。自分をロシアからやってきたシロクマだと言い張る。主人公の通う白咲学園の受験勉強をするため、年齢は中3。主人公の事を「店長」と呼ぶ。主人公との間で度々繰り広げられるシロクマギャグが寒くていらない。完全にアドリブとのことなので演じた声優さんはすごいと思うが。

のちに明らかになるが、本名は望月宝(もちづきたから)で、主人公の復讐相手である佐々木議員の孫。佐々木議員が命を狙われる立場にあるため、匿うという意味を込めていつも広い家に1人であり、学校にもあまり通えていない。そのため中3にしては精神年齢が幼すぎる描写がある。

 

Chapter16

主人公はシロクマに、白咲学園の学校見学をしてやることになり、その結果シロクマは白咲学園に入学したいと思うようになり、主人公が勉強の面倒を見ることになる。

 

Chapter17

受験当日、シロクマは試験に落ちてしまう。主人公は「ゴーストランド」(遊園地)に連れて行ってシロクマを慰め、シロクマは後期試験に向けて頑張ることを決める。また、シロクマは主人公に告白するが、綾の事を忘れられない主人公はそれを断る。自分が「大人」になれば主人公に釣り合うのではと思ったシロクマは、エロ本を万引きして捕まり、主人公と逃げる。シロクマは後期試験に無事合格するが、3/18のゴーストパレードを最後に人間としての形を保てなくなる主人公は、桜の木の下で足だけを出してシロクマと会話をする。主人公は、また桜の咲いている間に会えることをシロクマと約束し、消える。シロクマは主人公の残してくれた夜や希といった人脈に頼らずに1人で友達を作り、自立する。

 

ゴーストランド、ゴーストパレードなる謎の単語が出てくるが、前者は物語に全く影響しない。ゴーストパレードとは街の式典のために行われるパレードで、その日主人公は佐々木議員に自爆テロを仕掛け、復讐を果たすことになっている。

他ルートではシロクマは前期で白咲学園に合格しているので、主人公の関与によりむしろ邪魔になっているのでは、という事実がある。そもそも高校の入学試験に定員割れ以外で前期後期があるのか?

明らかに未成年(中学生)であるシロクマに配慮してか、主人公とのHシーンは存在しないが、オナニーシーンが2回あるのはよかった。主人公の写真を使うシーンが生々しくてとてもよかった。

満開の桜の下には幽霊や妖怪が集まりやすいという話があり、桜の木の上から体の一部分のみを出して人間と会話する、という話はよくある。私の好きな夏目友人帳にもそういった話があって、ありふれていると言えるだろう。でも好き。

 

Chapter18

エピローグに当たるのだろうが、結構長い。主人公がいなくなってから1年後の話。シロクマは進路指導委員になっており、背も15 cmのびて精神的にも肉体的にも成長していた。そんなある日、主人公の姿を旧市街で希が見かけたという。シロクマは1年前と同じように、進路指導委員としてうわさの真実を確かめるように依頼され、主人公の住んでいた廃ホテルに向かう。そこで主人公と再会したシロクマは、もう一度主人公に告白し、返事としてあのホテルでのパーティに誘われる。しかし主人公はランを復活させられなかった後悔から悪霊に変質しており、シロクマを人質に取って佐々木議員とコノハサクヤを呼び出し、自分もろともホテルに火をつけて復讐の成就を狙う。しかし、シロクマが怪我をしたこと、反魂香によって姿を見せた桜から昔の記憶を思い出させてもらったことから、自我を取り戻し、燃え盛るホテルからシロクマを脱出させて自分は消滅する。

さらに1年後、シロクマは学園を卒業し、いつかついた嘘を本当にするため、ロシアへの留学を決める。それは噓を現実にすることで、主人公がもういないという現実を明らかにし、主人公に対する未練を断ち切るためだった。

 

高校生になったシロクマが予想以上にかわいくて、Hシーンも一回あったので、とてもよかった。高2時点でまだツインテなのもかわいいし、最後のショートカットもかわいい。また最後にどこからか主人公の声で「卒業おめでとう」と聞こえてくる演出も余韻として最高だった。

大筋のストーリー単体で見れば、シロクマの成長、桜と卒業に絡めた意味、などこのルートが一番しっかりしており、ゴースト関係を除けば、このシナリオが個人的には一番好きだった。

もう叶わない恋を胸に秘め続けている女の子という雰囲気がすごく好き。

CVは涼屋スイさん。聞いたことがなかったが、高い声よりも落ち着いた声の演技を聞いてみたいと思った。

 

f:id:shanxdl:20210121221435p:plain 東雲 希 しののめ のぞむ

 

なぜか不良に憧れている、進路指導委員長を務める1年生。かっこいい男に対して憧れがあるため、主人公の事を尊敬して親友だと思っている。主人公の適当な発案で自分の事を「俺」と呼び、男言葉で話すようになる。主人公の事は「初雪」と呼ぶ。

間の抜けた性格でいつも主人公や教師陣から厄介ごとを押しつけられているが、本人は進路指導委員の役割を果たし、先輩たちを卒業させてあげるために頑張っている。

実は天才肌の人間で、全く努力をしていないにもかかわらず、剣道が非常にうまい。また自分の信念を持っており、まっすぐな性格をしている。こういうバカだけど大切なもののために頑張れるキャラはすごく好き。ただどう見ても男キャラの設定だが。

 

Chapter19

進路指導委員に制服盗難事件に対する調査依頼が持ち込まれ、主人公に認められたい希は1人で調査を開始する。結局不良に絡まれているところを主人公に助けられる。

 

Chapter20

去年の暴力事件を受けて、バレンタイン祭の見回りを進路指導委員が依頼され、主人公と希が2人で回ることになる。主人公と後夜祭で踊ったことがきっかけで希は主人公に対する恋心を自覚し、主人公に告白する。

 

どうしてHシーンの時も口調が男のままなんだ...。こういう一人称が「俺」なんていうキワモノキャラは敬遠する傾向にあるのだが、今回は主人公に言われるまでは普通にしゃべっていたこともあり、主人公のようになりたいがために形から入っているという説明がしっくり来たのでこのキャラは普通に受け入れていた。しかし、Hシーンで感極まった時は口調が戻るが、基本男言葉なのはマイナスにせざるを得ない。

こういったキャラがかわいい、とか女の子らしいよ、とかで喜ぶのは普通にポイントが高いのだが。

 

Chapter21

主人公とデートする。以上。

 

Chapter22

希と接するうち、憎悪の感情が薄くなってきている主人公は、ゴーストたちにホテルに監禁されてしまう。同時期に卒業式に対する脅迫状が届く。差出人は「ファントム」で、これはプロローグと同一人物であり、その正体は希の兄で現生徒会長である「東雲妻(さい)」だった。妻は去年、アキラが起こしたバレンタイン祭での暴力事件の時、学内に乗り込んできた不良たちに暴力をふるっていた。そのことで妻は退学になりかけるが、今学園で教師をしている来栖三木の兄が学園の教師として罪をかぶり、辞任したことで退学を免れる。その先生はその後事故死してしまい、真実が失われてしまったと考えた妻は卒業式当日に来栖三木に真実を告発させることで死んだ先生の名誉を生き返らせようと考えていた。しかし、死者の本当の気持ちはわからないため、それは死者に対する冒涜で独りよがりな考えだと来栖三木は語る。希は兄の間違いをただすため、剣道の試合を行うことになり、勝利する。しかし事件を起こしたことで卒業が危うくなった妻だったが、そこに主人公が現れてすべての罪をかぶり、姿を消す。卒業式当日、希は在校生代表として送辞を読み、主人公に対する想いを伝える。

エピローグでは卒業を迎えた希が桜の下で主人公と再会する、というもの。

 

最初の中身のスカスカ具合からの怒涛のラストだった。主人公が罪をかぶって卒業できなくなったときに、希から卒業証書を渡される展開はすごく好き。

希の兄との決闘時に特に苦戦する描写もなくあっさり勝ったのは面白かった。それでいいのか...。

死んだ者の気持ちは誰にもわからず、時としてそれは独善的だったり、誰も望んでいなかったりする、というテーマは一番わかりやすくてよかったのではないかと思う。

個人的には一番最後まで希の口調が変わらなかったのが残念だが、この口調じゃなかったらほかに目立つ設定がなかったので仕方のないところ。

希はエピローグで髪を伸ばしているのだが、一瞬誰かわからなかったし、ショートカットの方が好き。けど主人公どうやって復活したんだ...?

せっかく登場キャラで一番胸が大きいのにあまりその特徴を生かし切れていなかったように思った。

 

CVは杏子御津さん。今までふわふわした声しか聞いたことがなかったが、今回は若干低めの声で、違和感がなかった。希のアホの子らしさが上手だったように思った。

 

 

 

 

上記4キャラをクリアすると、Graduationルートに入ることができる。それまでにサブキャラ2人と主人公1人(BAD)のルートがあるのだが、どれも作中で1/10~1/12の3日間しかない上に、サブキャラ2人が主人公の事が気になっている?くらいのふわっとした展開で終わるので割愛。

 

 

f:id:shanxdl:20210121230528p:plain 玉樹 桜 たまき さくら

 

高3の冬にいきなり主人公のクラスに転校してきた少女。ネムというウサギを連れている。見た目が怖い主人公にも積極的に話しかけるなど天真爛漫な性格をしている。好物はおでんのがんもどき。下ネタに耐性がなく、少しセクハラされると「ぴゃー」といって逃げる。かわいい。けどバニー推しはいらない。

その正体は主人公と同じゴーストチャイルドであり、「ゴーストの女王」。10年前の事故で死んでから、精霊として主人公の事をずっと見守り続けていた。願いは主人公と一緒に過ごすことであり、そのためにコノハサクヤの力を借りて現世に顕現したが、本人はそのことを忘れてしまっている。

 

オタクは白髪が好き(素振り)

オタクは白髪が好き(素振り)

オタクは白髪が好き!!!!!!!!!!(クソデカ大声)

 

 Chapter23

すっかりプロローグのことを忘れているが、1/10からスタートし、主人公は実質的な仇であるネムと一緒にいる桜との距離を取ろうとするがうまくいかず、一緒にバレンタイン祭を回ることになる。そこで桜と和解し、口を利くようになる。主人公と桜はデートに行き2人でおそろいの携帯を買って、桜はメールで主人公に告白する。主人公も桜の事が好きだったが、ゴーストのせいで返事はうやむやになる。その後主人公は復讐心を忘れているとしてゴーストたちに監禁される。  妻、希、綾、桜、夜の5人は主人公を助けに廃ホテルに向かい、悪霊になりかけていた主人公を助ける。その後主人公は桜に告白する。

 

Chapter24

行事をさぼりまくっていた主人公と、この時期に転校してきた桜のために、別の卒業アルバムを作ることになり、ヒロインたちが手伝ってくれる。また主人公は桜と廃ホテルで同棲することになる。

 

付き合ってから桜は主人公の事を「初雪」→「snow」→「すーちゃん」と呼ぶことになる。うーん...まあかわいいからヨシ。

また同棲を始めてからの桜が可愛すぎてヤバかった。一緒にお風呂でHシーンがあるのも最高だったし、これだけバニーネタを使っているのだから、バニー姿でHシーンがあるのもよかった。

このChapter24で真OPが流れることになるのだが、流石に遅すぎないか?

Chapter25

綾は去年の記憶をなくしていたが、それでももう一度主人公の事を好きになっていた。去年カフェを訪れた客の話を聞き、違和感に気付いた綾は去年の業務日誌を見つけ出し、去年の事を断片的に思い出す。そしてカフェのオーナーから主人公のやることを最後まで見届けるように頼まれる。一方、出来上がった卒業アルバム用の写真に桜がぼやけて写らないことから、主人公は桜がゴーストであることに気付く。この街全体に反魂香が漂っている理由は、桜がこの街のどこへでもいけるようにするためだった。主人公は桜を問いただし、10年前の事件の真実を知る。

10年前、あのホテルでは内田市と川邊市の合併のための祝賀パーティが行われていた。人々は2つの土地の魂をつなぐため、土地の精霊の祝福を受けた2人の男女、すなわち主人公と桜を婚約させることで土地を安定させようとしていた。しかし、合併に反対する過激派組織がホテルを爆発させ、その時の事故で主人公と桜は2人ともゴーストになってしまった。桜の願いは主人公と過ごすことであり、その願いがかなえられた桜の魂は浄化されつつあった。今なら桜をとりついたゴースト共々浄化させられると分かった桜は主人公に討たれることを望んだ。しかしそこに宮棟(ラスボス)が現れ、桜を浄化させてしまう。また主人公は元々ゴーストから生まれたわけではなく、合併に反対していた組織のリーダーの息子であり、本当の名前は「大野ゆうき」であることが明かされる。主人公の父親は仲間に裏切られ、ホテルの爆破は中途半端に終わり、息子である主人公に復讐を託して死んでいった。

 

物語の真実が明かされたわけだが、微妙に政治のしがらみが入っていて、またゴーストの定義がよくわからないため、よく理解することができなかった。元々人間だったのにゴーストチャイルド?結局主人公は生きているのか死んでいるのか?など。

またラスボスである宮棟は、これまでも主人公に対してゴーストを討つための剣を貸したり、予言めいたアドバイスをしたりして全くの初見キャラと言うわけではないのだが、どうしても誰?感は否めないと感じた。

 

Chapter26

桜を失った主人公は、もはや自分には復讐をやり遂げる以外に生きる意味がないと考える。主人公は100のゴーストと一体化してしまっているため、無理に浄化すれば主人公が一緒に消えてしまう。妻やヒロインたちは主人公を救うため、コノハサクヤと協力して主人公の復讐をやめさせようとする。しかし、とにかく主人公を討ちたいコノハサクヤと、主人公を救いたいヒロインたちの間に齟齬があり、なかなかうまくいかない。主人公は綾の助けを借りてホテルへと逃げ込み、またサクヤからランの魂は生霊で、本人は生きているとの説明を受ける。

ランはパーティの爆発時の生き残りで、その時顔に傷を負い、人前に出られなくなってしまった。その後主人公の父親から自らの人生を壊した復讐のため、同じくこの街に復讐をしようとしている主人公を魂となって助けるように頼まれていた。

 

つまり主人公が家族だと思っていたランは、自らの復讐のため主人公を利用していたことになる。ランに対して特に語ることはないが、ランのCVを務めた七原ことみさんは、是非メインヒロインで聞きたいと思った。

 

Chapter27

この章は2つに分岐し、綾を選ぶとBAD、選ばないとTRUEに入るようになっている。

どちらの場合でも妻とヒロインたちが主人公を追ってホテルへたどり着き、玄関の外で再びバトルすることになる。戦闘は希がサクヤの剣を持って主人公についたゴーストを浄化し、夜がローラ―スケートで魔法陣を書いて主人公の力を弱体化させる。

 

こういう今までのヒロインたちの特技が活かされたバトルになるところは好き。あと今更だが魂を浄化するときの「バニッシュだ」という決め台詞ダサくないですか。

 

最初にホテルへと逃げ込んだ後、綾を選び、一緒にsexをしていると、戦闘で不利になった主人公がホテルへ再び逃げ込み、そこで宮棟の追撃を受ける。綾は主人公の味方として何があっても最後まで主人公のそばにいようとし、主人公の自爆テロまでの時間稼ぎとして宮棟たちの攻撃を一身に受け、ついに死んでしまう。主人公は宮棟、そしてなぜか来ていた佐々木議員たちを巻き込んでホテルを爆発させ、綾と共に死んでいく。

 

こういう過去の負い目や主人公に対する盲目的な恋心などがあって、その選択が間違っているのはわかっているけど最後まで主人公のやることに付き従うヒロインというのがすごく好きなのでこのシーンは最高だった。主人公をかばって死ぬのもわかっているし、最期に主人公が看取ってくれたのもポイントが高かったと思う。

綾を選ぶと主人公の死が確定するので、綾が決定的な負けヒロインとなり、綾と主人公が2人で救われるエンドが存在しないのもポイントが高かった。 

 

綾を選ばないと、主人公がホテルへ逃げ込まず、戦闘中のサクヤから2年前のホテル襲撃の真相を聞くことになる。

 

Chapter28

あの時サクヤはランの魂を討った後、主人公より強大な呪いの気配を感じてホテルの外に出た。そこにいたのは桜で、桜は10年前のホテル事故により買ってしまった土地の精霊たちの怒りを鎮めるため、この場所に魂が縛られていたのだった。サクヤは桜の願いを叶えて桜の呪いを浄化するため、桜と取引する。その願いは主人公と共に過ごすことで、サクヤは桜に肉体を与え、プロローグのシーンへとつながるというものだった。

今まで桜と過ごして満たされていた主人公は、呪いの力が弱まり、ついに希に討たれてしまう。しかし、最後に主人公の中に残った父親のゴーストが浄化できず、主人公は再び復讐に支配されそうになるが、ランや桜の想いが通じ、主人公はついに浄化され、復讐をやめて生きていくことを選ぶ。

 

Chapter29

主人公の卒業式の日が訪れる。主人公は桜の残した卒業アルバムを見つけ、そこに桜の写真を見る。卒業記念に主人公が仲間たちと撮った集合写真には、主人公のそばに桜の姿がしっかりと写っていた。

 

卒業、つまり春の訪れで主人公が冬、つまり過去から脱却したことが暗示されている。主人公が卒業式後に今までのヒロインたちを巡ることで、主人公が死者ではなく、生者と向き合っていることが対比になっていると思う。

それはそれとして、卒業式後にヒロインのところを1人ずつ回るのって、すごく卒業式っぽくてうまく伝えられないが、とても卒業式だったのでよかった。

主人公が綾にもきちんと卒業おめでとうを伝えられたシーンもよかったし、ルート終了後タイトル画面に戻った時に、タイトルコールではなく「卒業おめでとう」と流れるのもよかった。

卒業というテーマを出されたときに見たいと思ったシーンがちょうど描かれていて、よかった。

 

桜のキャラについての感想だが、無愛想で無口で女にやさしくない系の主人公でも、明るく接してくれて、途切れることなく話しかけてくれたり、主人公に何を言われてもたとえ空元気だろうとへこまなかったり、それでいて主人公と2人では恥じらいを持ってくれるところが最高に良かった。桜は設定として、主人公から見えないながらも10年間ずっとそばにいた、という設定があるためにこのような距離感になっているのだと思うが、桜ルートでは桜の持つ主人公への想いが透けて見えてあまりにもエモかった。CV車の人の甘い声がその魅力に拍車をかけていたのは間違いない。やっぱり車の人は元気系のヒロインが好き。

 

・その他

 

OP、EDともに質が良く、またグランドルートには個別のOPとEDが存在するため、曲数も多い。私は通常エンドのOPとEDが気にいった。

挿入歌である「メリーゴーランドをぶっ壊せ」は、シナリオライターである新島夕先生が作詞をしたこともあり、何かの暗喩になっているのだと思うが、ここでは割愛する。

 

・終わりに

 

とにかくキャラとCVが最高峰のゲームだった。不良で我の強い主人公、という一歩間違えるとマイナスになりかねない要素を抱えながら、それほど気にならなかったのはよかった。大団円で終わらず、少し寂しさを残しながら終わる余韻も個人的には高評価だった。また今作はタイトルが結構直球で、主人公と桜の事を表しながら、冬から春までの話だとか色々なことをかけているのだと思うが、こういうのは結構好きだった。

 

最後に、言っていいのかわからないが、これを言ってしまおうと思う。

 

(主人公の)ゴースト要素、いる?